ラシエド
妙に真剣な顔で話したいことがあると言われ、別れ話でも切り出されるのかとヒヤヒヤしながらソファに座る彼の横に座り、手を取る。緊張からか汗ばむ手に、彼もちゃんと生きているんだなんて思いながら。
「……俺、実はΩなんだ」
「えっ?前にαだって言ってなかったっけ?」
驚きに思わず彼の瞳を見る。とても嘘をついているような状態に気付き、首を傾げる。だって、そんな素振りなんて全く無かった。
「昔受けた実験のせいでぐちゃぐちゃになってんだ。だからαだって言ってもバレねぇの。実際お前も気付かなかっただろ?」
「確かに気付かなかったけど……」
過去を思い出しているのか辛そうに顔を歪める彼の手を引っ張り抱きしめる。どんな思いでオレに教えてくれたのか、考えれば考えるほど愛しさが溢れ出した。
「気付かれないならそれで良かったんだ。でも……」
「ごめんね、辛いこと思い出させて。教えてくれてありがとう」
オレの腕の中で小さくなっている彼の額にキスを落としながら言う。
世間一般的に、α同士のカップルは長続きしないと言われている割には、オレ達は上手くいっていたのはそういうことかと勝手に納得した。
「ヒートの時はどうしてたの?」
「仲間の潜伏先で何とかしてた。こんなイレギュラーだからか抑制剤もあまり効かなくて……」
「そっか。それは辛かったね」
よしよしと頭を撫でれば気持ちよさそうに目を閉じるので、最初の頃よりずっと素直になったななんて感動しつつ。
ふと、ふわっと甘い香りが漂った。果物の芳香のようなそれに下腹が重くなる。
「……ごめんな」
小さく彼が呟いて、そこから先の記憶がない。
頭がぼーっとする。眼の前の甘い果実に齧り付きながら必死で腰を振れば、結合部からぱちゅぱちゅと水気のある音が鳴ってどうしようもなく興奮した。溶けそうなくらい気持ちがいい。
あれ、さっきまでオレはソファでエドと話していたんじゃなかったっけ。纏わりつく甘い香りに呑まれそうになりながらもなんとか思い出す。じゃあ、今貪っているのは……。
「んんっ、ごめんなさっ!♡♡ああっ!♡♡」
「エド!?」
謝りながら泣きじゃくる彼を、獣のような体勢でめちゃくちゃに犯していた。
「はぁっ♡♡あ゛っ!こんな、誘い方しかできなくて♡♡んあっ♡♡ごめんなさぃ♡♡」
「っ!」
ヒートか、とすぐにわかった。
気を抜くと甘い香りに誘われまた意識を飛ばしてしまいそうになりながら、頬を叩いて気を紛らわす。
ぬぽっと音を立てて蜜壺から陰茎を引き抜けば、ごぽっとナカから白濁とした液体が零れ落ちてすでに長い時間まぐわっていた事を示していた。
「んあっ♡♡やだぁ♡♡抜かないでっ♡♡」
「はあっ、エド……ごめん、オレ」
息も絶え絶えな彼が落ち着くのを待ちながら謝る。初めてはちゃんとこんな性に翻弄されたような抱き方ではなく、出来れば優しく真綿で包むように抱きたかった。
「ちがっ、おれが……んっ、ヒートがくるのわかってて誘ったんだ……」
「それでも!意識飛ばしてこんなめちゃくちゃにしたのはオレだから」
「ごめんなさい……こんな誘い方しか出来なくてっ」
泣きじゃくる彼が落ち着けるように頭を撫でながら、タオルで身体を拭く。
いちいちそれにも反応する身体が愛おしくて、項にそっとキスを落とした。
「いいよ、それだけオレに抱かれたかったんでしょ?」
「……ん」
顔を真っ赤にしながら小さく頷く彼を横抱きにして、なんとか持ち上げるとベッドへと運ぶ。
そのままベッドの上に乗せ、覆いかぶさるように押し倒し耳元で囁いた。
「最初からやり直させて」
そう言いながら薄い唇にキスを落とす。わざとらしくリップ音を立てながら吸えば、小さく呻きながら腕を後に回された。
唇を食み口を開けるよう促せば、おずおずと差し出された舌にしゃぶりつく。甘い蜜のような唾液をじゅるじゅると音を立てて吸い上げる。
「んんっ、はぁ……あっ♡はーっ……♡」
「気持ちいい?」
「……うん、」
肩まで赤くしながら素直に頷く彼に微笑みかけ、胸の突起に舌を這わす。舌先で転がしながら、もう片方を優しく摘み上げれば、彼は身体をビクつかせながら感じ入っているようだった。
「はぁっ♡んんっ、……きもちぃ♡もっと……♡」
「素直に言えて偉い偉い。……可愛いね」
じゅっと吸い上げ、噛み跡を付ける。もう片方を指先でかりかりと引っ掻けば、首を横に振って耐えようとしていた。
「あっ♡ふぁっ……♡」
強く抓れば、そのまま達したのか陰茎からとろとろと白濁した液体を垂れ流す。それを指に絡め、首筋に顔を埋めながら緩やかに扱く。ふわっと甘い香りが漂ってきて、好ましい良い香りだなと思った。
「ああっ、んっ♡♡すぐいっちゃうっ♡♡らしーどの♡はやくナカに欲しいっ♡♡」
「だーめ、やり直すんだから」
ぐずるように泣き出す彼を抱きしめながら、額にキスを落とす。さっきのようにめちゃくちゃにしたいという気持ちを必死に押さえ付け、後孔に手を伸ばした。
彼の体液とオレが出した精ですでにぐしょぐしょな蜜壺にゆっくり指を埋めていく。挿入された指に媚びるように絡みつく肉壁に目眩がした。
指を増やしてわざとらしく音を立てながら出し入れすれば、喉を晒して反り返るので可愛い、と耳元で囁く。晒された首筋に赤い跡を散らしつつ良いところを探す。
膨らんだ一点に指が掠め、彼が一際大きく叫んだ。
「あっ♡♡イッちゃう♡♡ん゛う゛あ゛〜〜っ♡♡」
「ふふ、気持ちいいね」
「そこ!♡♡きもちいっ♡♡あ゛あ゛――――っ!!♡♡♡ねぇっ、キス……ほしい♡♡」
「うん、良いよ」
差し出された舌にしゃぶりつきながらしこりを苛めれば、とろんとした表情で気持ちいいと繰り返す彼に己の限界を感じつつ指を引き抜いた。
「ん゛ん゛っ♡♡はーっ♡♡はーっ……♡早くはやくちょうだい?♡♡」
ひくひくと引く付く、締まりきらない孔を手で拡げながら言う彼に衝撃を受ける。あまりに淫猥なその行動に、自分でも驚くほど硬くなった陰茎を押し当てながら囁いた。
「おねだり上手だね、ほら、これが欲しかったんでしょ?」
息を吐きながらゆっくり肉癖を掻き分けていく。油断すればすぐ持っていかれそうになるのを奥歯を噛みしめ耐えながら奥まで埋めきれば、彼が嬉しそうに膨らんだ腹を撫でた。
「う゛、♡♡はーっ!はーっ……!♡♡ここまではいってる♡♡」
「これで無意識なんだからタチが悪いなぁ……」
「?」
「んーん、なんでもない」
汗ばんだ前髪を掻き分けながら額にキスを落とす。不思議そうに首を傾げる彼を微笑ましく思いなから、陰茎をギリギリまで引き抜く。
「エド、好きだよ」
そう囁きながら最奥目掛け腰を打ち付けた。
「――――っっ!!♡♡♡♡」
声にならない叫びを上げながらよがり狂う彼を押さえ付け、ぱちゅぱちゅと水音を立てながら出し入れする。
最奥がちゅうちゅう吸い付いてきてすぐにでも果てそうになるのを気合で保ちながら、いいところをごりごり押し潰せば出さずに果てたのか舌を突き出して感じ入っていた。
「はぁっ♡♡♡きたっ♡♡♡あ゛あ゛ん゛っ♡♡きもちいっ♡♡♡」
「ふふ、可愛い」
「ん゛あ゛あ゛〜〜〜っ!!♡♡♡イッてる!♡♡イッてるからぁ〜!♡♡♡」
「こんなところで止められるわけないでしょ」
最奥に叩きつけるように精を吐き出す。搾り取ろうと収縮するナカに持っていかれそうになりながら、出したものを塗りたくるように擦り付ける。
「あ゛あ゛〜〜〜〜っ!!♡♡♡あかちゃんできちゃう!!♡♡♡」
「ははっ、かわいいっ……いいよ。作ろう?」
「ん゛ん゛ん゛――――っ!!♡♡♡」
ぐぽぐぽと卑猥な音を立てながら最奥を苛めてやれば、涙を流しながらイキ散らす。可愛い、と何度も囁き、キスを落とした。
「オレの子、孕んで」