プロローグ
・ここはどこ!?
真っ暗の中で目を覚ます。
カラカラ…まるで馬車に揺られる感覚。
ここはどこだろう?
どこに向かっているのだろう?
急激な睡魔で、意識はおぼろげだ。
体が動かない…というか、動けない?
狭い箱の中にいるようだ。
横たわれているから、さながら棺か?
なんかヤバイことに巻き込まれている気がするのに、全然身体は動かないし、意識は朦朧としている。
ジュゼ…オルガ…大丈夫?
おれは一体、どこにいるの…?
──ツイステッドワンダーランド〜黒死龍の番の場合〜
おれの名前はジェード。
オリジア大陸のとある研究所で愛しのジュゼ・フレグラスと共に暮らしている、押しかけ男子★
ジュゼの研究していたウイルスによって、おれの身体は人間から黒い鱗の龍のような姿に大変貌!
まぁ、おれは人間であることにこだわりはないから気にしてない。
それどころか、ジュゼくんとおんなじになれてすっごく運命を感じるというか…これからもずっと一緒にいられるやっほい!というか…。
こほん…真面目に話をしようか。
おれは今、とても暗くて狭い部屋の中にいる。
ロッカー?とは思ったけども、おそらくこれは間違いなく寝かされている。
カプセル?それとも、棺桶か何か?
真っ暗すぎて何も見えないけど、起き上がれるか試しに押しあげてみるとまぁ開く。
起き上がると、そこは棺桶─いやこれ棺の方があってるかな?─がたくさん並んでいた。
天井には空を浮く照明、大きな鏡に暗めで豪奢な部屋。
…うん、ここどこ?
おれは、どうしてココにいる?うーん、直前の記憶がまったくない…。
はて、どうしたものかと二度寝を決め込もうと棺の蓋を丁寧に戻し、寝転がっていると、どこからか声が聞こえてくる。
「ここがかがみのまってやつか?なんだかしんきくせー場所なんだゾ…
変な箱が多いし…つかこれ棺か?なんでこんなもんが…」
声…ここの管理人?にしては、何も知らなそうな声色だけど…。
「あ、思い出した!
あの黒い馬はこれをここに運んでいたな…
じゃあここにあるのはここに入るがくせい?が入ってるに違いない!
そんでもって、こいつらならあの服を持ってるに決まってる!」
あの服…?こいつ何を言ってるんだ?
ペタペタと何か近づいてくる雰囲気。
人ではなさそうだ。
「これを開けるんだゾ!
んん、全然動かないー!」
って、おれの棺を揺らしてるなぁ…何なんだ一体…。
「──こうなったら奥の手だ…ぶなーっ!!」
ジェード「ひゃわぁ!??」
ごおお!!と炎の音に驚いて飛び起きれば、そこには猫だか狸だか、とにかくちんちくりんなモンスターがいた。
「は!?なんで起きて…
まぁいい、その制服寄越すんだゾ!ふなーっ!!」
ジェード「はぁ!?制服!?
ちょ、火を吐くな!あっづ!!」
青い炎を吐いてくるモンスターに、おれは慌てて逃げ出す。
がむしゃらに走る。
ここはどこだ?校舎か?というか、学校?
ジェード「けど、こんな学校見たことない…
ルーバレインじゃない…?」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだゾ!
その制服さっさと寄越せ!!」
ジェード「制服脱いだら裸になるだろ!!
なんだ!?上着が欲しいのか!?」
「いや、全部だゾ」
ジェード「尚更やれるかバーカッ!!」
「ふなっ!?なんだとー!
偉大なる大魔法士になる予定のこのグリム様にバカとはなんだ!!」
ジェード「いーやバカだろ!!
だいたいそのチンチクリン姿でこの制服を着るだぁ?
擬人化してから出直してこい!!」
グリム「ぶなーっ!もー怒ったゾー!」
ジェード「ちょ、おれ生きてる生物は相手にできない…
ちょ、燃やすな!建物燃える!!」
やたらめたらに炎を吐くグリムと名乗るモンスター。
あまりの暴れっぷりに手を拱いていると…。
「こらーっ!!何をしているのですこんなところで!!」
と、仮面を付けた男がモンスターを引っ捕らえる。
首根っこを掴まれたせいか、とたんにおとなしくなるモンスターに、おれは安堵する。
ジェード「はぁ…た、助かった…」
「全く、使い魔を連れてくるならしっかり首輪を付けておきなさい」
ジェード「はーい…じゃない!
そいつ知らない!見知らぬ猫!
おれ、そいつに追い剥ぎされそうになったの!被害者です!」
「そうなのですか?それは失礼…
ですが、扉を抜け出して外に出ているなんて前代未聞です。
入学式はすでに始まっていますよ」
ジェード「入学式…?やっぱりここは学校…?」
「さぁ、付いてきなさい。
あなたで最後ですよ」
ジェード「最後…?なにが…?」
仮面の男についていくと、おそらく先程いた鏡のある部屋。
さっきは見なかったが、多くの生徒らしき人々がいた。
「さぁ、この闇の鏡の前に立つのです」
ジェード「鏡の前…?」
言われたとおりに鏡の前に立てば、鏡の中から自分ではない顔が現れる。
ジェード「…付喪神…?」
「なんですかそれ?…って違いますっ!
これは闇の鏡。この世のことなら何でも知っている魔法の鏡です」
ジェード「魔法の、鏡…」
「では…鏡よ、この者の魂のかたちを示すのです!」
『……………』
「………この者の魂のかたちを示すのです!」
ジェード「2回言った…」
『……………』
「…あのー」
『………わからぬ』
「え?」
『この者の魂のかたちは、霧の向こうに隠れており、映すことが難しい…
よって、わからぬ』
「なんですって!?」
「どういうことだ…?」「寮分けができない、ということか?」
ざわつく学生らしき人々。
仮面の男は、悲鳴かのごとく声を上げる。
「ぜ、前代未聞です!
この学園が始まって以来、鏡が寮分けのできない生徒など!一度たりとも聞いたことがないっ!!」
ジェード「…ねぇ、それって魔法を見たら、分かるのかな?」
「…いいでしょう、やってみなさい」
ジェード「まぁ…軽い魔法で…
“業火なる炎は朱の力、炎よ弾けろ─フィアクラッカー”!」
…しかし、掌からは何も起こらない。
うんともすんとも、火花は散らない。
ジェード「あ、あれ?
じゃあ、“荒れ狂う水は蒼の力、渦巻け流水よ─アクアトーネード”!
え、“ウインドカッター”、“フレアフラッシュ”!
うそうそ!?な、なんで!?」
「…魔法が、使えない?」「この学校に魔法が使えない生徒が…?」
ジェード「いやいや使えるから!
あ、もしかして属性魔法が封じられてるとか?
じゃあ固有の…
顕現せよ、悪霊を貪る霊獣よ!!」
翡翠のペンダントを掲げ、放とうとするも…。
しーん…一瞬の静寂があたりを包み、それからクスクスと笑い声が聞こえ始める。
ジェード「霊獣?おい、深緑の霊獣!
ターゲットいなくても一応は出てきてはくれるだろ!!
その後おれフルボッコにされるけどさぁ!!
ねぇ今緊急事態なの!でーてーきーてーねぇー!!」
グリム「ぶなーっ!!こんな魔法も使えない奴よりオレ様の魔法のほうがすごいんだゾ!
だから代わりにグリム様を学校に入れろ!ふなーっ!!」
と、グリムが青い炎を撒き散らし始める。
辺りは大混乱。
すると──
「『オフ・ウィズ・ユアヘッド─首を跳ねろ─』!!」
グリム「ふぎゃっ!?」
グリムの首にハートの首輪がつけられ、魔法が止まる。
ジェード「うげ…何だ今の…魔法か?」
「ボクのユニーク魔法だ。
その首輪をつけている間は魔法が使えなくなる…
火を吐く魔獣も、こうなればただの子猫さ」
「…助かりました、リドル・ローズハートくん」
リドル「ふん…キミの使い魔なら、ちゃんと躾をしておきたまえ。
それに、ハートの女王の法律・第23条、“祭典の場に猫を連れ込んではならない”に反しているよ」
ジェード「その法律については初見なので見逃してほしいのですが…
あとそもそも!その猫知らないって言ってるだろ!!」
リドル「そうか、じゃあこの猫はこちらで追い出させてもらうとしよう。
なに、この学園から出る頃には外れているだろうから、魔法が使えず野垂れ死ぬことはないよ」
グリム「ふ、ふなぁ……」
ジェード「ふん、ざまぁないわ。
って、おれ結局、魔法使えるの示せてないじゃん!」
「そうですね…
さぁ皆さん、これにて入学式は終わりました。
皆さんは寮長の指示にしたがって寮へ…
私はこの者とお話があるので…」
生徒達が寮長に連れられ、会場を出て行くさなか…一人、声を掛けてくる者がいた。
「では…えっと、お名前、なんでしたっけ?」
ジェード「おれ?おれの名前は…」
「ジェード…」
ジェード「そう、ジェード、ジェード・フレグラス…
って、えぇ!?」
真っ暗の中で目を覚ます。
カラカラ…まるで馬車に揺られる感覚。
ここはどこだろう?
どこに向かっているのだろう?
急激な睡魔で、意識はおぼろげだ。
体が動かない…というか、動けない?
狭い箱の中にいるようだ。
横たわれているから、さながら棺か?
なんかヤバイことに巻き込まれている気がするのに、全然身体は動かないし、意識は朦朧としている。
ジュゼ…オルガ…大丈夫?
おれは一体、どこにいるの…?
──ツイステッドワンダーランド〜黒死龍の番の場合〜
おれの名前はジェード。
オリジア大陸のとある研究所で愛しのジュゼ・フレグラスと共に暮らしている、押しかけ男子★
ジュゼの研究していたウイルスによって、おれの身体は人間から黒い鱗の龍のような姿に大変貌!
まぁ、おれは人間であることにこだわりはないから気にしてない。
それどころか、ジュゼくんとおんなじになれてすっごく運命を感じるというか…これからもずっと一緒にいられるやっほい!というか…。
こほん…真面目に話をしようか。
おれは今、とても暗くて狭い部屋の中にいる。
ロッカー?とは思ったけども、おそらくこれは間違いなく寝かされている。
カプセル?それとも、棺桶か何か?
真っ暗すぎて何も見えないけど、起き上がれるか試しに押しあげてみるとまぁ開く。
起き上がると、そこは棺桶─いやこれ棺の方があってるかな?─がたくさん並んでいた。
天井には空を浮く照明、大きな鏡に暗めで豪奢な部屋。
…うん、ここどこ?
おれは、どうしてココにいる?うーん、直前の記憶がまったくない…。
はて、どうしたものかと二度寝を決め込もうと棺の蓋を丁寧に戻し、寝転がっていると、どこからか声が聞こえてくる。
「ここがかがみのまってやつか?なんだかしんきくせー場所なんだゾ…
変な箱が多いし…つかこれ棺か?なんでこんなもんが…」
声…ここの管理人?にしては、何も知らなそうな声色だけど…。
「あ、思い出した!
あの黒い馬はこれをここに運んでいたな…
じゃあここにあるのはここに入るがくせい?が入ってるに違いない!
そんでもって、こいつらならあの服を持ってるに決まってる!」
あの服…?こいつ何を言ってるんだ?
ペタペタと何か近づいてくる雰囲気。
人ではなさそうだ。
「これを開けるんだゾ!
んん、全然動かないー!」
って、おれの棺を揺らしてるなぁ…何なんだ一体…。
「──こうなったら奥の手だ…ぶなーっ!!」
ジェード「ひゃわぁ!??」
ごおお!!と炎の音に驚いて飛び起きれば、そこには猫だか狸だか、とにかくちんちくりんなモンスターがいた。
「は!?なんで起きて…
まぁいい、その制服寄越すんだゾ!ふなーっ!!」
ジェード「はぁ!?制服!?
ちょ、火を吐くな!あっづ!!」
青い炎を吐いてくるモンスターに、おれは慌てて逃げ出す。
がむしゃらに走る。
ここはどこだ?校舎か?というか、学校?
ジェード「けど、こんな学校見たことない…
ルーバレインじゃない…?」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだゾ!
その制服さっさと寄越せ!!」
ジェード「制服脱いだら裸になるだろ!!
なんだ!?上着が欲しいのか!?」
「いや、全部だゾ」
ジェード「尚更やれるかバーカッ!!」
「ふなっ!?なんだとー!
偉大なる大魔法士になる予定のこのグリム様にバカとはなんだ!!」
ジェード「いーやバカだろ!!
だいたいそのチンチクリン姿でこの制服を着るだぁ?
擬人化してから出直してこい!!」
グリム「ぶなーっ!もー怒ったゾー!」
ジェード「ちょ、おれ生きてる生物は相手にできない…
ちょ、燃やすな!建物燃える!!」
やたらめたらに炎を吐くグリムと名乗るモンスター。
あまりの暴れっぷりに手を拱いていると…。
「こらーっ!!何をしているのですこんなところで!!」
と、仮面を付けた男がモンスターを引っ捕らえる。
首根っこを掴まれたせいか、とたんにおとなしくなるモンスターに、おれは安堵する。
ジェード「はぁ…た、助かった…」
「全く、使い魔を連れてくるならしっかり首輪を付けておきなさい」
ジェード「はーい…じゃない!
そいつ知らない!見知らぬ猫!
おれ、そいつに追い剥ぎされそうになったの!被害者です!」
「そうなのですか?それは失礼…
ですが、扉を抜け出して外に出ているなんて前代未聞です。
入学式はすでに始まっていますよ」
ジェード「入学式…?やっぱりここは学校…?」
「さぁ、付いてきなさい。
あなたで最後ですよ」
ジェード「最後…?なにが…?」
仮面の男についていくと、おそらく先程いた鏡のある部屋。
さっきは見なかったが、多くの生徒らしき人々がいた。
「さぁ、この闇の鏡の前に立つのです」
ジェード「鏡の前…?」
言われたとおりに鏡の前に立てば、鏡の中から自分ではない顔が現れる。
ジェード「…付喪神…?」
「なんですかそれ?…って違いますっ!
これは闇の鏡。この世のことなら何でも知っている魔法の鏡です」
ジェード「魔法の、鏡…」
「では…鏡よ、この者の魂のかたちを示すのです!」
『……………』
「………この者の魂のかたちを示すのです!」
ジェード「2回言った…」
『……………』
「…あのー」
『………わからぬ』
「え?」
『この者の魂のかたちは、霧の向こうに隠れており、映すことが難しい…
よって、わからぬ』
「なんですって!?」
「どういうことだ…?」「寮分けができない、ということか?」
ざわつく学生らしき人々。
仮面の男は、悲鳴かのごとく声を上げる。
「ぜ、前代未聞です!
この学園が始まって以来、鏡が寮分けのできない生徒など!一度たりとも聞いたことがないっ!!」
ジェード「…ねぇ、それって魔法を見たら、分かるのかな?」
「…いいでしょう、やってみなさい」
ジェード「まぁ…軽い魔法で…
“業火なる炎は朱の力、炎よ弾けろ─フィアクラッカー”!」
…しかし、掌からは何も起こらない。
うんともすんとも、火花は散らない。
ジェード「あ、あれ?
じゃあ、“荒れ狂う水は蒼の力、渦巻け流水よ─アクアトーネード”!
え、“ウインドカッター”、“フレアフラッシュ”!
うそうそ!?な、なんで!?」
「…魔法が、使えない?」「この学校に魔法が使えない生徒が…?」
ジェード「いやいや使えるから!
あ、もしかして属性魔法が封じられてるとか?
じゃあ固有の…
顕現せよ、悪霊を貪る霊獣よ!!」
翡翠のペンダントを掲げ、放とうとするも…。
しーん…一瞬の静寂があたりを包み、それからクスクスと笑い声が聞こえ始める。
ジェード「霊獣?おい、深緑の霊獣!
ターゲットいなくても一応は出てきてはくれるだろ!!
その後おれフルボッコにされるけどさぁ!!
ねぇ今緊急事態なの!でーてーきーてーねぇー!!」
グリム「ぶなーっ!!こんな魔法も使えない奴よりオレ様の魔法のほうがすごいんだゾ!
だから代わりにグリム様を学校に入れろ!ふなーっ!!」
と、グリムが青い炎を撒き散らし始める。
辺りは大混乱。
すると──
「『オフ・ウィズ・ユアヘッド─首を跳ねろ─』!!」
グリム「ふぎゃっ!?」
グリムの首にハートの首輪がつけられ、魔法が止まる。
ジェード「うげ…何だ今の…魔法か?」
「ボクのユニーク魔法だ。
その首輪をつけている間は魔法が使えなくなる…
火を吐く魔獣も、こうなればただの子猫さ」
「…助かりました、リドル・ローズハートくん」
リドル「ふん…キミの使い魔なら、ちゃんと躾をしておきたまえ。
それに、ハートの女王の法律・第23条、“祭典の場に猫を連れ込んではならない”に反しているよ」
ジェード「その法律については初見なので見逃してほしいのですが…
あとそもそも!その猫知らないって言ってるだろ!!」
リドル「そうか、じゃあこの猫はこちらで追い出させてもらうとしよう。
なに、この学園から出る頃には外れているだろうから、魔法が使えず野垂れ死ぬことはないよ」
グリム「ふ、ふなぁ……」
ジェード「ふん、ざまぁないわ。
って、おれ結局、魔法使えるの示せてないじゃん!」
「そうですね…
さぁ皆さん、これにて入学式は終わりました。
皆さんは寮長の指示にしたがって寮へ…
私はこの者とお話があるので…」
生徒達が寮長に連れられ、会場を出て行くさなか…一人、声を掛けてくる者がいた。
「では…えっと、お名前、なんでしたっけ?」
ジェード「おれ?おれの名前は…」
「ジェード…」
ジェード「そう、ジェード、ジェード・フレグラス…
って、えぇ!?」
