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 戦闘後と言うのは昂りやすいと言うが、まさか本当に自分が体験することになるなんて思わなかった。
 他人に気付かれないようにそ知らぬ顔で基地に戻ってきたはいいが、長い廊下を曲がった先でミズキに鉢合わせてしまったのも予定外。更には声をかけられてしまったのも予定外だった。俺が誤魔化す前にそれに気付いてしまった彼は、少しの間視線を泳がせると「ま、そう言うこともあるよな」と肩を軽く叩いてきて。居たたまれなくて思わず両手で顔を隠す。
「よりによってミズキに会うなんて」
「女に会うよりかはマシだろ」
「それはそうなんだけどさぁ」
 何時もより幾分かラフな格好のミズキは、楽しそうに笑っていた。
 早くトイレに行こう。そう思ってミズキの横を通り抜けようとすると、そのまま彼に肩を掴まれた。まだ何かあるのか?なんて思って彼の方を見た後、その口から発せられた言葉に思わず固まる。
「男でもいけんなら抜いてやろうか?」
「はぁ!?」
 何を言っているのか。え、このタイミングで冗談?それにしては真剣な表情の彼に言い返せないでいると、素知らぬ顔で彼は続ける。
「もしかしたら一人でするより良いかもしれないぜ?」
「冗談にしては笑えないんだけど」
「興味ない?」
 正直興味がないわけではない。背丈はあるが、ミズキの顔はとても整っていると思っているし、好きか嫌いかで言えば好きな部類だ。だからこそ、どうしたらいいかわからず呆けていると、手を引かれる。向こうから誰か歩いてくるのが見えて、慌てて歩き出すとそのままトイレに連れ込まれた。がちゃりと音を立てて鍵がかけられて、逃げ場がなくなる。
「おいっ」
「あんま長居は出来ないからな」
 なんでそんなノリノリなんだよ。こう言うの、慣れてるのかなんて聞く間もなく、布越しにいきり勃つそれに触れられてびくりと身体が跳ねた。されるがままにズボンを下ろされ、ぶるりと陰茎が露出する。しゃがみこんだミズキはそれを見ると、ふっと笑った。
「ははっ、立派じゃん」
 先走りの滲む先端に唇が触れる。ざらざらした真っ赤な舌がアイスキャンディでも舐めるみたいに陰茎を舐る。直接的な刺激に思わず吐息が漏れて、ミズキの肩を掴んだ。
「っ、う」
「天国見させてやるから」
 そう呟いて、ミズキは口内に陰茎を埋めていく。喉の奥が吸い付くように先端を刺激して、気を抜けばすぐにでも出てしまいそうだった。気持ちがいい。熱い体温を感じて、触れているところから溶けてしまうような、そんな錯覚さえ覚える。されたことがないからミズキの動きが慣れてるのかどうかはわからない。わからないけど、誰かにもしたことがあると考えただけでもやもやする。嫉妬しているんだ。知りもしない人物に。
 肩に指を食い込ませながら呻けば、ミズキの目が細められる。じゅるりと下品な音を立てて先走りを啜って、飲み込めない部分を指で刺激されればひとたまりもなかった。
「み、ミズキ!」
「っ」
 名前を呼ぶ。そうして込み上げてくるような感覚の後、彼の口内に精を放った。
「はぁ♡」
 ミズキが小さく呻く。何処か嬉しそうな顔で、ゆっくり精を飲み下していく。隙間から白濁とした液体がこぼれ落ちて床を汚した。ああ、後で掃除しなきゃ。いやそんな場合じゃあなくて。妙に冷静な自分が突っ込みを入れるがそれどころではない。
 ずるりとミズキの口内から陰茎が引き抜かれていく。その光景から目が離せない。ミズキはてらてらと唾液で光る陰茎を名残惜しそうに見詰めた後、艶のある表情で「ごちそうさん」なんて言ってのけた。
 瞬間、自分の中で何かが千切れた。
 いそいそと立ち上がり、トイレから出ようとしている彼の手を引っ張って、後ろから抱き締める。驚いたような声も気にせず、項に噛み付き身体をまさぐる。そも、言いたくはないが俺は童貞だ。どうすればいいかなんてわからない。が、素直に言うならば全てを暴きたいと思った。
「おいっ、」
「そっちから誘ったんだろ。俺にも触らせろよ」
 脇腹をなぞるように撫でながら耳元で囁いてやる。やられてばかりじゃフェアじゃないもんな。
「っ、ぅ」
「ミズキも勃ってんじゃん。舐めるの、そんな良かったのか?」
 ズボンに手を突っ込んで、芯のあるそれを柔く扱く。息を飲む音が聞こえて、小さな喘ぎがこぼれ落ちる。
「あくっ、」
 可愛い。もっと聞きたい。俺の手でヨガって欲しい、なんて。
 朱に染まった耳を舐って、自分が普段する時のように彼の陰茎を扱く。気持ち良さそうな吐息に満足感を覚えながら、着実に追い詰めていく。拒絶されないのを良いことに溢れ出す先走りを指に絡めて先端を苛めてやる。
「うっ、あ!まっ、て」
「待たない」
 彼の身体が震える。限界が近いのだろう。今、彼はどんな表情をしているのだろうか。知りたくて耳元で「こっち向けるか?」なんて囁けば、彼が振り返った。
 涙の浮かぶ目と視線があって、稲妻のような衝撃に焼かれる。
「えろ……」
「っ、」
 そうしてその時は来た。彼の身体が強張って、ぱたぱたとドアに精が跳ねる音がする。イッてしまったのか、くたりと彼の身体から力が抜けた。
「……はぁっ、はぁっ」
「なあ、ミズキ。抱きたい」
「っ、何言ってっ」
「嫌ならそう言ってくれって」
「……」
 答えは見えていた。



 それから男同士で入れるラブホを探して、半ば強引に部屋に連れ込んだ。勿論逃がす気はない。あの瞳に惚れ込んでしまった。欲しくてたまらないのだ。
 彼は覚悟を決めたのか「準備だけさせて欲しい」と言ってシャワールームに消えていった。そりゃ、俺は男同士でするのはわからないから、準備のしようがないのだけれど、もし次もあるのなら俺がやりたいなとすら思う。
 待っている間、タブレットで男同士の性行為について調べた。だって、せっかくなら気持ちよくなって欲しいし。素人知識でしかないけど、知らないよりかはマシだ。
 そうして暫くベッドに転がっていると、バスローブ姿の彼がシャワールームから出てきた。朱に染まった頬が色っぽくて、おずおずと差し出された手を掴んでそのままベッドに押し倒す。
 義手の外された腕に優しくキスを落として、まじまじと眺める。
 とても綺麗だと思った。
「ウーヤン」
「なぁに」
「その、俺、はじめてだから優しくして欲しい」
「……んえ?」
 耳を疑う言葉が吐かれた。ん?慣れてるんじゃなかったのか?いや、こっちが勝手に決めつけてただけ?
「え、てっきり慣れてるとばっかり……」
「バカ言え!人をなんだと思ってんだ!」
 思わず眉間に皺を寄せる。じゃあ、なんであんなこと言ったんだ。
「好きじゃない奴に抱かせるわけないだろ」
「ちょっと待って、今なんて……」
「好いとーと、お前のこと」
「……順番間違えてるだろ」
「う、それはそう」
 何、好いとーとって。何それ可愛すぎないか?いや、俺だって自覚したのはさっきだけど。あれ、もしかしなくても俺たち両想い?
「ごめん、こんなつもりじゃなかったんだ」
「いや、ミズキ。聞いてくれ……俺も好きなんだ。順番間違えたけど、ちゃんと両想いだから」
 開かれた目に俺が映り込む。揺れる水面のようなそれに見とれていると、気が抜けたように彼が笑った。
「ははっ、本当に?」
「本当」
 ちゅ、と触れるだけのキスを唇に落とす。嬉しくて、胸がいっぱいだった。
 
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