スタレ
ああ、最悪だ。何時間飛んでた?起き上がろうとするが、横でスヤスヤと眠るアイツに身体をがっちりとホールドされ身動きが取れない。馬鹿力がよ。そう思いながら、アイツの顔を見る。
「ホント、綺麗な顔だな」
寝ている姿すら絵になるヤツなんて、中々いねぇぜ?燃えるような赤い髪を、梳くように撫でながら思う。疲れていたんだろうか、全然起きる様子のないアイツの首筋に顔を埋めればふわっとバラの香りがした。
その匂いを好ましいと思うようになってから、随分経った様に思う。最初口説かれた時は正気か?なんて疑ったし、その上こんなことをする仲になるなんて誰が思ったろうか。鉄の身体なんて抱いても楽しくないだろうに、一瞬の気の迷いだなんて思っていた自分が懐かしい。
昨晩の情の跡に吸い付きながら、目を覚まさないかと期待を込めて眺めるが、よほど眠りが深いのだろう。起きる気配は全くなかった。
それならそれでいいか、と自分の股に手を伸ばす。すでにしっとりと濡れたそこは、昨晩あれほど可愛がられたはずなのにまだ満足していないようだった。
「っ、ぅ」
そもそも知っての通り、オレはサイボーグだ。性欲なんて無いし、必要もねぇ。それでも繰り返しアルジェンティに抱かれる内に、オレの中の優秀なチップはそれをちゃんと学習しやがった。早い話が、欲しがりになってしまったのだ。
「っはぁ、んん……」
目を瞑り、アイツの匂いを吸い込みながら、陰核を押し潰す。びりびりとした刺激に、声が漏れそうになるのをなんとか我慢しながら貪欲に快感を欲しがるそこを慰める。本当は中に欲しいけど、指を挿入するのはまだ抵抗がある。アレだアレ、戻れなくなるような気がするから怖い。
「ぁっ、んんっ、」
上擦った声が勝手に漏れていく。息が荒くなってきて、限界が近いことを思い知る。分泌液がじわりと滲み出てきて指がヌルヌル滑るのがまた気持ちが良い。
「ある、じぇんてぃ……っ」
目の前で眠る恋人の名をほとんど無意識に呼ぶ。ふっと、瞑っていた目を開ければ、ばちりと力強い緑色と目が合う。
「……」
「おや、気付かれてしまいましたか」
「なっ!いつからっ」
「すみません、実は最初から……貴方が目を覚ましたので、どんな行動をするのか見ていたくて……」
ちゅ、と頬にキスを落とすと、アイツは腕の力を緩めた。このキューティーめ、初めっから起きてやがったのか。いい度胸じゃねぇか。そう文句を言おうとした口をそのまま口で塞がれる。
「んんーっ!」
キスで誤魔化そうったってそうはいかねぇぞ、なんて思うが、股に手を伸ばされすぐにどっかに飛んでいってしまった。
アイツの長い指がオレの手に絡み付く。そのまま揺さぶるように動かされ、強い快感が駆け抜ける。
「んっ、う〜〜〜っ!」
びくんと身体が大きく跳ねる。足をぴんと伸ばして、快感を逃そうと藻掻くが、アイツの手がそれを許してはくれなかった。
「ちゅっ、あ、んんっ!」
分泌液でヌルヌルになったそこに、ゆっくり指が挿入ってくる。昨日の今日だからかすでに柔らかいそこは、2本の指を容易く飲み込み、ぐちゅぐちゅと聞くに堪えない音を立てていた。
「ふふ、可愛いですね」
「んあっ……うるせぇっ、」
「ブートヒルさん、先程みたいに僕の名前を呼んでください」
耳元で名前を呼ばれ、思わず中をきゅうっと締め付ける。中途半端に高められた身体が熱くてしょうがない。至近距離で感じている様を観察するように見つめられ、居た堪れなくなって首筋に顔を埋める。
「アルジェンティ、」
「はい、どうしました?」
嬉しそうに弾む声に、おかしくなってくつくつ笑えば、不思議そうに首を傾げるアイツと目が合う。どちらからとも無く、何度も何度も触れるだけのキスをしながら好きだと呟けば「僕もですよ」と甘ったるい声で囁かれた。
「っ、アルジェンティ、早くっ、そのでけぇの突っ込んでくれよ」
「ふふ、いいですよ」
そう言うと、起き上がったアイツはオレの中から指を引き抜いた。すぐさま勃ち上がったそれを蜜壺に当てられ、これからもたらされる快感を思い出して頭がくらくらする。ああ、来る。
「はぁっ♡」
「愛しています」
「っ、」
そんな言葉が嬉しいだなんて、思ってもみなかった。長い夢でも見ているような幸福感に、夢ならどうか覚めないでくれなんて柄にもなく思う。
体重を掛けられ、ゆっくり先端が中に飲み込まれていく。浅く息を吐きながらなんとか意識を繋ぎ止める。
「は、あっ♡あるじぇんてぃ、♡」
アイツの背中に手を回し、ぎゅうっと抱き着いた。遠慮なんていらねぇから、好きに突いて欲しい。
「っ、あまり煽らないでください」
「そのまま理性なんざ飛ばしちまえよっ」
なぁ、ダーリン。そう耳元で囁けば、一気に奥まで陰茎を突っ込まれて、衝撃に目の前がチカチカと明滅する。
「かはっ♡」
「煽ったのは貴方ですからねっ、」
腰をがっちりホールドされ、無遠慮にどちゅどちゅと音を立てて何度も腰を打ち付けられる。激しすぎる動きに、目を白黒させながら揺さぶられるしか出来ない。
気持ちが良い。それこそ壊れてしまうくらいに。
「はぁっ♡あ゛あ゛っ、あるっ♡♡あるじぇんてぃっ♡♡う゛、あっ♡♡それきもちいっ♡♡」
「っ、ふーっ、ブートヒルさんっ」
これはヤバい。意識が飛びそうになる度、次の律動で引き戻される。終わりのない快感に、ずぶずぶと飲み込まれていく。ああ、なんやかんや今まで手加減されていたんだと気付いて、今更ながら後悔した。
「ん゛あ゛っ♡♡まっ、あ゛っ♡♡イクっ、いく♡♡〜〜〜〜っ!!♡♡」
気持ち良すぎてぷしゃっと分泌液が吹き出す。何度も何度も、奥を突かれる度に。ありもしないはずの子宮がずくずく疼いてしょうがない。
「っ、はぁ、乱れる貴方も可愛らしい」
「〜〜〜〜っ!♡♡♡まって、いった!♡♡イッたから♡♡とまっ、♡♡」
自分で煽ったんだ。簡単に止まってくれる訳なんてねぇのに、待ったが口から溢れていく。気持ち良い、良すぎて狂いそうだ。
「っ♡♡こわれるっ、♡♡ひあっ、♡♡〜〜〜〜っ!♡♡こわれちまうっ♡♡♡」
「こうなりたいって言ったのは貴方ですよ、」
「そうだけどっ、あ゛っ!♡♡♡いっ♡♡ん゛〜〜〜〜っ!!♡♡♡」
何度目の絶頂かもわからないそれをキメながら、ぎゅうっと中を締め付ければ、アイツが呻いた。奥でびゅくびゅくと精が吐き出される感覚に、そういやゴム忘れてたな、なんて思うが今更か。
「はぁっ♡♡♡あ゛、ぁ……♡♡」
今回はヤバかったな、なんて余韻に浸ろうとしていると、またばちゅんと腰が打ち付けられる。予想外の快感に、目を白黒させながら叫ぶ。
「な、♡♡あ゛〜〜〜〜っ♡♡なんれっ♡♡」
「まだ終わりませんよ。もう少し付き合っていただかないと」
何時もより低い声でアイツが囁く。それだけで中がきゅんきゅん疼いて、もっといじめてくれなんて言っているようだった。
「っん゛あ゛♡あるじぇんてぃっ♡♡」
「ふーっ……後ろ、向けますか?」
「わかった♡♡」
中から陰茎が抜かれたのを良いことに、逃げ出そうと動き出す。今しかチャンスはない。これ以上はマジで壊れる。
「ブートヒルさん?」
なんとか立ち上がろうとしたが、既に足腰は限界だったようで言うことを聞いてくれず、そのままベッドに倒れ込む。腰を掴まれ、そのまま尻を突き出すような格好にされた。
「今逃げようとしましたね。可愛い人だ」
「し、してねぇって、あ゛っ、♡♡」
ぱくぱくと寂しげに蠢くそこに、陰茎を穿たれ嬌声を上げる。先程とは違った所に当たって気持ちが良い。何も考えられなくなる。
「この体勢ならここも触れますね」
充電口に指を突っ込まれ、背筋を快感が走る。そんなところ触るなと言いたくて口を開くが、出てきたのは媚びきった嬌声だけだった。
「〜〜〜〜っ♡♡♡あ、ん゛♡♡ん゛っ、う♡♡♡」
「はぁっ、ブートヒルさん。好きです」
「あ゛っ♡♡♡ぐっ、う゛♡♡♡んあっ、!う〜〜〜〜っ、♡♡♡」
気持ちが良い。良すぎてもう喋れもしねぇ。意味のない言葉の羅列を吐きながら、明日身体が動くことを願った。
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