OW

ミズキがカントボーイ


「あ、ミズキ」
「……なあ、俺と寝てみない?」
「へ、……ええ!?今なんて!?」
 あくる昼下がり、偶々ミズキと鉢合わせた俺は夕飯でもどうかと口を開きかけて唖然とした。
「何って、そのまんまの意味だけど」
「……あ、昼寝するって話だよな!?」
 からかって遊んでるんだきっと。そうに決まってる。だって、その、あまりに突拍子もないから。
「ぷっ、そんなわけないだろ。それとも何、もっと直接的に言わないと駄目な訳?」
 そう言って、彼はこちらに近付くと俺の頬に手を添えて微笑んでみせた。最近歳の近い彼とは良く話すけど、そんな表情見たことがない。
 なんだそれ、そんな、試すみたいな言い方。 
「なん、えっ?」
「なあ、抱いてくれよ」
「っ!?」 
「ふふ、面白い奴。俺、そう言うとこ気にってるんだぜ?だって、お前俺のこと好きだろ」
「はっ、はぁ!?」
 なんでわかったんだ!?絶対墓まで持っていくつもりだった。だって、俺が好きになった彼は男なのだ。いくら同性との恋が珍しくないとは言ったって、彼がそうとは限らない。
 だから諦めるつもりだったのに。それなのにその彼からまさかの夜の誘いが来るなんて。
「俺から誘うのだって珍しいんだぜ?チャンスだろ」
「それ本気で言ってんの?」
「マジ」
 その表情は、とても冗談を言っているような表情ではなかった。彼は本気で言っている。本気で俺を誘っている。
「……、お願いします」
 言った、言ってしまった。欲望のままに、ほとんど条件反射で。
「それならこのまま俺ん家来んと?」
「丁度俺もこの後夕飯でもって思ってたから……その、ミズキがいいのなら……」
 ああ、こんなことってあっていいのだろうか。だって、憧れに近い感情を抱いていた相手から、誘われているのだ。夢なら覚めてくれ。いや、夢ならいっそもうちょっと味わってもいいのでは?なんて揺れ動く感情の中、彼を見ればふっと微笑むと手招きをする。
「こっち」
「あ、うん」
 そうして手を引かれるまま、彼に着いていった。



 たどり着いたのは古いアパートの1室。荷物の少なさから、とても人が住んでいるとは思えないそこは、多分だけど一時的に滞在する為の部屋なのだろう。それか彼がミニマリストのどちらかだが。それがわかるほど、俺は彼を知らなかった。
「ふふ、緊張しとーと?」
「そりゃ……するに決まってる」
「シャワーは基地で浴びてきたろ?とっととヤろうぜ」
 そんな、急な。でも、何かを言う間もなく、そのまま布団に詰められてしりもちをつく。
「俺の秘密、教えちゃる」
 そう言って彼は妖艶に微笑むと、そのまま覆い被さってきた。どうしていいかわからず固まっていると、彼は着ていた上着を脱ぎ捨てて床へと放り投げる。目があって、その透き通った、それでいて何処か影のある瞳から目が離せない。
「可愛い」
「ミズキっ」
「なーに?」
「本当に、するのか?」
 恐る恐る問えば、彼は呆れたように溜め息をつくと耳元で囁いてくる。
「とっとと覚悟決めろ。喜んで着いてきたのはそっちだろ」
「それはそう……」
 確かに着いてきたけど、その、心の準備が全然出来ていない。そんな俺を尻目に、彼は唇にキスを落とすと、布の上から陰茎に触れた。まだそれだけだと言うのに、途端に硬さを増すそれに彼が吹き出す。
「分かりやすすぎ」
「っ、うるさい」
 羞恥で顔が熱い。自然と早くなる鼓動が煩くて、すぐそばの彼にも聞こえてしまいそうだった。
 そんな俺を見て、彼は心底面白そうに笑うとスラックスを引きずり下ろし、慣れた手付きで陰茎を愛撫する。
「っ、う……!」
 出そうになる声を奥歯を噛み締めてなんとか耐えた。耐えれたけれど、これは長くは持たなそうだ。ゆっくり見せつけるように扱かれて、くらくらと眩暈がする。
「んっ、ぁっ!ミズキっ」
 すがり付くように、彼のシャツを握り締める。そうでもしていないと可笑しくなってしまいそうだった。だって、そこを他人に触らせたことなんてないのだから仕方がない。
 こっちの気なんてお構いなしに、彼は反り返った陰茎を扱く。そのまま裏スジを指の腹でなぞられて、びくりと身体が跳ねた。
 彼はそんな俺を見ると、ふっと微笑んで陰茎に顔を近付ける。
 何をしようとしているのかすぐに察して身動ぎをするが、彼はびくともしない。そうして、彼の舌が陰茎に絡み付いた。
「あっ!?」
 ざらざらとした舌が敏感な先端を削っていく。未知の快感に、身体を震わせながら逃れようと踠く。
「うあっ、ん!まってまって」
 陰茎が彼の口の中にずるずると飲み込まれていく。そうして喉の奥まで到達すると、ぐにぐにと搾り取るように口内が蠢いた。
「っ、ヤバイからっ!それ、すぐ出るからっ!」
 根元まで咥え込んで、裏スジも一緒に刺激されてボロボロ涙がこぼれ落ちる。こんなの、耐えられない。楽になりたくて勝手に腰が揺れて、その度喉奥を刺激されるのか彼が嘔吐く。それにさえ興奮する始末で。さらに大きくなったそれを咥え込む彼の眉間に苦しそうに皺が寄る。
「っ、ぐぅ!ごぉっ、……っ」
「ダメだって、離してっ!」
 引き剥がそうと頭を掴むが、それでも彼は離れない。器用に手で玉を刺激されて、尿道を精がかけ上っていく。
 あ、もうダメだ。そう思った時には彼の口内に白濁をぶちまけていた。
「っ、ぅ~~~~~!」
 快感に目の前がちかちか明滅する。尿道に残った精までじゅるじゅる音を立てて啜られて、びくびくと面白いくらいに身体が跳ねた。
 ずるりと彼の口から陰茎が引き抜かれる。唇についた白濁をぺろりと舐め取ると、彼は微笑んだ。
「……ふふ、そんなに良かったと?」
「はぁっ、はぁっ!んん、……すごかった」
 ぜぇぜぇと肩で息をしながら彼を見る。飲まれた。絶対美味しくなんかないのに。
「はは、もう勃ってんじゃん」
「っ!うるさいっ!」
 ふっと息を吹き掛けられて、びくりと身体が跳ねた。そりゃ、そんな風にされたら勃ちもする。
「ミズキ」
「なぁウーヤン……目、瞑っててくれない?」
「えっ、なんで」
「そしたら天国みせちゃるき」
「……やだ」
「そか」
 じゃあ、萎えんなよ?そう言って、彼は下着ごとスラックスを下ろす。
「……え?」
 そこには何もなかった。陰茎が、ない。代わりにある筋はどう見ても女性器で……。
「えっ、ええ!?ミズキ、女の人!?」
「違ぇよ。ちゃんと男だっての」
「そん、え?どう言うこと!?」
「ねえの、生まれつきな。これがお前が好いた男の秘密。気持ち悪いだろ?」
 そう言う彼の顔は何処か泣きそうだった。
 事態を飲み込む前に、衝動的に抱き締めて、頬を寄せる。きっと、今までも沢山傷付いてきたのだろう。彼の心が少しでも軽くなるのなら、なんだってしたい。そう心の底から思った。
「気持ち悪くなんかないよ!そりゃ、ちょっとびっくりしたけどさ……。でも、関係ない。俺はね、ミズキのことが好きなんだ」
「っ」
 至近距離にある彼の瞳が揺れる。その唇に触れるだけのキスを落として、ぎゅっと彼を抱き締めた。
「でも、俺処女じゃない」
「そんなの関係ない」
「お前に話してない秘密だってまだまだ沢山ある」
「いいよ、ミズキが話したくなるまで待つから」
 拒みたいならそうはっきり言えばいいのに、彼はそれをしなかった。ってことは、俺にだってチャンスはあるってことだよな。
「ねぇ、やり直しさせて?」
 そうやって囁いてやれば、彼は小さく頷いた。 
 布団に転がる彼の身体が、月明かりに照らされて浮かび上がる。彼は気持ち悪いと言ったけれど、俺は綺麗だと思った。
「ねえ、ミズキはどうされるのが好き?」
「っ、言わせんな」
「だって俺、わかんないし」
「……童貞」
「悪かったな」
 キスを落とせば、彼は足を開いてぼそぼそと歯切れ悪く「外、触られんのすき」とだけ呟いた。渡された使いかけのローションを指に絡ませると、リクエスト通り少し芯を持ったそこに優しく触れる。
「っ、んっ」
「可愛い」
 傷付けないようにゆっくり指の腹でそこを押し潰せば、彼の身体がびくんと跳ねる。どうしたら跡を残せるのかわからなくて首筋に歯を立てれば、しょうがないと言わんばかりに彼が俺の首筋に強く吸い付いてきた。
「こうやって跡つけんだよ」
「ごめん」
「いーよ、俺が教えちゃる」
 教えられた通りに肌に吸い付けば、内出血の赤い跡がついた。繰り返し何度も何度もそうして跡を残して、所有欲を満たしていく。
 こりこりとしこり立つそこを指先で苛めてやれば、彼は背をしならせて感じ入った。
「あぐ、ぅっ……!」
「ミズキ、可愛い」
「かわいくない」
「可愛いよ、それに綺麗だ」
 耳元で囁いて、無防備な首筋に柔く噛みついてやる。滲み出た蜜を絡めて、塗りたくるみたいに指を往復させていれば、焦れったかったのか彼が自分の指でそこを拡げてみせた。
「もう、ナカ触っていいから」
「ん、わかった」
 指を1本だけ、ゆっくりと埋めていく。ナカがうねうね蠢いて、引き抜く度行かないでと言っているみたいに絡み付いてくる。可愛い、もっと気持ち良くなって欲しい。空いた手で陰核に触れると、指の腹で押し潰してみる。
「うっ、あ!」
「あ、ナカ締まった」
「言うなっ、あぁっ!」
「一緒にされるの、好き?」
 ローションを継ぎ足してもう1本指を挿入すると、ナカを拡げるように動かす。指がふやけるくらい時間をかけてしっかり解せば、すっかり出来上がった彼は腰をいやらしく揺らした。
「はぁっ、お前っしつこい!」
「だって、傷付けたりしたらダメだろ」
「そんなせんでも、あぁっ!……大丈夫だって言ってるのに!」
「ふふ、可愛い。余裕なくなってるの、すっごい唆る」
 耳元で囁いてキスを落とせば、彼は悔しそうに「いつもはこんなんじゃないのに」と呟いた。そんな、今ミズキを抱いているのは俺なのに。まだ他の男のことを考える余裕があるんだ。じゃあ、考えられないくらいになって貰わないと。
 一通り触ってみて反応の良かった場所を擦り上げ、開かれた口に舌を差し込む。見よう見まねの下手くそなキス。それでも、ナカは悦んでいるみたいにきゅうきゅうとしがみついてきた。
「っ、♡」
 背中に腕が回されて、多幸感に頭が茹だる。微かに苦味のある舌は、彼が喫煙者なのを告げていた。巧みに動く舌の後を追って、ぎこちなく舌を絡めていく。この舌が回らなくなるくらい、彼をとろかせてしまいたい。
「はぁっ、もういれて♡」
「でも」
「もう挿入るから、早く♡」
 でも、よくよく考えればゴムがない。あ、どうしよう。そう思っていると、言いたいことを察したのか、彼が口を開く。
「子宮、取られとるからゴムなしで良かよ」
 頭を殴られたみたいな衝撃があった。腹にある傷痕が気になっていたが、そんなことって。思わず絶句していると、不安そうに彼が顔を覗き込んできた。
「ウーヤン?」
「ミズキ、俺、ミズキのこと大切にしたい」
「萎えたか?」
「そうじゃなくってさ。なぁ、俺達ちゃんと付き合おう」
 指を孔から引き抜いて、両腕でしっかり彼を抱き締める。気付かなかったけれど彼は微かに震えていた。もしかしたら、ずっとそうだったのかもしれない。
「ここ引き払ってさ、俺と住まない?」
「……気が早すぎるだろ」
 呆れたように彼は言う。でも、その後否定の言葉は続かなかった。微かに震える身体が落ち着くまで待って、キスを落とす。
「ねぇ、ミズキ。好き」
「っ、」
「答えて……ミズキは俺のことどう思う?」
「……」
 好き。
 小さく小さく吐き出された言葉。それに胸が暖かくなる。彼は恥ずかしくなったのか、赤い顔を腕で隠してしまった。白い髪を梳くように撫でながら、腕にキスを落としていく。
「ミズキ、好き」
「何度も言うなっ」
「何度だって言うよ。好きだ」
「わかった、わかったから!ほら、続き、しないのかよ」
 そう言って、彼は俺の陰茎に触れる。急な刺激に面白いくらい身体が跳ねて、そのまま彼の腹に精をぶちまけた。
「……」
「っ、急に触んなよぉ!」
「ごめんごめん、悪かったって」
 くつくつと喉を鳴らして彼が笑う。結局のところ、俺達の初夜は失敗に終わったのだった。



 あれから1ヶ月。
 部屋探しは中々難航したが、二人で住める部屋をなんとか見付けて同居生活がスタートした。一番厄介かと思われた姉貴は、事情を説明すればすんなり俺達のことを認めてくれて、まあ代わりの条件は幾つかだされたけども、なんとかなるだろう。と言うかなんとかするしかない。
 最初の数日はお互い少しだけギクシャクしたが、すぐに慣れた。家事は分担制で、部屋は別々。恋人と言うよりはルームシェアみたいな形である。
 ミズキがこの共同生活をどう思っているかはわからないけど、今も続いていると言うことは許されているのだろう。
 なお、夜の方はと言うと、あれから進展はゼロである。大切にしたいという思いから、手をだせないでいるのが現状だった。
 でも、それも今日までだ。そろそろ男を魅せないと、それこそ愛想を尽かされてしまうかもしれない。
「……よし」
 爪、切ってある。ゴム、ちゃんと買った。ローション、新品!準備は万端、そして明日はお互いに休日だ。この機会を逃すわけにはいかない。
 でも、どうやって誘うのがいいのか。そこが問題だった。
 立ち上がり、ミズキの部屋の扉前まで行くと、深呼吸を一つ。ノックをしてから扉を開けると、とんでもない光景が目に入った。
 布団の上で、ミズキが足を拡げている。手は股間に伸びており、孔からは黒いプラスチック製の物が見えていた。
 ミズキがオナニーしてる!
「ご、ごめんっ!」
「お前っ、勝手に入ってくんなよ」
 やった、これやらかした。ノックだけして気を抜いていた。あまりにもあほすぎる。
「本当にごめん」
 それでも、彼から目を逸らせないでいた。あまりにエロすぎる。それにプラスに考えたらこんなチャンスないだろ。
 近付いて隣に座ると、彼の顔を覗き込む。
「それ、気持ちいい?」
「っ、おい」
 勝手に触れることはしないで、ただ隣で見ているだけ。一瞬拳が飛んでくるかと身構えたけど、それはなかった。なら、本気で嫌がってはないよね。
「ね、教えて?」
「っ、」
 至近距離で息を飲む音が聞こえる。彼は顔を真っ赤に染めながら、それでも逃げることなく「見てろ」とだけ呟いた。
 黒いプラスチックを握り締めると、ゆっくり出し入れを繰り返す。ぐちぐちといやらしい音を立てながら、肉の中に消えたり現れたりするそれから目が離せない。
「っ、あ、はぁっ!」
「すごい、えろい」
 腹を撫でれば大袈裟なくらい身体を跳ねさせた。悔しそうに歪められた顔に近付いて、唇に触れるだけのキスを落とす。
 すると、熱い舌が差し込まれて、舌を絡め取られた。慣れているのだろう。巧みに動く舌にぞわぞわと背筋に電流のような快感が走る。
「ふっ、うぅ!んんっ、うぁ、~~~~っ!」
 声にならない悲鳴を上げて、彼は感じ入っていた。その表情を至近距離で眺めながら、ほくそ笑む。
「もしかして、イっちゃった?」
「う、ぅ!いってない、」
「でも、すごい痙攣してる。ねぇ、スイッチは入れないの?」
 そう囁いて、彼が握り締めているプラスチックに触れる。手探りでスイッチを押せば、モーター音が部屋に響き渡った。
「~~~~っ!ぐぅっ、うあ゛、ぁーーーーっ!」
 それを掻き消すくらいの悲鳴。のたうつ身体を押さえつけて、責め立てる。
 さらけ出された首筋に吸い付いて、跡を散らしていく。所有欲を満たすように。
「あ、あ゛~~~~っ!っ、あ、う゛~~~っ、だめっ、ダメだ……来ちゃうっ♡」
「ふふ、ダメじゃないから全部見せて?」
 瞬間、彼は足をぴんと伸ばして、いやらしく身体を捩りながら果てた。
 それでも、無慈悲な機械は止まらない。スイッチを押そうと伸ばされる手を絡め取って、そのまま恋人繋ぎにすると目尻からこぼれ落ちる涙を啜る。
「う、う゛ぅ~~~っ!♡♡」
「ミズキ、可愛い」
 余裕なんてないのだろう。快感から逃れようと必死で、繋いでいる手に力が入る。でも、離してなんかやらない。
 だらりと垂れ下がった舌にしゃぶりついて甘く食めば、彼は腕の中で不自然に身体を硬直させながら悲鳴を上げた。
「ギブ!し、ぬ!あ゛ぁ~~~~っ!♡♡」
 ぷしゅっと音を立てて液体が噴出する。潮だろうか。スイッチをオフにして、手にかかったそれを見せ付けるように舐めとる。
 ぜえぜえと肩で息をしている彼をぎゅっと抱き締めて、落ち着くように肌を撫でた。
「ぁ、あ……っ!♡♡はぁっ、はぁっ……!♡♡今、触んなって」
「ふふ、気持ちいい?」
「う、ん……ばか」
 身構えたけど、やっぱり拳は飛んでこなかった。頬にキスを落として、中に入りっぱなしのそれをゆっくり引き抜く。それだけで気持ちいいのか、彼は甘い吐息を溢した。ぽっかり孔の空いた入り口から蠢くナカが見える。鼻血が出そうなくらい興奮して、収縮するそこをじっと見詰めていると、とろんとした目で彼は言った。
「挿入れんと?」
「っ、ちょっと待って、部屋にゴムあるからっ」
「いらん」
 腕を引っ張られて、そのまま布団に転がされる。彼は心底楽しそうに微笑んで、下着ごとスラックスを下ろすと勃ち上がった陰茎を撫でた。
「っ」
「俺は待ったぜ?」
 思わず動けないでいると、彼はそのままゆっくり腰を下ろす。くちゅりと湿った音がして、陰茎が生暖かい肉に埋まっていく。
 搾り取るように蠢く肉壁に、熱い吐息が零れ落ちた。
 ダメだこれ、気持ちよすぎる。
「あっ、ミズキ、これだめだ」
「んんっ♡知らん。すぐ手出してくるのかと思ったのに1ヶ月も待たせやがって」
「それは……その、ごめん」
「ばかたれ」
 そうして全てが飲み込まれて、下生えに彼の肌が密着する。奥歯を噛み締めてなんとか耐えるが、これは長くは持たないだろう。
「もう離さないけんね」
 耳元で吐息混じりにそう囁かれて、彼は腰を動かし始めた。わかっていたけれど、その動きは慣れている以外の何物でもなくて、まだ話してくれていない過去を思う。
 いつか話してくれるだろうか?そこはまあ、俺次第か。
「何考えてんだよ」
 集中しろと言わんばかりに頬をつねられて、くねる腰を掴む。奥に擦り付けるように精を吐きかけたのだった。

11/18ページ
スキ