ルクエド



 ベッドの縁に腰掛けたあいつはにこやかに笑うと、腕を広げておいで、と俺を呼んだ。
 行かないという選択肢を選べたはずなのに、どうしてかあいつが言う通り、膝の上に座る。

「いい子だな」

「っ、」

 耳元で熱っぽく囁かれ、ぞわぞわと甘い痺れに身体が震えた。温かい大きな手が膝や内股を撫で回し、思わずぎゅっとあいつの服を掴む。呼ばれた段階でこうなることは分かっていたのに、心臓が煩いくらいに高鳴ってしょうがない。

「うっ、んん……」

 まだ撫でられているだけなのに、声を抑えることが出来ない。何とか耐えようとするも、くぐもった声と吐息が抑えられない。
 脚を撫で回していた手が、そのまま焦らしでもする様に上がってくる。剥き出しの腹を撫でられてれば、身体がびくりと跳ねた。
 
「ふふ、可愛いな」

「っ……別にっ!かわいく、ない!」

 余裕なんて物は端からなく、はぁ、と熱い息を吐く。
 手が胸に差し掛かり、そのまま期待で半勃ちになった両の突起を擽るように撫でた。

「あっ!……っ、やっ……!」

 焦らすように縁を撫でられ、堪らず声を上げる。きゅっと目を閉じあいつの肩にもたれ掛かった。早く過ぎ去ってくれ。そんなことを思いながら、服を掴む手に力が入る。縁をなぞるもどかしい刺激に、少しずつ追い込まれていた。

「っ、くそっ……ぅっ、あっ」

「大丈夫か?」

 そんな気などないみたいな素知らぬ態度で突起を撫でられる。きっと、ちゃんと触ってほしいと口で言わせたいんだろう。その手に乗ってやるもんか、と奥歯をぎゅっと噛みしめる。

「はぁっ、んんっ……う〜……」

 我慢しようと思えば思うほど声が漏れた。神経がそこに集中でもしてしまったかのように敏感になっていく。ちゃんと触って欲しくて、殆ど無意識に身体を動かすと、勃ち上がった突起に指が触れた。

「ああっ!」

 瞬間、快感が背筋を駆け抜けていく。これは良くない。そう思ったが、もう止まれなかった。
 もはや動いてはいない指先に、自分から突起を押し付け擦り付ける。

「あっ、ぅあ!っ、……んん」

「人の指でするの、気持ちいいか?」

「っ、うるせっ、言うなっ……!くそっ……早く触れよぉ!」

 耐えきれなくなって、喧嘩腰になりながらそれを強請る。プライドが邪魔するが、こんなの耐えられるわけがない。
 あいつは俺の悲鳴に近い訴えを聞くとにまりと笑った。

「仰せのままに、なんてな」

 きゅっと突起を摘まれ、大きく育ったそこを扱かれる。急な刺激に、ビリビリと電流でも流れたように強い快感が押し寄せてきて、散々焦らされたそこが歓喜した。

「ああっ!んぐっ、うっ!きもちいっ、あっ!」

「はは、素直に言えて偉いぞ。ここ苛められるの好きだよな」

「っ、べつにっ!あっ、やぁっ……!」

「説得力ないんだよなぁ」

 ぎゅっと服を掴み、与えられる快感に酔いしれる。扱かれていた突起をこりこりと押し潰され、身体が面白いくらい跳ねた。
 気持ちいい、でも、もっと刺激が欲しい。そう思うと、殆ど無意識に緩く勃ち上がった陰茎を布の上からずりずりとあいつの太腿に擦り付ける。

「こら、勝手に気持ちよくなったら駄目だろ?」

「っ、だって……、あっ、んっ」

 両手で腰を掴まれ、もどかしさに焦れる。何とかしてほしくて、あいつの顔を覗き込めばふふ、と微笑まれた。
 そのまま力任せにベッドへ押し倒される。
 嗚呼、あいつの顔が近い。背中に腕を回し、触れ合うだけのキスを何度もする。ちゅっと音を立てて吸い付かれ、舌に促されるままに口を開いた。

「んんっ、はぁ……あっ、う……っ」

 好き勝手に舌に蹂躙される。ついていこうと必死で舌を絡めながら、胸の突起を弾くように刺激され、くぐもった声が口の隙間から漏れた。
 じわじわとだが、確実に追い詰められていく。ぐにぐにと胸全体を揉みしだかれ、半泣きで縋り付いた。
 
「んっ、ふぁ……やだっ、下触ってほしっ、」

「ここだけでもイけるだろ?」

「ああっ、んっ!変になるからやだぁ……、」

「っ、可愛いな。責任取るから変になっちまおうぜ?」

「ばかっ、ぐっ、ああっ!」

 じゅっと胸の突起を吸われたかと思えば、優しく甘噛みをされてそのまま果てた。
 最悪だ。下着の中で広がる粘度の高い液体に不快感を感じ眉間に皺を寄せる。
 
「はぁっ、はぁっ……、っ、ぅ」

「よしよし、気持ちよかったな」

 余韻に喘いでいると頬にキスを落とされ、その刺激にすら震える。興奮しきった声で「続き、してもいいか?」と耳元で囁かれ、腹の奥がきゅんと疼いた。

「……っ、くそっ……早くしろよっ!」

 自分から下着ごとスキニーを脱げば、ふふっと微笑まれた。人の気も知らねぇで、くそが。なんて思いながら睨みつける。

「そんなに見つめんなって」

「睨んでんだよ、ばぁか」

 首筋に吸い付かれ、ちりっとした痛みを感じる。また跡つけやがって、見られたらどうするつもりだ。
 仕返しにこちらも跡を付けようとするか、隙間から空気が漏れて上手く出来なかった。
 それでも何処か嬉しそうなあいつに苛つきながらも、萎えかけた陰茎に手を伸ばされ、思わず息を呑む。

「っ、」

「触られたがってたよな」

 急な刺激に、治まりかけていた熱が戻って来る。先走りを絡めて陰茎を扱かれ、気持ちよさに思わずあいつの背中に爪を立てた。
 
「はぁっ、んあっ……う、っあ!」

「気持ちいいな」

「あっ、ぅん!きもちいっ、やだぁ」

 喘ぎながら必死で頷く。でも、確かに気持ちいいけども、その、何かもの足りない。
 嗚呼、後ろが寂しいなんて、気付きたくなかった。

「っ、なあ……後ろっ、欲しい」
 
 息も絶え絶えにそう伝えると、あいつはにんまり微笑んだ。耳元で熱っぽく「そんなに欲しいのかよ?」と囁かれ、羞恥で顔が赤くなる。

「ん、ぁっ、欲しい……、ルークのが」

 半泣きになりながら、蚊の鳴くような声でそう呟けば、あいつの目付きが変わった。ギラついた目が、俺を見ている。捕食者のようなそれに、腹の奥がきゅんと疼いた。

「はぁ♡」

「っ、エロい顔」

 思わず熱い息を吐く。あいつは余裕がなさそうに、サイドチェストに手を伸ばすと、中からローションを取り出した。
 
「冷たかったらごめんな」

 ローションを絡めた太い指が、後孔にゆっくり挿入されていく。縁を伸ばすように拡げられ、待ち望んだ感覚に思考が蕩けた。

「あっ♡はあっ……、ンンッ♡」
 
「ははっ、可愛い」

「うっせっ、うぁっ♡」

 ゆっくり出し入れが始まる。ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立ててローションが泡立ち、その様にくらくらと目眩がする。良いところを掠めるように擦られ、一際大きな嬌声が漏れ出た。
 あいつはにやっと笑うと、見つけたそこを抉るように無慈悲に押し潰した。

「あ゛ぁ゛っ!♡♡」

 途端に気持ちよさが弾ける。がりがりとあいつの背中に爪を立てながら、それに耐えようとするがどうにもならなくってただ喘ぐしか出来なかった。

「うあ゛っ♡あっ、……ん゛ん゛っ!♡♡」

「はあっ、もうちょい我慢出来るか?」

「ん、出来る……ん゛あ゛っ♡♡」

 そう言い切る前に指が増やされる。2本の指を出し入れされ、ぞわぞわと鳥肌が立った。
 キスが欲しくて自分から強請る。ちゅっと音を立てて吸い付かれ、目を閉じた。

「ん゛んっ♡、ふぁっ……、♡う゛ぅ!♡♡」

「っ……ふふ、良さそうだな」

 鼻先が触れ合うくらい近くでそう言われ、言い返そうと口を開けるとそのまま舌を絡め取られた。
 ぞくぞくと快感が背筋を駆け抜けていく。嗚呼、これは溶ける。生理的な涙が頬を伝っていった。

「う゛ん♡♡……ふっ、ちゅっ……んんっ!♡」

 苦しくって胸を叩けば、ようやく解放された。あいつは息も絶え絶えな俺の首筋に噛み付くと、指を引き抜いた。
 
「はーっ、結構柔らかくなったしもういいか?」

「……っ!はやくきてっ♡♡」

「お前……、加減出来なくなるだろ」

「いいからっ♡♡っ、はっ♡大丈夫だから♡♡」

 息の荒いあいつのズボンに手を伸ばし、チャックを下ろす。手探りでなんとか陰茎を取り出し、ドクンドクンと脈打つそれを軽く扱けば、耳元で獣のような唸り声が聞こえた。

「はーっ、はーっ……お前っ」

「仕返しだばぁか」

 その馬鹿みたいにデカいモノが欲しくて、思わず生唾を飲み込むと、そのまま後孔に押し付けられる。
 嗚呼、来る。そう思った瞬間、力任せに一気に押し入られ、目の前がチカチカ明滅した。

「お゛お゛っ♡♡はいってきたぁ♡♡♡」

「っ、あーくそ……えろすぎんだろ」

 腰を両手で持たれ、ごちゅごちゅと奥を責められる。強すぎる快楽に、意識が飛びかけるのをなんとか繋ぎ止め、気持ちよさに喘ぎ散らす。

「あ゛あ゛〜〜っ!♡♡♡おくっ、だめっ♡♡すぐいっちゃう♡♡♡」

「これが好きなんだろ?」

「すきぃ♡♡♡すき、はぁっ♡♡るー、く……♡♡すきっ♡♡♡」

「はー、……俺だってちゃんと好きだぜ」

 もう何が何だか分からなくてあいつの背中にがりがりと爪を立てる。気持ちいいということしかわからなくって、バチバチと電流のような快感に頭がショートでもしてしまったみたいだった。

「いくっ♡♡イくっ!♡♡あ゛あ゛〜〜っ!♡♡♡」

 そう叫びながら、イキ散らす。陰茎からは精ではなく、無色透明の液体が奥を突かれる度ぷしぷしと吹き出して腹を汚した。
 それでも、あいつが止まることはない。

「い゛ってる!♡♡イってるから!♡♡♡ま゛って♡♡お゛かしくなる♡♡」

「煽ったのはエドだろ?」

「あやまるからっ♡♡奥はいっちゃ♡♡入っちゃう♡♡♡やだ♡♡♡だめになる♡♡♡」

「はは、駄目になっちまおうぜ」

「〜〜〜〜っ!!♡♡♡」

 ぐぽっと嫌な音を立てて先端が結腸に入り込む。瞬間目の前が真っ白になった。足をばたばたと動かし逃れようとするが、腰を掴まれているため逃れることは出来ない。

「お゛っ♡♡♡るーく、あ゛ぁっ!♡♡るーく♡♡」

 回らない舌で必死にあいつの名前を呼ぶ。気持ちいい以外考えられなくて、何度も意識が飛びそうになる。その度に、容赦のない結腸への責めで目を覚ました。

「ふっ、なんだ?」

「お゛お゛〜〜〜〜っ!♡♡♡はぁっ、きもちいっ♡♡♡もっ、しんじゃう♡♡♡」
 
「はあっ、死なせねえ……死なせねぇよ」

「あ゛ぁ゛っ!!♡♡♡い、ぐ♡♡いっちゃ、う♡♡♡」

「っく……!」

 最奥にびゅくびゅくと勢い良く精を吐き出され、何度目ともしれない絶頂をキメた。
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