ラシエド



 どちらからともなく、唇を重ねる。
 ちゅっと音を立てながら吸い付けば、後頭部を手で押さえつけられ舌を入れられた。さっき食べていたアイスのフルーティーな味がする舌に、自分の舌を必死で絡ませながら、恐る恐る目を開けるとあいつと目があった。ずっと見られていたんだと、顔が熱くなる。
 期待をしていなかったと言えば嘘になる。だって、久しぶりのお家デートってやつ?だぞ。誰がいるわけでもなく二人っきりなのだ。そりゃあ、その、出来るものなら抱かれたい。
 そんな思いを知ってか知らずか、高そうなソファにそのまま押し倒される。口の隙間から熱い吐息が漏れ、高められていく。恥ずかしい、そんな気持ちと同時に、先を知る身体がラシードを求めて疼いた。

「抱いてもいい?」

「っ、……抱かれたい」

 恥ずかしくてしょうがないが、視線を逸らしたら負けな気がして、あいつの綺麗な瞳を覗き込みながら小さく小さく呟く。
 嬉しそうに細められた瞳に思わず魅入る。ぎゅっと抱き締められ、そのまま首筋に優しく歯を立てられ、身体がビクついた。

「はぁっ……」

「はは、いたたっ!痛いって」

 背中に腕を回し、抱きしめ返せば、力加減を間違えたのか、腕の中の彼から冗談混じりの悲鳴が上がった。慌てて力を緩めると、あいつが微笑みながら額にキスを落としてくる。

「悪ぃ……」

「別に大丈夫だよ。ゆっくり覚えていこう?」

 小さく頷くと、満足そうに笑った。その顔を見て、ああ、俺はラシードの笑った顔が好きなんだ。と再確認する。
 あいつの温かい手が脇腹を擽るように撫でる。焦らすようなその動きに、ぞわぞわと鳥肌が立つ。

「ふぁ、うぅ……擽ってぇ……」

「擽ったい場所って性感帯なんだよ」

「っ、」

 そんなわけ、と口を開きかけて止めた。確かに近しい物があるような気がして。いや、これ以上はダメだ。と慌てて考えないようにする。
 そうこうしている間に、焦らすように胸の突起の周りを撫でていた指が、優しく突起に触れた。

「んっ、……やぁ……っ!」

「もう勃ってる。触られるの想像しちゃった?」

「う、るせっ……んあっ!う、」

「可愛い、えっちだね」

 耳元で囁かれ、脳に直接響くような低い声に乱されていく。控えめに主張した胸の突起を摘まれ、こりこりと押し潰されて快感が弾けた。

「あうっ、……んんっ!」

「気持ち良い?」

「はぁっ、わかんねぇっ」

 ふるふると身体が震え、背中に回した手に思わず力が入る。気持ちがいい。目の前が生理的な涙で歪んだ。
 首筋に吸い付いていたあいつが、そのまま胸へと移動する。熱い舌が突起を包むように舐り、ざらざらとした舌の感触に身体が跳ねた。

「うぅん、っ……!あっ……」

「ん、エドって、ここ弱いよね。こうやって転がすと気持ちよさそうな顔するし」

「別にっ!弱くなんかっ……ああっ!」

 否定しようとするが、突起に優しく噛み付かれ途中で嬌声に変わった。息が上がってくらくらする。まだ胸を触られてるだけなのに、下着の中が先走りで湿っていて気持ちが悪い。
 もじもじとしていると、あいつが気づいたのかふふ、と微笑んだ。

「先、脱ごうか。ほら、腰浮かせて?」

「ん、」

 手際よく下着ごとスキニーを下ろされる。自分だけ脱いでいるのが恥ずかしくて、あいつのヒラヒラした服を掴めば、それだけで察したのか上着を脱ぎ出した。
 鍛えられた身体が目に入って、気恥ずかしくてつい目を逸らす。

「ほら、俺も脱いだからさ。そんな恥ずかしがらないでよ」

「うう……っ、」

 あいつの視線が、肌を撫でるように絡みついてくる。見られている、それだけで興奮する自分が恥ずかしくて、ぎゅっと抱きついた。
 
「可愛い。ね、続きしてもいい?」

 顔をあいつの首筋に埋め、表情が見えないように隠しながら小さく頷く。
 腹を撫でていた手が、ゆっくり下腹部に伸びる。淡く勃ち上がった陰茎に手が絡みついて、直接的な快感に思わず声が漏れた。

「ひぁっ!」

「あはは、可愛い声」

 にちにちと卑猥な音を立てて扱かれ、高められていく。ふうふうと息を吐きながら、目をぎゅっと閉じ快感の波が通り過ぎ去るのを待つ。
 あいつに触られているからなのか、自分でやるよりも刺激が強くてあっという間にイきそうだった。

「やぁっ、んあっ!まって、すぐイっちゃうから!」

「良いよ、幾らでも出して?」

「っ〜〜〜〜!」

 身体が2、3度大きく跳ねる。耐えようとしていたにも関わらず、敏感な先端を撫でられ、呆気なくあいつの手にびゅくびゅくと精を吐き出した。
 
「はーっ!はーっ!」

「よくできました」

 頬にキスを落とされ、それにすら身体が敏感に反応する。なんとか息を整えようと酸素を吸い込むが、中々整わない。あいつはそれをにこやかに眺めながら、気遣いからか責める手を止めていた。
 やっと落ち着いてきた頃、あいつがテーブルの上に置いてあった高そうな瓶に手を伸ばす。
 手に広げたその粘度のある液体は、どう見ても潤滑油で……。最初からここでヤる気だったのかと気付いてかあっと顔が熱くなった。

「今自分がどんな表情してるかわかってる?ここに欲しくてしょうがない、って顔してるよ」

「っ!♡」

 潤滑油に塗れた指が、後孔の皺を伸ばすように縁を撫でる。耳元で熱の籠った吐息混じりにそう囁かれ、腹の奥がきゅんと疼いた。
 
「……ばぁか、焦らしてんじゃねえよ」

 早くナカに欲しくて、腰を揺らして誘う。そうすると、あいつは大きな溜息をひとつ吐き、後孔に指をゆっくり埋めてきた。

「あんまり煽らないでってば」

「んあっ、♡……早くくれよぉ……♡」

「拡げないとでしょ……、あれ?でもちょっと柔らかいね」

「さっき、シャワー浴びた時、自分でやろうとして……」

 でも、自分でやったことが無かったが故に、怖くて上手くいかなかったのだ。小さく小さくそう呟けば、あいつは嬉しそうに笑った。

「そっか、浮かれてたのは俺だけじゃなかったんだ」

「う、るせぇ……」

 かあっと顔が熱くなる。頬にキスを落とされながら、ゆっくりと指が増やされた。ぐじゅぐじゅと卑猥な音を立てて2本の指が出し入れされる。
 
「ああっ!♡♡うあ、んっ……!♡」

「気持ちいい?」

 こくこくと頷き、あいつの背中に爪を立てる。蕩けそうなくらい気持ちが良くて、口から嬌声が止まらない。
 ナカを探る指が、しこりを捉えた。その瞬間、まるで電流でも流れているような衝撃が身体を駆け抜ける。

「あ゛あっ!♡♡ん゛う♡♡っ、やらぁ!♡♡」

「嫌じゃないでしょ?気持ちいいの大好きだもんね」

「すきじゃ、なっ♡♡あ゛あ゛ん゛っ!♡♡」

 辛うじて残っていた理性が焼け落ちていく。気持ちがよくて、あいつの指をぎゅむぎゅむ締め付けてしまう。
 もう恥ずかしいだとかそんな感情はどこかへいってしまっていて、とろけた頭は快楽以外考えることを放棄していた。
 乱されながら、あいつの唇にしゃぶりつく。

「ん゛ん!ふぁっ♡♡♡、ちゅっ……♡♡」

「ふふ、熱烈だね」

「もっと♡♡はぁっ、♡♡早くここにほしいっ♡♡ラシードでいっぱいにして?♡♡♡」

 自分が何を口走っているのかもわからない。朦朧とする意識の中、後孔を両手で拡げるように見せつければ、あいつの目が獣のようにギラついた。
 ああ、このまま身体の隅々まで食われつくすんだ。嬉しさから、生理的な涙が頬を伝う。
 ゆっくり指を引き抜かれ、拡がった後孔が誘うようにひくつくのがわかる。

「いいよ、全部あげる」

「っ〜〜〜〜!!♡♡♡」

 ひくつく後孔に、熱い陰茎が押し付けられる。脚を持ち上げられ、見えにくいが先端がゆっくりナカに飲み込まれていくのがわかった。
 慣らすように拡げながら、潤滑油を足され滑りの良くなった陰茎が引っかかることなくするすると飲み込まれていく。
 
「う゛あっ♡♡おっきい♡♡」

「だから、あんまり煽らないでってば」

 そう言われたって、と思いながらあいつの腰に脚を絡み付かせると、強請るように腰を揺らす。最奥まで陰茎が挿入りきると、膨らんだ腹を撫でた。

「もう、知らないからね」

「っ、〜〜〜〜!♡♡♡」

 一気に引き抜かれたかと思えば、ばつんと最奥に叩きつけるように陰茎を差し込まれた。衝撃で目の前がチカチカ明滅する。声にならない叫びを上げながら出せずに果てた。
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