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サイドテーブルの上に置いてある物を見て、俺は思わず固まった。見た目こそスタイリッシュだが、あれは俗に言うオナホールだ。洗えて繰り返し使えるタイプのちょっと高い奴。何故わかるのかって、俺ん家にあるのと同じだから。
まあ、受け側をやらせているとはいえ、あいつも男だ。それにまだまだ若い。持っていても違和感はない。ないのだが、流石にこんな堂々と置きっぱなしになっているともうちょいなんかあったろ、と思ってしまう。俺以外の奴に見られたら、とかさ。そも、今日部屋に来ないかと誘ったのはウーヤンの方だ。多分忘れてるんだろうな……。本当に詰めの甘い奴。まぁ、そこが可愛いのだけれど。
「ミズキ、どうかした?」
「あ?いや、なんでもなかよ」
ココアの入ったマグカップを手に、ウーヤンが戻ってくる。わざわざ指摘はしてやらない。流石に可哀想が勝ったからだ。まあ、気付くも気付かないも、どちらでもいいか。
安い作りのベッドに腰かけて、手渡されたマグカップを受け取り彼の方を見る。
「で、帰り際に引き留められた訳だけど。随分久々じゃん」
「それはごめん。今月に入ってからかなり忙しくて……」
「わかってるって。ただまあ、もうちょい連絡は返せよ」
「ごめん、埋め合わせはするから」
よっぽど忙しかったのだろう。それは部屋の荒れ具合を見ればわかる。と言うかそんな状態の部屋に人を上げんな、と口から出かけるが、飲み込んでやった。そのくらい会いたかったのだと思えば悪い気はしない。
「埋め合わせ、してくれんの?」
「う、うん」
かあっと顔を朱に染めながら彼は頷いた。ホント、可愛い奴。マグカップをサイドテーブルに置いて腕を広げれば、おずおずと飛び込んできた彼を抱き締めて甘やかす。ふにゃりと気の抜けたように笑う彼の頬にキスを落として、そのまま首筋に顔を埋め肺一杯に息を吸い込んだ。
久しぶりの彼の匂い。目の前の皮膚に吸い付いて赤い跡を残す。目立つだとか、そんなのどうでもいい。いっそ、知らしめてしまえばいいとさえ思う。
「ミズキ、擽ったい」
「やめてほしか?」
「んっ、ちがうけど、そのっ、ちょっと恥ずかしいと言うか……」
「これ以上んことしといて、今更すぎ」
そこでふと、先程のオナホールのことを思い出す。そうだ、あれを使っちゃろ。うっそりと微笑んで、布越しに陰茎を撫でる。すでに芯を持っているそれに触れれば、彼は熱い吐息を吐き出した。
「はぁっ、ミズキ」
薄く開かれた唇に、衝動的にしゃぶりつく。舌を差し込んで、逃げ回る舌を絡め取ると彼がびくりと震えた。至近距離で、ぎゅっと固く閉じられた瞳を眺めながら舌を甘く食む。わざとらしく水音を立てながら唾液を啜れば、彼の手に力が入った。
くっ付いているところから溶けてでもいるかのような多幸感の中、スラックスを下ろして下着の中に手を忍ばせる。
先走りの滲む先端を擽るように撫で、舌を擦り合わせる。ゆっくり開かれた瞳はすでにとろんと溶けていて、ばちりと目が合うと、更に顔を赤く染めた。
息継ぎは上手くなったけど、テクニックはまだまだだな。可愛らしい初々しさに自然と口角が上がる。まあ、そこは追々やっていくとして。
「はぁっ、はぁっ!あっ、う……!」
にちにちといやらしい音を立てながら陰茎を扱く。頃合いを見て、サイドテーブルのオナホールに手を伸ばすと、気付いた彼が慌てだした。
「なっ!それ!」
「やっと気付いたのかよ。置きっぱなしになってたぜ?」
「うっ、忘れてたんだって!」
「気、緩みすぎ。見付けたんが俺で良かったな」
頬にちゅっとキスを落として、同じく置きっぱなしになっていたローションを手に取って、オナホールの中に垂らす。その様子を彼は呆然と眺めていた。俺がどうするつもりなのか理解できなかったのだろう。
「持っててやるけん、腰振ってみ?」
「はぁ!?」
予想外だったのか、顔を真っ赤にしている彼の陰茎をゆっくりオナホールに挿入していく。勿論問答無用。だって、俺が見たいから。
彼は信じられないと言わんばかりに目を真ん丸にしてしばし固まった後逃げようとしたが、そんなの許さない。振りほどこうと伸ばされた腕を捕まえて、そのまま二、三度陰茎を扱けば彼は身体をびくつかせながら大人しくなった。
「っ、うぁっ」
「可愛らしかね」
少し躊躇ってようやく観念したのか、かくかくと揺れ始めた腰に思わず笑みをこぼす。慣れていないのがすぐわかる稚拙な動き。女なんか抱いたことがないのに、彼はもう後ろでイけるのだ。俺なんかに引っ掛かったばっかりに、可哀想に。
「あ、あぁっ……それっ、だめっ」
「そんなんじゃ何時まで経っても終わらんとよ?」
囁いてやれば、彼はその瞳に涙を溜めながらこちらを睨み付けてきた。そんな目で見られたら、もっといじめたくなる。
空いた手で服を捲り上げると、少し目立つようになってきた胸の突起に舌を這わせる。びくりと大袈裟なくらい跳ねる身体。しゃぶりついて、舌先でつつくいてやれば、彼は嫌々と首を横に振った。
「あ、はぁっ!みずきぃ、むりっ、いけないっ」
「お前、もう後ろも触らんとイけん身体になってるもんな」
「言わないでっ」
エロい身体。まぁ、そうさせたのは他でもない俺なのだけれど。本当に可哀想。
仕方がないから手伝ってやろうと陰茎を扱くが、彼は中々射精に至らない。辛そうに顔を歪めながら喘ぐばかりである。
「仕方ないっちゃね」
蟻の戸渡を伝って垂れ落ちていたローションと先走りの混ざった粘液を指に絡めて、後孔にゆっくり挿入する。まずは1本。慣らすように動かしながら、膨らんだしこりを探しだして押し潰す。
「あ゛あっ!あうっ、まって、まってぇ!」
「待たん」
「あ、あっ……いっちゃうからっ、だめっ」
途端に悦びだす彼に、笑みがとまらない。いつの間にか背に回された腕に力が入る。やっぱりこっちを弄りだすと早いな。そう思いながら三点責めで追い詰めると、彼はあっという間に声にならない悲鳴を上げて果てた。
「~~~~っ!あっ、だめっ、いま動かさないでぇ……変なイキ方してるからっ」
「出てないけど先走り凄かね」
ぐちゅぐちゅと聞くに堪えない音を立てながらオナホールを動かす。快感から逃れようといやらしくくねる腰。勿論簡単には逃がさない。
「あ゛、あ!やだ、いけないっ、う゛ぅ~~~~っ!」
情けないぐずり声に、ずしりと腰が重くなる。指を増やして出し入れを繰り返せば、びくんと一際大きく彼の身体が跳ねて、そのままずるずると脱力した。押し出されるように吐き出された精をオナホールで受け止めて、そのまま引き抜く。
「あ、ぅ……はーっ、はーっ!」
「イけたじゃん」
「むりって言ったのに」
身体を痙攣させながら、蚊の鳴くような声で彼が文句を言う。涙目で睨まれても正直怖くないし、むしろ煽っているとしか思えないのだが、彼は気付いていなかった。
「悪かったって」
「んんっ、……ほんとにヤバかったんだからな」
指を引き抜いて、彼を抱き締める。血色の良い唇にしゃぶりついて、おずおずと差し出された舌を絡め取った。そうして唾液を交換しあって、満足いくまで口内を貪る。
「で、続きする?」
「……する」
少しの沈黙の後、出された答えに微笑みながら、ベッドに彼を押し倒したのだった。