プロローグ
・早い再会
目を醒ませば棺の中、起き上がるとたくさんの人がいる。
一人一人、鏡の前に立ち、何かを告げられている。
「次は…君、鏡の前へ」
「ぁ…はい…」
わけも分からず鏡の前へ立てば、ディアソムニアと告げられた。
どうやらこれは寮分け、というものらしい。
「ようこそ、ディアソムニア寮へ。
わしは副寮長のリリアじゃ、歓迎するぞ」
「………どうも…」
ニッコリと老年のような喋り方をする可愛らしい少年が微笑む。
頭がぼーっとしていて、うまく思考ができない。
「おい!先輩、ひいてはリリア様の前だぞ!
しっかり挨拶をせんか!!」
「ぇ、えっと…?」
リリア「よいよい…
というかお主、まだ思考が定まっておらぬな?
たまにおるのじゃ。棺の中から目覚めて、覚束ない赤子のようになる者がのぉ…
ま、しばらくすれば安定してくるじゃろ」
「む、そうなのですか…
すまない、いきなり怒鳴ってしまって…」
「いえ、大丈夫…です…」
すると扉が開き、黒い嘴の仮面を付けた男が少年と子猫を連れて入ってくる。
「さぁ、この闇の鏡の前に立つのです」
「鏡の前…?」
声を聞いた。
聞いたことのある声。
「…ねぇ、魔法を見たら、それって分かるのかな?」
「…いいでしょう、やってみなさい」
「まぁ…軽い魔法で…
“業火なる炎は朱の力、炎よ弾けろ─フィアクラッカー”!」
振り向き、顔を見た。
あの翡翠の瞳、間違いない。
「ジェード…」
リリア「む、お主……?!何をしておる!!」
「え…」
刹那、青い炎。
子猫が火を吹いて暴走しているようだ。
俺はリリア先輩に掴まれ、なんとか避けることができた。
「っ…ジェードっ!!」
リリア「…お主、あの者と知り合いか?」
「…俺の…大切な人…」
リリア「…そうか、大切な人か。
大丈夫、焼かれはせん」
その後、他の寮長が子猫を止め、なんとかその場は収まる。
仮面の男─学園長の指示により、寮へ行くことになったが…。
俺は、残されるジェードが気になっていた。
魔法が使えなかった、そうなるとどうなるのだろう。
リリア「…気になるか?」
「リリアさ…先輩」
リリア「うむ…そこの者、わしはちょいと遅れる。
先に先導を任せても良いか?」
「わかりました、リリア先輩」
リリア「うむ!
では、行こうか」
「いいんですか…?」
リリア「お主の大切な人なのであろう?
ここで会わずに往くのは、心苦しかろう」
「…ありがとうございます」
─────────────────────
ジェード「…ジュゼ…」
目の前には愛しいおれの恋人、ジュゼがいた。
泣きそうになるおれを、ジュゼは優しく抱きしめてくれる。
ジュゼ「よかった…怪我はないな?」
ジェード「ぅ…ないよ、大丈夫だよ…
っ…ジュゼぇええ」
ジュゼ「ん、ふふ…ジェードがこんなに泣くなんて…
よほど心細かったんだな」
ジェード「うぅ…だってぇ…」
クロウリー「…なんとまぁ!まさかの感動の再会!?
しかし、これはどういうことですか!?」
リリア「この者、ディアソムニア寮に選ばれたのじゃが、どうやらそこの者と知り合いらしい…
このあと、元の場所に帰すつもりであったのじゃろう?」
クロウリー「そうですね…
魔法を使えない者をこの学校に置いておくわけにはいきませんので…」
ジェード「だから魔法使えるって!!
きっと、何かの手違いで…」
ジュゼ「…ジェード、俺もまだ、思考は混乱しているところもあるけど…1つ、言えることはある。
…魔法、使えてはいるだろ」
ジェード「え、ジュゼそれほんと!?」
ジュゼ「だって、お前の姿…」
ふと、自分の姿を確認する。
軟そうな肌色の手のひらを見る。
…あ、合点がいったわ。
ジェード「あ〜…あー…あー?
魔力、ないことはないね?」
ジュゼ「つまり、お前ができないのは魔法を放出すること。
放つ魔法が使えない、ということだ」
クロウリー「…どういうことです?」
リリア「お主、もしや自己に何かしらの魔法を使っておるのか?」
ジェード「そうです!あの…
ジュゼ、この人たちに見せてもいいかな?」
ジュゼ「ジェードがいいなら…
そもそも、こういう事象はジェードの方が詳しいだろ」
ジェード「おれもそこまでってわけじゃないんだけどなぁ…
よっと…」
腕につけていたブレスレットを外す。
すると、おれの姿は人間の姿から歪な鱗を持つ黒龍の姿に変わる。
ジェード「できた!」
クロウリー「な、なんですかそれは!?」
リリア「ほう…お主は亜人か…」
ジュゼ「厳密には違うのだけど…
まぁ、亜人で通したほうが話は早いだろう。
ジェード、その状態での魔法は?」
ジェード「んー…やってるけど出ないね…ジュゼは?」
ジュゼ「……炎よ…」
ボッ──と、ジュゼの手から炎が溢れだす。
ジェード「となると…マナ相性だこれ…
あー!めんどくさいー!!レベル0からやりなおしだぁー!!」
クロウリー「貴方たちの中では話がどんどん進んでいるようですが、私にはさっぱりです!
なんなんです貴方たちは!」
ジュゼ「…失礼、私はジュゼ・フレグラス。
おそらく、そして何が原因かは分かりませんが…
我々は異世界に転移してきたようです」
クロウリー「な、異世界転移!?」
リリア「ほぉ?」
ジェード「で、ジュゼはここのマナとは相性は良かったみたいだけど、おれは相性最悪で魔法が放てない、ってことっすね…
でも、鏡が魂の形がわからないと言ったのは?」
ジュゼ「それは本当にわからない。
同じ魔具を持って効果を発揮させているはずなのに、俺はディアソムニアと寮を示された。
となると、これが阻害になっているわけじゃない…
ジェードが、この世界では本格的に魔法が使えない、ということか…?」
ジェード「えーやだやだめんどーだなーっと」
くるりと、ジェードは元の人間の姿に戻る。
リリア「その姿は元に戻せるのだな…
であれば、学ぶことで魔力を放つ方向に扱うことができるのではないか?」
ジェード「ハッ!それだ!」
クロウリー「しかし、寮を選ばれないとなると困りましたね…
それに、潜在能力があると分かっていながらこれを見す見す逃すのは学園長としていかがなものか…
は、そうだ!昔、寮として使われていた建物があることを思い出しました!
ジェードくんはそこに暮らす、というのはどうですか?」
ジェード「えー?まぁ、いいけど…」
ジュゼ「え、ディアソムニア寮へは連れていけないの…?」
リリア「すまんな、これは決まりなんじゃ…」
ジュゼ「………やだ」
クロウリー「え?」
リリア「おぉ?」
突然、ジュゼがおれを抱きしめてくる。
これは、駄々こねだぁ〜。
ジュゼ「や、やだ、ジェードと離れたくない。
ジェードと寝食共にできないとか無理」
ジェード「ん、ぁ…ちょ、ジュゼちゃん?今すごく可愛いこと言ってるけど、え…?」
クロウリー「こ、困りましたねぇ…」
リリア「…!
なら、転寮ということにしよう」
クロウリー「え…本気で言ってるんですか…?」
リリア「うむ、手続きはわしが行う。
何も困ることはなかろう?」
ジュゼ「リリア先輩!」
リリア「じゃが、その為には一度は寮に来てもらう必要がある。
お主らに一時の別れをさせてしまうのはわしも心苦しいところじゃが…
すまんが、来てはもらえんかの?」
ジュゼ「…大丈夫、ちょっとだけなら…」
ジェード「偉いねジュゼ、我慢できて」
ジュゼ「絶対待ってて、すぐ迎えに行くから」
ジェード「迎えるのはきっとおれの方だと思うけど…」
クロウリー「まぁ…よろしいでしょう!
許可しましょう、私優しいので!
転寮手続きについては後ほど行わせていただきます。
では、ジェードくんはこちらへ」
最後にジュゼの手を握ってあげて別れて、学園長と共に言われた寮へ向かうのだった。
目を醒ませば棺の中、起き上がるとたくさんの人がいる。
一人一人、鏡の前に立ち、何かを告げられている。
「次は…君、鏡の前へ」
「ぁ…はい…」
わけも分からず鏡の前へ立てば、ディアソムニアと告げられた。
どうやらこれは寮分け、というものらしい。
「ようこそ、ディアソムニア寮へ。
わしは副寮長のリリアじゃ、歓迎するぞ」
「………どうも…」
ニッコリと老年のような喋り方をする可愛らしい少年が微笑む。
頭がぼーっとしていて、うまく思考ができない。
「おい!先輩、ひいてはリリア様の前だぞ!
しっかり挨拶をせんか!!」
「ぇ、えっと…?」
リリア「よいよい…
というかお主、まだ思考が定まっておらぬな?
たまにおるのじゃ。棺の中から目覚めて、覚束ない赤子のようになる者がのぉ…
ま、しばらくすれば安定してくるじゃろ」
「む、そうなのですか…
すまない、いきなり怒鳴ってしまって…」
「いえ、大丈夫…です…」
すると扉が開き、黒い嘴の仮面を付けた男が少年と子猫を連れて入ってくる。
「さぁ、この闇の鏡の前に立つのです」
「鏡の前…?」
声を聞いた。
聞いたことのある声。
「…ねぇ、魔法を見たら、それって分かるのかな?」
「…いいでしょう、やってみなさい」
「まぁ…軽い魔法で…
“業火なる炎は朱の力、炎よ弾けろ─フィアクラッカー”!」
振り向き、顔を見た。
あの翡翠の瞳、間違いない。
「ジェード…」
リリア「む、お主……?!何をしておる!!」
「え…」
刹那、青い炎。
子猫が火を吹いて暴走しているようだ。
俺はリリア先輩に掴まれ、なんとか避けることができた。
「っ…ジェードっ!!」
リリア「…お主、あの者と知り合いか?」
「…俺の…大切な人…」
リリア「…そうか、大切な人か。
大丈夫、焼かれはせん」
その後、他の寮長が子猫を止め、なんとかその場は収まる。
仮面の男─学園長の指示により、寮へ行くことになったが…。
俺は、残されるジェードが気になっていた。
魔法が使えなかった、そうなるとどうなるのだろう。
リリア「…気になるか?」
「リリアさ…先輩」
リリア「うむ…そこの者、わしはちょいと遅れる。
先に先導を任せても良いか?」
「わかりました、リリア先輩」
リリア「うむ!
では、行こうか」
「いいんですか…?」
リリア「お主の大切な人なのであろう?
ここで会わずに往くのは、心苦しかろう」
「…ありがとうございます」
─────────────────────
ジェード「…ジュゼ…」
目の前には愛しいおれの恋人、ジュゼがいた。
泣きそうになるおれを、ジュゼは優しく抱きしめてくれる。
ジュゼ「よかった…怪我はないな?」
ジェード「ぅ…ないよ、大丈夫だよ…
っ…ジュゼぇええ」
ジュゼ「ん、ふふ…ジェードがこんなに泣くなんて…
よほど心細かったんだな」
ジェード「うぅ…だってぇ…」
クロウリー「…なんとまぁ!まさかの感動の再会!?
しかし、これはどういうことですか!?」
リリア「この者、ディアソムニア寮に選ばれたのじゃが、どうやらそこの者と知り合いらしい…
このあと、元の場所に帰すつもりであったのじゃろう?」
クロウリー「そうですね…
魔法を使えない者をこの学校に置いておくわけにはいきませんので…」
ジェード「だから魔法使えるって!!
きっと、何かの手違いで…」
ジュゼ「…ジェード、俺もまだ、思考は混乱しているところもあるけど…1つ、言えることはある。
…魔法、使えてはいるだろ」
ジェード「え、ジュゼそれほんと!?」
ジュゼ「だって、お前の姿…」
ふと、自分の姿を確認する。
軟そうな肌色の手のひらを見る。
…あ、合点がいったわ。
ジェード「あ〜…あー…あー?
魔力、ないことはないね?」
ジュゼ「つまり、お前ができないのは魔法を放出すること。
放つ魔法が使えない、ということだ」
クロウリー「…どういうことです?」
リリア「お主、もしや自己に何かしらの魔法を使っておるのか?」
ジェード「そうです!あの…
ジュゼ、この人たちに見せてもいいかな?」
ジュゼ「ジェードがいいなら…
そもそも、こういう事象はジェードの方が詳しいだろ」
ジェード「おれもそこまでってわけじゃないんだけどなぁ…
よっと…」
腕につけていたブレスレットを外す。
すると、おれの姿は人間の姿から歪な鱗を持つ黒龍の姿に変わる。
ジェード「できた!」
クロウリー「な、なんですかそれは!?」
リリア「ほう…お主は亜人か…」
ジュゼ「厳密には違うのだけど…
まぁ、亜人で通したほうが話は早いだろう。
ジェード、その状態での魔法は?」
ジェード「んー…やってるけど出ないね…ジュゼは?」
ジュゼ「……炎よ…」
ボッ──と、ジュゼの手から炎が溢れだす。
ジェード「となると…マナ相性だこれ…
あー!めんどくさいー!!レベル0からやりなおしだぁー!!」
クロウリー「貴方たちの中では話がどんどん進んでいるようですが、私にはさっぱりです!
なんなんです貴方たちは!」
ジュゼ「…失礼、私はジュゼ・フレグラス。
おそらく、そして何が原因かは分かりませんが…
我々は異世界に転移してきたようです」
クロウリー「な、異世界転移!?」
リリア「ほぉ?」
ジェード「で、ジュゼはここのマナとは相性は良かったみたいだけど、おれは相性最悪で魔法が放てない、ってことっすね…
でも、鏡が魂の形がわからないと言ったのは?」
ジュゼ「それは本当にわからない。
同じ魔具を持って効果を発揮させているはずなのに、俺はディアソムニアと寮を示された。
となると、これが阻害になっているわけじゃない…
ジェードが、この世界では本格的に魔法が使えない、ということか…?」
ジェード「えーやだやだめんどーだなーっと」
くるりと、ジェードは元の人間の姿に戻る。
リリア「その姿は元に戻せるのだな…
であれば、学ぶことで魔力を放つ方向に扱うことができるのではないか?」
ジェード「ハッ!それだ!」
クロウリー「しかし、寮を選ばれないとなると困りましたね…
それに、潜在能力があると分かっていながらこれを見す見す逃すのは学園長としていかがなものか…
は、そうだ!昔、寮として使われていた建物があることを思い出しました!
ジェードくんはそこに暮らす、というのはどうですか?」
ジェード「えー?まぁ、いいけど…」
ジュゼ「え、ディアソムニア寮へは連れていけないの…?」
リリア「すまんな、これは決まりなんじゃ…」
ジュゼ「………やだ」
クロウリー「え?」
リリア「おぉ?」
突然、ジュゼがおれを抱きしめてくる。
これは、駄々こねだぁ〜。
ジュゼ「や、やだ、ジェードと離れたくない。
ジェードと寝食共にできないとか無理」
ジェード「ん、ぁ…ちょ、ジュゼちゃん?今すごく可愛いこと言ってるけど、え…?」
クロウリー「こ、困りましたねぇ…」
リリア「…!
なら、転寮ということにしよう」
クロウリー「え…本気で言ってるんですか…?」
リリア「うむ、手続きはわしが行う。
何も困ることはなかろう?」
ジュゼ「リリア先輩!」
リリア「じゃが、その為には一度は寮に来てもらう必要がある。
お主らに一時の別れをさせてしまうのはわしも心苦しいところじゃが…
すまんが、来てはもらえんかの?」
ジュゼ「…大丈夫、ちょっとだけなら…」
ジェード「偉いねジュゼ、我慢できて」
ジュゼ「絶対待ってて、すぐ迎えに行くから」
ジェード「迎えるのはきっとおれの方だと思うけど…」
クロウリー「まぁ…よろしいでしょう!
許可しましょう、私優しいので!
転寮手続きについては後ほど行わせていただきます。
では、ジェードくんはこちらへ」
最後にジュゼの手を握ってあげて別れて、学園長と共に言われた寮へ向かうのだった。
