第一章:真紅の暴君
・『何でもない日』のパーティーとマロンタルト
エース「結局また、ケイト先輩に薔薇塗り手伝わされた…」
ジェード「まぁまぁ…人手が足りないって言ってたんだし…
その首輪も、あとちょっとの辛抱だろ?」
エース「あぁ…そうだな…!
このタルトを渡せば、寮長も許してくれるはず!」
息巻くエースを横目に、『何でもない日』のパーティーは開かれる。
「我らがリーダー!赤き支配者!リドル寮長のおなーりー!」
「「「リドル寮長、バンザーイ!」」」
エースはリドルの座る席を見る。
やってきたリドルは、『何でもない日』のパーティーの飾りの確認をしているようだ。
ふと、ジュゼは違和感を覚え、顔を顰める。
ジュゼ「……?
(リドル先輩の周囲の匂いが濃くなっている…?
それも、悪臭と呼べるほどに…)」
ケイト「そうだ。『何でもない日』のパーティーは正装を着ると決まってるからね!
お兄さんがコーディネートしてあげる!ほいっ」
と、1年生たちに衣装をパッとコーディネートしてくれるケイト。
デュース「おお!?これ、寮服ですか?」
ケイト「そ!今流行りのトレンドもしっかり押さえた、マジカメ映えバッチリな衣装だよ!
ジェードちゃんとジュゼちゃん、それにグリムちゃんにもコーディネートしてあげたよ」
ジェード「…なんでおれ、スカートなんですか…」
ケイト「フレアになってるだけで、中はちゃんとズック履いてるよ?」
ジェード「いやそうだけどぉ!」
ケイトによって寮服に身を包んだエースは意気揚々と、リドルの前へ赴く。
エース「寮長、あの…タルト食べたこと謝りたくって、新しくタルトを焼いてきたんっすけど…」
リドル「君は…あぁ、タルト泥棒の1年生…
いいよ、受け取ってあげよう。
一応聞くけど、なんのタルトだい?」
エース「よくぞ聞いてくれました!
はい、こちら、旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです!」
と、堂々とマロンタルトをお出しする。
が、リドルの様子はエースたちの思い描くものとはまったくかけ離れていた。
リドル「マロンタルトだって!?信じられない!!」
エース「えぇっ…?」
リドル「ハートの女王の法律第562条、『『何でもない日』のパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず』。
…これは、重大な法律違反だ!!なんてことをしてくれたんだい!
完璧な『何でもない日』が台無しじゃないか!」
ジェード「は!?」
デュース「第562条!?」
ジュゼ「おっと…」
ケイト「あちゃ…これヤバイ…
トレイくん、これ知ってた?」
トレイ「俺が暗記しているのは第350条までだ!
タルトの種類にも法律があったとは…」
リドル「マロンタルトはすぐに破棄しろ!
それから、こいつらを寮外へつまみ出せ!」
エース「ちょっと待てよ!そんな無茶苦茶なルールあるか!!」
グリム「そうだゾ!捨てるならオレ様が食う!」
トレイとケイトが即座にエースの前に立ち、頭を垂れて謝る。
トレイ「寮長、申し訳ありません。
マロンタルトを作ろうと提案したのは俺です」
ケイト「そうそう、まさかそんな決まりがあるだなんて、全然思ってなくって…」
リドル「作ったことが重要じゃない。
今日!今!ここに!持ち込んだこと”だけ”が問題なんだ!」
しかし、リドルの憤慨はとどまることを知らない様子。
ジュゼ「それで、マロンタルトを捨てる?
ジェードたちが頑張って作ったのに…」
ジェード「っ…言い方ってものがあるんじゃないの?
ルールなのは仕方ないけど、注意して片付けるで留められないのかなぁ?
それで完璧が崩れる、ねぇ…」
そんなリドルの様子を見たエースは、まぁ当然というか、逆ギレし始める。
エース「…さっきっから聞いてりゃぁ、おかしなルールばっかり並べやがって…
ばっかじゃねーの」
リドル「馬鹿…だって…?」
ケイト「ちょ、ストップ!それ言っちゃだめなやつ!
あとリドルくんも、コイツらまだ入学したてほやほやの新入生だから、ね?」
エース「いーや言うね。
そんなルールに従ってタルトを捨てるなんて馬鹿だって思うだろ、ふざけんなよ」
デュース「俺もエースに賛成です。
もちろん、ルールは守らなければいけないものだと思いますが…流石に突飛すぎる」
リドル「ボクに口答えとはいい度胸がおありだね。
いいかい。小さなルール違反が、大きな問題に繋がるんだ」
エース「他の奴らも、魔法封じられるのが怖くて言い出せないだけで、こんなのおかしいって思ってんだろ!?」
と、エースは他のハーツラビュル寮生たちを見やる。
しかし、寮生たちは思わずとみんな目を泳がせる。
「いや…僕たちは…」
リドル「へぇ…そうなのかい?」
「っ…と、とんでもありません、寮長!」
「全ては寮長のご決断次第です!」
リドルの圧に負けて、口々に寮長を称える言葉を紡ぐ寮生たち。
エースは心底軽蔑した目を向ける。
エース「ちっ…日和りやがって、ダッセー…」
リドル「ボクが寮長になって1年。ハーツラビュル寮からは一人の留年者、退学者も出していない。
これは全寮内でハーツラビュルだけだ!
この寮の中でボクが一番成績が優秀で、一番強い。
だから、ボクが一番正しい!
口答えせず、ボクに従っていれば間違いはないんだ!」
ジェード「ふーん?転寮の方は果たしてどうなんでしょうねぇ…?
それに、たかが1年?それなら”まだ”耐えられるだろうなぁ…?」
乗り込まんばかりにくつくつ笑うジェードに、ジュゼはそっと止めに入る。
ジュゼ「…ジェード、しばらく黙ってて」
ジェード「お?…りょーかい…」
リドル「ボクだって、やりたくてやってるわけじゃない…
お前たちがルールを破るからいけないんだ…
ボクに従えないのなら、まとめて首をはねてやる…!」
ケイト「みんなほら、「はい、寮長」って言って…」
デュース「…言えません」
エース「こんなワガママな暴君、こっちから願い下げだ!」
リドル「今、なんて言った…?」
グリム「お前は怒りんぼで我儘で、食べ物を粗末にする暴君って言ったんだゾ!」
デュース「おい、そこまでは言ってない──」
リドル「オフ・ウィズ・ユアヘッド─首をはねろーーー!!!!」
リドルの一喝と詠唱。
グリムとデュースに首輪が着けられる。
グリム・デュース「うわあああ!!!」
グリム「ぐえぇ、またこの首輪なんだゾ〜!」
デュース「くっ、外れない…!」
リドル「トレイ、ケイト!こいつらをつまみ出せ!」
トレイ・ケイト「………はい、寮長」
つまみ出されようとする3人。
ジュゼはジェードの手を引く。
ジュゼ「…ジェード、撤退しよう。
今ので彼の魔法の軌道は読めた」
ジェード「え、今ので!?おれには唐突に詠唱発動してきたとしか…」
ジュゼ「…というか、何らかの影響で軌道がわかりやすくなってきてる…」
ジェード「…ジュゼ、もしかして…
いや、とりあえずここを立ち去ろうか」
エース「結局また、ケイト先輩に薔薇塗り手伝わされた…」
ジェード「まぁまぁ…人手が足りないって言ってたんだし…
その首輪も、あとちょっとの辛抱だろ?」
エース「あぁ…そうだな…!
このタルトを渡せば、寮長も許してくれるはず!」
息巻くエースを横目に、『何でもない日』のパーティーは開かれる。
「我らがリーダー!赤き支配者!リドル寮長のおなーりー!」
「「「リドル寮長、バンザーイ!」」」
エースはリドルの座る席を見る。
やってきたリドルは、『何でもない日』のパーティーの飾りの確認をしているようだ。
ふと、ジュゼは違和感を覚え、顔を顰める。
ジュゼ「……?
(リドル先輩の周囲の匂いが濃くなっている…?
それも、悪臭と呼べるほどに…)」
ケイト「そうだ。『何でもない日』のパーティーは正装を着ると決まってるからね!
お兄さんがコーディネートしてあげる!ほいっ」
と、1年生たちに衣装をパッとコーディネートしてくれるケイト。
デュース「おお!?これ、寮服ですか?」
ケイト「そ!今流行りのトレンドもしっかり押さえた、マジカメ映えバッチリな衣装だよ!
ジェードちゃんとジュゼちゃん、それにグリムちゃんにもコーディネートしてあげたよ」
ジェード「…なんでおれ、スカートなんですか…」
ケイト「フレアになってるだけで、中はちゃんとズック履いてるよ?」
ジェード「いやそうだけどぉ!」
ケイトによって寮服に身を包んだエースは意気揚々と、リドルの前へ赴く。
エース「寮長、あの…タルト食べたこと謝りたくって、新しくタルトを焼いてきたんっすけど…」
リドル「君は…あぁ、タルト泥棒の1年生…
いいよ、受け取ってあげよう。
一応聞くけど、なんのタルトだい?」
エース「よくぞ聞いてくれました!
はい、こちら、旬の栗をたっぷり使ったマロンタルトです!」
と、堂々とマロンタルトをお出しする。
が、リドルの様子はエースたちの思い描くものとはまったくかけ離れていた。
リドル「マロンタルトだって!?信じられない!!」
エース「えぇっ…?」
リドル「ハートの女王の法律第562条、『『何でもない日』のパーティーにマロンタルトを持ち込むべからず』。
…これは、重大な法律違反だ!!なんてことをしてくれたんだい!
完璧な『何でもない日』が台無しじゃないか!」
ジェード「は!?」
デュース「第562条!?」
ジュゼ「おっと…」
ケイト「あちゃ…これヤバイ…
トレイくん、これ知ってた?」
トレイ「俺が暗記しているのは第350条までだ!
タルトの種類にも法律があったとは…」
リドル「マロンタルトはすぐに破棄しろ!
それから、こいつらを寮外へつまみ出せ!」
エース「ちょっと待てよ!そんな無茶苦茶なルールあるか!!」
グリム「そうだゾ!捨てるならオレ様が食う!」
トレイとケイトが即座にエースの前に立ち、頭を垂れて謝る。
トレイ「寮長、申し訳ありません。
マロンタルトを作ろうと提案したのは俺です」
ケイト「そうそう、まさかそんな決まりがあるだなんて、全然思ってなくって…」
リドル「作ったことが重要じゃない。
今日!今!ここに!持ち込んだこと”だけ”が問題なんだ!」
しかし、リドルの憤慨はとどまることを知らない様子。
ジュゼ「それで、マロンタルトを捨てる?
ジェードたちが頑張って作ったのに…」
ジェード「っ…言い方ってものがあるんじゃないの?
ルールなのは仕方ないけど、注意して片付けるで留められないのかなぁ?
それで完璧が崩れる、ねぇ…」
そんなリドルの様子を見たエースは、まぁ当然というか、逆ギレし始める。
エース「…さっきっから聞いてりゃぁ、おかしなルールばっかり並べやがって…
ばっかじゃねーの」
リドル「馬鹿…だって…?」
ケイト「ちょ、ストップ!それ言っちゃだめなやつ!
あとリドルくんも、コイツらまだ入学したてほやほやの新入生だから、ね?」
エース「いーや言うね。
そんなルールに従ってタルトを捨てるなんて馬鹿だって思うだろ、ふざけんなよ」
デュース「俺もエースに賛成です。
もちろん、ルールは守らなければいけないものだと思いますが…流石に突飛すぎる」
リドル「ボクに口答えとはいい度胸がおありだね。
いいかい。小さなルール違反が、大きな問題に繋がるんだ」
エース「他の奴らも、魔法封じられるのが怖くて言い出せないだけで、こんなのおかしいって思ってんだろ!?」
と、エースは他のハーツラビュル寮生たちを見やる。
しかし、寮生たちは思わずとみんな目を泳がせる。
「いや…僕たちは…」
リドル「へぇ…そうなのかい?」
「っ…と、とんでもありません、寮長!」
「全ては寮長のご決断次第です!」
リドルの圧に負けて、口々に寮長を称える言葉を紡ぐ寮生たち。
エースは心底軽蔑した目を向ける。
エース「ちっ…日和りやがって、ダッセー…」
リドル「ボクが寮長になって1年。ハーツラビュル寮からは一人の留年者、退学者も出していない。
これは全寮内でハーツラビュルだけだ!
この寮の中でボクが一番成績が優秀で、一番強い。
だから、ボクが一番正しい!
口答えせず、ボクに従っていれば間違いはないんだ!」
ジェード「ふーん?転寮の方は果たしてどうなんでしょうねぇ…?
それに、たかが1年?それなら”まだ”耐えられるだろうなぁ…?」
乗り込まんばかりにくつくつ笑うジェードに、ジュゼはそっと止めに入る。
ジュゼ「…ジェード、しばらく黙ってて」
ジェード「お?…りょーかい…」
リドル「ボクだって、やりたくてやってるわけじゃない…
お前たちがルールを破るからいけないんだ…
ボクに従えないのなら、まとめて首をはねてやる…!」
ケイト「みんなほら、「はい、寮長」って言って…」
デュース「…言えません」
エース「こんなワガママな暴君、こっちから願い下げだ!」
リドル「今、なんて言った…?」
グリム「お前は怒りんぼで我儘で、食べ物を粗末にする暴君って言ったんだゾ!」
デュース「おい、そこまでは言ってない──」
リドル「オフ・ウィズ・ユアヘッド─首をはねろーーー!!!!」
リドルの一喝と詠唱。
グリムとデュースに首輪が着けられる。
グリム・デュース「うわあああ!!!」
グリム「ぐえぇ、またこの首輪なんだゾ〜!」
デュース「くっ、外れない…!」
リドル「トレイ、ケイト!こいつらをつまみ出せ!」
トレイ・ケイト「………はい、寮長」
つまみ出されようとする3人。
ジュゼはジェードの手を引く。
ジュゼ「…ジェード、撤退しよう。
今ので彼の魔法の軌道は読めた」
ジェード「え、今ので!?おれには唐突に詠唱発動してきたとしか…」
ジュゼ「…というか、何らかの影響で軌道がわかりやすくなってきてる…」
ジェード「…ジュゼ、もしかして…
いや、とりあえずここを立ち去ろうか」
