ラシエド



 ラフな格好でベッドに横になり、居心地の悪そうな彼に手招きをする。恐る恐る近づいて来た彼を捕まえると、そのままぎゅうぎゅう抱き締めた。

「たまにはしっかり寝ないと、身体に良くないよ?」

「うるせぇな……」

 つい小言を呟く。嫌だろうなと言うのは分かるが、心配でつい口に出てしまった。失敗したかな、なんて思いながら彼の方を見ると、耳まで赤くして不貞腐れた様な表情をしていたので、可愛くなって額にキスを落とす。

「ばっ、」

「まだ抱き締めただけなのに、可愛いね」

 まだ、というのを強調して囁けば、慌てて逃げようとするので力ずくでベッドへ縫い付けた。
 ちゅっと音を立てて、少しカサついた肉付きの薄い唇に吸い付く。何度も角度を変えてそうすれば、おずおずと口を開いたのでゆっくり舌を滑り込ませれば、甘い吐息が漏れた。
 逃げようとする舌を絡め取り、擦り合わせながら、押さえつけていた手を恋人繋ぎにする。

「はぁっ、……っ、んぅ……、ちゅっ」

 長い間そうしていた気がする。夢中で口内を貪っていると、胸を叩かれたので名残惜しいと思いながら離れる。

「……ふぅ、大丈夫?」

「はーっ、はーっ……聞くぐらいならするな!」

 息も絶え絶えの彼に微笑みかけながら、ちゅっと首筋に吸い付き跡を残す。彼はそれだけでぴくりと身体を跳ねさせた。
 
「んっ、……すんのかよ?」

「どうする?エドはしたい?」

「……っ、」

「……ふふ、ごめんね。可愛くてつい意地悪しちゃった」

 無言の、だけど期待しているであろう彼のTシャツを捲りながら、頬にキスを落とした。 
 露出された、慎ましやかな胸の突起を片手で優しく撫でる。

「んっ……まだ!何も言ってねぇっ!」

「でも、期待したでしょ?」

「そんなの、するわけねぇだろ!」

「えー、残念」

 そう言いつつ、赤く色づいた耳を食む。口では嫌がるものの、明らかに乗り気の彼は、可愛らしく身体を跳ねさせると、繋がったままの片手に爪を立ててきた。答えはそれだけで十分だった。
 片方の突起を指で弾きながら、残ったもう片方を口に含む。柔らかかったそこは、口の中で転がすとすぐに固く尖り、思わず口角が上がる。

「っ!……うあっ、……んん!、っ」

「ふふ、乳首弄られるの好きだもんね?」

「好きじゃなっ、あぁっ!……やん、っ!」
 
 絡ませた指にぎゅっと力が入る。気を良くして、じゅっと音を立てて吸い付くと、身体を逃がそうとするので体重を掛けて押さえつけてやった。

「もう、逃げないでよ」

「はぁっ、ああっ!……んっ」

 ふるふる震える突起を甘噛みすると、たまらないと言わんばかりに身体をくねらせる彼が愛しくて、胸に跡を散らす。後で気付いて怒られるかもしれないけど、いちいち可愛すぎるエドが悪いよね。
 突起を可愛がっていると、股間が主張しているのが目に入って、ちゃんと気持ちいいんだ、と嬉しくなった。

「下着汚れちゃうと困るし脱ごっか」

 そう声を掛けながら、ハーフパンツを下着ごと下ろせば半勃ちになった陰茎が姿を現した。
 色素の薄いそれが目の前でふるふる揺れている。果実のようなそれに思わずしゃぶりついた。

「なっ!あぁっ、!……そんなとこっ、汚いだろ!」

「ん?汚くないよ。ほら、すごく綺麗」

 先端にキスを落としながら言えば、彼は更に顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。嫌ならそう言えばいいのに。言わないってことは続けて良いんだよね?そう思いながら、裏筋をつーっと舐る。

「っ!ふぅっ!ああっ……!あうっ、んん!」

「……ふふ、気持ちいいね」

 指で竿を扱きながら、先端にしゃぶりつく。次から次に溢れてくる先走りを飲み下しながら、わざとらしくじゅるじゅる音を立てて吸い付けば、一際大きく鳴いてびゅくびゅくと精を吐き出した。

「くうぅっ!」

 口内に出された精を、なんとか飲み下す。苦くて不味いが、彼の出した物だと思うと不思議と嫌な気持ちはなかった。

「はーっ♡はーっ♡」

「ん、ごちそうさま」

「ばかぁっ!」

 飛んできた蹴りを受け止め、無理のない程度に足を開かせる。期待からかひくつく後孔が丸見えになって、思わず釘付けになる。

「っ♡あんま見んなっ」

「ふふ、可愛いね。ここひくひくしてる……ちょっと待ってね」

 テーブルの上から小瓶を取り、中の潤滑油を手に広げる。冷たくないように手のひらで温めながら指に絡めると、皺を伸ばすように撫で回す。

「っ♡う、あ♡っ早くしろよぉ♡」

「んー?どうして欲しいの?」

 つい意地悪がしたくなって問いかければ、涙目になりながらも、両手で後孔を拡げ誘うように腰を揺らした。

「あうっ♡早く、ナカ欲しいっ♡」

「……っ、良く出来ました」

 ひくつくそこに、潤滑油塗れの中指をゆっくり挿入していく。すでに1本くらいなら余裕で挿入るようになりつつあるそこに感動を覚えながらいいところを探ると、しこりに触れた瞬間彼が身体をしならせた。

「ひあっ♡そこっ♡♡」

「うん、エドの気持ちいいところ」

「あん♡っう♡あ、っんん♡♡」

 きゅうきゅうとナカを締め付けながらよがる彼を眺めながら、とんとんと叩くようにしこりを苛める。
 しこりに触れる度に意味のない言葉の羅列を吐き、気持ちよさそうにとろんとした目でこちらを見てくる彼に、微笑みかけた。

「ふふ、可愛い」

「うっせぇっ、あぁっ♡んっ、う♡はぁ♡きもちいっ♡」

「もう2本目挿入りそうだよ。えっちになっちゃったねぇ」

 傷つけないように、念には念を入れて1本の指で拡げているが、もう2本目が挿入りそうなくらい後孔はぐずぐずだった。
 
「はぁっ♡誰のせいだとっ♡」

「俺のせい、かな?」

「くそっ、お前のせい、だっ♡あ゛、ぅ♡ん゛っ♡」

 ゆっくり2本の指を挿入すると、明らかに声の質感が変わった。媚びるような甘い甘いそれにとても興奮する。
 
「や゛ぁ゛っ!♡んあ、う♡」

「はーっ、エドのえっち……」

「っ!♡♡」

 体勢を変え、吐息混じりに耳元でそう囁くと、喜ぶようにナカがきゅっと締まった。早く挿入してしまいたい気持をぐっと抑えて、2本の指をぐちゅぐちゅと卑猥なを立てながら出し入れする。
 ほとんど無意識なんだろうがキスをせがまれ、でもさっき舐めちゃったよ?と問えば「それでもいいから」と半ば強引に唇を奪われる。

「っ♡んん、はっ♡♡きもちいっ♡♡んふ、ちゅ♡」

「んんっ、ならよかったよ……はぁっ、ここ、凄いことになってる」

「はぁっ♡♡早く、くれよぉっ♡♡」

「そういう時なんて言うか、教えたよね?」

「っ♡♡」

 ちゅぽっと音を立てて指を引き抜くと、少しの間の後で恐る恐る後孔を拡げながら「ラシード……お前のちんぽ、ここに欲しい」と蚊の鳴くような小さな声で呟かれ、辛うじて保っていた理性がぶちりと音を立てて千切れた。

「っ……ははっ、いいよ。全部あげる」

 自分でもびっくりするくらい熱の籠った声でそう囁き、ひくつく後孔に先端を擦り付ける。
 先走りの滑りを借りて、先端がナカにゆっくり飲み込まれていくと、気持ちよさそうに喘ぎながら彼が反り返る。

「っ〜ん♡はいって、きたぁ♡♡」

「っ、もう!」

 浅いところで抜き差ししながら、彼の手に自分の手を絡める。恋人繋ぎのようにがっちり手を繋ぐと、奥まで一気に突き入れた。

「あ゛〜〜〜〜っ!!♡♡♡」

 彼の陰茎からびゅくびゅくと精が溢れ出す。
 涙やら唾液やらでべしょべしょになりながら感じ入る顔も可愛いな、と思いながら無慈悲に腰を打ちつける。耳元で可愛いねと囁けばきゅっと後孔を締め付けた。

「、ぐあ゛っ♡♡きもちいっ♡きもちいからっ♡♡あ゛ん♡♡」

「はぁっ、俺も気持ちいいよっ、」

「よかった♡♡ラシードぉ、俺でもっと気持ちよくなって♡♡」

「っ!一緒に、ね?」

 もう何を言っているのかも分かっていないだろう彼を揺さぶりながら、最奥に先走りをマーキングでもするように擦り付ける。
 絶対に離すもんか、そう思いながら入口が緩くなってきた結腸に挿入り込むように腰を打ちつけた。
 ぐぽっと嫌な音がして、先端が結腸にめり込む。瞬間、彼がじたじたと暴れ出した。

「〜〜〜〜っ!!!♡♡♡」

「うっ、奥に出していい?」

「あ゛ぁ゛〜〜〜〜っ!!ナカに、だしてぇっ♡♡」

 ずっと甘イキしているのか声にならない声を上げながら、びくびくと身体を跳ねさせ、焦点の定まっていない目で喘ぐ彼の手をぎゅっと掴む。

「エドっ、好きだよ」

「っ!♡♡♡おれも!俺もラシードがすきっ♡♡♡」

 それを聞いて、結腸にびゅるびゅると精を吐き出した。
 余韻を楽しむように、時間も忘れてしばらくそうしていた。お互い荒い息を整えながら、乱れた髪を掻き上げる。テーブルの上に置いたグラスを手に取り、中のぬるい水を口に含むととろけきった彼に口移しで飲ませた。
 熱い舌にせがまれる様に、そのまま舌を絡めれば口の隙間から嬌声が漏れ出した。

「ふっ♡んんっ、うっ♡」

「っ、……もっといる?」

 小さく頷いた彼の頭を撫でながら、もう一度水を口に含み飲ませる。
 何度かそうすると、満足したのか彼がうつらうつらし始めた。情事の跡処理しながら、眠い?と問い掛けると掠れた声でおう、とだけ返されたので手早く片付け自分もベッドへ滑り込む。

「疲れたね。ゆっくり休みなよ」

「……っ、でも」

「大丈夫だよ。ここにいるから」

 頭を撫でながらそう囁けば、安心したようにへにゃっと笑うと規則正しい寝息が聞こえ始める。
 どうか、どうか彼が悪夢に怯えなくて済むように祈りながら、そっと抱き締め額にキスを落とした。
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