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現パロ、狼スキンに脳を焼かれた
亀頭球、小スカ有



 最近、密かに犬を飼い始めた。黒くてもさもさした、でかい犬。種類はわからない。と、言うもの、ある嵐の日に生き倒れているのを拾ったからだ。病院に連れていったが、健康その物。もしかしたら狼の血が入っているかもしれないと言われた。マイクロチップなどの飼い主が分かるものも無かったため、一時的に預かっているのが現状だ。
 名前はない。もしかしたら飼い主が現れるかもしれないから、情がわかないために犬と呼んでいる。
「ただいま、今日もいいコにしてたか?」
 わん、と一鳴きして千切れそうなくらいに尻尾を振る犬に、思わず笑顔になる。性格は穏やかで、誰に対しても社交的。そんな奴が捨てられるとは思えない。だったらどこぞから逃げ出してきたんじゃ、とも思ったが警察や保健所では飼い主からの問い合わせはないと言われてしまった。
「こんなにお利口なのにな」
 頭を撫でれば、意味が分かっていなさそうに彼は鳴いた。
「じゃあ散歩行こうか」
「わん!」
 壁にかけられたリードとハーネスを取って、彼に装着する。落ち着きなく足踏みをしながらも頑張って耐えている彼に微笑みかけて、その背中をぽんと軽く叩けば、喜びに満ちた顔でこちらを見てきた。
 本当、愛嬌のある奴。
「いつもの公園で良いか?」
「わん」
 返事をするってことは、俺の言っていることが多少は分かっているってことだよな。そういえば、鼻が黒い犬は頭が良いなんて話を聞いたことがある。
 玄関の扉を開ければ、特に飛び出すなんてこともなく俺のGOサインを待つ利口な犬に「じゃあ行こうな」と話しかけて、夜の散歩へと繰り出すのだった。

 そんな日々を送っていたある日、事件は起きる。

 深夜、がさがさと物音で目が覚める。犬が何かしているのかと、目を擦りながら電気のリモコンを手に取りつけると、そこには耳と尻尾を生やした不審者がいた。
「な、誰だお前!警察呼ぶぞ!」
「あー、俺だよ俺!犬!」
「んなわけねーだろ!」
 その不審者は尻尾を指差しながら言う。その色は確かにうちの犬と一緒だが、そんなバカな話があるか。
 迷ったら即行動。スマホを手に取り警察に連絡しようとすると、そのまま覆い被さられた。
 くそ、力強いなこいつ!
「待てって、話を聞いてくれって」
「不審者の話を聞く奴がいるかよ」
「それはそう、なんだけど」
 なんとか逃れようと暴れるが、不審者はびくともしない。布団に倒れた拍子にスマホを落としてしまったようで、すぐそこの床で光っていた。
 万事休す、か。
「とにかく話を聞いてくれよ。何にもしないから!」
「……本当にか?」
「当たり前だろ!」
「じゃあ離せよ」
「でも今離したら通報するだろ?」
「……わかった、話は聞いてやるから」
 すると、彼は押さえつけていた両手を離してすぐ側に正座をした。すぐ何かする気がないのなら話くらいは聞いてやるか。そう思って、一旦布団に座り直すと向き合う。
「で、お前は誰なんだよ」
「俺か?俺はウーヤン。ミズキが飼ってる犬だよ。いや正確には狼なんだけど……」
「……それマジで言ってる?」
 こいつ今俺の名前を言ったな……。でも、そんなバカな話を信じられるわけもなく、思わず眉間に皺を寄せる。
「狼男なんだ。ほら、今日丁度満月だろ?」
「いや知らん」
「満月なんだって!満月の日だけ人に戻れるんだ」
「狼男って逆じゃないか?」
「悪い魔女に呪われたんだ!」
 何言ってんだこいつ。マジか。でも、これだけ騒いでいるのに肝心の犬の姿が見えない。いつもなら一緒の布団に寝てるのに。こんな時にどこ行ってんだ。
「……」
「信じてないだろ!」
「信じられるかバカ」
 近付いて、尻尾を引っ張る。きゃいん、と一鳴きした不審者は、手を振りほどくと壁際に逃げた。
「痛ぇ!何すんだ!」
 ……尻尾、取れなかったな。肌触りも犬と一緒。え、じゃあ本物?
「本当に犬、なのか?」
「だからそうだって言ってるだろ」
「いやだって、そんなこと信じられるわけないだろ」
「信じてくれよー!このまま朝まで見ててくれたら戻るからさー!」
「明日大学だっての!」
 不審者、もとい犬はきゃんきゃんと吠える。あ、この感じ、本当に犬っぽいかも。
「わかった、信じてやるから黙って寝かせろ」
「本当に信じてくれたのか!?」
「信じてくれって言ったのはお前だろ。なんだっけ?ウーヤン、だっけ?」
「そう、それが俺の名前。ミズキにずっと伝えたかったんだよ」
 そう言って、ウーヤンはいつものように尻尾をぶんぶんと振る。夢なら夢で早く覚めてくれ。そう思いながらも、横になる。
「ミズキ、おやすみ」
「はいはい」
 安心は出来ないけど、こちらに危害を加える様子はないから一旦信じてやろう。何より、明日は大事な講義がある。遅れるわけにはいかないのだ。
「いいコにしてろよ?」
「わかってるって」
 そう言って、彼は俺の隣に横になる。
 一緒に寝る気か、こいつ。
「引っ付くな!」
「なんだよー、いつも抱き締めて寝てるくせに!」
「人間だって知ってたらしなかったっての!」
 言い合っていても仕方がないからと目を閉じる。当たり前だが寝れるわけもなく、朝方目の前で犬に戻ったウーヤンを目の当たりにしてようやく信じる気になったのだった。



 それからざっと一月が経った。俺はウーヤンを捨てることなく、結局面倒を見ている。
「今日、満月か……」
 大学からの帰り道、ふと思う。
 と言うことはまたあいつと顔を合わせることになるのだろう。今度はいろいろ聞き出してやらないと。なんだよ、悪い魔女に呪われたって。そんなのあってたまるか。
「ただいま」
「おかえり、ミズキ」
 想像通り人間の姿でお出迎えをしたウーヤンに、自然とため息が出る。
「はー、本当にいるよ……」
「そりゃいるさ。てっきりすぐ捨てるかと思ったけど、世話してくれるからミズキっていい奴だなって」
「えたいの知れない物を解き放てるかっての。で、今夜は詳しく聞かせて貰おうか。飯でも食いながらな」
 そう言って、手に下げていた袋を掲げる。
「ピザ!」
「ご名答」
 部屋の机の上に袋を置いて、上着を脱ぐ。あれからドッグフードを食べさせるのが申し訳なくて犬の身体にも優しい物を自作していたが、人の姿なら多少ジャンクな物でも大丈夫だろう。大丈夫なのか?知らんけど。
「やったー!久々だ」
「で?犬に戻るとこは見たけど、本当に狼男なわけ?」
「おう、代々狼人間の家系なんだよ、ウチ」
 頬にピザをつめながら喋るウーヤンを、頬杖をつきながら眺める。犬の時も思っていたが、良く食べる。2枚買ってきて正解だったな。
「で?魔女に呪われたんだっけ?」
「そ。ずっと仲が悪かったんだけど、ある時揉めに揉めて満月の日以外は狼にさせられたんだ。で、そのまま連れ去られたってわけ」
「家に帰らないのか?」
「聖なる術で現世から隠されてるから場所がわからないんだ」
「……はぁ」
 なんだそれ、欠陥だろ。
「その呪いのせいで力も何も使えなくて困っていた所をミズキに拾われたってわけ」
「どうしたら元に戻れるかとかはわかってるのか?」
 すると、ウーヤンはぴたりと動きを止めた。なにやらもごもごと言いにくそうにした後、少しして覚悟を決めたのか話し始める。
「セックスをすれば、戻れる」
「はいはいセックス……セックス!?」
「何度も言うなよ!」
 なに照れてんだ。今、セックスと言ったか。そんな呪いがあってたまるか。
「純粋な嫌がらせなんだよ……多分」
「はー、大変なことに巻き込まれたんだな」
「しかも男とだぜ。難しいだろ……」
「何それ、怖」
「解かせる気があるのかないのかわからないよなぁ」
 立ち上がり冷蔵庫に手を掛けると、中から炭酸を取り出す。勿論、二つ分だ。本当は酒が良かったけど、ウーヤンが成人済みかわからなかったので炭酸で我慢。
「じゃあとっとと適当な男捕まえて戻れば良かったろ」
「心が通じ合ってないとダメなんだって。そもそもそんな誰でも良くないだろ」
「そう言うもんか?」
「ミズキの倫理観どうなってるんだよ」
 ピザを口元に運びながら「俺、どっちでもいけるから」と言えば、ウーヤンは信じられないと言わんばかりに動きを止めた。
「試してみる?」
「みない、ミズキはその、だめだ」
「勃たない?」
「そうじゃ、なくて」
 ふ、と微笑んでデコピンを繰り出す。
「冗談だっての。そんなんじゃ、いつまで経っても戻れないぜ?」
「からかったな!」
 うーっと唸る彼を横目に、けらけらと笑いながら炭酸を飲む。ウーヤンをからかうのは楽しい。まぁ、ほとんどは本当なのだけれど。それは置いておいて。
「ほら、明日は休みだから朝まで語り合おうぜ」
「なんなんだよ、もー」
 そう言って、彼は笑った。



 それから半年、彼が戻ることはなかった。満月がくる度に人に戻ってはとりとめのない話で盛り上がる。そんな平穏な日々に慣れきっていた頃、事件は起きる。
 帰ってくると、彼がいなくなっていたのだ。
 満月の日まではまだある。だったらどうやって外に出たと言うのか。泥棒でも入ったのかと思ったが、部屋が荒らされたような形跡はなかった。じゃあどうして。部屋を右往左往していると、机の上に紙が置いてあるのに気付く。
 そこには、整った字で「すぐ戻る」とだけ書かれていた。
「戻るって……」
 もしかしたら、前に話していた姉が迎えにでも来たのかもしれない。それに、すぐ戻ると言うのだからそのつもりなのだろう。心配はするが、正直な話自分では何も出来そうもない。
 結局、夜遅くまで待ってはいたがその日彼が戻ってくることはなかった。
 それから早一週間、今日は満月である。
 ふらっと戻ってくるかもしれないなんて思って、部屋の窓を開ける。三階なのに、と半ば呆れながら、まぁるい月をただ眺めていた。
「夢みたいなもん、だったのかな」
 誰に言うでもなく、呟く。まだ犬だと思っていた時に買い与えたボールだって部屋にそのままあるのに。
 夢じゃないのなんてわかっている。じゃなければこの半年間はなんだったのか。勝手に消えた彼にほんの少し傷ついている自分がいて、女々しくて嫌になった。
 今日は酒にしよう。飲んででもいないと、うじうじしてしまいそうだったから。
 そうして缶を三つ開けた頃、何処からともなく犬の鳴き声がしたような気がした。
 何度も聞いた彼の声だ。慌てて立ち上がって、ベランダに出ると外を見渡す。しかし辺りにその姿はない。
「気のせいか……」
 瞬間、ぶわりと風が吹いた。思わず目を閉じる。
「ただいま」
 再び目を開けると、彼はそこにいた。人間の姿で。
「ウーヤン」
「遅くなってごめんな、ちょっとごたごたしてて……」
 ばつが悪そうに言う彼を、無言で抱き締める。良かった、帰ってきた。嬉しい。認めたくないけど、なんなら泣いてしまいそうなくらいだった。
「ちょ、なんだよ」
「勝手にいなくなりやがって」
「悪かったって、でも帰ってきたろ?」
「許さない」
「許してくれよ。姉貴がさ、迎えに来たんだ。いい加減戻ってこいって」
「……」
「なぁミズキ、抱きたい」
「それは人の姿に戻りたいからか?」
「違う。けじめをつけたいからだ」
 真剣な瞳。嘘なんてついていないと言わんばかりの、俺の好きな目。
「……いーよ」
 手を引いて部屋の中に入る。窓を閉めて、そのまま布団へと誘った。
 そのまま押し倒されて、ちゅっと音を立てて首筋に吸い付かれる。ちりっとした痛みに、跡をつけられたのだと察した。
「大事にするから」
「ん」
 服の上から身体を撫でられて、気持ちが昂ってくる。
 誰かと肌を重ねるのは初めてではない。この身体はすでに抱かれる快感を知っている。生きていくために仕方なくではあったが、あの時とは違う感覚に身体が震えた。
「ミズキ、なるべく早く終わらせるつもりだけど、その……無理させるかも」
「別に、そこまでヤワじゃないけん」
「んーと、亀頭球って知ってる……わけないよなぁ。俺たちって、勃つと根元が膨らむんだ。抜けないようにな」
「なんだそれ」
「だから、どうしても長くなると言うか……」
 そうは言うが、服を脱がせる手は止まらない。今更やめる気なんてないくせに、なに言ってんだ。
「いいって。大丈夫。気持ち良くしてくれるんだろ?」
「そりゃあもう」
「じゃあいーよ。天国見せて」
 彼は頷くと、ぺろぺろと身体を舐めてきた。それこそ犬のように、だ。それが擽ったくて、耳の生えた頭を撫でる。
「ミズキはここ、感じる?」
「ひっ」
 ここ、と言いながら、勃ってもいない胸の突起を舐られてふるりと身体が震えた。今までも触られたことはあったけど、そこで感じたことはない。それなのに、彼に触られるのはどうも違うようで……。
「わかんな、い」
「あ、勃ってきた」
「言うなぁ」
 両の突起を舌先と指で転がされて身体が跳ねる。未知の感覚に困惑していると、彼がふっと微笑む。
 じゅっと強く吸い付かれて、ちりっとした痛みを感じる。じくじく熱を持つそこを指で弾かれて、あっと短く悲鳴を上げた。
「可愛い」
「っ、う……」
「どうされるのが好き?」
 試すように強弱をつけて摘ままれたり、凹みを舌先でほじられたりして浅く呼吸を繰り返す。
 認めたくないけど、こいつ、上手い。いや、身体の相性がいいのか?わからないけど、思ったより恥ずかしいかもしれない。
「わかんないっ」
「答えて」
「……、ちょっと痛くされんの、良い」
「りょーかい」
 甘く噛まれて、痛みにびくりと身体が跳ねる。痛いけど、そこには確かに快感があった。
「あぐっ、ぅ……」
 そこの刺激に夢中になっていると、ふと下半身に手が伸びる。すでに勃ち上がったそこをハーフパンツの上から撫でられて、思わずはぁっと熱い息を吐いた。
「勃ってる」
「だからうるさいって」
「ごめん、嬉しくてつい」
 下着ごとハーフパンツを下ろされて、勃ち上がった陰茎が空気に晒された。明るい部屋の中、大事なところをまじまじと見られてかあっと顔が赤くなる。
 先走りを手に絡めて柔く扱かれて、直接的な刺激に身体がびくんと跳ねた。
「あっ、う!」
「ミズキ、気持ちいい?」
 こくこくと頷く。至近距離に彼の顔があって、目があった。そうしてそのままどちらからでもなく唇を重ねる。口を開いて舌を招き入れて、そうして夢中でその舌にしゃぶりつく。その間も陰茎を扱かれて、少しずつ、確実に追い詰められていく。
 気持ちいい、気持ちいい!ぐるぐると熱が身体の中を焼く。
「はぁっ、う!んんっ、あっ……いきそ、」
「いいぜ、出して」
 熱いものがせり上がってくる。一際大きく身体を跳ねさせて、彼の手の中に精を吐き出した。
「ーーーーっ!」
 びゅくびゅくと吐き出される精を受け止めて、彼が色っぽく微笑む。
「可愛い」
 触れ合うだけのキスを何度も繰り返しながら、自然と足を開く。精液を絡めた指が後孔を這い回る。そこの気持ち良さは知っているけど、前戯でこれだけ気持ち良かったのだ。この先を知るのがほんの少しだけ怖い。
「うーやん」
「大丈夫か?」
「だい、じょぶ」
 ちゅ、と頬にキスを落とされて、指先が挿入ってくる。拡げるように動き回る指に、意識が持っていかれそうになる度にキスを落とされて、優しく優しく拓かれていく。
 膨らんだ前立腺を指が捉えて、面白いくらいに身体が跳ねた。
「あ、あぁ!そ、れ!やぁっ、まっ、あぐっ!」
 重点的に弱点を苛められて、声が止まらない。知らない、こんなの、知らない!彼の背中にしがみついて、もたらされる快楽に振り回される。何度も何度も、イきそうになる度ナカを締め付けて、その度に声を上げる。
 首を横に振って必死に耐えるが限界は近い。泣きながらウーヤンに助けを求め、早く挿入れてと懇願した。
「でも」
「やだ、もっ……はやくっ」
「わかったから、」
 そうやって腹の上に取り出された彼の陰茎。立派なそれに思わず釘付けになる。
 人の形とは少し違うそれ。唾液を飲み込んで、己の陰茎を擦り合わせる。ばちばちと脳が刺激されて、鼻血でも出そうだった。
「ミズキ」
「うん、いれて♡」
 足をがばりと開いて、受け入れる体勢を取る。頭はぐずぐずに蕩けてしまっていた。もう考える余裕もない。
「はぁ、挿入れるぞ」
「っ、♡」
 ずっと音を立てて大きいモノが挿入ってくる。過去のそれらと比べ物にならないくらいの質量。今までの全てが上書きされてしまった。もう、これだけでいい。
「あ゛あ゛っ、♡♡」
「なか、絡み付いてくるっ」
 手を重ねる。離れないように組み合わせて、ぎゅっと握りしめた。
 ばちゅっと腰を押し進められて、目の前が真っ白になる。なんだこれ、しぬ、かも。そう本気で思った。
「おっ、ぅ、う゛っ♡♡うーやんっ♡♡」
「っ、はぁ!ごめん、長く持たないかもっ」
 部屋の中に容赦のないピストン音が響き渡る。舌を出して感じ入れば、そのまましゃぶりつかれた。
 酸欠になりながらもそれに応える。
「んんっ♡♡うぐ、ん゛っ!♡♡」
 限界が近い。脈打つそれに、彼もまた絶頂が近いことを悟る。剛直を締め上げれば、言っていた通り根元が膨らんできた。
 そうして完全に身動きが取れなくなった瞬間、腸壁に叩き付けるように精が注ぎ込まれる。熱い熱いそれに、身体ががくがくと震えて、遅れて自分も絶頂した。目の前に火花が散る。なかなか絶頂から降りてこれなくて、足を彼の腰に絡み付かせて感じ入る。
「ーーーーっ!♡♡♡」
 なかなか終わることのない射精。腹が少しずつ膨らんで、重くなっていく。
「っ、ミズキ!」
「あぁ、あっ♡♡うあっ、♡♡はぁっ♡♡」
 苦しいけど、それがまた気持ち良くって、深みに沈んでいく。甘イキを繰り返しながら、キスを強請る。そうして与えられたキスにまたイッて。気が緩んだのか、しょろっと嫌な音がした。
 下を見れば、陰茎から力なく色のついた液体がこぼれ落ちていた。ああ、漏らしてしまった。気持ち良すぎて、だらしなく脱力しながら。
「ふふ、そんなによかった?」
 喋る余裕なんてなくて、こくこくと頷く。そうして長い時間くっついて、いっしょくたにでもなってしまったと錯覚した頃、陰茎をずるりと引き抜かれた。
 ふわふわと浮いているような感覚。眠りと覚醒の狭間を行き来しながら、キスを落とされる。
「ミズキ、ありがとう」
 少しずつ意識が飲まれていく。ああ、まだ寝たくないのに。そうしてやがて眠りへと落ちていった。



 はっと目が覚める。
 気だるい身体を起こして隣を見れば、そこには誰もいなかった。
 ああ、帰ったんだ。自然とそう思った。多分、きっと、もう会うことはない。
 身綺麗に整えられた身体には、花びらを散らすように赤い跡。それは確かに彼がここにいたことを証明していた。その跡を撫でて、静かに涙を溢す。
 一つは己が飼っていた犬のために。もう一つは彼のために。
 きっと、これから俺は誰かを愛することはないのだろう。確かにそう思った。
 それから何度目の満月だろうか。
 気がつけばお決まりになってしまった月見酒。未練がましいその行為に、ふっと笑みを溢す。未だ彼は戻ってこない。それでいい。最初から住む世界が違ったのだ。そも、俺は彼の何も知らない。
 あの日と同じように、三つ目の酒を飲み干す。遠くで犬の鳴き声がして、ああ、懐かしいな、なんて思う。あの日もこうだったっけ。冷たい机に突っ伏して、外を見上げれば、そこには彼の顔があった。
「ただいま」
「ふふ、おかえり」
 
 
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