高いだろうベッドにそっと押し倒される。つー、と腹筋をなぞられて身体がビクついた。
　ああ、ついに抱かれるんだ。そう思い、カッと顔が熱くなる。

「いいの？」

「聞くなっ」

　ふいっと視線をそらせば、ふふっと笑われた。いつだってあいつばっかりが余裕ぶっていて腹が立つ。　
　小さな声でいい、とだけぶっきらぼうに呟けば嬉しそうにぎゅっと抱きしめて来た。そのまま唇を重ねられ、目を瞑る。ちゅっと音を立てて吸い付かれた後、口の隙間に舌を差し込まれ、思わず舌を逃がす。大人のキスは息苦しいから苦手だ。

「んっ、うう……ふぁ」

　息を吸うのに必死になっていると、逃げまわっていた舌を絡め取られ、ざりざりと擦られ身体が跳ねる。
　苦しくなって胸をドンドン叩く。ゆっくり離れていくあいつと目があって、気まずさから思わず目を逸らした。

「ふふ、可愛いね」

「こんなタッパのある男可愛いわけねぇだろ」
　
「んー、そう？俺には可愛く見えるよ」

　そう言いながら首筋に吸い付かれ、ちりっとした痛みに驚いた。何をされたのかよくわからないが、同じことをしたら良いのかと、あいつの首筋に噛み付く。

「いたたた、吸ったら良いんだよ。そうしたら跡が残るから」

「ん」

　言われた通りに吸い付くが、吸い付きが足りないのか跡は残らない。何度も試していれば、ふふっと笑われた。

「あーもう、可愛い」

「うるせぇっ」

「ね、触っても大丈夫？」

　小さく頷くと、壊れ物にでも触れるみたいに優しく肌を撫でられ思わず息を呑んだ。
　そのまま胸の突起に触れられて、そういう物なのかと思う。くるくると指で輪郭をなぞられ、なんとも言えない擽ったさに身体がビクついた。

「どう？」

「っ、擽ってぇ……」

「まあ初めてだもんね。ゆっくり育てていこう」

　そう言うと、あいつはそのままスキニーに手をかける。スキニー越しに陰茎を撫でられ思わず腰が跳ねる。
　自分で触れることは違う感覚に、ぞわぞわと鳥肌が立ち、吐息が漏れる。

「脱がすよ？」

「いちいち口に出して言うなっ」

「そう言うものなの！」

　するするとスキニーを下ろされ、下着姿に剥かれる。ついでに上着も脱ぐと広い広いベッドの上に投げ捨てた。
　自分だけ脱がされているという羞恥から、顔がカッと熱くなる。

「下着も脱ごうか」

「っ、はずかしい……」

「もう、脱ぐだけで恥ずかしがってたらこの先持たないぜ？」

　頬にキスを落とされ、思わずぎゅっと目を瞑る。下着越しに陰茎を触られて、気持ち良さに身体が震えた。

「下着も脱がせていい？」

「や、やだ……」

「脱がないと続き出来ないよ？」

「う……、」

　おずおずと下着に手をかけ脱ぎ捨てる。これで自分を守るものは何も無くなった。
　すでに半勃ちになった陰茎に、あいつの手が絡められる。

「あぁ……っ、んっ」

　思わず漏れた声に、咄嗟に手で口を塞ぐ。こんな声、とてもじゃないが聞かせられない。
　
「ね、声聞かせて」

「いっ、やだぁ……」

「しょうがないな」

　諦めてくれたかとホッとしたのも束の間、先走りの滑りを借りて敏感な先端を撫でられ身体が跳ねた。強すぎる快楽に足の指をぎゅっと丸める。

「っ！はっ、ぁっ……！んっ、」

「ふふ、どこまで耐えられるかな」

　ぞくぞくと鳥肌が立つ。これ以上はヤバい気がして、逃れようとすれば先端を強く擦られ、咄嗟にシーツを掴んだ。
　気持ち良さに頭がダメになりそうな気さえする。つらい、気持ち良すぎて今にも出てしまいそうだった。

「あ゛っ、う゛う〜〜〜〜！！」

　我慢できず、口から嬌声が漏れる。瞬間、勢い良く白濁とした液体があいつの手に放たれた。
　余韻に浸っていると、先端への責めが継続される。

「ま゛っ、あぅっ！とまれって！あ゛っ」

「ふふ、可愛い」

　責めは止むことなく、手のひらで刺激され続け何かがせり上がってくるのを感じる。何かが出てしまう、そんな感覚に恐怖を覚えあいつの服を掴んだ。

「あ゛っ！んんぅ！まって、出ちゃうからぁ！」

「大丈夫だよ。見てるからそのまま出して？」

「う゛う゛っ！やだぁっ！あ゛あ〜〜〜〜っ！」

　身体に力が入る。焼けるみたいな気持ちよさの中、ぷしゃっと音がして陰茎から透明な液体が吹き出した。顔にまで飛んだそれを、あいつがぺろりと舐め取った。
　漏らしてしまった、と思わず目に涙が浮かぶ。

「はーっ、はーっ、漏れちゃった、ごめんなさい……ごめんなさい」

「っ、……大丈夫、大丈夫だよエド。これ潮だから。気持ちがいいから出ちゃっただけだよ」

「怒らない……？」

「怒るわけないよ。大丈夫だから」

　鼻を啜りながら聞けば大丈夫と囁かれ抱き締められた。心臓の音がトクントクンと聞こえて思わず胸にすり寄る。
　
「可愛かったよ」

「……うるせぇっ」

　急に恥ずかしくなってふいっと視線をそらす。落ち着くまでそうして抱きしめられていると「続きしていい？」と囁かれ、小さく頷いた。

「ありがとう。ちょっと待ってね」

　サイドチェストに手を伸ばすと、中から透明なボトルが出てきた。それをあいつが手に出すのをぼんやり眺める。ふわりと花のいい匂いが香ってきて、それだけで高価な物なんだろうなと思った。

「挿入れるね」

　こくりと頷けば、後孔に指を当てられる。緊張から身体に力が入るのがわかって、ビクビクしていると優しく頭を撫でられた。

「大丈夫だから、力抜いて」

「ん、」

「そうそう、偉いね」

　ゆっくり時間を掛けて指が飲み込まれていく。何かを探すように腹の中を弄られ、違和感に喘いでいるとふと身体が跳ねた。

「っ？」

「見つけた」

「ひっ！」

　そこを捏ねられ、目の前がチカチカと真っ白になった。口から喘ぎ声が漏れ、それが何なのかもわからずただただ気持ちよくさせられる。

「はぁ゛！あ゛っ、う゛うっ！」

「気持ち良いね」

「わからな、いっ！あう、んん〜〜〜〜！」

　身体がびくびく震え、服を掴む指に力が入る。びゅくびゅくと勢い良く白濁とした液体が溢れ出た。気持ち良い、気持ちが良すぎてわけがわからなくなるのが怖い。

「指増やすよ」

　そう言われ、ナカの異物感が増す。拡げるようにゆっくり出し入れされ、ぎゅうぎゅうと指を締め付けながら狂いそうになった。
　苦しさはある。が、少しずつ気持ちよさのほうが勝ってきていた。

「う゛う〜〜〜〜！」

「可愛い」

　ちゅっと音を立てて首筋を吸われる。それにすら身体が反応して、ふふっと微笑まれた。
　しつこいくらいに慣らされて、ぐちゅぐちゅといやらしい音が聞こえてくる。恥ずかしくなってぎゅっと目を瞑った。

「んあっ、う゛っ！」

「そろそろいけるかな？」

　ちゅぽっと音を立てて指が引き抜かれる。はっとあいつの方を見ると、ちょうど陰茎を取り出したところだった。赤黒い、自分のとはあきらかに違うそれに目が釘付けになる。

「はっー、はっー……」

「ふふ、えっちな顔」

　そう言われてもそれから目がそらせない。思わず生唾を飲み込むと、ゆっくりそれが後孔にあてられる。
　先端が難なく飲み込まれていくのを、息を荒くしながらただ見ていた。

「っ、はっ、……ああっ、う！」

　口から勝手に嬌声が漏れる。あいつの宝石みたいに綺麗な目が俺を捉えていた。ああ、喰われる。そう思うと背筋がぞくぞくして、思わず陰茎を締め付けてしまう。

「エド、もうちょっと力抜ける？」

「はぁっ、むりっ、わからないっ」

　ちゅっと音を立てて唇を吸われる。そのまま唇を舐められ、おずおずと舌を差し出した。舌を絡め取られて擦られる。気持ちが良くて力が抜けた。

「んんっ、う、ぁ！ふぁっ、んん！」

「ちゅ、ん……気持ち良いね」

　余裕なんてものは無く、こくこくと頷くことしか出来ない。
　陰茎が奥まで差し込まれ、その圧迫感に短く息を吐く。

「ほら、ここまで挿入ってる」

「あぁっ！さわんなっ、」

　ぽこっと膨らんだ腹を撫でられ、また違った気持ちよさにくらくらする。あいつの腰に脚を絡めながら、胸ぐらを掴んで早く来いよと囁いた。

「はは、最高」

　腰を掴まれ、最奥に叩きつけられる。瞬間、目の前がチカチカと明滅した。
　気持ちがいい、溶けそうだ。
　ぱん！と肌と肌がぶつかる音が部屋に響き渡った。