スタレ
アイツからメッセージが来た。律儀で生真面目なアイツは何かある度にメッセージを送ってくるが、今回はただ一言「貴方に会いたい」とだけだった。
珍しいこともあるもんだ。確かに、前回会ってから結構な時間が経っているが、それでも今までは純美がどうのだとか理由を付けて送ってきていたもんだから、これだけ短い文章だと違和感が勝つ。
アイツ、また碌でもねぇ事に巻き込まれたんじゃねぇだろうな。警戒しつつも居場所を聞き出せば、今いる場所のわりとすぐ近くの星で補給中だそうだ。それじゃあ会いに行ってやるかと腰を上げたのがつい数時間前。
そしていざ船についてみれば、いつもと何ら変わりのないアイツが出迎えてきた。
「ああ、ブートヒルさん!お久しぶりですね。会えて嬉しいです」
「なんだよ、全然平気そうじゃねぇか。てっきり何かあったのかと思ったぜ」
思ったよりも元気そうなアイツに、内心ホッとする。何かあったのではと思って飛んで来たが、どうやら杞憂だったらしい。
「で、どうしたんだよ」
「いえ……、久しく会っていなかったものですからつい……。その、メッセージを送ってしまった僕を許してください」
生真面目にも頭を下げるアイツに、ふっと口角が上がる。なんだよ、可愛いところあんじゃねぇか。上機嫌でアイツの頭をわしゃわしゃ撫でれば、ぽかんとした顔でこちらを見てきたので、手を引いてぎゅっと抱き締める。
「おら、せっかく来たんだ、アンタの好きなようにしろよ」
「っ!……いいのですか?」
「良いぜ?今日のオレは機嫌が良いからな!」
抱きしめ返され至近距離で目が合う。ホント、綺麗なツラしてるよな。そう思いながら見惚れていると、そっと唇にキスを落とされた。
「んんっ、なんだよそれだけか?」
「……貴方を抱きたい」
「ははっ、良いぜぇ!その気にさせてみな」
オレだって会いたかった、なんて言葉は敢えて言ってやらない。アルジェンティほどとは言わないが、巡海レンジャーなんてのは孤独な身だ。こうやって態々会いに行ったりするのが特殊なだけだ。
ひとしきり再会の喜びを分け合うと、手を引かれ通路を歩く。アイツの船に来るのは初めてだから物珍しくてキョロキョロ見渡していると、アイツが微笑んだ。
「ベッドルームはこちらです。準備をしてきますから、大人しく待っていてください」
そう言われ扉を開ければ、そこは思ったよりも質素なベッドルームだった。アイツの事だからもっとキラキラした、貴族が寝るような豪華な物を想像していたもんだから面食らっていると、とん、と背中を軽く押される。
「良い子にしていてくださいね?」
「たく、そう何度も言われなくても大人しくしてるっつーの。早く行ってこいよ」
にこやかに微笑むアイツを押し退けながら部屋の扉を閉める。しん、と静まり返る部屋の中、居心地が悪くてそわそわしながら、とりあえずベッドに腰掛ける。最初は質素だと思ったが、よくよく見てみればアイツらしい小物がこれまた几帳面に並んでいるのを見て、考えを改めた。ここはアイツのプライベートな空間だ。そこに入れてしまっている事を自覚した瞬間、かっと顔が熱くなる。
「……オレらしくもねぇ」
恋したてのティーンじゃあるまいし、こんな事でさえ嬉しく思ってしまった自分が嫌でベッドに寝転がればふわっとバラの香りが漂った。その香りを好ましいと思うのも、アイツのだからで……。
「ぎゃはは、こりゃ重症だな」
おかしくて、思わずくつくつ笑う。そんなに好きかよ、と自分に問いかける。答えだ?そんなのとっくに出てるだろ。
「お待たせしました!」
暫くベッドの上で脱力していると、黒いインナー姿のアイツが部屋に入ってきた。鎧を脱いだアイツを見れるのも、オレくらいなんだろうと思うと口角が上がっちまう。
「どうかしましたか?」
「ははっ、いいや?別に何でもねぇぜ?」
「そうですか?」
何も理解できていないであろうアイツは不思議そうに首を傾げた後、極々自然に覆い被さってきた。燃えるような赤い髪がオレの上に降ってきて、まるで檻の様だと思う。
「で、その気にさせてくれんだろ?」
アイツはふっと笑うと「任せてください」と吐息混じりに耳元で囁いてきた。その吐息が擽ったくて、思わず身を捩る。そのままこれ見よがしにピアスにキスを落とすと、脇腹を撫でられた。装甲の継ぎ目をなぞるようにアイツの手が行き来する。
「っ、」
「ここ、撫でられるのお好きでしたよね。こうやって優しくなぞると身体に力が入らなくなってくるでしょう?」
そんなの、触ってるのがアンタだからに決まってんだろ。言い掛けた言葉を飲み込み「うるせぇ」とだけ返す。
「また細かい傷が増えましたか?」
「ああ、最近カンパニーの連中とドンパチかましたからな」
「僕が言えたことではないのは承知の上ですが、あまり無理をなさらないでくださいね」
「おいおい、ダーリン。オレぁメンテナンスに来てんじゃねぇんだぜ?」
アンタに抱かれに来てんだよ。初めっからそのつもりでさ。そう囁き、アイツの口にキスをする。
驚いたように固まるアイツに、もっとキスをと強請るように鼻先を擦りつければ、アイツの目付きが変わった。
ちゅっと唇を吸われたかと思えば、アイツの舌が口の隙間から口内に侵入してくる。温かい舌に舌を絡め取られ、初めてでも無いのに必死で動きを合わせた。
「んんっ、ふっ……ちゅ、」
口内を蹂躙されているのに夢中になっていると、胸の装甲を撫でられる。金属パーツを指先でかりかりと刺激され、何とも言えない感覚に身体が跳ねる。
「はぁ、これだけ敏感だと心配になりますね」
「っ、う……アンタがそうやって触れやがるから、あ゛っ」
首筋に噛み付かれ、痛みに驚いて思わず声を上げた。絶対跡残るなこれ……見えるところに付けやがってと思う反面、アルジェンティにもそう言った所有欲の様な物があるのが嬉しく思う。
「ああ、もっと貴方に僕の跡を残したい」
「はあっ、んんっ……一々口にしてねぇで好きにしろよ」
それを聞いて、アイツは嬉しそうに笑うと、何度も何度も喉元に吸い付いて跡を残していく。それこそバラみてぇだな、なんて思いつつそれを受け入れていたが、やられてばかりじゃフェアじゃねぇよな。
アイツが離れたのを見計らって、オレもアイツの首筋に吸い付き跡を残す。
「ハッ、これでお揃いだろ」
「ブートヒルさん!」
「ぐっ、ギブギブ!アンタ自分の力の強さ忘れてねぇか!?」
ぎゅっと強く抱きしめられ、鉄の身体が軋む。流石に壊れやしねぇだろうけど、痛ぇもんは痛ぇ。というか力強すぎだろ。ゴリラかよ。
「す、すみません!つい……」
「はぁ、危うく地獄送りになるとこだったぜ。たく、ベイビーがよ……おら、仕切り直しと行こうぜ」
危うくそういう雰囲気が台無しになるとこだった。しゅんとしているアイツを優しく抱き締めれば、今度はちょうどいい力加減で抱き締め返してきた。
「こんな幸せでいいのでしょうか」
「いいだろ、今くらい」
ちゅっと音を立てて唇に吸い付く。何度も何度も。そうしていると、段々落ち着き掛けてきた熱が戻って来た。
「アルジェンティ、」
「なんです?」
「全部忘れちまうくらいめちゃくちゃにしてくれよ」
「っ!」
自分からズボンを脱ぎ捨て股を開く。薄々分かってはいたが、そこはしっとりと濡れていた。
「抱きてぇンだろ?」
「……、貴方って人は全く」
髪を掻き上げ、両足を掴んだアイツはあろう事か、そのまま股座に顔を近付けた。
「後悔しても知りませんからね」
アイツは聞いたこともないくらい低い声でそう呟くと、顔を股に埋めた。生暖かい舌が陰核を削るように舐る。
「っ、ぐあっ……っ!」
急な快感に思わず身体を逸らす。まさかアイツがそんなとこを舐めるなんて思わなかったから余計だ。
「はぁっ、んあっ!……ある、じぇ、っまって!」
「待ちません。これは誘った貴方が悪い」
「そこで喋んなっ、あ゛っ」
吐息がそこに当たって擽ったい。でも、それよりも気持ちよさが勝って、どんどん蜜が溢れていくのが自分でもわかる。
「んんっ、舐めても大丈夫なのかわかんねぇし!」
「特におかしい味はしませんよ。このくらい大丈夫です」
「腹壊してもっ……んんっ、知らねぇからなっ、あぅ、」
アイツの綺麗な指が唾液やら蜜やらの滑りを借りてゆっくりと挿入ってくる。ぐちぐち音を立てながら、拡げるように動かされ堪らず嬌声が漏れた。
「ん゛っ、あぁっ!」
「凄い音、聞こえますか?」
「あ゛、くっ!わかんねぇっ、」
「ふふ、こっちも慰めてあげましょうね」
ぷっくりと膨らんだ陰核を舌先で捏ねられ、ビリビリと強すぎる快感が背筋を走る。ナカが気持ち良いのか、それとも陰核が気持ち良いのか、あるいはそのどちらもか。余裕なんてなくなってしまった思考では、とてもじゃないがわからなかった。
「ひぃ!ん゛っ!どっちもはっ、やべぇっ!いくっ!」
離して欲しくて頭を押すが、そう簡単にアイツが離れることはない。
「や゛ぁっ!駄目だっ、イク、もっ、離し……、ん゛〜〜〜〜」
一度目の絶頂に、身体をびくびく震わせる。頭ン中が真っ白になって、きゅうきゅうアイツの指を締め付けていく。気持ちが良い、それこそ溶けてしまいそうなくらい。
「はぁっ……♡はぁっ、ん゛んっ、♡」
「ふふ、これなら2本目も挿入りそうですね。ほら、このざりざりしているところ。ここ擦られるの大好きでしたよね?」
もう、アイツが何を言っているのかも曖昧で、素直に頷くしか出来なかった。指も舌も全部気持ち良い。それしか考えられなくて、シーツにしわを残す。
「あ゛っ、はぁ♡そこっ、ごりごりされるのすきっ♡」
要望通り気持ち良い所を容赦なく押し潰され、目の前がチカチカ明滅する。口はもう嬌声を上げることしか出来ず、甘イキを何度も繰り返す。
「あ゛っ♡あるじぇんてぃ!♡はげしいっ、!♡♡」
「ブートヒルさんは激しいのがお好きなんですよね?」
じゅぽじゅぽと指を出し入れされ、堪らず舌っ足らずにアイツの名前を呼ぶ。助けて欲しい気持ちと、もっと苛めて欲しい気持ちとで揺れ動いていると、アイツの方が先に限界が来たようだった。
「これだけ柔らかければ大丈夫でしょうか?」
誰に問うでもなくアイツは言う。ちゅぽっと水音を立てて指を引き抜くと、分泌液でアイツの手がふやけていた。
「っ、んんっ♡♡」
アイツが身を乗り出し、スラックスを下着ごとずり下げると、立派な陰茎が顔を出した。相変わらずデケェなと思うと同時に、本当に挿入るのか心配になる。もう何度も抱かれているのにな。そう心の中で笑う。
「なぁアルジェンティ、今日はゴムしなくていいぜ?生でくれよ」
サイドチェストからゴムを取り出したアイツを見て、思っていることをそのまま口から出す。
するとアイツは、予想外だったのか動きを止めた。今日はそんなんばっかだな、と思わず口角が上がる。
「っ!……今日の貴方は積極的ですね」
「オレだって、アンタと会えなくてそれなりに寂しかっただぜ?」
「……、加減が出来なくなってしまいます」
「上等だ、来いよ」
アイツももう我慢の限界だったのか、ゴムをサイドチェストに置くと、ゆっくり蜜壺に押し当ててきた。
「挿入れますよっ」
「っ、あ゛♡♡」
質量のある塊が、ゆっくりと肉を掻き分けて挿入ってくる。今までアルジェンティに何度か抱かれたが、ゴムなしは初めてだったななんて思い出し、ひとり興奮がした。
「くっ、」
「はぁ、やっぱ感覚違ぇっ♡♡」
「ナカ、すごく熱いですね。きゅうきゅう締め付けてきて……ふふ、可愛い人だ」
思ったよりも余裕のあるアイツにほんの少し腹を立てながら、自分から腰を揺らす。
早く奥まで突いて欲しい。そう思うことは裏腹に、アイツはゆっくりゆっくり焦らすように挿入してくる。
「っ、あるじぇんてぃ、早くっ、♡♡」
快感を強請るように、アイツにしがみつく。あまり強く掴んでしまうと怪我をさせてしまうかもしれないと思ったが、正直それどころではなかった。
「ほら、もう少しで全部挿入りますよ」
「っ、♡♡お゛っ、ん゛んっ!♡♡はらんなかっ、くるしっ♡♡」
ぐぽぐぽと卑猥な音を立てて飲み込まれていくそれが動くのを、今か今かと待ちわびる。
「動いても大丈夫ですか?」
「だい、じょぶっ♡♡はぁ、あ゛♡♡」
アイツのバカでかい陰茎が引き抜かれていく。ぞわぞわと鳥肌が立ち、快感で頭がバカになりそうだ。
「ぐぅ〜〜〜〜っ、♡♡」
まだ引き抜いただけなのに、それだけで甘イキをキメる。気持ち良い。気持ち良いを通り越して怖いまである。
ぱん、と肌がぶつかる音がして、一気に挿入されたんだと気付いた。瞬間、バチバチと目の前が明滅して、とてつもない快感に襲われる。
「あ゛〜〜〜〜っ、!♡♡♡」
「ここがいっぱいになるまで……注いであげますね♡」
腹を撫でながらそう囁くアイツに、酷く興奮した。