ルクエド



「今日ってさ、11/11じゃん?」
「……そうだけど、それがなんだよ」
 嫌な予感がするが、このまま放置するといじけるだろうからと適当な相打ちをする。
 どうせポッキーの日だっていいたいんだろ?そのくらいわかってるんだよ、なんて思っていると、予想外のことを言われた。
「棒状の物ならなんでも良いよな?」
「はぁ?」
 満面の笑みで、ケースの中から棒状の何かを手に取りご機嫌なあいつに思わず声が出る。なんだその棒、何に使うんだ。
「なんだそれ」
「お、興味ある?使ってみるか?」
 別に興味があるわけではない。使ってみるかってことは、俺に使いたいんだろ?じゃあ碌でもない物に決まってる。逃げようと部屋の外へ走り出そうとすると、予想していたのか手を掴まれ捕まえられた。
「天国見せてやるからさ、ダメ?」
 そうやって首を傾げながら言われるのに、俺は弱い。惚れた弱みってやつなんだろうな、なんて思いながら腕の中に収まれば、嬉しそうなあいつの顔が至近距離にある。
「ちっ……痛ぇことしたらぶん殴るからな」
「大丈夫大丈夫、気持ち良いことだよ」
 やっぱり碌なことじゃなかった。内心後悔しつつ、あいつに促されるままソファへと腰を掛ける。
「一応バスタオル敷いておこうな」
「そんなやべえのかよ」
「どうだろうな」
「せめて何に使うのか教えろ」
 なかなか教えてくれないあいつに、蹴りを入れようとすればそのまま掴まれてしまった。
「んー?ここに挿入れるんだよ」
 スキニー越しに棒の先端で股間を突っつかれ、なんとなくわかってしまった。嗚呼、そこに挿入するんだ。そんなことされたらどうなってしまうのか、ゾッとする。
「ばっ、そんなのっ」
「想像した?」
「そこは物を挿入れるとこじゃねぇ!」
「でも、なんかすっげぇ気持ち良いらしいぜ」
 そうだとしても、絶対に嫌だ。じたじたと暴れ、あいつの腕から逃れようとするが、微動だにしない。それはそうだ。力であいつに敵うわけがない。
「暴れんなって、危ないだろ?」
 そう言いながら、あいつはスキニーに手を掛ける。ムードもクソもない中でされたって気持ち良いわけねぇだろ。なんて思っていると、唇にキスを落とされた。
「んんーっ!」
 文句を言おうと開けた口に、舌が入り込んでくる。にゅるにゅると動く舌に口内を蹂躙され、勝手に息が上がった。気持ちが良い。逃げる舌を絡め取られ、粘膜をこすこすと擦られる。
「はぁっ、う、んんっ……」
 ちくしょう、と心の中で思う。散々抱かれてきた身体はこうやってキスをされるだけでその先を勝手に期待しだすのだから、もうどうしようもない。きゅっと目を瞑り、あいつにしがみつきながら必死で舌を絡めた。
 その間も、身体を優しく撫でられ気持ちを高めさせられる。情けないことに、それだけで腹ん中が疼き出した。早く抱かれてぇだとか思ったりしてかあっと顔が熱くなる。
「んっ、はぁっ……」
「なぁ、やってみようぜ?」
 耳元であいつが熱っぽく囁く。ぴくっと身体を跳ねさせ、小さく頷いてしまった。後悔するが、時すでに遅し。そのままするするとスキニーと下着を脱がされる。
「痛くねぇ?」
「任せとけって、一番細い奴だし大丈夫だよ」
 あいつは安心させようとしているのか、頬にちゅっとキスを落とすと、ぎゅうっと抱きしめてきた。耳元に息がかかって擽ったい。
「んじゃ、力抜けよ?」
 まだ勃ってない陰茎にローションを垂らされ、ヒヤッとした感覚に思わず身体を跳ねさせる。温かい手で軽く扱かれ、直接的な刺激に陰茎はすぐに勃ち上がった。
「んんっ、……はぁ」
「で、こっちにもローション付けて……さーてと、挿入れるぞ」
 冷たいそれが、尿道口をつぽつぽ出入りする。痛みはない。が、なんだかむずむずする。擽ったいような、なんとも言えない感覚にあいつの服をぎゅっと掴んだ。
「大丈夫そ?」
「ん、違和感あるけど……わかんねぇ」
「まだわかんないか。あ、ローション追加するぞ」
 ローションの滑りを借りて、硬い物がゆっくり身体の中に挿入ってくる。未知の感覚に、怖くてきゅっと目を瞑り耐えていると、頭を撫でられた。ガキ扱いしやがって、クソがと心の中で思う。今口に出したらヤバいことぐらいわかる。
 とにかく時間を掛けてなんとか押し入ってくるそれから意識をそらそうとしていると、びりっと背筋を慣れた感覚が駆け抜けていく。
「……へ?」
 一瞬何が起こったのかわからず、目を開けば、棒が根元まで飲み込まれていた。瞬間、汗がどばっと吹き出す。
「かはっ♡ん゛〜〜〜〜っ♡」
「お、良い反応」
 それは前立腺への刺激に似ていた。でも、もっと凄い奴だ。こちゅっと、棒がそこを刺激する度、とんでもない刺激が脳を焼いていく。
「んぐっ♡♡あ゛〜〜〜〜っ♡♡」
 ずっとイッているような感覚に、全身ががくがく震えどうしていいかわからずあいつの顔を見る。
 涙に歪み視界に写ったあいつはそりゃあもう、とにかく意地の悪い顔をしていた。
「そんなにやべえんだ」
「っ〜〜〜!♡♡だせないっ♡これむり♡♡ちんここわれる♡♡」
 射精したいのに、棒がそれを邪魔して出せない。腹ん中で熱い物が出口を探してぐるぐる回っているような感覚さえする。隙間から白濁が滲み出ているが、そんなんじゃ足りるわけがない。
「しゃせーしたいっ♡♡これっ、はぁっ!とって!♡♡」
「んー?仕方ねぇなぁ」
 挿入されたのと同じくらい、棒をゆっくり抜かれていく。じりじりと焼けるような快楽に、口の端から唾液が流れていくのすら気にかけていられなかった。
「はぁっ♡♡早くださせてっ♡♡イキたい♡♡」
 もう少しで棒が抜ける。楽になれる瞬間を今か今かと待ちわびていると、意地の悪い笑いを浮かべたままのあいつは、棒をそのままこちゅっと最奥まで突き入れた。
「だめ♡」
「ぐおっ、あ゛っ!〜〜〜〜っ!♡♡♡なんれっ♡♡♡ひどいっ♡♡♡」
「だって、気持ち良いんだろ?だったらもっとやってやらないとな」
 そう言って、あいつは棒をゆっくり抜き差しし始める。ただでさえやばかったのに、そんなことされたらもうおかしくなるに決まってる。
「〜〜〜〜っ!!♡♡んぎぃ〜〜〜っ♡♡♡あ゛〜〜〜〜、っ♡♡♡」
 もはや、絶叫にも近い嬌声を上げながらイキ狂う。地獄の業火にでも焼かれているように身体が熱い。駄目だ。これ以上は良くない。
「すっげぇ……これでこんな乱れるんなら、これならどうなっちまうんだろうな?」
 気付くと、あいつはもう1本棒を持っていた。今入っている、なだらかで真っすぐな奴じゃない。ボールチェーンみたいに凸凹してる奴だ。
「なんでもいいからっ♡♡♡イかせてっ♡♡♡壊れちゃ♡♡♡」
「次はこれ挿入してもいいのか?」
「いいからっ♡♡はやく出させてっ♡♡あ゛、ぐぅ♡♡」
 ぼーっとする頭で、なんとか許しを請う。早く出したい。楽になりたい。それしか考えられなくて、もっとヤバいことを言われているのに気づかなかった。
「いいぜ、好きなだけイけよ」
「〜〜〜〜っ!!♡♡♡」
 勢い良く棒を引き抜かれ、長い長い絶頂をキメる。陰茎からはせき止められていた精がとぷとぷと壊れたように流れ落ちていて、嗚呼、壊されてしまった、なんて頭の片隅で思った。
「へぇっ♡♡へぇっ……♡♡」
「どうよ?ヤバかっただろ?」
 ぜぇぜぇと肩で息をしながら、頷く。確かにこれはヤバイ。飛び具合がケツの比にならない。
 もう1本を握り締めているあいつから、なんとか逃れようと立ち上がろうとするが、おもしろいくらいに脚ががくがく震えて立ち上がれなかった。
「逃げんなよ」
「だって、そんなの挿入れられたら……」
 なだらかな棒ですらヤバかったんだ。そんな物挿入されたらいよいよちんこがダメになる。
「約束したろ?」
 にこやかに笑うあいつは力の入らない俺の身体を捕まえると、遠慮なんてなく、ゆっくりと凸凹した棒の先端を飲み込ませた。
「お゛〜〜〜〜っ♡♡」
 ナカをぞりぞりと凸凹が抉る。先程とは違う、洒落にならないほどの刺激に、訳がわからなくなって思わずあいつの手を止める。
「危ないから手、どけろって」
「だめ♡♡これ♡♡もっとやばい♡♡ちんここわれちゃう♡♡」
「はは、可愛い。それ逆効果だぞ?」
 ゆっくり、あいつの手によって陰茎が拓かれていく。もうイッているのかすらよく分からない。深い深い絶頂に涙をぼろぼろと垂れ流しながら、反り返った。
「〜〜〜〜っ!♡♡ばかぁ、♡♡ここもうやだ、けつでいきたい♡♡」
「っ、言ってることわかってんのか?」
「ん゛ん゛〜〜〜〜っ!♡♡わかってりゅ♡♡♡」
「わかってねぇよな、それは。はぁ……今日はこっちはここまでにしてやるよ」
 すっと棒を引き抜くと、だらだらと精が吹き出した。朦朧とする頭で、終わったのか?なんて思いながら肩で息をしていると、ローション塗れの指が後孔へ伸ばされる。
「あ゛っ♡♡♡」
「今日は抱かないて決めてたんだけどなぁ……やっぱり無理か」
 ぼそぼそと呟かれた言葉が、何一つ理解できなかった。一つわかるのは、今から抱かれるんだということだけだ。自分から脚を開き、孔を拡げるように両手で引き伸ばす。
「はやくいれて?♡」
「準備しねぇと挿入らねぇだろ」
「んん、っ?♡♡」
「あーあ、完全に飛んでんじゃん。そんなにアレ、良かった?」
 あいつに縋りつきながら、ゆっくりと挿入ってくる太い指を受け入れる。前までは受け入れるのに時間がかかっていたが、力が抜けているからか容易く挿入された指に翻弄される。さっきまでの破壊的な快感とは違う、ゆったりとした快感に身を任せた。
「んあっ♡♡はぁっ、そこっびりびりする♡♡」
「前立腺苛められんの大好きだもんな」
「んんっ♡♡すきぃっ♡♡」
 わかりやすく腫れた前立腺をごりごりと苛められ、身体がビクつく。いつの間にか増やされた指に喘ぎながら、あいつの背に手を伸ばす。
 じんじんと疼く奥を早く突いてほしくて、あいつの膨らんだ陰茎をジーンズの上からなぞった。
「っ、どこで覚えたのかなぁ?」
「……お前以外に誰がいるんだよ」
「調子戻ってきたじゃん」
「ばぁか♡」
 お互いにもう限界だった。
 あいつが雑に指を引き抜くと、ジーンズを下ろす。柔らかくなったそこに陰茎を押し付けられ、来るであろう刺激に身を任せた。
「挿入れんぞ?」
「はやくしろよぉ♡♡」
 早く気持ちよくなりたくて腰が勝手にへこへこ揺れる。みちみちと音を立てて挿入される陰茎のでかさに、いつものことながら驚かされる。
 それを飲み込んでしまう自分の腹にも、だが。
「はぁっ、大丈夫か?」
「っ、ん、大丈夫だから、♡」
 はやく壊して。そう囁けば、あいつの目の色が変わる。それを見てくすりと笑った。
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