ルクエド



 後少しで新しい年が来る。俺はその手のことにあまり興味はないが、あいつは別だ。さっきっからそわそわととても落ち着きがない。まあいつもそうだと言えばそうだけども。
 ソファに深く腰掛け、適当につけたテレビを眺める。テレビの中では、残り数分のカウントダウンを中継していた。中継しているのがメトロシティの見知った場所故に、映り込んだ人混みの中に知っている顔があった気がするが、それはまぁ置いておいて。
「今年ももう終わりなんだな」
 あいつがこちらをチラチラ見ながら言う。それに適当に相槌を打ち、スマホでメッセージを打っていると、あいつが顔を覗き込んできたのでうざったるくてしょうがない。ため息を吐き、スマホをポケットにつっこむと、あいつの胸ぐらを掴んで唇にキスをする。
「てめぇが欲しかったの、これだろ?」
「なっ」
 柄にもないことをしたせいか顔が熱い。気不味くて視線を逸らすと、瞬間、テレビからなのかそれとも外からなのか、ニューイヤーを祝う花火の音がした。
 あれだろ?新しい年になった瞬間、親しい人とキスするって奴。まさかこいつとこんな仲になるなんて思っていなかったけど、別に嫌じゃない。
「……俺からもする」
 驚いて放心していたあいつが、手首を掴んでソファに押し倒してきた。至近距離であいつと目が合う。綺麗に澄んだ明けの空みたいな色のそれに思わず見惚れていると、ちゅっと音を立てて唇にキスを落とされ、じんわりと心が暖かくなった。
「なぁ、ルーク……もう一回」
 全然そんな気分じゃなかったのに、溺れてしまいたくて思わずキスを強請る。何度も、何度も確かめ合う様に唇を重ねれば、自然と息が上がっていく。
 目を閉じ恐る恐る口を薄く開くと、あいつの肉厚な舌が隙間にねじ込まれた。
「んんっ、」
 歯列をなぞられ思わず声が漏れる。キスは何度しても恥ずかしさは消えないけど、気持ちいいから好きだ。気持ちが通じ合っているような、そんな気がする。
 舌を絡め取られ、応えるように必死で動かす。舌同士を擦り合わせると、ビリビリと頭が痺れた。
「はぁっ、んふっ……」
「っ、気持ちいい?」
「うん、きもちい……」
 そう返事をしながら、離れていくあいつを名残惜しげに見上げる。
「そんな顔すんなよ。抱きたくなるだろ」
「……っ、」
 いっそのこと抱いて欲しい、なんて。でも、素直に言えるわけなくて。それでふいっと視線を逸らせば、あいつはそれを否定と受け取ったのかゆっくり離れていく。
「まっ、やだ」
「ん?」
「、だいて……ほしい」
 消え入りそうなくらい小さな声でそう呟けば、あいつは動きを止めた。俺、変なこと言ったかな。そう思っていると、ぎゅうっと強く抱きしめられる。
「加減出来なくなるだろ」
「別に……いいから、」
 言い終わる前に、またキスを落とされる。すっかりスイッチの入った表情のあいつに「ベッド、いこ?」なんて呟いてみれば、はぁっと大きなため息を吐いた。
「お前、後悔すんなよ?」
 ばぁか、後悔なんてするわけないだろ。そう思っていると、身体がふわりと持ち上げられた感覚がした。軽々持ち上げやがって、俺とお前そこまで体重変わらないだろ!なんて思いながら、ふり落とされないようにしがみつく。
 あっという間にベッドルームまで連れて行かれると、シーツの海に優しく下ろされた。そのままあいつが上に覆いかぶさってくる。
「っ、ルーク」
 あいつの少しカサついた手が服の中に入ってきた。探るようなその動きに、ぞわぞわと鳥肌が立つ。露出された首筋に吸い付かれ、身体がびくりと跳ねた。
「なんだよ」
「擽ったいっ、……あぅっ」
 服の中を弄っていた手がふと胸の突起に触れる。期待に勃ち上がったそこを撫でられ、勝手に身体が跳ねた。羞恥から思わずきゅっと目を瞑り、手の動きに翻弄される。
「はぁっ、あっ」
「気持ち良い?」
「っ、うん」
 突起をこりこりと押し潰され、吐息が漏れる。触れる度気持ち良さが広がって、どんどん興奮していくのが分かる。もっと触ってほしくて自分から服を捲り上げた。
「んー?」
「……もっと、いじめてっ」
「ははっ、可愛い」
 顔が近付いてきて、唇にちゅっと吸い付かれる。キスをされるのが嬉しくて、あいつの背中に腕を回し抱き着き擦り寄れば、両の胸の突起を摘まれ扱かれた。
「んんっ!はぁっ、あぅっ……」
「ここ触られんの好きだもんな」
「んっ、好きぃ……あ゛っ」
 口を開けば、吐息とともに嬌声が漏れる。それか恥ずかしくなってきゅっと口を閉じれば、許さないと言わんばかりに手が伸びてきて指で唇を割り開かれた。
「ひぁっ、あ……っ!」
 片さの突起に顔が近付き、舌でべろりと舐められる。身体が熱い。熱くて気持ち良くて、溶けてしまいそうだ。身動ぎをして快感から逃れようとするが、体重をかけられるとどうしようもなくなってしまう。
「うあっ、あぅ、……やらっ、」
「何がだよ?」
「イけないぃっ、ちんこ触ってっ」
 もっと気持ちよくなりたくて腰を揺らしながら懇願すれば、あいつはしょうがねえななんてぼそぼそ呟きながら、既に勃ち上がった陰茎に手を伸ばす。布の上から敏感な先端を撫でられ、びくっと身体が大きく揺れた。
「ひぃっ、あ゛っ!」
「今直接触ってやるからな」
 そう囁くと、すぐに下着とズボンを下ろされ先走り塗れの陰茎がまろび出る。期待にふるふると震える陰茎をそのまま握り込まれ、容赦なく上下に扱かれどうしようもない快感に飲まれていく。
「いぃっ、んあ゛!」
「はぁ、気持ちいいか?」
 こくこく頷き、自分からあいつの唇に吸い付くと、キスを強請る。望み通り侵入してきた舌に、自分の舌を絡めながら目を閉じ、感じ入った。
「んんっ、うぅ!るー、くぅ!んっ、……はあっ!」
 切なくって名前を呼べば、上顎を擽るように撫でられ吐息が漏れる。キスの気持ち良さに蕩けていると、いつの間にか動きを止めていた手が再度動かされ、びくびくと身体を揺らした。
 気持ち良い。でも、ナカを突かれたらこんなもんじゃないのを知っているから。より貪欲になってしまった身体が、快感を欲しがってしょうがない。
 全部全部、お前のせいだ。
「んん〜〜〜〜っ!!♡♡」
 陰茎からびゅくびゅくと白濁を吐き出し、果てる。勢い良く吐き出されたそれは腹を汚し、中途半端に脱がされた服にまで飛んでいた。
 後で洗濯したら落ちるかな。そんなことを思っていると、あいつがサイドチェストへ手を伸ばす。
「だからそんな目で見んなって」
「……べつに、見てねぇし」
「見てるだろ?エロい顔で」
 そりゃそうだろ。だって、期待してんだから。言葉の代わりにちゅっと音を立てて唇に吸い付けば、あいつの目が欲にぬれるのが分かった。
「可愛い奴」
 力任せにベッドに押し倒されると、腰を持ち上げられ後孔を晒すような恰好にさせられる。無理な体勢だからか少し苦しいが、確かに興奮している自分がいる。
「力抜けよ?」
 こくんと小さく頷けば、あいつはにこりと微笑みローションを孔に垂らすと、ゆっくり指を侵入させる。
 異物感はない。もう何回も抱かれているからか、気付けば慣れてしまっていた。
 拡げるのを見せ付けるように動かされ、羞恥に顔が歪む。だって、まさかこんなふうに見せ付けられるなんて思ってなかったから。
「んんっ、う……」
「大丈夫か?」
「う、ん……平気」
 なんとか息を吐く。そこから目が離せなくって見入っていると、ふと前立腺に指が触れた。
「っ!」
 身体がびくんっと跳ねる。我慢なんて出来るわけないのに。それを俺は散々知っているはずなのに。あれこれ考えて、逃れようと身を捩った瞬間、どうしようもない快感に飲まれた。
「あ゛っ、はぁっ!う゛、ルークっ!」
「エド、可愛いな」
 苦しくて藻掻く。そこを責められると、何も考えられなくなってしまうから。逃れたくて。気持ち良くって。それで。
「ん゛っ、あ゛ぁ゛っ!」
 ごりごりと容赦なくそこを責められ、涙がぼろぼろと溢れていく。あいつの手にカリカリと爪を立てながら、ただ与えられる快感をただただ享受する。
「う゛っ!、んあっ、やらっ!それ、」
「嫌じゃねぇだろ?」
「いっ、う゛♡♡イッでる♡♡」
 なんとか言葉にしながら伝えれば「気持ちいいな」と頭を撫でられる。気持ちいい、確かに気持ちいい。思考が溶けてしまうくらい。
「るー、くっ!♡♡それ、強いからぁ、あ゛っ!♡♡たすけ、てぇ♡」
 陰茎からぶしゃっと透明な液体が吹き出す。それが顔に掛かって、口に入って、でもそんなこと気にできるほどの余裕もなくって。
「もうちょいだから、我慢な?出来るか?」
 こくこくと頷けば、後孔を弄っていた指の数が増やされる。引っかかることなくそのままスルスルと挿入ってくると、更に拡げるように指が動く。
「あ゛っ、や゛ぁ!」
 蠢く指に翻弄される。気持ちが良くて、頭が焼ききれそうだ。
「ルーク!るーっ、あ゛ん!♡♡」
 ぐぱぐぱと後孔を拡げられ、あいつの名を呼びながら何度も果てる。ぞくぞくと背筋を快感が駆け抜けて苦しい。
「そろそろ行けそうだな」
「早くっ、あ゛っ♡♡」
 あいつのが欲しくて腰を揺らし誘えば、眉間のシワが濃くなった。俺なんかしたっけ?なんて思って、蕩けた頭で考えるけど分からなくって首を傾げる。
「なんっ、♡♡わからなっ♡♡」
「こっちの気も知らねぇで!」
 ずるりと指が引き抜かれて、あっと声が出る。でも、すぐそこに熱いものが当てられ、何故だかホッと安心した。
「ルーク♡♡はやく、ちょうだい?♡♡」
 そう囁けば、あいつは俺のことを呼びながら、ゆっくり腰を押し進める。ばかでかい陰茎がちょっとずつ飲み込まれて、カリ首で前立腺をごりごりと押し潰され、目の前がチカチカ明滅した。
「ん゛〜〜〜〜っ!♡♡」
 ぎゅっとナカを締め付けながら、気持ち良くて陰茎からまた潮を吹く。あいつの腕にガリガリ爪を立てながら、何度目かも分からない絶頂に身を預けた。
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