OW

治安悪いオメガバース
無理矢理強め


 同じαであるウーヤンに言い寄られている。それも結構激しめに。
 確かに、今やバース性を超えた恋愛なんて珍しいものではなくなったけども、だ。そもそもの話、対象外なのだ。正直、年下の同僚としか見れないのが現状だった。
 勿論、ちゃんと理由を話して何度も断っている。それでも諦めようとしないのだ。
「はぁ、どうすっかなぁ」
 誰に言うでもなく呟く。今や口説かれるのは日常になりつつある。諦めさせるためには、とっとと恋人を作るのが手っ取り早いのだろうが、そんなのすぐ出来るなら苦労はしていない。
 そも、同じαの何が良いのか。元より性欲が薄いのもあってか、全く理解が出来ないのが本音だった。
「なんだ?悩み事か?」
「お前のことだっつの」
 丁度通りかかったウーヤンが、人懐っこい笑顔でこちらへ駆け寄ってくる。「え、俺のこと?」なんて言いながら嬉しそうにしやがって、人柄が良くなかったら普通に殴ってるところだ
「ミズキ、俺のことで悩んでるの?」
「そーだよ。誰かさんがしつこいから悩んでんの」
 別に、言い寄られていることを除けば関係は良好である。友達同士のような、気軽な関係というか、とにかく一緒にいて嫌ではない。だからこそだった。
「この後飯でもどうだ?」
「こないだも行ったろ」
「ダメか?」
「俺じゃなくても良くない?」
「良くない。ミズキがいい」
 今回も引く気はないようで、彼は隣に腰かけてこちらを覗き込んでくる。しょうがない。こうなるとテコでも動かないから、こっちが折れるしかない。
「わかったけん、荷物持ってくるから待っとって」
「マジで!?わかった!」
 尻尾ガン振りの犬かよ。まぁ、飯くらいならいいか。立ち上がり、そのままロッカールームへ行くと、鞄を持つ。そうして戻ってくれば、彼は動かずそこにいた。
「何食う?」
「ミズキが食べたい物」
「それ答えになってなくないか?なら適当にラーメンでも食いに行こうぜ」
「わあい」
 彼は嬉しそうに言うと、俺の隣にぴったりくっついてくる。正直暑苦しくてしょうがないが、まあこのくらいなら可愛いもんだ。
 そうして、俺たちは歩きだしたのだった。



 どうしてこうなったのか?
 えーっと、話が盛り上がって、そのまま家に上げることになって。そこまでは確かに覚えている。それより後はもやがかかったみたいにあやふやで、もしかしたらなにかしら盛られたのかもしれないまであった。
 見慣れないベッドの上で裸に剥かれた状態で正気に戻った俺は、半ばパニックを起こしながら覆い被さってきているウーヤンを引き剥がそうとする。
「おい!ふざけんな!」
「あ、目ぇ覚めちゃった?」
「なにしやがる」
「何って、既成事実ってやつ」
 何が既成事実だ!お前やってること人間としてどうかしてるぞ!それまで築いてきた信頼関係が音を立てて崩れていく。こればっかりは洒落にならねぇ。
「ふざけんな!てかここ何処だよ!」
「何処って、ウチだけど」
「お前姉貴と住んでるんじゃねぇのかよ」
 前に話していた時は、確かにそう言っていた。なら、大声で叫べば助けてくれるかもしれない。
「だから、ミズキのために部屋を借りたんだって」
 なんだそれ、初めて聞いたぞ。それに俺のためって?
「……なに言ってんだ」
「だから、ミズキのために部屋を借りたんだ。防音もしっかりしてるからいくらでも声出して大丈夫だぜ?」
 ダメだ、埒が明かねえ。こんな強姦じみたマネしやがって、警察につき出してやる。怒りに任せてなんとか引き剥がそうと暴れるが、馬乗りになった彼はびくともしない。
「お前!マジでふざけんな」
「ふざけてねえよ。本気」
 真顔で言ってのけるウーヤンは、いつも見ている彼とは別人のようだった。
「本気で堕としにきたんだよ」
「なに言ってんだ、俺はαだぞ」
「だから?ミズキはわかってないかもしれないけど、これは運命なんだ。運命の番ってやつ」
 まるで話が通じない。運命の番ってのはそもそもαとΩの間に成立する物だ。そも、昨今ではお伽噺に近い。
 ……こいつ、そんな話を本気で?
「だからαだって言ってんだろ。ぶちくらすぞ!」
「出来ない癖に」
 耳元で囁かれて、ぞわりと鳥肌が立つ。不思議と身体が脱力して、動かない。
「……なんでっ」
「ふふ、ゆっくりわかっていけばいいからさ」
 シーツを掴む。なんで、なんでだ。言うことを聞かない身体を動かそうとするが、糸が切れてしまったみたいに動かない。やべぇ、このままじゃ食われる。捕食者みたいな瞳でこちらを見てくる男を、俺は知らない。
 なんとか腹這いになって、踠く。でも、良く良く考えればそんなの、悪手以外の何物でもなかった。
 ふっとウーヤンが近付いてきて、べろりと項を舐めたのだ。
「うっ、やめっ」
「ずっと一緒にいよう」
 瞬間、犬歯が肌に食い込む。鋭い痛みの後、残ったのは果物のような抗いがたい甘い匂いだけだった。



 部屋の鍵を開けて、中に入ればむわっと香る甘い香り。Ωのフェロモン。ふっと微笑んで、寝室に急ぐ。扉を開ければ、そこは秘密の花園だ。
 部屋の真ん中にはキングサイズのベッド、そうしてそこに鎖に繋がれた彼が力無げに横たわっている。
「ただいま、いいこにしてたか?」
「あぐっ、ぅ……♡」
 目隠しを外せば、どろどろに溶けきった瞳が俺を捉える。一瞬恐怖の色が宿って、でもそれもすぐに何処かに行ってしまった。
 涙でぐしょぐしょの目尻にキスを落とし、良く鍛えられた腹を押す。
「かはっ、♡ぁ~~~~っ!♡♡」
 電池残量の少ない玩具が、腹の中で震えている。昼夜問わず快楽攻めに近しい刺激を与えられた今、彼は何処を触っても気持ちがいいようだった。
「可愛い」
「っ、ぅ♡♡ふっ、!う゛♡♡♡」
 じたばたと動く、辛うじて根元だけ残っている腕に義手はない。怪我でもされたら困るからと取ってしまった。縫合跡の残る柔らかい丸まりを撫でる。ふにふにと柔らかい中に、筋肉と骨を感じながら、後でレースのカバーでもつけてやろうなんて思う。きっと良く似合うだろう。
「ミズキ、おかえり、は?」
 返事はない。代わりに叫び声にも似た喘ぎが漏れ出るだけだった。
「まあ、いいか。それは追々時間をかけて覚えていけばいいさ」
 ちゅ、と頬にキスを落として、彼に覆い被さると玩具を引き抜いて床に放り投げる。
「ぎっ、あ~~~~っ!♡♡♡」
 彼の陰茎から勢いのない透明な液体が吹き出した。潮だろうか。それともイキすぎてもう精が出ないのか。あるいはそのどちらもか。わからないが、気持ちが良いことに違いはないはずだ。
 そうしてぽっかり空いた孔に、いきり勃った陰茎を宛がう。微かに身動ぎをした彼は、一瞬逃げるような素振りをした。
「ほら、気持ち良くなろうな」
 ぐずぐずなそこに、一気に剛直を差し込む。ぐるりと白目を剥いた後、びくびくと跳ねる腰を掴んで打ち付ける。
「ーーーーっ、ぅ、あ゛!♡♡♡ぐっ、ん゛~~~~っ!♡♡♡」
 一層濃くなるΩのフェロモンに、口角が上がる。可愛い、ミズキはもう俺だけのモノだ。
 だらりと垂れ下がった舌にしゃぶりついて口内を犯せば、一瞬の間の後鋭い痛みに襲われた。
「いっ、」
「ぐっ、ぅ……ざまぁみろっ」
 口の中に血の味が広がって漸く、舌を噛まれたのだと気付いた。そうして、いつもの彼が姿を現す。
 あれだけ快楽攻めを受けて、ヒートに苦しみながらもなお、彼は堕ち切っていなかったのだ。
 それが嬉しくて嬉しくて、柔らかく吸い付いてくる結腸口に先端をねじ込む。
「ぎぃっ♡♡あ゛、ぁ~~~~っ!♡♡♡」
「悪いこにはちゃんとわからせないとな♡」
 首筋に噛み付いて、そのまま奥を嬲る。そうして、ちゃんと自分の立場がわかるまで丹念に教え込んで、何もかも忘れてしまえばいい。背負ったものも、何もかも。
「ずっと一緒にいような」
 聞こえた呻きは否定か肯定か。わからないが、好きなように捉えたらいいのだ。
 そうして、今日も夜が更けていくのだった。

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