ルクエド
ソファで寛いでいると、ふらっと帰ってきたあいつが「疲れた〜」と言いながら抱きついてきた。
「おかえり」
「ただいま」
自然な流れで頬にキスをする。別に、こう言うスキンシップに慣れたわけではない。気を抜けば赤くなってしまう顔を見られないようにクッションで隠せば、そのまま抱きかかえられた。
「おいっ、帰ってきたばっかだろ」
「そうだけどさ。充電させて?」
確かにここまで見て分かるくらい疲弊しているのは珍しい。まぁ、いいか。とそのままなすがままにベッドルームに連れて行かれると、シーツの海に押し倒された。
あいつの手が、露出された腹筋をなぞる様に行き来する。それだけで、ぞわぞわと言いようのない熱が生まれ狂わされそうだった。
「ルーク……」
「ん?」
ん?じゃねぇよ、と思う。抱きたいならすぐにでも手を出せば良いのに。それなのに、あいつは焦らすようにただ身体を撫でるだけだった。
「なあっ、だ、……抱くんじゃねぇのかよ」
「抱かれたい?」
はぁっと思わず熱い吐息を吐く。クソ、聞いてくんなよ。
「俺は、……別に、どっちでもいいし」
しどろもどろになりながら、視線を逸らす。抱きたいのはあいつのはずなのに、これじゃあ俺ばかりが抱かれたいみたいじゃないか。ソファから持ってきてしまったクッションを抱きかかえながら、あいつの出方を見ていると、ずいぶんと意地の悪い顔で微笑んだ。
「俺もどっちでもいいんだけどなぁ。なぁ、どうされたい?」
「っ、しねっ」
悪態を吐きながらあいつから逃れようと藻掻くが、馬乗りになられているためどうにもならない。
一度スイッチの入った身体は、あいつを求めて疼き、いっそ溺れてしまいたいとすら思う。そんなこと言ってしまえたら、どうされるんだろう。
腹を撫でていた手を取り、頬に当て擦り寄ると小さな声で「めちゃくちゃにされたい」なんて呟けば、あいつの目付きが変わった。
「ははっ、そう来るとは思わなかった」
あいつの顔が近付いてきて、そのまま唇を奪われる。ちゅっと音を立てて何度も吸われ、まだそれだけなのに興奮でどうにかなってしまいそうだった。夢中になって自分からも吸い付けば、口を開く様に舌で促される。その通りに口を開くと舌が押し入ってきた。
「んんっ、ぅ……ん!」
それと同時に胸の突起を撫でられ、急な刺激に身体が跳ねる。くるくると優しく円を書くように撫でられ、じわじわと気持ち良さが広がっていく。
もっと、強く触ってほしい。自分から押しつける様に身体を揺らせば、ふふっと笑われた。
「何?刺激足りねぇの?」
「っ、べつに……」
「じゃあ触んなくてもいいか」
いじわる。全部わかっているくせに。なんで口で言わせようとするんだ。
「やだ……つねってほし、い゛っ」
そう言い終わる前に、言葉の通りに強く押し潰され、痛みで声が漏れる。でも、痛みの中に確かに快感があって、それで。困惑していると勃ち上がって摘みやすくなったそこを重点的に責められ、欲しかった刺激に目の前が霞んだ。
「んあ゛、あっ……いたいっ」
「痛いだけの奴の声じゃねえだろ」
「ん゛っ!うぅ、きもちいっ、からっ!あ゛んっ、」
媚びきった声が口から漏れていく。指だけでも十分気持ちいいのに、あいつの顔が胸に近付いてそのまま吸い付かれた。
「ひぁっ、」
「ははっ、エロ乳首」
「ん、誰のせいだとっ!あ゛っ」
すっかり快感を拾う器官にされてしまったそこを、舌先でぐにぐに苛められ、その度に身体がびくびくと跳ねる。
「う゛あっ!イキそっ、っ!んんっ!」
後もうちょっとでイけそうだけど、刺激が足りなくて足を擦り合わせていると、あいつが笑った。
「ここだけでイけんの?」
「あ゛っ、たりないっ……!」
刺激が後ちょっと足りない。もう一押しでイキそうな感覚が続いて、目の前がチカチカ明滅する。なんとか快感から逃れようとするが、そう簡単に逃がしてもられるわけもなく、じくじく疼くそこを甘噛みされその時はきた。
「ん゛ん゛〜〜〜〜っ!」
びゅくびゅくと、下着の中に精を吐き出す。布が陰茎に張り付いて不快感から身動ぎをすれば、そのままスキニーを脱がされた。
「ほんとに出てんじゃん。すげぇな」
下着に出来た染みに、思わず顔が赤くなる。だって、こんなの変態じゃないか。
「エド?」
「っ、るーくのばかっ」
はぁはぁと息を荒げながら、余韻に身体をびくびくと跳ねさせる。力の入らない足であいつに蹴りを入れようとすればそのまま受け止められた。
「こら、暴れんなよ」
「あっ、ぅ!」
あいつが下着の上から陰茎を撫でる。直接的な刺激に、思わず上擦った声が漏れた。そのまま手際よく下着も脱がされほとんど裸になると、足を開ける限界まで開かされてしまう。
「っ、」
「後ろ、ひくついてんな」
「言うなっ、ばかっ!」
あいつはふふっと笑うと、サイドチェストに手を伸ばした。そこにはいつも使っているローションが入っているはずだ。中身の少なくなったそれを手に取り、指に纏わせると後孔に這わせる。
「挿入れんぞ?」
「ん、……あっ♡」
ローションの滑りを借りて、あいつの太い指が挿入ってくる。ゆっくり縁を拡げるように動かされ、びくっと身体が跳ねた。
「んんっ、うっ♡んあ……、♡はぁっ、……っ♡」
もうすでに異物感よりも気持ち良さが勝っていて、気付けば自分でも信じられないくらい甘えた声を出しながら、あいつの背中にカリカリと爪を立てていた。
「るー、く♡、あっ♡まっ、……んっ♡」
「んー?」
「あ゛っ♡とまって♡ん゛っ!♡」
素知らぬ顔で指を動かされ、陰茎から先走りが流れ落ちていく。わざと前立腺に触れないようにそこを拡げるあいつに腹を立てるが、文句を言おうと開いた口から出てくるのは嬌声だけだった。
「もう2本目挿入りそうだな」
「うあっ!♡んんっ、るーくぅっ♡」
ぐちぐち音を立てながら2本目の指が挿入ってくる。違和感はない。むしろ、挿入の準備をされている状況に興奮してしょうがない。こんなのおかしいはずなのに、早く奥を突かれたくて腰が誘うように揺れる。
「もっ、いいから……っ、♡はやくほしいっ♡」
半泣きになりながら言えば、あいつはまた意地の悪い顔で笑った。
「まだ駄目♡」
「なっ、ん゛ん゛〜〜〜〜〜っ!!♡♡」
わざと触らないように避けられてきた前立腺を容赦なく押し潰され、強すぎる刺激に目の前がチカチカ明滅する。きゅっと足の先を丸め背を撓らせながら快感を逃がそうとするがどうにもならず、あいつの背中にガリガリと爪を立てる。
「い゛ぅっ♡♡い゛ってる゛からっ♡♡」
「でも精子出てないぜ?」
「あ゛っ、♡へんなイキ方してる゛っ♡♡」
確かに陰茎からは精は出ておらず、とろとろと先走りが流れるだけだ。でも、この感覚は……。
「るー、くっ!♡♡ま゛ってっ、ゆるしてっ♡」
「んー?気持ち良いだろ?」
ぐずぐずになったそこを指で揉みしだかれ、へぇへぇと犬のように浅く呼吸をしながらイキ狂う。気持ち良いに全て上書きでもされてしまったかのように何も考えられない。
「はぁっ、んぎぃ〜〜〜〜っ!♡♡や゛っ、そこばっかっ♡♡」
「はは、すげぇ声。可愛いなぁ」
ぷしゃっと水音がして、陰茎から体液が吹き出した。自分の意識ではどうにも出来ないそれが、あいつの服に掛かって染みを作っていく。
顔にまで飛んだそれを、あいつは舌で舐め取ると顔を近づいけてくる。キスでもされるのかと思ったが、そのまま額を合わせるように押し付けられた。
「あっ♡♡」
突然ずるりと指が引き抜かれ、驚いて思わず声を上げる。拡がったそこがひくひく収縮しているのがわかって、かあっと顔が熱くなった。
「るー、くっ……♡♡」
切なさに名前を呼べば、いつの間にか取り出されたあいつの陰茎が後孔に押し当てられる。
「……挿入れてもいいか?」
「うんっ♡♡」
頭が蕩けきって上手く働かない。大きくて熱いそれが肉壁を掻き分けるようにゆっくりナカに挿入ってきて、快感に身体が震える。
「はぁっ、あ゛っ♡♡」
「う、っく……」
前立腺をカリ首で押し潰され、思わずぎゅうっとナカを締め付ける。あいつが小さく呻いたもんだから、俺で気持ちよくなってくれてるんだ、と嬉しくなってしがみついた。
「るーくっ、ぅ!♡♡あ゛ぁっ、♡♡」
「エド……、気持ちいいか?」
「きもちいっ、♡♡♡きもちいいっ♡♡あ゛ぁ゛っ!♡♡」
ぐずぐずに溶けてひとつになっている。そんな感覚に酔いしれていると、不意に最奥を突かれ酷い声が漏れ出た。
「可愛い、もっと声聞かせろよ」
ほんとはこんな声、聞かせたくないのに。それなのに勝手に漏れ出すそれを、あいつは可愛いと言ってくれる。それが嬉しくて、こんなに幸せでいいのだろうかなんて思ってしまった。
「っ、ん゛あっ♡♡」
頬を伝う涙が生理的なものなのかもうわからない。幸せでいいんだ、とただひとこと言ってくれたら俺は嬉しいんだろうか?
「っ、なんか違うこと考えてる?随分余裕そうじゃん」
「あ゛っ♡♡るーく♡♡おれのこと、すき?♡」
働かない頭でうわ言のように呟けば、ぎゅうっと強く抱きしめられる。「当たり前だろ、好きだよ」と耳元で囁かれ、それまで考えてたことなんてどうでもよくなってしまった。
そっか、好きなんだ。良かった。何度も何度も咀嚼する様にその言葉を繰り返し想う。
瞬間、ぐぽっと嫌な音を立てて陰茎が結腸に食い込み、強すぎる刺激に意識ごと吹っ飛びそうになる。
「い゛っ、♡♡」
ぱんぱんと乾いた肌同士がぶつかる音が部屋に響く。気持ちがよくって気が狂いそうなくらいだ。ずりずりと腸壁を刺激される度に絶頂して、あいつのバカみたいにデカいそれが出たり入ったりする度に、俺の陰茎から潮が吹き出していた。
「はぁっ!♡♡♡出したいっ、♡♡♡ずっといっでう゛♡♡♡」
「メスイキ、上手くなったな」
「めすじゃなっ♡♡♡い゛あ゛っ♡♡♡またイく゛ぅ♡♡♡お゛〜〜〜っ♡♡♡」
「っ、」
ゆっくりだった動きがどんどん早くなって、あいつもそろそろ限界なんだと分かる。いつもみたいに腹の奥で出して欲しくて、媚びるように自ら腰を揺らせばあいつは小さく呻いた。
「エドっ」
「るー、くぅっ!♡♡♡」
名前を呼ばれ思わずナカを強く締め付けると陰茎がびくびく震え、最奥にマーキングする様に勢い良くびゅくびゅくと精が吐き出されたのが分かった。