ルクエド
慣れた手付きで鍵を開けると、部屋に足を踏み入れる。あいつはまだ帰ってきていない。この分ならまだまだ時間はあるだろう。熱に浮かされた身体を引きずりながら、一直線にベッドルームへ進む。靴紐を緩ませ脱ぎ捨てると、そのままベッドに倒れ込んだ。
ぼんやりする頭で考える。恐らくは何か、合法なのかどうかすらわからないが薬を盛られたのだろう。遅効性だったのか、体質的な物なのか、効くまで時間が掛かった為なんとか逃げられたが、それはたまたま運が良かっただけだ。次はもっと気を付けねぇと、などと思いながら深呼吸をする。
「はぁっ……」
嗚呼、あいつの匂いがする。シーツに擦り付けるように顔を埋めながら、匂いを肺いっぱいに息を吸い込んだ。
駄目だ、頭回んねぇ。もぞもぞともう既に勃ち上がっている陰茎に手を這わせゆるゆると扱けば、すぐにでも出てしまいそうだった。なんだっけ、あれ……そう、催淫剤。多分そういう類のものを盛られたんだろう。
「っ、んんっ……んあっ」
身体が熱くてしょうがない。動かすこともままならなくなってきた身体で、ぎゅっと目を瞑りあいつの手を思い出しながら夢中で扱く。
あいつが帰ってくる前になんとかしねぇと。きっと何発か出したら落ち着くだろう。そう思いながら、手を早めた。
「っ、う〜〜〜〜っ!」
唾液を垂れ流しながら、びゅくびゅくとシーツに白濁をぶち撒ける。気持ちがいい、思考が溶けていく。でも、まだ足りない。ぎゅっとシーツを握り締めながら、敏感な先端を刺激する。先走りなのか精液なのかすらわからない体液を指に擦り付ければ、気持ち良すぎて脚ががくがく震えた。
「んんっ、ぁっ、う゛、」
強すぎる快感に、頭が蕩けていく。腹の奥がずくずく疼いてしょうがなくて、思わず舌打ちをした。
「はーっ、はーっ……くそっ」
サイドチェストに手を伸ばし、中からローションを取り出す。雑に指に絡めると下着ごとスキニーを下ろすと後孔に手を這わせた。
ローションの滑りを借りて、ゆっくりと後孔に指が挿入ってくる。縁を拡げるように指を動かせば、ぞわぞわと鳥肌が立った。声が抑えられず、口から勝手に嬌声が溢れる。誰も聞いてねぇんだし、まぁいいか。なんて思いつつ、こりこりと前立腺を押し潰す。
「あ゛っ、う……ん、う゛っ、あっ……」
触っていない陰茎から、とろりと先走りがシーツに流れ落ちていく。ぞくぞくと背筋を快感が駆け抜けていって、焼けているみたいだ。それでも疼いている奥には指が届かず、焦れったい。あいつのなら届くのに、なんて。
「る、るーくぅ……あ゛っ、おくせつな、っう゛ん゛、あっ」
助けてほしくて、ほとんど無意識に名前を呼んでしまう。返答なんてあるわけなく、目に涙が滲んだ。早く帰ってきて、めちゃくちゃに抱いて欲しい。何もわからなくなるくらい、激しく。
「やだぁっ、あ゛っ、たすけてっ」
あいつから連絡がない。根が真面目だからか、大体はすぐ返事をするあいつが、だ。そんなに忙しいんだろうか。少し心配しながら、家の鍵を開ける。今日はゆっくりするか、なんて廊下を歩いていると、ベッドルームの扉が開け放たれていた。
「エドー?帰ってきてるのか?」
人の気配のするそこへ声をかけながらゆっくり近付いていく。何やら声が聞こえて耳をそばだてると、微かに助けを呼ぶ声がする。
もしかして具合でも悪いのか?と慌ててベッドルームへ入ると尻をこちらに向け、明らかに自慰中の彼がそこにいた。
「っ!」
「るー、くぅ……あ゛う゛っ、」
まだこちらに気付いてないあいつは、そのまま後孔に指を出し入れしながら俺を呼んでいた。瞬間、それまでの疲れだとかが吹き飛んだ。思わず覆い被さり、項に齧り付く。
「なぁっ、あ゛っ、何っ」
「おい、なにしてんだー?」
「る、るーく?」
「ただいま、で?随分良さそうじゃねぇの」
噛み付いた所をなぞる様に舐りながら問う。いつもよりも体温の高い気がする肌を撫でれば、あいつはビクビクと反応をした。グローブを脱ぎ、その辺に放り投げる。
可愛い奴。耳元でそう囁き、既に体液でぐしょぐしょの陰茎をつつ、と指先で刺激すれば甘い嬌声が漏れる。
「っ、あぁ!っぅ、身体へんで……っ、たすけて」
「どうされたい?」
刺激を求めてへこへこと動く腰に思わず頬が緩んだ。プライドの高いエドがこんな素直に助けを求めてくるなんて珍しい。そんなに欲求不満になるほど間が空いたわけでもないのに、なんて思いつつあいつの返答を待つ。
「うぅっ、あっ、……されたい」
「ん?」
「めちゃくちゃに、されたいっ、」
あいつは後孔から自分の指を引き抜くと、そこを手で拡げながら途切れ途切れにそう言った。そんなことされたら、そりゃあ理性なんて吹き飛ぶだろ。正直ぐっと来た。
チャックを下ろし、既に臨戦態勢の陰茎を取り出せば、蕩けきった表情のエドと目が合う。
「はぁ、エロい顔」
「あっ♡奥、ほしいっ」
「焦んなよ、ちゃんとくれてやるから」
涙やら唾液やらでべしょべしょな頬にキスを落とす。それすら感じるのかあいつはびくりと身体を震わせた。
ゆっくりと、陰茎が飲み込まれていく。慣らすように、ぬぽぬぽと浅いところで抜き差しすれば、腕で自分の身体を支えきれなくなったあいつがシーツの海に沈んだ。
「大丈夫か?」
「んうっ♡はやくっ、待てないぃ♡」
「大丈夫そうだな」
両手で腰を掴むと、そのまま勢いを付けて一気に奥に叩きつけた。瞬間、達したのか言葉にすらなってない悲鳴のような声が聞こえてくる。
「〜〜〜〜っ!♡♡ぁっ、お゛ぉ〜〜っ♡♡」
「っ、はぁ、締めすぎ」
「らって♡♡おくとどいてっ♡♡あ゛っ♡♡」
後ろからぎゅっと抱き締めながら、なんとか腰を動かす。その度に結合部から水気のあるじゅぶじゅぶとしたいやらしい音が聞こえてきて、耳にも毒だななんて思いつつ。歯型の付いた項にまた噛みつけば、呼応するようにナカがきゅうきゅうと締まる。
「っ、あ゛はっ♡♡奥きもちぃっ♡♡はぁっ、あ゛っ♡♡もっと、♡♡」
「フーッ、ナカ熱ぃな……溶けそうだ」
「う゛ぅっ!♡♡あ゛、っ!♡♡ん゛〜〜〜〜っ!♡♡」
「っ、はぁ、えっろ」
肩まで赤く染め、恋人がよがり狂っている。そうしているのは自分だと思うと、酷く興奮した。どうせならもっと乱れている所が見たい。
腰を掴んでいた手をそっと胸へと滑らせると、勃ち上がった2つの突起を捏ね回した。
「ここ好きだろ?構ってやらないとな」
「ぎぃっ♡♡そこっ、いまだめっ♡♡あ゛ぁっ♡♡ん゛、お゛っ♡」
ぎゅっと押し潰したり、伸ばしたりする度ナカがきゅうきゅう締まる。可愛い、可愛いと何度も耳元で囁きながら夢中で腰を振る。
「ん゛あ゛ぁ゛っ!♡♡イクっ、大きいのきちゃ、あ゛ん!♡♡」
「はぁっ、ナカ出すぞ」
「うん、あ゛〜〜〜〜っ!!♡♡」
奥に精を吐き出しながら、マーキングをするように擦り付ける。息を整えて、余韻に震えるエドから陰茎を引き抜き、ひっくり返すとべしょべしょな唇に噛み付くようにキスをする。
差し出された舌に吸い付きながら、柔らかくなった後孔に陰茎を突き刺せば、くぐもった声が漏れた。
「ん゛んっ、う、♡♡はぁっ♡♡ちゅっ、う゛♡♡」
「はぁっ、キス気持ちいいか?」
「ん゛っ!う、ん……っ、」
こくこくと必死に頷くのが可愛くて、思わずぎゅっと抱き締める。奥をぐりぐり押し付けると、結腸がちゅうちゅうと吸い付いてきた。
ホント、エロい身体。
「あ゛っ、♡♡ん゛っ♡♡そこ、やばっ♡♡」
「ふっ、結腸ぶち抜いてやるよ」
「はぁっ♡♡ちょうだい?♡♡」
「っ!」
素直にそう呟いたかと思えば、あいつの方から首筋に吸い付いてきた。ちりっと痛みが走り、跡を残されたのを察する。可愛いことしやがって、と腰を掴み結腸口に陰茎をぐりぐりと擦り付けてやる。
ぐっと力を入れると、ぐぽっと嫌な音がして先端が温かい物に包まれた。
「〜〜〜〜っ!♡♡お゛っ、おく、きたぁ♡♡♡」
「はーっ、質悪いなホントに」
「ん゛お゛っ、♡♡ぁ、だめ?」
「駄目じゃねぇよ……おら、休んでる暇なんてねぇぞ?」
そう囁きながら、結腸を嬲ればあいつは嬉しそうに陰茎から潮を吹き出した。
「で?薬盛られたって?」
その後も中々満足しないあいつに違和感を覚え、意識が残っているうちに聞けば、途切れ途切れにそう答えた。
冷蔵庫から出してきたミネラルウォーターを口移しで飲ませると、甘えるように擦り寄ってくる。猫みたいな奴、なんて思いつつ。
「うぁ、ん、なんかわかんねぇけど……、飲み物に混ぜられてたっぽい……」
「珍しいな。お前そういうのに敏感じゃん」
「はぁ……盛られてるなんてっ、思わなかったんだよ」
うとうとしているあいつを抱え、とりあえずソファに座らせると、体液やら何やらで濡れに濡れたシーツを片付ける。改めてどんだけ出したんだ。まぁ、こっそりおねしょシーツなんてものを敷いているのでマットレスは無事みたいだ。
良かった、なんて思いつつ適当にシーツを敷くと、あいつを抱きかかえてそのままそっと下ろす。受け入れていたあいつの方が心配だが、流石に疲れた。だって何時間ヤッてたんだ俺たち、なんててっぺんをとっくに超えた時計を見て頭を抱えるのだった。