OW
最近、悩みがある。いや、悩みと言うには些細なことなのかもしれないが、行為の時恋人が声を出してくれないのだ。
別に感じてくれていないわけではないのが救いか。顔を見られたくないからと後ろからしか抱かせてくれない恋人は、シーツを噛んでまで声を我慢したがる。きっと萎えさせたらとか余計なことを考えているのだろう。……萎えるわけないのに。そも、そんなことで萎えるくらいなら抱いていない。その辺、ちゃんと教えてやらないといけないのかもしれなかった。
そうと決まれば話は早い。基地で模擬戦終わりのウーヤンを取っ捕まえて部屋に連れ込むと、半ば強引に布団に押し倒した。驚いたようにこちらを見る彼を気にせず、唇を合わせる。
「おい、せめてシャワー浴びさせてくれよ」
「ん、嫌」
「嫌って、俺汗かいてるし!」
「そっちのが興奮しね?」
正直そそる。そう囁いて、布越しに脇腹を撫でながら、唇を割り開いて口内に舌を侵入させ、逃げる舌を絡め取る。さりさりと舌先を合わせて愛撫してやれば、彼の身体が震えた。よし、本気で嫌がってはないな。
「んんっ」
上擦った声が彼から微かに漏れて、じんわりと下半身が熱を持つ。飲みきれなかった唾液が彼の口の端からとろりと漏れて、シーツに落ちていった。勿体ないな、等と思いつつも、ぎこちなく答えてくれる舌が嬉しくて何度も何度も角度を変えてしゃぶりつく。
「はぁっ、んっ……ふっ」
何時もよりも長く、そうして口内を蹂躙していると、息苦しくなったのか胸を叩かれた。
名残惜しく思いながらも離してやれば、涙で潤んだ瞳と目が合う。可愛い。食べてしまいたいくらいに。
「はーっ、はーっ……」
「なぁ、今日は前から抱きたいんだけど」
「それはその……恥ずかしいから嫌だ」
「一生のお願い」
「なんだよそれ」
少し緊張が和らいだのかふっと微笑んだ彼の唇にまたキスを落として、布の上から肌を撫でる。その度にびくんと面白いくらい反応をするものだから、そんなに敏感で良く生きてこれたななんて思った。
「電気消しちゃるから」
「なら……いいか……」
手探りで電気のリモコンを取ると、電気を消す。ゆっくり暗くなっていく部屋。でも、ごめんな。俺夜目は利く方なんだ。まぁ言ってやらないけど。
暗闇に目が慣れたのか、彼の顔が見えてくる。恥ずかしそうだけど、確かに興奮の色が見えて。ふっと微笑んで少し勃ち上がった胸の突起を撫でる。
「んんっ」
「ちょっと大きくなったか?」
「言うなよ、気にしてんだから」
こう言う仲になってまだあまり回数は重ねていないけれど、最初の頃よりか明らかに大きくなったように思う。繰り返し触り続けた甲斐があったと言うものだ。
指先でかりかりと引っ掻くように刺激してやれば、突起は更に硬さを増す。そうして時間をかけて覚えさせるように弄ってやれば、彼はもじもじと太股を擦りあわせた。
切ないのだろう。まだまだ、ここで感じるには早いようだった。
「ミズキ、しつこい!」
「んー?」
「しらばっくれんな!」
語気を荒げる彼を丸め込むためにキスを落として、服を捲る。ちょんと勃った突起に舌を絡めて舐れば、今度は押し黙る番だ。
「っ、う……」
「どう?」
「ノーコメント!」
「ふふっ」
本当に可愛い奴。そのまま下に下がっていって、すでに主張を始めている陰茎を布越しに撫でれば、彼は物欲しそうに俺を見る。見えていないと思っているのだろう。可哀想に。
ズボンを下ろして、ぶるんと勃ち上がった陰茎に顔を埋める。
「お、おい!」
当たり前だが蒸れた汗の臭いがして、それにめちゃくちゃに興奮して、そのまま陰茎にしゃぶりついた。汗のしょっぱさと精の独特な苦味が口の中に広がる。
「ああっ、そんなとこっ」
汚いって言いたいのだろう。でも、そんなの気にならない。なんならいつもより興奮しているまである。
「っ、うぁ!んっ」
舌先で尿道口をほじくれば、先走りが滲み出る。それを飲み下して、じゅるじゅるとわざとらしく音を立てて吸い付けば、彼から短い喘ぎ声が何度も上がった。可愛い、もっと聞いていたい。
嫌がられないのを良いことに、そのまま奥まで咥え込む。男のなんてしゃぶったことはないけれど、何処が気持ちいいなんてのは何となくわかる。
「あっ、マジで、出るからっ!」
「いーよ」
もごもごと咥えながら喋れば、彼は泣きそうな顔で喘ぐ。快楽から逃がれようと俺の頭を掴むが、そんなのより悪化する以外の何物でもなかった。
「ん、う゛っ!よくない゛っ、あぁっ!むりっ、いくっ」
そうやって一方的に責め立てて、仕上げと言わんばかりに吸い付けば口の中で爆ぜた。喉を叩くように精が吐き出されて、思わず嘔吐く。
苦い体液を時間をかけてゆっくり飲み下して、尿道に残った精もじゅるじゅると音を立てて吸い出してやれば、その度に彼は面白いくらい身体を跳ねさせた。
「はぁっ、はぁっ……」
「良かった?」
「うー、ミズキのばか」
悔しそうにこちらを睨んでくる彼に微笑んで、頭を撫でる。こんなに彼の声を聞けたのは初めてだ。と言うかイってる顔をちゃんと見るのも初めてだな。可愛くて、エロくて、想像以上だ。
「ミズキ?」
「いや、エロいなって」
「ぐっ、さては見えてんだろ!」
「まあまあ、続きしようぜ?」
「誤魔化されないからなー!」
ばたばたと暴れだす彼を押さえつけながら、布団横の引き出しに手を伸ばすと、中からローションを取り出した。
「それとも、やめる?」
「それ、マジで言ってる?」
今更やめられるわけないだろ、小さく呟いた彼は、手で顔を隠してしまった。
「ごめんって」
「許さないからな」
むくれている彼をなんとか宥めて、指にローションを絡める。そうして、後孔の皺を一つ一つ伸ばすように撫でた。
「ふぅっ、う!」
「擽ったい?」
「聞くなよぉ!あっ、んんっ!」
「ふふ、可愛い」
ちゅっと首筋に吸い付いて、指先をつぷつぷと出し入れする。ちょっとずつ焦らすように、確実に追い詰めていく。
「んあっ、はぁっ、待って!」
「待たない」
服を捲って、肌に赤い花弁を散らしていく。その度にびくびくと身体を跳ねさせるのが可愛くって、自然と口角が上がった。
ゆっくり、いつも以上に時間をかけて後ろを解していく。途中何回もすがり付かれたけれど、ぐっと我慢して。そうして指が3本入る頃には彼はぐずぐずになっていた。
「ひぐっ、う、ん!みずきっ、今日しつこいっ!」
「そうか?」
しつこい自覚はある。だって、どうせならとびきり気持ち良くなって欲しいし。
「もっ、いいだろっ……早く挿入れて」
彼は唇に触れるだけのキスをして、呟く。
おねだり。貴重すぎるそれに、あまりのことに頭が真っ白になった。
「みずきの、ほしい」
「っ」
追い討ちにたどたどしく囁かれて、自分の中で何かが千切れた。
無言のまま、陰茎を取り出すと後孔に押し付ける。ごくり、と生唾を飲み込む音がして、彼がすり寄ってくる。抱き締めて、キスを落とした。
「あぁっ、はいってくる……」
独り言のように呟かれたそれに酷く興奮して、首筋に額を擦り付ける。ぐっと腰を掴んで、慣らすように剛直を動かせば、びくりと彼の身体が強く跳ねる。
「んあ、ああっ!みずきっ、ぃ!あぐっ、うーーーっ!♡♡」
媚びきった声が彼から漏れた。俺の聞きたかったそれだ。それが嬉しくて、夢中で腰を動かす。
「っ、あ゛!はげしいっ、それっ!だめんなるからぁ!」
「あは、可愛い」
ちゅっと頬にキスを落として、求められるがまま肉を貪る。吸い付いてくる結腸口をぐりぐりと苛めてやると、彼は首を横に振りながら叫び声を上げた。
「ぐぅ、……あ゛!♡♡ん゛、!みずきぃ♡♡」
「っ、ここにいるから」
「ひっ、う!奥っだめぇ♡♡」
「ふふ、だめ?」
こぼれ落ちる涙を舐めとる。しょっぱい。でも甘い気がする。
ごちゅりと嫌な音を立てて、先端が結腸口にめり込む。瞬間、ぎくりと彼の身体が強張った。
「~~~~っ!♡♡♡」
持っていかれそうなくらいの締め付けに、思わず奥歯を噛み締める。
「ウーヤンっ」
「みずきっ、すき」
「俺だって!」
そうして、最奥に精を吐き出したのだった。