エド受け



 またこの空間か、と思う。
 相変わらず豪勢なベッドがぽつんとひとつだけあるこの部屋に来るのはもう何度目だろうか。数えるのも面倒なのでしないが軽く片手は超えているんじゃなかろうか。
 そんなベッドの真ん中にあいつはいた。
 近付きベッドの縁に腰掛けると、気付いた紫色がこっちを見た。例のごとくひらりと片手を上げると、四つん這いでこちらに向かってくる。

「なぁ、乳首相撲しようぜ」

 何言ってんだこいつはと半ば呆れた目で見れば、後ろからおぶさってくるのでうざったるいなと思いながら。

「なんだそれ、やらねぇよ」

「簡単だからよ、やろうぜ」

 耳元で囁いてくる紫色に裏拳を飛ばせばぱっと避けられたので腹立たしく思う。

「なんだよ、負けるのが怖いのかぁ?」

「は、んなわけねぇだろ」

「じゃあやろうぜ」

 嫌々紫色の方を向き直る。大体なんだよ乳首相撲って、と呟けば「乳と乳合わせて先にイった方が負け」と言われ思わず呆れた。
 なんだそれ、誰が楽しいんだよ。

「勝負は勝負だろ?」

 紫色はにぃっと笑うと、そのまま押し倒してきた。腹の上に乗られ、身動きが取れない。
 こうなったら、抵抗するより流れに任せたほうがいい。溜め息を吐き、相手の出方を伺うと、どこからかローションを取り出してきて胸に掛けられた。

「冷てぇっ」

「あは、どうせすぐあったまるからよ」

 紫色は上着を脱ぎ捨て、ネックレスを外すと、そのまま胸同士を密着させてきた。
 顔が近い。一瞬キスでもされるのかと思って目を閉じてしまったのが恥ずかしい。

「キスされるかと思ったろ?」

「うるせぇっ」

 お見通しだったようで、羞恥からカッと顔が熱くなる。目の前で紫色がふふっと笑うと、唇を重ねてきた。結局するんじゃねえか、なんて思いながら差し込まれた舌を受け入れる。

「ふっ……!んんっ、」

 隙間から空気と一緒にくぐもった声が抜けていく。合わさった胸からネチャネチャと粘着質な音がする。冷たさはいつの間にか気にならなくなっていて、体温で温められたそれが突起をテカテカと光らせていた。

「っ、くそ……なんで俺がこんな目に……」

「受け入れたのはお前だぜ?」

 そう言いながら、既に硬く勃ち上がった紫色の胸の突起が俺のをこりこりと押し潰してきた。急な刺激に思わず身体がビクつく。

「あっ……ふふ、思ったよりもヤバいなこれ」

「っ、うぅ……んっ、……うぁっ」

「何逃げようとしてんだ」

 余裕がないのを知られたくなくて、避けようとするが腕を掴まれ失敗に終わった。
 嫌だ、こんなことで負けたくない。見様見真似で突起を擦り付けるが、むしろこちらが追い詰められてしまう。認めたくないが気持ちがいい。

「くっ!うぅ……、」

「ほら、イッちまえよ」

「嫌だっ、」

 イきそうになるのを耐え、お互い息が上がった状態で刺激し合う。にゅるにゅると踊るように押し潰されるそれに、目線が釘付けになる。
 
「ああっ、嫌だぁ……まけたくないぃっ」

「雑魚乳首の癖に耐えてんじゃねぇよ!」 

「んん〜〜〜〜っ!」

 そしてその時は来た。
 思い切り押し潰され、目の前がチカチカと明滅する。ぎゅっと目を瞑り、気持ちの良いそれが過ぎ去るのを待つ。
 
「俺の勝ち」

 得意げに宣言すると、すぐ離れようとするあいつの胸の突起を摘み上げ抓る。

「んあっ!?」

「はぁっ……、お前だってギリギリだったクセに」

「あう、うるせっ、あ〜〜〜〜っ!♡♡」

 ローションでぬるぬるのそれが指から逃げようとするのを強く摘めば、大きな声を上げ紫色が倒れかかってきた。

「これで引き分けだろ」

「手ぇ使った時点でテメェの負けだろうが」

 程度の低い言い合いをしながら、紫色を退けようとするが、体重をかけられ逃れられない。
 早く退けよと吐き捨てるように言えば「簡単に退くわけないだろ」と後を向き、スキニーに手をかける。
 
「続きすんのかよ」

「当たり前だろ?」

 紫色はそう言うと、下着ごとスキニーを下ろした。勢いよく、半勃ちになった陰茎が露わになる。
 先端にキスを落とすと、そのまま雁首に舌を這わせた。

「んんっ、おい、お前も脱げよ」

「なんだよ?はぁっ、慣らしてくれんのか?」

「っ、そこで喋んな!負けっぱなしでいられるか」

 陰茎に吐息が当たって擽ったい。目の前の尻を叩きながら催促すれば、紫色は渋々下を脱いだ。ローションを手渡され、指に絡める。
 縦に割れた後孔に2本の指を突き入れると、紫色の身体がびくっと揺れた。

「んあっ♡♡いきなり2本挿入れやがって♡♡」

「お前なら大丈夫だろ。なんだったら手首まで挿入る癖に」

「そこまでガバガバじゃねぇよっ!」

「ガバガバだろ……おら、手ぇ止まってんぞ」

 そう言いながらケツを叩けばきゅっとナカが締まった。何やら文句を言いながらも、じゅるじゅるとわざとらしく音を立てて再開されたそれの気持ち良さに思わず目を細める。負けじと、2本の指を拡げるように動かしながら、例のしこりを探した。

「んっ……、はぁっ……」

 喉奥まで咥え込まれ、思わず吐息が漏れる。記憶を頼りに探しているとぷっくりと膨らんだそれを見つけた。焦らすように優しく撫でると、喉が痙攣しだす。
 
「ぐっ、あっ♡一丁前に焦らしてんじゃねぇよ」

 咥え込んでいた陰茎を離し、文句を言ってくる紫色を追い立てるように強く押しつぶす。

「あぁっ♡♡んおっ、♡♡まって、いきなりっ」

「焦らしてんじゃねえって言ったのはお前だろ?」

「んあ゛っ♡♡ばぁか♡♡だからってはげしっ♡♡」

 既に余裕もクソもない紫色を責め立てながら、顔面に陰茎を擦り付けるように腰を動かす。
 こんなに余裕の無い紫色を見るのは初めてだった。

「柔らかすぎんだろ。もう挿入るんじゃねぇの?」

「うあっ♡うるせぇなっ♡♡誰も来ねぇから一人でシてたんだよ♡♡」

「お前なぁ……。ほら、退けよ。足腰立たねぇんだろ?」

 渋々退いた紫色をそのまま力任せに押し倒すと、後孔に陰茎を押し当てた。
 くぱくぱと寂しげに開閉するそこに先端を滑り込ませると、浅いところで出し入れをする。

「んんっ♡♡あん♡♡こないだまで童貞だった癖に♡♡」

「お前らのせいだっ」

 今ここにいない赤色のことを思い出す。ずくっと身体の奥が疼いたが気の所為だと言い聞かせて陰茎を推し進める。
 こつんと結腸に当たった感触がして、更に奥に入り込もうと押し付けると紫色が暴れ出した。

「あ゛あっ♡♡いまそこいれられたらぁっ、おかしくなるぅ♡♡」
 
「……はっ、なっちまえよ」

「あ゛あ゛〜〜〜〜っ!!♡♡」 

 ぐぽっと嫌な音を立てて先端が結腸にはまり込む。瞬間、ぷしゃっと音がして紫色が潮を吹いたのがわかった。

「ぐあ♡♡〜〜〜〜〜っ!!♡♡♡」

 紫色が声にならない声を上げよがり狂う。結腸に入り込む度に壊れたように身体を震わすそれをエロいと思ってしまったのだからもう相当毒されている。

「まっ♡♡はげしっ♡♡んお゛お゛っ♡♡」

「はーっ、はーっ……激しいの好きだろ?」

「ん♡♡あ゛っ♡すき♡♡」

「っ、」

 触れ合っている場所が熱を持って溶けてしまいそうだった。気持ちが高ぶってどうしようもなく、紫色の唇に食らいつく。

「んんっ♡♡う゛ぅ、♡♡」

「はぁっ、くそ……っ」

 先程から後ろが疼いてしょうがない。なんでこういうときにいねぇんだよ、と赤色のことを思いながら、ローションまみれの指を後孔に這わせる。ゆっくりナカに指を埋めていくと、異変に気付いた紫色がにこやかに微笑んだ。

「あは♡♡お前も後ろほしいのかよ♡♡」

「っ、うるせぇ」

「……なんでいないんだろうな」

「いねぇもんはしょうがないだろ」

 そんな会話をかわしながら、この場にいない赤色のことを呪う。
 すると紫色が小さな声で呟いた。

「そこのサイドチェストんなかにいいもんあるぜ?」

「どうせろくでもねえのだろ?」

 陰茎を引き抜き、サイドチェストに手を伸ばす。
 中を見れば、それはもう色々なサイズのカラフルな物が入っていた。

「んっ、これなんかおすすめ」

 陰茎を模した、その中では細身な物を渡され、何とも言えない気持ちになる。発端は自分とはいえ何をしているのだろうか。

「見ててやるから挿入してみろよ♡」

「誰がやるかっ」

 とは言いつつも、興味がないといえば嘘になる。差し出されたそれを渋々受け取ると、ローションを纏わせ後孔に押し当てた。

「はぁっ、うう……」

「良さそうじゃん」

「うるせっ、ああっ……!」

 ローションの滑りを借りてするすると飲まれていくそれを、紫色が舌なめずりをしながら見ていた。
 疼いていた奥まで挿入すると、少し疼きが治まる。

「ほら、続きしようぜ♡」

 甘く囁く紫色に誘われるように陰茎を押し当てた。
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