スタレ
ソファに腰かけているアイツにもたれ掛かるように体重をかけると、そのまま膝の上に転がされた。
アイツの手が腹に触れる。柔肌でも撫でるような優しい力加減に感心しながら、その感触が気持ち良くて溶けそうになる。ふっと微笑む優しげな表情とは対照的に、その瞳には欲がギラついていた。
どうして金属の塊である自分にそんな風に欲情出来るのかは未だ理解に苦しむが、何を言っても聞かないバカ正直なコイツのことを、気付けばオレも好きになっていた。
触っていない方の手を取り、甘えるようにすり寄ってみる。そうするとアイツは耐えるように「ん゛っ」と小さく唸ると、擽るように脇腹を撫でる。
「うあっ、」
「ブートヒルさん、貴方を抱きたい」
ストレートな物言いに、思わずぶわっと顔が熱くなる。その間も手は身体を這い回り、勝手に高められていく。
「っ、そんなに抱きてぇの?」
「駄目ですか?」
「う、」
捨てられた子犬のような顔でそう聞かれ、思わず良い淀む。オレはこの顔に弱いんだよなぁ……。なんと言うか、何でも言うことを聞いてしまいたくなる。
「……いいぜ、抱けよ」
「!」
ぱっと明るくなったアイツの顔に、思わず吹き出す。相変わらずわかりやすすぎるだろ。まぁ、求められて嬉しくないわけないし、久々に会うんだ。期待していないと言えば、そりゃあ嘘になる。
ふっと微笑んで、半身を起こし唇を重ねる。何度も何度も確かめ合うようにそうしていると、アイツの顔が赤くなっていって面白い。
「ぎゃははっ、ホントに面白ぇヤツ。で?ソファでするワケ?」
「そんな、ベッドまでお運びしますよ」
そう言うとアイツはオレのことを軽々と持ち上げた。いつも思うけど、なんでそんな涼しいツラで持ち上げられるんだよ。いくら軽量化されたボディとは言えそれなりの重さがあるはずだ。ホント、馬鹿力。
「なぁ、アルジェンティ」
「どうかしましたか?」
「……なんでもねぇ」
ベッドルームへ運ばれている間、アイツの顔をぼんやり眺める。何度見ても面が良い。こんなんじゃ引く手あまただろうに、なんでオレみたいなのに構うんだろうか。とまで考えて、それ以上はやめた。こんなオレを好きだと言ってくれたアルジェンティに悪いからな。
扉が開いて、見慣れたベッドルームに連れ込まれる。アイツはオレを優しくシーツの海に下ろすと、余裕のない顔で覆い被さってきた。
「いつになく余裕無さそうじゃねぇか」
「う、すみません……嬉しくってつい。暫く会えませんでしたから。……一人でいる時はいつも貴方のことを考えていました」
「……そうかよ」
嬉しくって思わず口角が上がる。だって、あの純美の騎士様が、だぜ?
「それならたっくさんサービスしてやらねぇとな」
ちゅっとわざとらしく音を立てて唇に吸い付けば、耳まで赤く染めたアイツがそのまま口の隙間に舌を差し込む。迎え入れ感触を楽しむように舌を絡み付かせれば、どちらともわからない唾液が顎を伝い落ちていく。
「んんっ、ふぁ……うぅっ」
息継ぎをしながら、うっとりとその快楽に酔いしれる。触れ合っているところが熱くて、気持ちが良い。身体を這い回る手が、いたずらに胸のネジを掠めて、ぞわりと鳥肌が立つ。そんなところ気持ちいいワケないのに、それでもそこを性感帯だと教えられた身体が勝手に跳ねる。
「うあ、それっ、やだ……わかんねぇからっ」
「わからない人の顔じゃありませんよ。ほら、気持ちいいでしょう?」
「んんっ……、ゆび、やっ……んあっ」
指先でカリカリと引っ掻くように刺激され、耐えられず声が漏れる。気持ちいいけど、そんなんじゃイけない。切なくて、無意識に脚同士を擦りあわせる。
「アルジェンティっ、」
「ふふ、可愛らしいですね。こうされるの、気持ちいいって顔してますよ」
「ひゃ、あっ!んんっ、」
ちゅ、と音を立てて首筋に吸い付かれ、擽ったさに身を震わせる。つーっとわざとらしく装甲の継ぎ目をなぞる指に翻弄されながらも、アイツの背中に腕を回し、しがみついた。
「はぁっ、アンタだってしんどいだろ?っ、んあっ……、早くこっちも触ってくれよ」
そう言って脚を開くと、アイツの視線がそこに集中するのがわかる。こんな格好、恥ずかしくってしょうがねぇけど、アンタだけになら見せてやるよ。
「ほら、」
誘うように腰を揺らせば、小さく唸る声が聞こえた。それを可愛いと思うんだから、オレも相当来るとこまで来てるなと思う。
「あまり煽らないでください……加減が出来なくなる」
「いいぜ?なぁ、もっとオレのこと求めてくれよ」
耳元でわざとらしく吐息混じりに囁いてやれば、小さなため息が聞こえた。
「貴方って人は」
ズボンを下ろされ、股を守っていた物がなくなる。すでに期待で蜜を垂らすそこに、アイツの指が触れて、じくじくと疼きだした。
「ふふ、もうこんなに濡らして……期待しましたか?」
「っ、聞くんじゃねぇ、あ゛っ」
言い終わる前に、蜜を絡ませた指が陰核に触れる。指先でやさしく押し潰すように刺激され、目の前がチカチカ明滅した。
「あぁっ!ん、っはぁ……それぇっ」
そうされると、すぐに気持ち良くなってしまう。ナカにも欲しくて、ほとんど無意識に腰をかくかくと揺らすが、アイツは見て見ぬふりをしてそのまま陰核を刺激し続けた。
「や、あ゛っ……!ひっ、」
「気持ち良さそうですね。……ほら、乱れる様をもっと僕に見せてください」
身を捩り、なんとか快感から逃れようとするがそれを許してくれるはずもなく。体重をかけて押さえつけられると、勃ち上がったそこを摘ままれた。
溶けてしまうような快感に、じわじわと追い詰められていく。
「んう、まって!それ、いくっ……」
「良いですよ、ほら……」
「やあっ!指、なかにほしっ、うぅっ!」
言葉をなんとか口にするが、そのまま唇を重ねられて喋ることすら儘ならなくなる。しこり立った陰核を剥かれ、敏感なそこが露出した。やさしく摘ままれて、耐えきれず背を反らす。
「ぐぅ、んん~~~っ!」
イッてる。全身がつっぱって、身体が脈打つように跳ねる。それなのに喋れないのを良いことにアイツは陰核を苛めることを止めなかった。
「ふぁ、ぁん~~~~っ♡♡」
ほっとかれているナカがじくじくと疼く。入り口が絶頂する度ぱくぱくと開閉して、切なく蜜を垂らす。早く触って欲しい。ナカに突き入れて、何もわからなくなってしまうくらい滅茶苦茶にされたい。
「はぁっ、ブートヒルさん……」
熱っぽく名前を呼ばれ、それにさえ身体が反応する。助けて欲しくて、すがり付きながらすんすんと鼻を鳴らした。
「んんっ!なぁ、あるじぇんてぃ!はやく……ナカに欲しいっ♡♡」
「ふふ、こっちも苛めてあげましょうね」
「あ゛っ、ん♡♡♡」
ちゅっと頬にキスを落とされ、とろとろと溢れた蜜を指に絡ませるとナカにゆっくり挿入された。ぞわぞわと鳥肌が立って、待ちわびた刺激に喘ぎながらアイツの背中をがりがりと引っ掻く。ぽたりぽたりと冷却水が目から落ちていって、目の前が揺らいだ。
「んんっ、♡♡う、ぅ!♡♡あ゛んっ♡♡」
「ブートヒルさん、可愛いです。もっと欲しがって?」
「はぁっ♡♡アルジェンティ、きもちいっ♡♡」
ぐちぐちと音を立てながら指を出し入れされ、どうしようもなく乱れる。気持ちがいい、こんなの溶ける。やだ、でも、もっと欲しい。身体がもっと気持ちいいのを知っているから、つい求めてしまう。
いつの間にか増やされた指をぎゅうぎゅうと締め付けながらキスをねだった。
「んんっ、なぁっ♡♡キス欲しいっ♡♡」
「ふふ、良いですよ」
必死で息継ぎをしながら、蕩けるような快楽に堕ちていく。蠢く指が良いところを掠めて、目の前が真っ白になった。
「ぅ~~~~っ♡♡♡」
かくんかくんと身体が跳ねる。何度イったのかももうよくわからない。ただ目の前のアイツと、オレだけの世界。それ以外何もないとまで錯覚してしまうような快感に飲まれていく。
三本目の指が挿入され、ぐぱぐぱと孔を拡げるような動きに翻弄される。
久々だからか攻めがねちっこい。何時もみたいにキューティーが、なんて吐く余裕もなく乱されはくはくと口を開いたり閉じたりを繰り返した。
「はぁっ、もう、我慢できそうにありません」
「あ゛、ぁっ!♡♡♡いくっ、いっちゃ♡♡♡ん゛~~~っ!♡♡アルジェンティ、はやくっ♡♡んあっ、アンタが欲しいっ♡♡」
なんとかそう言葉を吐き出すと、ぎゅっと抱き締める。アイツは一瞬嬉しそうに微笑み、指を引き抜いた。
「んあっ、♡♡♡」
「少々お待ちください、今ゴムを……」
「やだ♡♡ゴムなんざいらねぇから、♡♡♡はやくぅ♡♡♡」
アンタの、奥で出して?そう囁けば、アイツは顔をかあっと赤くして一瞬躊躇った後にゴムを投げ捨てた。
「後でちゃあんと綺麗にしますからね♡」
耳元でアイツが囁く。それにさえ感じてしまう身体を憎く思いながら、脚を限界まで拡げ渇望する。
「っ、はぁ♡♡」
くぷぷ、と音を立てて先端がナカにゆっくりと飲み込まれていく。浅いところで慣らすように動かされ、甘イキを繰り返しながら喘いだ。
「っ、♡♡んんぅ!♡♡おく、切ないっ♡♡」
「待って、くださいっ」
無意識にナカをぎゅうぎゅう締め付けてしまって、どうしたら良いのかわからなくなる。助けを求めるようにアイツにすり寄れば、優しく頭を撫でられた。
「ふぁっ♡♡、あぁ♡♡」
「ほら、ゆっくり息を吸って、吐いて?大丈夫ですから、ね?」
落ち着いた声でそう囁かれ、不思議と身体から力が抜けていく。ゆっくりと陰茎に身体を拓かれ、良いところに当たる度身体をびくびくと跳ねさせた。
気持ちいい、良すぎておかしくなる。
「あるじぇんてぃっ♡♡なか、きもちいっ♡♡」
「良かった。僕も気持ちいいですよ。ほら、貴方はここをこうやって擦られるのに弱いですよね?」
「ぉ゛っ♡♡♡」
とちゅっと音を立てて奥を突かれ、がくがくと脚が震える。もうこの時には何が何だかわからなくって、されるがままに揺さぶられた。
「ぐっ、♡♡お゛っ♡♡♡~~~~っ!♡♡」
「ブートヒルさんっ、」
ぷしゃっと冷却水が潮のように吹き出し、アイツの腹を汚す。ぱんっと、肌がぶつかる音が部屋に響いて、でもそれすら遠いように感じる。
「あるじぇんてぃ、♡♡すきっ、♡♡ぐぅ~~っ!♡♡すきだっ!♡♡」
「僕も貴方のことが好きですっ!」
小さくアイツが呻いて、びゅくびゅくと腹の奥に熱いものが吐き出された。多幸感に酔いしれながら、蕩けきった顔で殆ど無意識に腹を撫でる。
ははっ、すげぇ量。
「はぁ♡♡♡はぁ♡♡」
「ブートヒルさん、まだ、貴方を味わっていたい」
額と額をくっつけてそう囁かれ、思わずぎゅうっとナカを締め付ける。
「オレも、もっとアンタが欲しい」
へにゃりと笑い、途切れ途切れに言えば、ナカのそれがまた大きくなった。どちらからともなく唇を重ね合い、脚を絡み付かせると、律動が始まる。目の前の筋肉に思わず噛みつけば、口の中に血の味が広がった。