バレー部せんぱいと神童こーはい
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「笹谷先輩!一緒に帰りましょ!」
「またお前か」
「な、なにか問題ありますか?」
私の通っている伊達工業高校は圧倒的に男子生徒が多い。これはどこの工業高校でもさして変わらないだろう。ただ、私には夢があるのでこの工業高校に入ったのである。
その中でも私と同じ機械科専攻でわれらが伊達工業高校男子バレーボール部の笹谷先輩を尊敬してやまない。
この人の作る図面は画期的で革新的で実に綺麗だ。まぁもっとも、私にとってだから一般的にはそうでもないんだろうけれど。
普段は適当な機械しか作らないくせに、本気を出すともうほんと、形容し難いくらい綺麗で新しい図面を引いてみせるのだ。
はじめて図面とそこから生み出せれたものを見たとき私は飛び上がった。文字通り、その場で。いやはや実におかしな話なんだが。
「お前の目的はこれかー?んー?」
「うひゃぁ!笹谷先輩のずめんんん!」
「ほーらとってこーい」
「ぎゃああ!投げないでくださいよおお!」
からかう様に三日月の笑みを見せる笹谷先輩に翻弄されつつも図面をいただく。きっとこの人は世界一のロボットを作る気がする。そんな気がする。でも、今はバレー一筋鉄壁の一員だからそんなこと考えてもないのだろうけれど。
「笹谷先輩、ロボ図面は?」
「いやいや、新作はねぇよ?」
そうそう図面引けるかよ、馬鹿だろお前と笑われた。解せぬ。
私の夢はロボを作ることだ。といっても巨大なお台場にあるみたいなやつじゃなくてどちらかといえばドラえもんよりの。
身近なら介護用ロボ。そういうものを作りたい。私が何回も、何回も躓くような図面も、工程も笹谷先輩はあっさりこなしてみせた。
初めての実習で先輩が私についてくれたときもうそれは運命だと思った。うちの高校では、最初の実習授業では一つ上の先輩がついてくれる。簡単なトランジスタラジオを作るのだが、これが意外と難しい。本職の息子連中は難なく作りやがるが、高校デビューの私にはどうも難しかった。
そんな私についてくれたのが笹谷先輩だ。
笹谷先輩の手さばきの鮮やかなこと。
笹谷先輩の引いた図面の美しかったこと。
まぁ、惚れるわな。
その日から私は笹谷先輩に猛アピールである。一緒に世界を目指しましょう!と。
「ところでシンドウ」
「うーい?」
「女子がこの時間までどこで何してた」
「実習室でハンダで遊んでました!」
「俺待ってなくていいから明るいうちに帰れよお前、図面なら明日でもいいだろ?」
笹谷先輩は呆れ顔だ。でも、鉄は熱いうちに打てといいますか、図面引きたてが美味しいといいますか。何にせよ笹谷先輩の図面をその場で見なくちゃ死んじゃう病だとでも思っていただけたら幸いかなぁなんて。
「シンドウ」
「へい!」
「帰るぞ。チャリ後ろ乗ってくか?」
「うーい!マジすか!これでのんびり図面見れますね!」
キャッキャ喜ぶ私の頭をわしゃわしゃ撫でる笹谷先輩。うおお乱れる、乱れる。
しかし、目線は図面のままだ。右肘がなにか硬いものにぶち当たろうが、左足が何かを蹴りあげようがお構いなしである。
「シンドウ。お前、前見て歩け」
「うぃっす」
「人の話聞け、な?」
「ひぎゃ!」
とうとう先輩に首根っこを押さえられて少し苦しい。先輩の図面を舐めるように見回して記憶する。こんな綺麗な図面を引いて、挙句ロボまで作れちゃう先輩は本当にかっこいい。それに対して私は不器用極まりないのだ。残念なことに。
図面も引けなければハンダを扱うことすらできない。私一人で作ったらあのラジオは今頃ただの鉄くずだ。
そういえばあの日、先生にも言われたっけ。斎藤、よかったな、笹谷は器用だぞ、って。
まぁ、それが運命の出会いだったわけですが!先生に感謝。出席番号に感謝。
「笹谷先輩、シンドウやめてくださいよ!恥ずいんですよぉ!」
「だって、お前そう呼ばれてるだろ」
「嫌です那由多って呼んでください!」
「いやいや、そこは名字でいいだろ」
笹谷先輩には特別であって欲しいのです!そう叫んだら笹谷先輩はびっくり顔しながらも笑ってくれた。
私は笹谷先輩が好きなのである。あの指が、頭脳が、全てが。私にないものを持っている。私はあの人を求めてやまない。
私はちょっぴり数字に強いだけだ。だから、笹谷先輩が必要なのだ。机上の論を形にしてくれる、あの人が。
「笹谷先輩バレー辞めて私とロボ作りましょ!ロボ!」
「ははは、それは無理だなー」
「そうですかー」
「俺はあくまで鉄壁の一員だからなー」
「そんな先輩もかっこいいですよね!」
あの先輩も嫌いじゃないです、というとえっ?といって固まる先輩。あぁ、もう、自転車から落ちちゃいますよ私。すっかり日も暮れようとしているのに笹谷先輩のほっぺは夕焼け色でとても可愛かった。
「またお前か」
「な、なにか問題ありますか?」
私の通っている伊達工業高校は圧倒的に男子生徒が多い。これはどこの工業高校でもさして変わらないだろう。ただ、私には夢があるのでこの工業高校に入ったのである。
その中でも私と同じ機械科専攻でわれらが伊達工業高校男子バレーボール部の笹谷先輩を尊敬してやまない。
この人の作る図面は画期的で革新的で実に綺麗だ。まぁもっとも、私にとってだから一般的にはそうでもないんだろうけれど。
普段は適当な機械しか作らないくせに、本気を出すともうほんと、形容し難いくらい綺麗で新しい図面を引いてみせるのだ。
はじめて図面とそこから生み出せれたものを見たとき私は飛び上がった。文字通り、その場で。いやはや実におかしな話なんだが。
「お前の目的はこれかー?んー?」
「うひゃぁ!笹谷先輩のずめんんん!」
「ほーらとってこーい」
「ぎゃああ!投げないでくださいよおお!」
からかう様に三日月の笑みを見せる笹谷先輩に翻弄されつつも図面をいただく。きっとこの人は世界一のロボットを作る気がする。そんな気がする。でも、今はバレー一筋鉄壁の一員だからそんなこと考えてもないのだろうけれど。
「笹谷先輩、ロボ図面は?」
「いやいや、新作はねぇよ?」
そうそう図面引けるかよ、馬鹿だろお前と笑われた。解せぬ。
私の夢はロボを作ることだ。といっても巨大なお台場にあるみたいなやつじゃなくてどちらかといえばドラえもんよりの。
身近なら介護用ロボ。そういうものを作りたい。私が何回も、何回も躓くような図面も、工程も笹谷先輩はあっさりこなしてみせた。
初めての実習で先輩が私についてくれたときもうそれは運命だと思った。うちの高校では、最初の実習授業では一つ上の先輩がついてくれる。簡単なトランジスタラジオを作るのだが、これが意外と難しい。本職の息子連中は難なく作りやがるが、高校デビューの私にはどうも難しかった。
そんな私についてくれたのが笹谷先輩だ。
笹谷先輩の手さばきの鮮やかなこと。
笹谷先輩の引いた図面の美しかったこと。
まぁ、惚れるわな。
その日から私は笹谷先輩に猛アピールである。一緒に世界を目指しましょう!と。
「ところでシンドウ」
「うーい?」
「女子がこの時間までどこで何してた」
「実習室でハンダで遊んでました!」
「俺待ってなくていいから明るいうちに帰れよお前、図面なら明日でもいいだろ?」
笹谷先輩は呆れ顔だ。でも、鉄は熱いうちに打てといいますか、図面引きたてが美味しいといいますか。何にせよ笹谷先輩の図面をその場で見なくちゃ死んじゃう病だとでも思っていただけたら幸いかなぁなんて。
「シンドウ」
「へい!」
「帰るぞ。チャリ後ろ乗ってくか?」
「うーい!マジすか!これでのんびり図面見れますね!」
キャッキャ喜ぶ私の頭をわしゃわしゃ撫でる笹谷先輩。うおお乱れる、乱れる。
しかし、目線は図面のままだ。右肘がなにか硬いものにぶち当たろうが、左足が何かを蹴りあげようがお構いなしである。
「シンドウ。お前、前見て歩け」
「うぃっす」
「人の話聞け、な?」
「ひぎゃ!」
とうとう先輩に首根っこを押さえられて少し苦しい。先輩の図面を舐めるように見回して記憶する。こんな綺麗な図面を引いて、挙句ロボまで作れちゃう先輩は本当にかっこいい。それに対して私は不器用極まりないのだ。残念なことに。
図面も引けなければハンダを扱うことすらできない。私一人で作ったらあのラジオは今頃ただの鉄くずだ。
そういえばあの日、先生にも言われたっけ。斎藤、よかったな、笹谷は器用だぞ、って。
まぁ、それが運命の出会いだったわけですが!先生に感謝。出席番号に感謝。
「笹谷先輩、シンドウやめてくださいよ!恥ずいんですよぉ!」
「だって、お前そう呼ばれてるだろ」
「嫌です那由多って呼んでください!」
「いやいや、そこは名字でいいだろ」
笹谷先輩には特別であって欲しいのです!そう叫んだら笹谷先輩はびっくり顔しながらも笑ってくれた。
私は笹谷先輩が好きなのである。あの指が、頭脳が、全てが。私にないものを持っている。私はあの人を求めてやまない。
私はちょっぴり数字に強いだけだ。だから、笹谷先輩が必要なのだ。机上の論を形にしてくれる、あの人が。
「笹谷先輩バレー辞めて私とロボ作りましょ!ロボ!」
「ははは、それは無理だなー」
「そうですかー」
「俺はあくまで鉄壁の一員だからなー」
「そんな先輩もかっこいいですよね!」
あの先輩も嫌いじゃないです、というとえっ?といって固まる先輩。あぁ、もう、自転車から落ちちゃいますよ私。すっかり日も暮れようとしているのに笹谷先輩のほっぺは夕焼け色でとても可愛かった。
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