キョカラ



 いつもの場所、いつもの時間。誘ったのはオレの方。先に着いていた目的の人物に飛び付く。
「キョウヤぁ、待たせてもうたな」
「うわ、ここ外ですよ?ってカラスバさんお酒臭っ」
 ぎゅうっと抱き締めれば、キョウヤは驚いたような顔でこう言ってきた。確かに、普段だったら絶対外ではしないようなことをしている。
「ええやんか」
「顔も真っ赤!そんなに酔ってるの、珍しいですね……と言うかそんな無防備な状態でここまで来たんですか?」
「近くまでうちの組の若いのがおったわ。待ち合わせしとるからって帰してん。今日はどしても酒飲まんといけんかってな、許してや」
「許すもなにも、俺にそんな権限ないですよ。ほら、カラスバさんのお家に帰りましょ?」
 首筋に顔を埋め、文字通りキョウヤを吸っていると、頬を赤く染めた彼が焦りだす。
 ふふ、普段のお返しや。こっちが大人なのを良いことに好き勝手しよってからに。
「カラスバさん、酔ったら誰にでもこんなことしちゃうんですか?」
「ばぁか、オマエだからや」
 オマエ以外にこんなことせぇへんわ。そう思いながら、ふらふらと歩き出す。
「こんな酔ったん久しぶりやわ」
「でしょうね。今まで見たことないですもん。ポケモンもきっと心配してますよ」
 それを聞いてかたりと手持ちのボールが揺れる。ああ、本当に心配してくれとるんか?でも大丈夫やで。今日だけはキョウヤに時間、分けたって?そう思いながら、慈しむように鞄の中のボールを撫でる。
「ほら、支えてあげますから」
「歩けんほどは酔ってへんて」
「そう言うわりにふらふらしてるじゃないですか」
 肩を貸されたのでそのままキョウヤに寄りかかりつつ家を目指す。路地裏にこつこつと足音が響く。人っ子一人いない。まあそれもそうか。あんま人通りの無い道選んどるし。
 積まれたゴミの山で、ヤブクロンたちがこちらを見ている。人がおらんと言うことは、ポケモンたちがおるってことで。ご機嫌に挨拶なんてしながらそこを通りすぎれば、ますますキョウヤが不機嫌そうになる。あは、おもろい。
 何事もなくそのままエントランスへ着いて、エレベーターで最上階まであがると、なだれこむように玄関へ入る。
「キョウヤぁ、もうええやろ?かまってや」
「普段あんなに周りの目を気にするのに。お酒入ったらそんなになっちゃうの、心配です」
 抱き付いて頬にキスをする。さっきまで心配そうに見てきていたくせに、その瞳は興奮の色が見えて。きゅん、と腹の奥が疼く。
「素面で出来るかこんなん」
「ええ?そうなんですか?」
 早く苛めて欲しくて、熱い吐息を吐く。今日はめちゃくちゃに抱いて欲しい。どちらからともなく唇を合わせてキスをする。ちゅうちゅう吸い付いて、口を開けば舌が差し込まれて。粘膜を撫でられてぞくぞくと鳥肌が立った。
「はぁ、ふふ、可愛い」
「せやろ?キョウヤはオレんこと大好きやもんな」
「カラスバさんだって大好きな癖に」
 素面では絶対にしないようなやり取りも、酒が入っていれば話は別だ。羞恥がまったくないわけではないけども、幾分かマシである。
「そりゃ、うん、大好きやよ」
「わあ素直。ねぇ、玄関でしちゃっても良いんですか?」
「うん、好きにして?」
 キョウヤの手が身体を撫で回して、それに大袈裟に感じ入れば、ふっと微笑まれた。玄関でするなんて、そんなはしたない。でも、それに酷く興奮するのだからもうおしまいなのかもしれない。
 シャツの上から胸の突起を指の先で撫でられて、甘い痺れが走る。
「んぁっ、」
「ふふ、声可愛い」
「やっ、耳舐めんといてっ」
 かくん、と膝から力が抜けかけて、思わずキョウヤにしがみつく。その間も緩く勃ち上がった突起を撫でられて、気持ちよくって惜しげもなく声が漏れていく。
「あぁっ♡っ、キョウヤ……♡」
「気持ちいい?」
「うんっ、」
 ちょっと前までそこで感じることなんて無かったのに。気付けば性感帯へと変わってしまった突起をこりこり押し潰されて変な声が出る。本当は情けなくて聞かせたくないけど、キョウヤが喜ぶから。
「はぁっ、あっ♡そこっ、ぎゅって潰されるのすき♡」
「こう?」
「ひぃっ、♡」
 痛いくらい強くつねられて、気持ちよくてぱちぱちと火花が散る。
「カラスバさん、マゾの素質あるよね」
「そんなんっ、ないわ」
「つねられて気持ち良さそうな顔してるのに?」
 そう言われると言い逃れが出来なくて、爪の先でカリカリ擦られると、切なくて腰が揺れる。
 身体がもっと苛められたいと熱をもって、ただでさえ飲酒で溶けている思考をもっとぐずぐずにしていく。
「直接触ってあげる」
 キョウヤはそう言うと、シャツのボタンを外していく。早く触って欲しくて、焦れる気持ちを抑えながらそれをぼんやり眺めていると、メガネを外された。
「危ないから外しますね。ふふ、えろい顔」
「うっさ……、んんっ♡」
 ボタンを外しきると、そのまま指の腹で突起を撫でられて思わず甘い声が漏れた。
 その触り方、ずるい。
「んあっ、♡キョウヤっ♡」
「ふふ、かわい。すっかり硬くなって……、色も濃くなってえっちですね」
「誰のせいやと……、はぁっ♡ああっ♡」
 引っ張られて、更にはぐにぐに押し潰されて快感が弾ける。立っていられなくて棚に寄りかかり手をつくと、思わず身体が反り返って自分からつき出すような体勢になってしまった。
「あ、ぁ♡それっ、いい……♡♡」
 でも、イけそうでいてもう少しのところで刺激が足りなくて。触ってもない後孔がきゅんきゅん疼いて、辛くてすがり付くようにキョウヤの顔を見る。
「どこを触って欲しいんです?」
「後ろっ、触って欲しい♡」
「ちんこ触らないでいいの?」
「いい♡こっちがいい♡」
 自分からズボンを下ろしてそう言えば、余裕ぶっていたキョウヤの顔が歪んだ。そのまま耳元で「えっち」と囁かれて、かあっと顔が熱くなる。
「でもローションないな。あ、そうだ」
 腰のポーチを漁ると、小さいチューブが取り出される。ハンドクリームとかかれたそれを手に絞って指に絡ませて、キョウヤは笑った。
「お待たせしました。じゃあ後ろ触りますね」
 ふわりとモモンの実の香りがして、ああ、この先何時その香りを嗅いでも今日を思い出すのだろうなんてぼんやり思った。
 ゆっくり指先が後孔に埋まっていく。待ち望んだ刺激にびくりと身体が跳ねて、膝ががくがく笑い出す。
「はぁ♡んんっ♡」
 気持ちよさにうっとりしながらキョウヤにキスを強請る。ちゅっと音を立てて唇に吸い付いて、そのまま舌まで差し込んで。全部酒のせいにして、普段出来ないことを全部したい。
「んんっ、カラスバさ……!はぁ……ちょっ、もー!」
「あっ、ぅ……♡キョウヤぁ♡」
「可愛すぎ、お酒入ったら人変わりすぎですって!お酒禁止してください!」
「やだ♡んっ、……逃げ道くらい用意させてや」
 耳元で囁けば、今度はキョウヤが顔を赤くする番だった。そう言うところ、年相応で可愛いと思うわ。好きや。好きで好きでしょうがない。
 キョウヤの指が前立腺を捉える。瞬間、びりびりと背筋を快感が駆け抜けた。
「ひあっ♡あぁっ!♡♡」
「俺以外にそんな姿見せないでくださいよ?」
「そんなん見せるわけっ、ないやろっ!あんっ♡」
 喋っている途中で容赦なく前立腺を苛められ、媚びきった声が漏れる。気持ちいい、すぐにイきそうになって首を振りながら感じ入った。
「あ゛、ぁ!♡♡キョウ、ヤっ!♡♡いくっ……♡♡」
「イっていいよ」
「~~~~っ!♡♡」
 あまりの気持ちよさに目の前が明滅して、思わずキョウヤの服を掴む。でも、陰茎からは精がぽたぽた落ちるのみで……。
「メスイキ、しちゃったね」
「っ、う♡♡」
「かわいー……ねぇ、カラスバさん、今だったらリクエスト聞いてくれる?」
 指を引き抜かれ、切なくて孔がひくひくと開閉するのが分かる。余韻に息を荒げながら首を傾げると、額にキスを落とされた。
「はぁ、♡……ええよ♡」
「じゃあさ、舐めて欲しいんだけど」
 素面だったらきっと殴っていただろう。でも、今だったらなんでも言うことを聞いてしまいたかった。
 こくりと小さく頷けば耳元でしゃがむように言われて、その指示を受け入れる。
「ふふ、いいこ」
 年下にそんなことを言われて頭を撫でられて、でもそれが気持ちよくて、危うく新しい扉が開きかける。
 あほんだら、ばかたれ、正気になれ。
 でも、目の前に陰茎を出されたらダメだった。
「ほら、舐めて?」
 恐る恐る、差し出された陰茎に舌を伸ばす。しょっぱいような、青臭いような独特の臭いが味蕾を刺激する。
「んっ♡」
 辛抱たまらずちゅっと先端にしゃぶりつく。じゅわりと先走りが滲み出て、それを舐めとれば、キョウヤが熱い吐息を吐いた。
 それが嬉しくて、無理をして喉奥まで咥えこもうとする。えずきそうになるのをなんとか根性で耐え、それでも咥えられないところは手で刺激して。そうして夢中で奉仕を繰り返した。
「ふ、はぁ……気持ちいい。おいしいですか?」
 んなわけないやろ、ばか。青臭くって不味いわ。文句を言おうとして、でも口はそれで塞がっているからどうにもならなかった。
「んんっ、うぇっ……ぐぅ♡」
 口の端から、唾液だかなんだかもわからない液体が垂れていく。時たまえずきながらも続けるが、慣れていないからかキョウヤが中々イかない。なんで、いやそりゃ、うまかったらそれはそれでなんか嫌やけども。どうしたらいいかわからなくってキョウヤを上目遣いで見れば、オレのことを雄臭い顔で見下ろしていた。
「ねぇ、もうちょっと頑張れますか?」
 小さく頷く。そうすれば、頭を両手で持たれて、喉奥へ陰茎を叩きつけられた。
「ぐぁ、ん!」
 遠慮なんてなく乱暴に腰を打ち付けられて、胃液がせり上がってきて、思わず吐きそうになる。苦しい。息がうまくできない。溺れているようだとさえ思う。でも、それが気持ちいいなんて。
「ぶっ、ぅっ!♡♡んんっ!♡♡」
「はぁっ!カラスバさん、ごめん、辛いよね。もう少しだから」
 わかってんならやるなや!喉からごぽごぽ嫌な音がして、胃液が逆流する。それと同時に喉奥に精を吐きかけられて、拘束が緩んだ瞬間たまらずその場で吐いた。
「げぇっ、ごほっ!ごほっ!」
「大丈夫ですか!?」
「はーっはーっ!大丈夫なわけあるかあほだら!」
 死ぬか思ったわ!殺す気か!そう続けようとして、顎をくいっと持ち上げられる。
「ねぇ、カラスバさん、なんで勃ってるの?」
「!」
「あは、やっぱりマゾの素質あるよ」
 ぞわり、キョウヤの笑顔に鳥肌が立つ。興奮、そんなわけ、否定しようとして、でも否定が出来なくって。
「ごめんね。ねぇ、続きする?」
「……する」
「じゃあ場所、移動しよっか」
 やっぱりベッドの上で抱きたい。そう囁かれて、小さく頷く。
 手を差し出されてそのまま立ち上がると、寝室へと連れていかれる。脱ぎかけの衣服を引き摺りながら、なんとか寝室へと辿り着くと、そのままベッドに押し倒された。
「カラスバさん、大丈夫?」
「押し倒しながら言うなや」
「それはそうなんですけどね」
 ちゅっと額にキスを落とされる。それを受け入れて、ぎゅうっと抱き付くと、首筋に噛みついた。
「痛っ」
「仕返しや、これで勘弁したる」
「ふふ、優しい」
 後孔に陰茎を押しあてられ、身体が強ばる。ゆっくり先端が飲み込まれていって、後孔を拡げられる感覚にぞわぞわと鳥肌が立った。
「あっ♡」
 来る。気持ちいいのが。
 至近距離にキョウヤの顔があって、キスを強請りたかったが、モノを咥えた後だしと躊躇っていると、そのまま口付けられて。
「ほら、舌出して?」
 言われるがまま舌を出せば、そのまま絡め取られて味わわれる。キス、気持ちいい♡蕩けるような快感に侵食されていく。
「んんっ♡♡」
 ゆっくりナカが満たされていって、頭がふわふわする。甘えるようにすり寄りながら、腰を揺らせば良いところに先端が当たってびくりと身体が跳ねた。
「はぁ、カラスバさん」
「あ゛っ、きょうやぁ♡」
「ふふ、気持ちいい?」
「うんっ♡」
 ばちゅんと音を立てて腰が打ち付けられ、目の前が真っ白になる。奥の挿入ってはいけないところに先端が潜り込んで、強すぎる快楽に何も考えられない。
「ぐ、あ゛っ♡♡そこっ、やばっ♡♡」
「結腸挿入っちゃったね」
「お゛、あ゛あ♡♡」
 結腸の入り口をぐぽぐぽと先端で嬲られ、経験したことのない快感にぼろぼろと涙を溢す。最早どこでイっているのかもわからない、隙間のない絶頂から腰をくねらせて逃げようとするが、そんなの逃げさせてくれるわけもなくって。
「がっ、あ♡♡キョウヤっ♡♡いってる♡♡イってるからぁ!♡♡も、堪忍してぇ♡♡」
「はぁ、やだ♡」
「っ、♡♡あ゛んっ♡♡しぬっ♡♡」
 こんガキっ!ばかっ!イってるってのにがつがつ腰を振られて意識が飛びそうになる。ぷしゅっと聞き慣れない音がして、そちらを見れば己の陰茎から水が吹き出していて。
「潮吹きだ。あははっ、えっちですね」
「~~~~っ!♡♡むりっ、もっ♡♡キョウヤ、早う、ちょうだい♡♡」
 自分が何を口走っているのかももうわからなくって、背中にガリガリと爪を立てればキョウヤが小さく呻く。
「っ、う!……カラスバさん、受け止めて?」
 耳元で囁かれて、こくこくと頷けばラストスパートと言わんばかりに腰を打ち付けられる。
 びゅくびゅくと腹の奥に精を吐き出されて、その感覚でさえイってしまって。
 ぜぇぜぇと息をする。身体がだるい。これ以上は限界だ。ぼんやりする意識の中、ちゅっと唇にキスを落とされて。そのままオレは意識を失ったのだった。

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