エド受け



 配信開始のボタンを押す。
 毎度毎度のことながら、少し緊張しつつカメラの向こうにいるであろう不特定多数に媚びる。
「ようお前ら、元気にしてたか?」
 流れていくコメントに適当にあしらいながら、ゆっくり深呼吸をひとつ。何度やっても慣れないもんだな、なんて笑いながら、床に今日使う物を並べる。
「今日使うのはこれ、射精機能付きのディルド。すげえよな、そんなんあるなんてさ」
 語りかけるような口調で話しながら、ディルドを軽く扱く。サービスすればするほど、増えていくコメントを嬉しく思いながら、あらかじめ温めておいたローションを並べ、上のスウェットをなるべく時間をかけて脱ぐ。
「はぁ、乳首勃ってら、見えるか?」
 指にローションを絡め、胸の突起に塗りたくる。てかてかと光を反射するそこを軽く摘めば身体がびくんと跳ねた。
「んんっ、あっ……きもちい。やっぱ温めると感覚違うな」
 喋るのを忘れないように気を付けながら、自分で胸の突起を嬲る。輪郭をなぞるようにくるくる撫で回せば、突起が更に勃ち上がってくる。
「はぁ、あ、そうだ……これもあるんだった」
 新しいディルドへの期待から忘れていたもう一つの玩具を取り出す。透明なカップ状のそれは、胸の突起を苛めるのに特化した物だ。
「なんか口コミイマイチなんだけど、使ってみたかったんだよなぁ」
 中のブラシにローションを塗りたくり、胸に取り付けてみる。それから伸びたコードの先に付いているスイッチを入れた。
 ぶるぶると音を立てて震えるそれは、女性向けの物だからかあとちょっとの所で届かない。もどかしさに脚を擦り合わせながらぎゅっと押し込めば、ブラシが突起の先端を捉えた。
「んああっ、んう!あんまない刺激でっ、あっ♡これはこれでイイかも……」
 ぞりぞりと削るような勢いで動くそれに翻弄される。気持ち良いが物足りない。もう少し強い刺激が欲しくて更に奥に押し込めば、勢いが弱まってしまって、嗚呼、それでレビューが微妙だったのか、なんて思う。
「ちっ、止まっちまった。もうちょい強い方がいいな。……まぁ、初心者向けかな」
 ぱこっと音を立てて外せば、綺麗に円形の跡が出来ていて思わず吹き出す。コメントの方もWの文字で埋め尽くされていて、とてもじゃないがエロい配信だと思えない。
「あーっと、あれ使うか。ちょっと待ってろよ」
 立ち上がり、玩具が入っている引き出しを開ける。中をがさがさと漁り、お目当ての物を取り出すとカメラの前に戻る。
「ちょっと前に一回使ったローター。これ良かったからまた使ってみるわ」
 そう語りかけながら、ローターが2つ付いたそれをテープで突起に固定する。乳首責め用のそれは、前に使った時強めの刺激でかなり良かった物だ。
 ふう、と息を吐き、己の手でスイッチを入れる。力強いモーター音が響き、脳天を突き抜けるような刺激に襲われた。
「あ゛っ♡、んんっ、つよいっ♡」
 もどかしさを瞬時に解消してくれるような強い刺激に、カメラの方を向くので精一杯だった。自然と身体が前のめりになり、目の前が生理的な涙で霞む。
「んあっ、やあ、きもちぃっ♡やっぱこれ、やべえっ♡」
 ぶるぶると震えるその刺激に、腰が勝手にかくかくと動く。気持ち良い。思考が溶けていく。思わず蹲りそうになるのを堪えながら、床に爪を立てる。
「んんっ、う!あっ!」
 リスナーに表情を見せ付けるようにカメラを意識しようとするが、強い刺激に身体が何度も跳ねた。
「あ゛っ!う゛う……ん〜〜〜っ!」
 耐えきれず、胸の突起の刺激だけで果てる。身体をびくんびくんと大きく揺らしながら、なんとかスイッチを切った。精液で下着が張り付いて気持ちが悪い。
「はぁっ、はあ……、これ気持ちいい……」
 息が落ち着くのを待ってから、ゆっくりテープを引き剥がしにかかる。赤くなったそこが、じくじくと疼く。
 でも、今日のメインはこれじゃない。
「今日は先にケツ準備したから、んんっ、大丈夫だと思う」
 流れていくコメントに、準備万端かよなんてツッコミを受けながら、笑って受け流した。
 そりゃ、万端に決まってんだろ。中出しなんてされたこと無いけど、興味がないと言えば嘘になる。でも誰かに抱かれたい訳では無いし、そんな自分を想像すら出来ない。
「っ、……じゃ、今日のメインイベントだ」
 ポンプにローションを流し、ディルドに付いた吸盤を床に張り付ける。自分でポンプを押して流し入れなきゃいけないのが難点だろうか。
 ディルド自体にもローションを塗りたくり、ゆっくり扱けばコメントの流れが早くなった。スウェットを脱ぎ捨て、染みの付いた下着も一緒に放り投げる。
 期待で心臓がドキドキする。跨るようにディルドの上に乗り、自重でゆっくりと先端を飲み込ませた。
「はあっ、あ゛っ♡はいって、きたぁ♡」
 ぬるぬると滑るそれの先端を、緩やかに出し入れする。うん、これなら奥まで咥え込んでも大丈夫だろう。
 カメラに見せ付けるようにM字開脚をしながら、前立腺を抉るように刺激すれば、気持ちよさに目の前が真っ白になった。
「あ゛ぁ゛っ♡前立腺、きもちいっ♡」
 腰が抜けそうになるのをなんとか耐えながら、気合を入れて奥まで咥え込む。異物感さえ気持ちがよくて、おかしくなりそうだ。
「はぁっ♡あっ♡、んっ……はぁっ」
 陰茎から、だらだらと勢いの無い精が流れていく。自然と胸の突起に手が伸び、ローションの滑りを借りて逃げていく突起をこりこりと押し潰せば、ぞくぞくと鳥肌が立った。
「う゛あ゛っ、♡♡やだ、っおっきいっ……♡」
 よく使う物よりちょっと大きいそれを奥まで飲み込むと、腰を回すようにぐりぐり動かす。嗚呼、気持ちが良い、溶ける。
「ん゛っ、う゛……っ♡♡あ゛あ゛っ♡♡」
 強い刺激についつい喘ぎ声が止まらない。ちゃんとカメラに映っているだろうか。少し心配になりながらも、夢中で腰を振る。
 時折勢いよく突っ込めば、その度にびゅくびゅくと精が吹き出していく。一番大きな絶頂の気配が近付いてきて、仕上げと言わんばかりに前立腺を抉った。
「お゛っ♡♡ほっ……!♡♡〜〜〜〜っ!♡♡♡」
 びくんびくんと身体を跳ねさせ絶頂をキメる。気持ちが良い。とろけるような刺激を享受すると気付く。嗚呼、ポンプを押し忘れた。
「っ、フーッ……フーッ……♡♡もっかいするから、もうちょっと、まって♡♡」
 なんだっけ、そう、日本で言うところの正座のような体勢になりながら、ゆっくり出し入れをする。
 結腸の入り口辺りをくぽくぽと刺激すれば、ぞくぞくと鳥肌が立つ。この感じならなんとか奥まで挿入できそうだ。
「はぁっ!へっ、へっ♡♡おく、はいりそっ♡♡♡」
 押し付けるように刺激すれば、ぐぽっと嫌な音を立ててディルドが結腸をぶち抜く。
「お゛〜〜〜〜〜っ!!♡♡♡」
 陰茎から透明な液体が吹き出し、気持ち良さに意識が飛びそうになる。気持ちが良い。狂いそうだ。
 じゅぽじゅぽといやらしい音を立てながら、結腸を苛めれば、また絶頂が近付いてくる。忘れないようにポンプを手に持ち、ぐっぽり奥まで咥え込んだ。
「んん〜〜〜〜!!♡♡♡」
 ポンプを押し潰せば、びゅくびゅくと腹の奥で生暖かい物が勢い良く噴射された。未知の感覚に、ぞくぞくと鳥肌が立つ。嗚呼、これ、癖になりそう♡
「はへっ、♡はっ♡……お゛っ♡♡」
 余韻に腹を波立たせながら、息が落ち着くまでなんとか待つ。コメントを見れば、何時もよりコメントをしてくれている人が多い。沢山の人に見られているという興奮に、甘イキを繰り返しながら意識が飛びかけるのをなんとか繋ぎ止める。
「はぁっ……、はらんなか、だされたらこんな感じなのかな」
 感じながらぽそっと呟いた言葉に、少しだけ胸が痛くなった。
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