スタレ
縁ってのは不思議な物で……。初めは気が合いそうだなくらいの軽い気持ちだったはずなのに、近くにいると知るやいなや理由を付けては会いに行くのを繰り返している内に、ある時そう言う雰囲気になった。
いやならねぇだろって?俺もそう思う。なんなら頭イカれてんのかって未だに思ってるくらいだ。信じられねぇよ。こちとらサイボーグだぜ?
それでも構わないなんて言われて絆されて、歯の浮く様な台詞を囁かれながら抱かれちまったのが運の尽き。そこからずぶずぶと深みにハマるように、共にした夜が両手で数えるくらいになった頃、ふと思う。
「もっとこう、必死な顔が見てぇんだよなぁ」
「アルジェンティの話か?」
思い切り口に出ていたのか、横にいた開拓者が首を傾げながら聞いてきた。なんでわかるんだよ。いや、まぁわかりもするか……。そんな露骨なつもりもないが、仲が良いのを知られている以上答えも出る。
「……、まぁそうなんだけどよ。いや手合わせの話だぜ?」
「あー、そういう事にしておこうか。後が怖いし」
カウンターに肘を付き、菓子をつまみながら彼は言う。後が怖いってのはあの保護者共に何か言われるからなのか、それとも別の理由かはさておき、相談する相手を間違えたな、と頭を抱える。
「アルジェンティってさ、いつも落ち着いてるよな。あ、でも戦ってる時は必死だと思うけどそれじゃあ足りない訳?」
「んん、そりゃあまぁ……」
「足りないんだ。なるほど……痛っ!」
何か言いたげな彼を軽いデコピンで黙らせながら、グラスを傾ける。
「アルジェンティの必死なところねぇ……じゃあ、お酒の力を借りたら?」
「知らねぇのか?アイツすげぇ飲むんだぜ?」
「へぇ、そうなんだ。やっぱり二人共仲がいいんだね」
いつの間にか増えたナナシビトの嬢ちゃんに、そも星穹列車内でこんな話を始めたオレが悪いか、とため息を吐く。
「じゃあさ、薬を盛ってみるとかどう?」
「ハッ、それマジで言ってんのかよ。……ってオレがモラルを説いたところでか」
「薬?あれ?コレ、何の話?」
「ああ、ただの世間話だから気にすんな。アンタはそのままでいろよ」
「???」
状況がわからずキョトンと首を傾げている嬢ちゃんの頭をぽんと撫で、立ち上がる。そろそろお暇しねぇと、要らない噂が立ちそうだ。
「もう行くの?」
「誰のせいだっての、あー……また来るぜ」
「どうなったか聞かせろよー?」
「誰が言うかよベイビーが」
楽しそうに笑う開拓者の度胸に半ば呆れながら、星穹列車を後にした。
そこからの行動はそりゃあもう早かった。アイツにメッセージを送り約束を取り付けると、馴染みの商人から仙舟で出回ってるらしい「そう言う」薬を調達したのである。
アイツに薬の類いが効くのかわからねぇが、試してみる価値はある。あ、勿論やべぇシロモノじゃないぜ?じゃねぇとアイツ絶対怒るからよ。パッと見は普通の粉薬だし、ちょっと試すだけだ。
そしてその約束の日はあっという間に来た。
あの薬が入った小包はテーブルの上に乱雑に置かれている。アイツと会う約束をした惑星まではもう少し時間がかかるようだ。ふと、柄にもなくそわそわしている自分に思わず笑いが込み上げる。
だって、こんなの笑えるだろ。泣く子も黙る巡海レンジャーがこのザマだぜ。こんなところ誰にも見せられねぇ。
まぁ、これからアイツに見せるんだけども。そんなことをあれこれ考えていると、目的地が近付いてきたので船を自動操縦に切り替え立ち上がる。せっかく会うんだ、今のうちに準備をしとかねぇとな。薬の味も確かめねぇと、気付かれちゃ台無しだ。
小包片手にあんまり使わないキッチンに立つと、酒の瓶を開け、中に薬を溶かしこむ。見た目は特に変わらない。なら味は?ま、サイボーグにゃ効かねぇだろうとソレを一口飲んでみる。
ちと薬臭いか?いやでもこのくらいならそういう酒だと言って誤魔化せそうだ。効き目はわからねぇ。商人には小難しいことをあれこれ言われたが、何も頭に入ってこなかった。ま、効かなけりゃその時はその時だ。
「そろそろ時間か」
スマホを見れば、丁度アイツからメッセージが来ていた。どうやら先に待ち合わせの場所に着いたらしい。ふっと笑い、音声入力でメッセージを送る。
「オレももうちょっとで着く」
「ああ、ブートヒルさん、お久し振りですね!お会いしたかったです!」
「そう言いながら事あるごとにメッセージ送ってんだろ」
「それとこれとは話が別ですよ。お元気そうで何よりです。あれから変わりはないですか?少し窶れたように見えますが」
「おいおい忘れたのかよ、オレはサイボーグだぜ?」
いつもの鎧を脱いで黒いインナー姿のアイツはそう言うと、何時ものように両手を広げた。黙ってその腕の中に飛び込めば、例のごとくぎゅうっと抱き締められる。義体がみしみしと嫌な音を立て軋むが、これくらいならまだ大丈夫だろう。相変わらず馬鹿力だな。本当に生身の人間かよ。
「今日は土産があるぜ。貰い物なんだが良ければ一杯どうだ?」
「ええ、是非。そうだろうと思って僕も準備しておきました」
「話が早ぇな、流石兄弟。ほら、歩けねぇから離れろって」
渋々離れたアイツに酒瓶を持たせ、誘われるがままに船の中へ入る。相変わらずなんか良い匂いがする通路を通ってアイツの部屋へとたどり着くと、ソファーに腰掛けた。
「ブートヒルさん」
酒瓶をテーブルの上に置いたアイツが、当たり前のように隣に座る。
「なんだよ、引っ付きやがって」
「こうしてまた共に出来ることが嬉しくて……」
「毎回そうするつもりかよ……あー、アレだ。オレだって、その……嬉しい」
「!」
その真っ直ぐな目を見ていられなくて、つい視線を反らす。すると、さっきみたいにぎゅうっと抱き締められた。かっと顔が熱くなって、多分だけど赤らんでいるんだろう。そんな機能いらねぇとは思うが、アルジェンティが嬉しそうにするもんだから中々外せないでいるのは内緒の話だ。
「……そんなことより早く飲もうぜ?」
危ねぇ、本題を忘れるところだった。そうだ、今日はこのために来たんだ。テーブルの上に用意されていたグラスに手を伸ばし、アイツの分のグラスにも酒を注ぐ。
「ふふ、そうでしたね。貴方があまりに可愛らしいのでつい忘れるところでした」
「うるせぇ、キューティーが」
とろりとした琥珀色のそれが、部屋の間接照明に照らされキラキラ光る。学がねぇから気の利いた言葉は出てこないが、きっとそれでいい。
「ほら、飲めよ」
薬入りのそれを渡せば、アイツは何の疑いもなく手に取る。ほんの少し良心が痛んだが、今は好奇心の方が大事だ。
ぐいっと一口飲んだのを見届けてから、オレも後を追うように口に含む。
「不思議な風味ですね」
「ああ、スパイスが入ってるとかなんだとか言ってたな」
「成る程」
これは半分本当だ。風味でバレるのが嫌だったから、普段はあまり飲まないスパイスの入った酒を選んで持ってきた。後は薬が効いてくるのを待つだけだ。
確かすぐにでも効果が出るって言ってたよな。商人の言葉を思い出しながらその時を待つが、アイツは中々表情を崩さなかった。
酒瓶がようやく空になりそうな頃になっても、アイツには変化がなかった。強いて言うなら顔が少し赤らんでいるが、それ止まりだ。
「んでよ、どうしようもねぇハニー共に鉛玉をぶちこんでやったワケよ」
「ふふ、貴方らしいですね」
普通に世間話なんか出来るんだが。おいおい、ジョークグッズでも掴まされたか?と疑い始めた頃、ふと気付く。
あれ、身体、熱くね?
「はぁっ……、なんかこの部屋暑くねぇか?」
「?そうでしょうか。僕は適温ですが……少し低くしましょうか」
これ、もしかしなくても、オレに効いてる?サイボーグに効く薬ってなんだよ。オレにも効くなら、アイツにも効いてないとおかしいだろ。
「もしかして体調が優れないのですか?今水を持ってきますから、少し待っていてください」
そう言って立ち上がろうとしたアイツの裾を咄嗟に掴む。予定変更だ。何としても堕とす。
「別に大丈夫だからよ。気にすんな。……それよりも、何時もみたいに抱き締めてキスをくれよ。足りねぇんだ、アンタが」
「どうしたんです?貴方らしくない」
疑ってんな……そりゃそうか。確かにオレらしくないかもな。でも、それももうどうでもいいくらいには思考が蕩けはじめている。
「ブートヒルさん?」
この薬、やべぇわ。正直舐めてた。そのまま隣へ座ったアイツにもたれ掛かり、首筋に顔を埋める。
「……抱いて欲しい」
「!」
思ったことがそのまま口から溢れ落ちていく。はっと気付いた時には両腕を掴まれ、ソファーにそのまま押し倒されていた。至近距離でアイツの綺麗な瞳と目が合う。見惚れていると、唇にキスを落とされた。
「今のは貴方が悪い」
啄むようなキスの後、徐に口の隙間から舌が差し込まれる。その舌は熱く甘い。溺れているような感覚に、怖くなってアイツにすがり付いた。
「んんっ、ふぁ……っ!」
その舌に、どうしようもなく乱されてしまう。上顎を擽るように撫でられ、ため息が漏れた。ああ、気持ちが良い。飲みきれなかった唾液が口の端から溢れていく。
ぎゅっと目を瞑り、口の中を蹂躙する舌に何とか着いていこうと必死に絡ませる。粘膜が触れ合って、ぴちゃぴちゃと水音が部屋に響く。それにさえ興奮して、ほとんど無意識に脚を擦り合わせた。
「っ、ぅ……んっ、ちゅっ……」
息苦しいけど、ずっとこうして触れ合っていたい。長い長いキスの後、満足したのか離れようとするアイツをぎゅっと抱き締めて、ねだるようにもう一度唇を重ねる。
驚いたように目を丸くしているアイツに、掠れた声で「もっと」と囁けば、珍しく余裕が無さげにふっと笑った。
なんだ、そんな顔も出来んじゃんか。
「はぁっ、……好きにしていいから」
「っ、あまり煽らないでください」
「だーもう、煽ってんだっつーの」
「……もう、後でちゃんと説明してもらいますからね」
そう言いながら首筋に噛みつかれ、甘い痛みに身体が震える。鋼の身体に跡なんか付かねぇけど、何度も何度も吸い付かれ、気分が高まる。
「あっ、んぅっ……痛ぇ、って」
途切れ途切れに呟くが、アイツは止まらない。両腕を掴んでいた腕を離されたかと思えば、装甲の縁をなぞるように撫でられびくんと身体が跳ねた。
「ブートヒルさん、先に謝って置きます。何故だか今日は加減出来そうにない」
「っ、……ハッ、上等だ。天国見せてくれよ、ダーリン?」
なんだ、ちゃんと薬効いてんじゃん。声が震えないように気を付けながら、なるべく何時もの調子で更に煽る。……後々後悔するとも知らずに。
腹を撫でていた指が、ズボンに掛けられる。脱がすのかと思って腰を浮かせば、そのまま雑にズボンを下ろされた。なんでそんな軽々持ち上げられるのかは知らねぇが、脚を持ち上げられ開かせられる。もうすでに濡れているのが自分でもわかって、もう何度も見られていると言うのにカッと顔が熱くなった。
「っ、」
アイツの綺麗な顔がそこへと近付いてきて、何をしようとしているのか一瞬で理解してしまった。これから来るであろう快感に、腰が震える。
普段だったらまず許しを得ようとするのに、アイツは無言のままだ。あっと思った時には、陰核に相当する突起を舌で舐ぶられた。
「ひっ、ぃ!」
唾液をたっぷり絡めた舌が、突起をぐりぐりと刺激する。腰が溶けそうなくらいの快感に、咄嗟に背を反らして快感を逃がそうとするが、逆に顔に股を押し付けるような格好になってしまった。逃れようにもがっしりと両脚を掴まれ、びくともしない。
「はぁっ、あっ……!まっ、やぁっ!」
「待ちません」
「あ゛っ、んっ!」
滲み出る分泌液を啜りながら、突起を甘く食まれビリビリと背筋を電流のような快感が駆け抜けていく。気持ちが良い、良すぎて怖い。
「ひ、ぃ!ん゛ん゛っ!イっ、いくっ」
「どうぞ、たくさん気持ちよくなってください」
「~~~~っ!」
絶頂にびくびくと身体が震える。薬と酒が入ってるからか、普段より早い気がするがまぁそれは置いておいて。蕩けるような余韻に浸っていると、アイツが動いた。
休む間もなく責めが継続されたのだ。
「~~~~っ、あ゛ぁっ!いまイって、ぐぅっ!」
「貴方が言ったんですよ?天国を見せてくれって」
確かに言ったけど!あ、駄目だ。こいつ、止める気がねぇ。分泌液の滴る蜜壺に舌先を差し込まれ、入り口を拡げるようにぐりぐり刺激され、ぞくぞくと鳥肌が立つ。いや、この身体にそんな機能はねぇからそう言う感覚だけだけど。
「ひ、う!ん゛あ゛っ、あ~~~っ!」
自分でも信じられないくらい媚びきった声が勝手に口から溢れ落ちていく。気持ちが良いけど、良すぎてキツい。休ませて欲しくて、でも煽った手前なんて言って良いかわからずただ快感を享受する。
「ふふっ、貴方のここ、きゅうきゅう絡み付いてきて離してくれないですよ」
「はぁっ!そこで、しゃべんなっ!あっ、あぁ……っ!」
吐息が当たって擽ったくって、でもそれすら興奮の材料に過ぎなかった。早く繋がりたくって身体が焦れる。身動ぎをして誤魔化そうとするが、そんなんじゃどうにもならないくらい自分が一番分かっている。
「アルジェンティ、」
「ああ、早く貴方の中に入りたい……」
うっとりと呟かれた言葉に、思わずナカをきゅうっと締め付ける。そんな声、反則だろ。
「ならはやくっ」
「でも駄目です。もっとぐずぐずになってください」
「なっ、アンタだって辛いだろ!?」
「僕の事は気にしないでください。これはお仕置きも兼ねているので」
「仕置きって、なんでだよっ、」
「貴方、お酒に何か入れましたよね?生憎僕にはあまり効かなかったみたいですけど」
マジかよ。ははっ、バレてら。
「なんでそんなことをしたのかの理由は聞きません。でも誰かに唆されたならしっかり分からせないと。そうでしょう?」
そう言うと、アイツはだらだらと雫を垂らす蜜壺に指を挿入した。
それから小一時間責めは続いた。焦らすように絶頂もお預けされ、もはや口からは意味のない単語の羅列が唾液と一緒に溢れ落ちていくだけだった。
「お゛っ、♡♡あ、あ゛♡♡」
ぐちゅぐちゅと指が挿入されているところからいやらしい水音がする。抵抗する気力すらなくなった頃、抱き抱えられ場所をベッドに変えて責めは継続されていた。
良い匂いのするシーツは分泌液やらなんやらでびしょびしょになっていて、その責めの激しさを知らせていた。
苦しいのか、気持ち良いのか、或いはその全部か。言葉通りぐずぐずにされた状態ではわからない。
「ある、じぇんてぃっ♡♡もっ、ゆるしてっ♡♡」
「ふふっ、こんなに濡らして、可愛らしい……。許しても何も僕は怒ってなんかないですよ?」
耳元でそう囁かれ、カッと顔が熱くなる。今まで気にしてなかったけど、良い声だな。こんなタイミングで知りたくはなかったけど。
「あ、♡♡ごめ、なさ♡♡アンタの、余裕のない顔が♡♡っん゛みたくてっ♡♡♡」
「ああ、随分と可愛らしい理由だったのですね。僕は貴方相手なら何時だって余裕なんかなくなってしまうというのに」
頬にキスを落としながら純美の騎士は言う。その瞳は確かに欲に濡れていた。良かった、嫌われたかと思ったけど、そうじゃねぇみたいだ。嬉しくって思わず口角が上がる。
「反省したからぁ♡♡、もっ、こんなことしねぇ♡♡♡あ゛っ、はやくっ、♡♡♡ちょうだいっ♡♡♡」
腰をゆるゆると揺らし、おねだりをする。当初の目的も忘れて、もう楽になりたい。それしか頭になかった。
「ふふ、良いですよ。僕ももう限界です」
分泌液でふやけた指を引き抜かれ、身体がびくんと反応する。自分でそこを指で拡げながら、その瞬間を今か今かと待つ。
アルジェンティがスラックスを下ろすと、えぐいくらい勃ち上がったそれが現れてつい息があがる。
「はっ、♡♡はっ♡♡」
犬のようだ、と自分でも思うが、それどころではない。早くその槍で貫いて欲しくて、ゆるゆると腰を動かす。
「挿入しますよ」
必死に頷きながらその瞬間を待つ。ゆっくり、アイツのでかい陰茎が挿入ってきて、溶けきった頭が喜びでどうにかなってしまいそうだ。
「あるじぇんてぃっ♡♡♡すきっ♡♡♡」
「っ、貴方という人は……」
感極まって言うつもりのなかった言葉まで溢れ落ちた。あれ、今オレ何て言った?でも、アルジェンティが嬉しそうだからいいか。
補食でもするように喉元に齧り付かれ、思わずナカを締め付ける。するとアイツが短く唸った。とても長い時間をかけて、陰茎が挿入される。いっそ、一気に挿入れてくれて良いのに。そう思うが、多分だけどアイツはしないだろう。
「あ、♡♡はいってきてる♡♡♡」
うわ言のように呟きながら、時たま揺さぶられその度にイキ散らす。何をしても気持ち良くて、頭がおかしくなりそうだ。
こつ、と奥に先端が当たった感触があって、アイツが一息つく。ぽっかり空いた穴が満たされたような感覚に、ぽたりぽたりと目から水が滴っていた。そんな機能はねぇはずなのにな、壊れちまったのかもな。
「大丈夫ですか?ブートヒルさん」
声も出せなくてこくこくと頷くと、唇にキスを落とされた。それを当たり前のように受け入れる。口を少し開ければ、舌が入り込んできた。しがみつきながら夢中で温かい舌を味わう。
アイツがゆっくり腰を引いて、ずるずると出ていく感覚に全身を震わせた。抜けきるギリギリのところまで引き抜くと、そのまま奥まで叩きつけるように挿入され背を弓なりに反らした。
「あ、あっ♡♡♡あ゛っ、はぁっ♡♡きもちいっ、♡♡」
「よかった。僕も気持ちいいですよ」
「あるじぇんてぃっ、♡♡これっ♡♡駄目になるっ、あっ♡♡んんっ、♡♡♡」
「ふふ、駄目になって?」
「お゛~~~~っ!♡♡」
手と手を絡めるように組みながら、ただただ喘がされる。きゅうきゅうナカを締め付けながら、最奥にぐりぐりと先端を押し付けられ、目の前がチカチカ明滅した。あっ、これヤベェかも。
「ブートヒルさんっ、好きです」
「っ、あ゛!♡♡♡おれもっ、♡♡すきっ♡♡♡」
ぼんやりした頭で、好きという言葉を反芻する。何度も何度も。一瞬の夢に過ぎないと言うのに。
それでも構わないとさえ思っちまったんだから、どうしようもない。
一際大きく身体を跳ねさせて、深い深い絶頂を味わう。ぎゅっとナカを締め付ければ、アイツは小さく呻いて最奥で果てた。びゅくびゅくと子をなせるわけでもないそこが種を受け入れる。ああ、こんなの不毛だ。
「すきっ、♡♡あ~~~~っ、♡♡♡」
それでもこの感情を止められはしなかった。ふわふわとした余韻の中、身動ぎをする。降らされたキスの雨に、柄にもなく幸せだなんて思ってしまった。
「ブートヒルさん」
眠りに落ちそうな浮遊感の中、名前を呼ばれる。何時もなら後は身体を清めて終わりなはずだ。申し訳なさはあるがこのまま任せてしまおうとずるずると陰茎が出ていく感覚に身体を震わせながら目を閉じたその時、ごちゅっと奥まで貫かれ衝撃で思わず目を見開く。
「~~~~っ!♡♡♡なっ、あ゛っ!♡♡」
「もっと、貴方を味わっていたい。ああ、僕にも薬が回ってきたみたいです」
死刑宣告にも似たその一言と、見たくてしょうがなかった必死に耐えている顔に、感情がぐちゃぐちゃになる。
「かはっ♡♡」
声にならない叫びを上げながら、強い快楽に身を震わせた。