ルクエド
「……、で?朝起きたら急に尻尾が生えてたって?」
「見たらわかんだろ」
そう言う彼の尻からは、ふっくらとした尻尾が生えていた。なんならふわふわの耳も生えている。あまり動物には詳しくないが、猫のような……いや、キツネかもしれない。とにかく獣のそれが、ぴょこぴょこと揺れていた。
「えぇ……本当に?」
「本当だって言ってんだろ」
恐る恐る手を伸ばせば、触られるのは嫌なのか手を叩かれた。なんだよ、ちょっとくらい触らせてくれてもいいじゃん。
「まぁ動いてるし……本物、なんだよな?」
「まだ疑うのかよ」
「そりゃあ、流石にな。で、心当たりは?」
「ない」
困りきった様子で言う彼に、その様子だとそうだよな、と思う。まぁ、割と何でもアリなこの世界のことだ。朝起きたら獣になっていた、なんてありえなくもない……のか?
「で、困ってうちに駆け込んできたと」
「こんなのどうしたら良いかわかるわけないだろ」
「それはそう」
俺だってどうしたらいいかわからねぇよなんて思いながら考える。まぁ、今できることと言えば様子を見ることくらいだろう。
「とりあえず今日はうちにいろよ。俺も今日は休みだし様子見ようぜ?」
「……おう」
居心地が悪そうにそわそわ落ち着きのない彼の肩を軽く叩き、ココアでも淹れてやろうとキッチンへ行く。ソファにでも座っていれば良いのに、後ろをちょこちょこと着いてきた彼の頭を一撫ですれば、尻尾をゆらゆら揺らした。嬉しいんだろうか?可愛いな。そう思いながら、慣れた手付きでココアを淹れる。
「ほら、これ飲んで落ち着けよ」
「ん……ありがとよ」
さっきより大振りに揺れる尻尾を横目に眺めながら、キッチンを後にすると、ソファに座り彼を呼んだ。
「エド、おいで」
ココアを零さないようにゆっくり移動してきた彼は横に座ると、テーブルにマグカップを置いた。
両手を広げれば、そのまま飛び込んできた彼を受け止め、抱き締める。
ぱたぱたと忙しなく揺れる尻尾が、感情を表していた。耳なんかぺったり平らになっちゃって、嬉しいって気持ちが前面に出ている。言ったら怒るだろうから内緒にしておこうと決めつつ、頭を撫でまわす。
「ルーク」
「ん?どうした?」
「構って……欲しい」
ふいっと視線を反らしながら呟く彼に、堪らなくなって思わずぎゅうっと抱き締める。
「っ、」
「可愛いな」
可愛いと言う度に尻尾が揺れる。ふわふわのそれを掴んでみたくなってそっと触れてみれば、身体をびくんと跳ねさせた。
「あ、悪い!痛かったか?」
「んっ、だいじょぶ……痛くない」
様子の可笑しい彼を心配し顔を覗き込めば、そのまま唇に吸い付かれる。
「っ!エド?」
「なぁっ、……抱いて?」
瞬間、辛うじて保っていた理性の糸が千切れた音がした。抱き締めた体勢のまま、剥き出しの首筋にしゃぶりついて跡を残す。その度にぴくぴくと震える彼が可愛くて、尻尾を優しく撫でる。
「んんっ、るーくっ」
「気持ち良い?」
「擽ってぇ……」
そう言う割に、とろんと目を潤ませながら寄り掛かってくるもんだから思わず頭を抱えた。繰り返し何度も尻尾を撫でれば、彼の息が乱れ始める。
「っ、はぁ……あっ、ぅ……」
「本当に生えてるんだな」
「だからそう言って、あっ!」
微かに勃ち上がった胸の突起を、空いている手でこりこりと押し潰せばすぐ嬌声が上がった。
「っ、はぁっ!んっ、う……あっ、どっちもはダメっ」
「良い、の間違いだろ?」
「んあっ、ぅ!んんっ、はぁ」
きゅっと目を瞑り堪えている彼の唇にキスを落とす。開かれた口の隙間から舌を入り込ませ、歯列をなぞる。応えるように差し出された舌をしゃぶれば、身体を震わせた。
「ちゅ、ぅっ……んっ、あっ……!」
必死に舌を絡めてくるのを愛おしく思いながら、尻尾の付け根に触れる。なんだっけ、前に尻尾の付け根を優しく叩くと良いって聞いた気がすると思い出し、その通りにすれば口の隙間から嬌声が漏れ出た。
垂れる唾液も気にせずに、貪るように深くキスを繰り返すと、胸を叩かれる。限界か、と思って離れてやると、息も絶え絶えの彼に睨まれた。
「はぁっ、はぁっ……!ばぁかっ!」
「可愛いな……ほんとに抱いていいのか?」
「っ、……何度も言わせんなっ」
もうすでに腰砕けになっている彼を抱きかかえ、ベッドルームへと運ぶ。シーツの海にゆっくり降ろしそのまま押し倒せば、キスを強請るように舌を出してきたので思わず頭を抱えた。
「ルーク?」
「いや、なんでもねぇよ」
そうだよな、そう教えたのは俺だもんな。誘われるまま赤い舌にしゃぶり付き、舌先を擦り合わせる。キスされてるのが嬉しいのか、尻尾をぶんぶん振っているもんだから微笑ましいやらなんやらで頬が緩む。
「んんっ、ふぅっ……」
くぐもった声も全部食らう勢いでキスに夢中になる。辿々しい動きも、何もかもが可愛くてしょうがない。ぷっくり反応している胸の突起もちゃんと可愛がってやろうと摘み上げれば、彼の身体がびくっと跳ねた。
「やっ、あ……んんっ!」
「はぁっ、可愛いな」
「う、うっせぇ……っ!」
首筋に噛み付くように赤い吸い跡を残しながら突起を刺激する。すっかり勃ち上がったそこを捏ねるように指を動かせば、身体をくねらせ快感から逃れようとするので押さえつけつつ、容赦なく責め立てる。
「っ、!ぅん、あっ!んんっ!」
「気持ち良い?」
「はぁっ、それきもちいっ、ん!」
いつの間にか背中に回された腕に力が入る。縋りつかれるのが嬉しくて、突起を口に含み舌先でころころと転がした。
「っ、あぅ……!」
「たくさん苛めてやるからな」
また、ぱたぱたと尻尾が揺れる。そうか、苛められるの好きか。まぁ知ってたけど。
「……んっ、うぅ!はぁっ、あっ!」
ぢゅうと派手に音を立てて啜れば、身体が撓る。それじゃあもっとって強請っているのと同じだぞ、なんて思いながら、もう片方の突起を抓れば軽くイったようだった。
「ん〜〜〜っ!、うっ……っひぁ!」
びくんと彼の身体が大きく揺れる。尻尾のせいで中途半端に下ろされたハーフパンツを脱がし、勃ち上がって先走りを垂らす陰茎を手で包み込む。
「っぁ!まって、」
「待たない」
先走りを手に絡め、容赦なく扱き上げる。にちゃにちゃといやらしい水音が薄ら明るい部屋に響き、それにまた興奮する。
「やぁ、あ゛っ!まっ、あ、すぐイっちゃうから!」
「ははっ、何度でも気持ちよくなろうな」
もうすでに焦点の合っていない目を覗き込み、何度もキスを落とす。たまにはこっちでもイかないと、可哀想だもんな。
「あ゛ぁ、う゛〜〜〜っ!」
先端を擦れば、彼はもう限界だったのかすぐにびゅくびゅくと白濁を吐き出した。それを受け止め、見せ付けるように舐め取る。青臭い独特の風味が口に広がって、鼻に抜けていく。その様を、彼はぼんやり眺めていた。
そのままサイドチェストに手を伸ばし、中から使いかけのローションを取り出すと、手に塗りたくる。
「後ろ、準備しようか」
「……んっ、わかった」
ころんと後ろ向きになると、彼は両手で後孔を見せ付けるように開いた。顔を赤く染めながらだぞ?どこで覚えたんだよそんなの。嗚呼、俺かなんて思いつつ。
「っ、早くしろよぉ」
一瞬動きを止めてしまったもんだから、不安そうに彼が振り向いてきた。
「ああ、悪い。見惚れてた」
ひくつく後孔に、ゆっくり指を埋めていく。引っかかる様子はない。慣れるまで浅いところで抜き差ししながら、項にも赤い吸い跡を咲かせていく。
「はぁっ、あっ、ん!うぅっ……」
身体をびくびく跳ねさせながら、腰をくねらせ可愛らしい声を上げる彼を、今すぐにでも無茶苦茶に抱いてしまいたくなる。でも、駄目だ。無理はさせたくない。
焦れながら、ゆっくり孔を拡げていく。いや、焦れているのは彼も同じか。涙目でチラチラこちらを見ている彼は、尻尾をゆらゆら揺らしながらその時を待ちわびているようだった。
「っ、るーくっ、まだ?」
「まーだ」
まるで子供がぐずっているようだな、と思う。いや、中身は子供なんだったな。じゃあ年相応か。ガキ扱いすると怒るから内緒だけど、なんて思いつつゆっくり後孔を慣らす。膨らんだ前立腺に触れないように気をつけながらそうしていると、前立腺に指を当てようと腰を揺すり始めた。
「腰、揺れてんぞ」
「うるせっ、んんっ!チンタラしてんなよ!」
2本目の指を咥え込んだそこをきゅうきゅう締め付けながら彼が吠える。別にチンタラしてるつもりはないんだけどな。まぁ、これだけ焦れてたら辛いよな。俺だって辛い。早くぶち込みたくてしょうがない。
「エド」
「っ!」
耳元でねっとりと名前を呼べば、ぴくぴくと獣のそれが動く。ふと気になって、獣の耳に息を吹き掛ければ、彼は大きく仰け反った。
「ぁっ、う、それやだっ」
「擽ったい?」
「うぜぇっ、やめろ」
やっぱりちゃんと生えてるんだな、と思う。いや、別に疑ってた訳じゃないけど。そう滅多にあることじゃないだろうし、感覚がどんななのか気になるじゃん?
「っぅ!ん、もう挿入るだろ?っはぁ……早くしろよ」
「んー、まぁこんなもんかな。すぐへばるんじゃねえぞ?」
ひくつく後孔からそっと指を引き抜くと、陰茎を取り出し押し当てる。吸い付くように蠢くもんだから反射で呻きつつ、ゆっくり挿入していく。
「はぁ♡っ、挿入ってきたぁ♡」
媚びきった声を上げながら、歓喜にナカが震える。めりめりと音を立てて挿入されていく陰茎に、熱い腸壁が絡みついてきて気持ちが良い。
耳元で好きだと囁けば、それだけで軽くイったのか、ナカをぎゅっと締め付けた。
「くっ、」
「あ゛っ、はぁっ♡るーくっ♡♡ぎぃっ、あ♡♡」
ぷりぷりに膨らんだ前立腺をカリ首でごりごり押し潰してやると、可愛らしい声を上げながら彼が果てる。
「ん゛〜〜〜〜っ!♡♡」
奥に辿り着く頃には、彼は舌を突き出しながら肩で息をしていた。まだまだこれからだぜ?そう思いながら項に噛みつく。
「あ゛っ、♡はぁっ!♡♡」
その度にナカがきゅうっとしまって、果てそうになるのを奥歯を噛み締め何とか耐える。危うく全部出るところだった。
「動くぞ?」
こくりと彼が小さく頷く。頷いたのを確認してから、ゆっくり引き抜き腰を打ち付けた。
「っ、ん゛!♡あ゛っ、はぁ……あ゛っ!♡♡」
ぱんぱんと、肌と肌がぶつかる乾いた音が部屋に響く。こうやって後ろから犯すと、俺まで獣になっちまったみたいだななんてぼんやり思った。
「エドっ、」
「るーくっ、あ゛っ♡♡そこっ♡♡イっちゃ♡♡あ゛〜〜〜〜っ♡♡」
彼がびくびくと身体を大きく震わせて、何度目かもわからない絶頂を迎える。嬉しそうに揺れる尻尾ごと、ぎゅっと抱きしめながら、奥の奥にマーキングするように精を擦り付けた。
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