キョカラ




 カラスバさんを抱きたい。
 出来れば、二度と忘れないくらいめちゃくちゃにしてしまいたいとすら思う。
 でも、ふたりっきりでそう言う雰囲気になっても「オマエが成人するまではアカンよ」の一点張りで、その癖唯一許されたキスは向こうから舌を入れてくるようなユルユルっぷりで。
 じゃあこの行き場のない鬱憤は何で晴らせばいいんだろうか。そう言う動画で慰める?そんなの、ここミアレに来る前まで見ていたものじゃあもう抜けないところまで来ているのだ。なんなら、彼に似ている人を片っ端から再生する始末である。それでも、本物には適うわけもなく、抱き締めたときの身体の感触だとか、触れられた手の熱さだとかを思い出しては己を慰める日々を送っていた。
 早い話が限界なのだ。これ以上は無理。次そんな雰囲気になろうものなら、絶対に抱く。逃がさない。
 そう決心してから、チャンスは割とすぐに訪れた。向こうから、週末家へ来ないかと誘ってきたのだ。
 これはなかなか珍しいことだった。何故って、どちらかと言えば俺の方から押し掛けることが多いからである。だって、そうでもしないとあの人家に帰らないし、と言うのは余談だけども。
 そうして指折り数えながら週末を待てば、その日はあっという間に来た。
 待ち合わせの時間までまだ余裕がある。一時間前なら流石のカラスバさんもまだ来ていないだろう。
 もしもの時の為に、ポーチに携帯用のローションとゴムを忍ばせて、うきうきで待ち合わせの場所まで歩く。いや、もしもってなんだ?もしもも何も今日抱くんだが?
 そんなことを思っていると、待ち合わせ場所の噴水が見えてきて、そこにポツンと人が立っているのに気付いた。
 見間違えるはずがない。あれは……。
「お、キョウヤ。随分早いやん?」
「えっ、カラスバさん!?まだ一時間も前なんですけど」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらうわ」
「それはそうなんですけどね?わ、手冷えてるじゃないですか。ほんと何時から待ってたんですか?」
「そんな待ってへんよ。ただ今日は外回りやっただけ。でも、オマエと会えるん楽しみにしてたんやよ?」
 そう言って微笑む彼の冷えきった手に息をはきかける。ほんの気休めにしかならないかもしれないけど、何もしないよりかは幾分かましだから。
「俺だって楽しみにしてましたよ!」
「ふふ、そう?」
「そうです!ほら、早く行きましょ?」
 何処か嬉しそうな彼の手を引いて、家を目指す。俺が無理にでも抱こうとしているのなんて、考えてすらないんだろうなと思うとほんの少しだけ心が痛む。まあ、知るわけないんだけどね。




 そうして彼の家についてソファでのんびり寛いでいると、隣に座っていた彼が構って欲しそうに顔を覗き込んできた。
 何だそれ、可愛いな。
「キョウヤ」
「ふふ、なぁに?」
「あんな、その……ぎゅってして欲しいねん」
 恥ずかしそうに目を逸らしながら言われて、自分の中で何かが弾けた。
「カラスバさん!」
「わっ、」
 彼を力任せにソファに押し倒す。顔が近い。ちょっとでも動いたら触れてしまいそうな位置に彼の顔がある。
 まんまるに開かれた金の瞳。それがあまりに綺麗で、思わず魅入る。
「な、キョウヤくーん?」
「……ねぇカラスバさん、俺もう我慢できないんです」
 薄く開かれた唇にキスを落として、そのまま舌を探り入れる。拒絶されることはなく受け入れられたのが嬉しくて、恐る恐る差し出された舌を絡めとる。粘着質な音が部屋に響いて、嫌でも気持ちが高ぶっていく。
「んんっ、ふっ……うぅ」
 上擦った声が口の隙間から漏れる。それに気をよくしてシャツを捲りあげれば、カラスバさんが逃げるように身を捩った。
 白い肌をつーっとなぞれば、びくりと身体が跳ねる。
 可愛くて、えっちで、大切な俺の恋人。
「はぁっ、カラスバさん」
「あっ……キョウヤ、」
 期待した目で俺を見る癖に、決して許してはくれない。狡くてしょうがないけれど、愛しているから。なんやかんや言って彼が望まないことはしたくないんだよなぁ。
「ね、カラスバさん。何処までなら許してくれる?」
「っ、」
 頬にキスを落として問えば、彼の瞳が揺らぐ。擽るように脇腹を撫でながらその瞳を覗き込めば、カラスバさんはその身体を跳ねさせて言った。
「っ、ぅ……あかんよ。未成年に手、出せへんもん」
「でも、構われたいんでしょ?」
 構ってあげてるだけだよ、なんて囁いてその細く白い肌を撫で回す。首筋にちゅっと吸い付いて跡を残してやれば、文句を言いたげに彼の眉間の皺が深くなる。
「カラスバさん、答えて?」
「さ、触るだけなら……ええよ」
 酷く小さい声でそう呟くと彼はそっぽを向いてしまった。
 やった、許可が下りた!
「言いましたね?」
 にっと微笑んで、露出されたピンク色の胸の突起を撫でる。びくり、と面白いくらい彼の身体が跳ねた。声を出さないように口に手を当てて耐える彼が可愛くて仕方ない。
「んっ、」
「声聞かせてくれてもいいんですよ?」
 彼は頬を赤く染めながらふるふると顔を横に振る。ふと思い付いて、口に当てられた手を見せ付けるように舐る。吸い付いて、優しく歯を立てれば負けたと言わんばかりに彼は口を押さえるのをやめた。
「ふふ、擽ったい?」
「……あほ」
 ふっと微笑んで、ぴんと勃ち上がった突起に舌を這わせれば、彼は途端に慌て出す。
「それはっ、触るんとちゃうやろっ!」
「え?触ってるだけですよ?」
「舐めとるゆうねんそれ」
 それはそうなんだけどね。でも、口ではそう言うわりに本気で嫌がってはいないようで……。抵抗されないのを良いことに、突起にしゃぶりつく。
「ひあっ……」
 すると、刺激に驚いたのか彼の口から艶のある声が漏れ出した。何それ可愛い。もっと聞きたい。
 そのままになっていたもう片方を指の腹で撫でながら、舌先で突起を転がせば面白いくらい彼の身体が跳ねた。
「んんっ、やぁっ……あうっ」
 わざとらしくじゅるじゅると音を立ててしゃぶりつく。耐えようとしているのか、カラスバさんはソファにかりかりと爪を立てていた。可愛いけど、怪我するといけないからその手を取って背中に回すよう促す。言うとおりにおずおずとしがみつかれ、思わず口角が上がった。
「へんなかんじや、んっ!」
 可愛いけど、思ったよりも気持ちよくないみたいだ。どちらかと言うと擽ったいが勝っているのだろう。まあ、それもそうか。いきなり感じまくってもそれはそれで過去何かがあったのか考えてしまいそうだし、ある意味ではよかったのかもしれない。
「キョウヤ?」
「うん、なんでもないよ」
 擽ったい場所って性感帯だって聞くし、将来有望そうだ。ゆっくり育てていこう。そう近いながら、ピンク色のそれを優しく撫でる。それにしても、想像通りだけどカラスバさんは色素が薄い。ここがそうならきっと下もそうなんだろう。そんなのあまりにえっちすぎないか?
「う、鼻血出そうかも」
「……すけべ」
「だって、カラスバさんえっちなんだもん」
「普通にしとるだけやし」
 だとしたらそれはもう才能なのかもしれない。ここまでよく誰にも食い散らかされなかったな、と思うと同時に神に感謝する。
「ここにも跡残しとこ」
「目立たんとこならええけど……」
 許されたのを良いことに、ちゅっと何度も胸元に吸い付いて跡を残していく。そうしてゆっくり下に降りていって、晒されたへそに舌を這わせれば途端に悲鳴が上がった。
「ひっ、そんなとこ舐めへんでっ」
 鳥肌がすごい。もしかしたらここも性感帯なのかもしれない。なんにも考えてなかったけど、試してみて良かった。
「まっ、きょうや、そこいややっ」
「ん、こう?」
 ほじくるように凹みに舌を突き刺して、そのままつぽつぽ出し入れすれば、悲鳴に近い喘ぎ声が上がった。本気で逃げようとしているようだが、身体に力が入っていない。なんだったら胸よりもこっちのほうが反応が良いのではないか。
「そんなに嫌?」
「あぐっ!だって、汚いやんっ」
「汚くないよ?カラスバさんだもん」
 ちゅっと音を立てて吸い付いてからゆっくり離れる。そうして、そのまま緩く勃ち上がった陰茎をズボンの上から撫でた。
「ねぇ、舐めてもいい?」
「っ、」
 返事はない。どう答えるべきなのか、考えあぐねているのだろう。表情を見れば、ふいっと視線を逸らされてしまった。……まあ嫌がられてもやるのだけれど。
 金具を口で咥えてチャックを下ろし、先走りで染みを作っている下着を撫でる。可愛い、ちゃんと期待してくれてるんだ。くちゅりと微かに粘着質な音がして、そのまま下着を脱がしにかかる。
ぶるんと勃起した陰茎が目の前に現れて、思わず微笑んだ。
 立派だけど、これから先永劫使われる事のないそれにキスを落とす。
「っ!」
 びくりと大袈裟なくらい彼の身体が跳ねて、息を飲む音がする。初な反応に気をよくして、そのまま竿を舐る。当然男同士の経験なんてあるわけもないので、どうしたらいいのかは記憶の中の動画を頼りに自分が触られて良いところを刺激してやることにした。
「あっ、う……きょうやぁ」
 気持ち良さそうな声が開かれた口から抜けていく。先端を咥え込んで、舌先で尿道を割り開けば、離して欲しいのか手が頭に添えられて。でもその手には全然力が入っていない。むしろ逆効果以外の何物でもないその行動に、思わず口角が上がった。
「はぁっ♡」
 媚びきった声が上がる。それが嬉しくて、なんならもっと聞きたくて裏スジを舌で刺激しながら竿を扱けば、カラスバさんは悲鳴にも似た声を上げながら身体を震わせた。
「あぁっ、♡んっ♡」
「ふふ、かわい」
「そこで喋らんといてっ、息が当たって擽ったいさかい……」
 恥ずかしそうに顔を赤く染めながら、彼は言う。でもそんなの、逆効果でしかないのにね。
 じゅるじゅると音を立てながら先走りを啜ってそれを飲み下す。なんとも言えない味だけど、カラスバさんのだと思ったら全然気にならない。
「あっ、ぅ……っ!キョウヤっ、も、離して?」
「いきそう?」
「わかってんなら離せやっ、あぐっ!ほんまに、出てしまうからっ!」
 離す気がないのなんかわかっているだろうに。それでも本能的に逃げようとする彼をソファに押さえつけて、出せと言わんばかりに吸い付いた。
「んんっ!きょうやっ!う~~~~っ!♡」
 勢いよく口の中に精を吐き出されて、熱いそれを少しずつ飲み下していく。陰茎に纏わりついた精を舌で舐め取って、ずるりと陰茎から口を離す。
「ふふ、ご馳走さまです」
「はぁっはぁっ!♡キョウヤのあほっ♡」
「あほでいいですよーだ」
 首筋にちゅっと吸い付いて、跡を散らしていく。ポーチに入れたローションを取り出し、指に絡める。不思議そうにそれを眺めているカラスバさんに微笑んで、後孔にひたりと押し付けた。
 瞬間、今から俺がしようとしていることに気付いたのか、彼が焦り始める。
「キョウヤ、そこはあかんよ!まだ……」
「ん?まだ?」
「……」
 聞き返せば、彼は黙りこくってしまった。今、何を言いかけたんだろうか。それが知りたくて、後孔の皺を一つ一つ伸ばすように触れていく。
「今何言いかけたんです?」
「っ♡なんでもあらへんっ♡」
 びくびくと彼の身体が震える。反応してくれるのが嬉しくて、入り口に指先をつぽつぽと挿入する。
「あれ、柔らかい」
「っ!♡」
「もしかして、自分でしてたの?」
「……だって、キョウヤのでかすぎて挿入らへんもん」
 居たたまれなくなったのか、顔を隠しながらぼそぼそ呟く彼に眩暈がする。そんな、俺のために自分でしていただなんて、なにそれ可愛い。まさかの返答にどうにかなってしまいそうだった。
「カラスバさん、可愛い」
「別に、可愛あらへんよ」
「可愛いですよ。それに綺麗だ」
 蠢く肉壁を掻き分けて、ゆっくり時間をかけて指を押し進めていく。ちゅ、と赤く色付いた白い肌にキスを落として、彼の表情を観察する。
「っ、見すぎや」
「だって、可愛いんだもん」
「……う、だから嫌やってん」
「でも、本気で嫌なら俺のこと突き飛ばしてでもやめさせるでしょ?」
「うぐっ」
 図星だったのか、彼はまた黙ってしまった。なんだったら顔を真っ赤にして震えている。否定しないってことは、これは良いってことだよな?
「ねぇ、カラスバさん。俺ね、貴方を抱きたいんです」
「っ!やくそく、したやろ」
「うん、でも抱きたい」
 貴方が欲しくてたまらない。
 耳元でそう囁けばナカがきゅうっと締まって、とても動揺しているのがわかる。
「~~~~っ!♡」
「ねぇ、ダメ?」
「だめやっ、」
「なんで?俺たち恋人でしょ?それとも覚悟、出来てない?」
「そんなわけっ、覚悟なんかとっくに出来とる」
 じゃあ、後は受け入れるだけじゃないか。ちゅ、と唇にキスを落とし、指を引き抜く。小さく彼が震えて喘いだ。
 かちゃかちゃとベルトを外して陰茎を取り出す。そうして彼の後孔に押し当てれば、彼の瞳に怯えが見えた。
「っ、カラスバさん、ごめん」
 そこでようやく自分がから回っていることに気付いて、はっとする。確かに嫌がってはいないけど、だからと言ってこのままするのは違う気がして。正気になってぞっとした。
「怖いよね。それなのに俺、自分のことしか考えていなかった……」
「キョウヤ、」
 名前を呼ばれて、ぎゅっと強く抱き締められる。そのまま宥めるように頭を撫でると、彼は笑った。
「……ええよ」
「え?」
「抱いて?」
「……いいんですか?」
 こくり、と彼が小さく頷く。そうして、いやらしく腰を動かすと後孔を先端に擦り付けてきた。
「オレ、キョウヤに求められるんなら嬉しい」
「っ!」
 甘えるようにすり寄られて、かろうじて保っていた理性が爆発しそうだった。だって、そんなの殺し文句だ。
「キョウヤ?」
「カラスバさん、俺もね、貴方に求められるなら嬉しいです」
 ちゅ、と唇にキスを落として、手を重ね合わせる。離さないようにぎゅっと握りしめて、腰を押し進める。
 柔らかい入り口がかぷかぷ吸い付いてきて、気持ちが良い。溶けてしまいそうなくらいナカが熱くて、鼻血が出そうなくらいだった。
「カラスバさんっ、大丈夫?」
「だいじょぶやっ、」
 浅いところで抜き差しを繰り返して、慣らすように腰を動かしていく。締め付けがきつくて、気を抜けばもっていかれそうだ。
「っ、カラスバさん、もうちょい力抜ける?」
「それはむりっ……わからへんっ」
 わかんなくなってるの、可愛いな。ふっと微笑んでキスを落とす。薄く開かれた唇に舌を差し込んで、ちゅうぶらりんの舌を絡めとる。ざりざりと舌を擦りあわせていれば、少しずつナカの締め付けが緩んできて。ゆっくり溶け合うような感覚を楽しむ。
「うぅ、はぁ♡んっ……♡」
 夢中で口内を蹂躙していると、胸を叩かれた。名残惜しく思いながらゆっくりと口を離せば、銀色の糸が伸びてやがて千切れる。
 ぜえぜえと肩で息をしている彼が落ち着くのを待ってから、頭を撫でる。
「カラスバさん、大丈夫?」
「っ、だいじょうぶだからっ、はよ動いてっ♡」
 甘さのある声でそう懇願されて、ごくりと生唾を飲み込む。美味しそうだ。今すぐ食い散らしてしまいたいくらい。でもそれをぐっと我慢して、ゆっくり腰を動かす。
「はぁっ、うっ……」
「きょおやっ♡ああっ♡」
 ぱちゅぱちゅと結合部からいやらしい音がする。ぐつぐつぐらぐら、血が沸騰しそうなくらい熱い。
「カラスバさん、きもちい?」
 こくこくと彼が必死に頷く。可愛くて、ちゅっと真っ赤に染まった頬にキスを落とした。
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