主♂エド
あいつの手が素肌を撫でる。その感触に身体を震わせれば、ふふっと微笑まれたので軽く殴った。痛いという言葉を無視しつつ、もたれ掛かりながら肩に擦り寄る。割れ物にでも触るような優しさで撫でられ、口から甘い吐息が漏れた。
「ふふ、えっちな顔」
分かってるくせに、と思う。
あいつの手で撫でられるだけで情事を思い出し、背中をぞわぞわと甘い刺激が駆け抜けていく。そう躾けたのはどこの誰だろうな、と。そしてそれがわかった上で己の口から抱いてくれと言わせたいのだろう。
「ふっ、……ぅ、」
耐えようと言う意思に反して、自分が蕩けた顔をしているのがわかり顔がカッと熱くなる。
照れ隠しにあいつのパーカーに顔を埋めれば、嗅ぎ慣れた洗剤の匂いがふわっと香った。それにさえ興奮する己に嫌気が差す。
「あー、もうすごく可愛い。どうしてこんな可愛いんです?」
「……知るかよ」
ぎゅっと力強く抱き締められる。自然と吐息が漏れ、顔を上げれば鼻と鼻が触れ合いそうなくらい近い。
「ねぇ、抱いても良いですか?」
痺れを切らしたあいつが問い掛けてくる。小さく頷けば頭を撫でながら「とびきり優しくしてあげますね」と囁かれた。
違う、俺が欲しいのは……。
「優しくなくていい。……酷くして欲しい」
そう小さく小さく囁けば、聞こえてしまったのかそのままソファに力強く押し倒され唇を奪われた。わざとリップ音を立てて唇を吸われる。目をぎゅっと瞑り、応えるように吸い返せば顎に手を置かれ逃げ場がなくなる。舌を差し込まれ絡め取られ身体が震えた。
何時まで経っても、何度されても息継ぎが苦手な俺は、まるで溺れてでもいるような息苦しさの中を漂っていた。苦しい、でもそれと同じくらい気持ちがいい。
「んんっ、……っ、ふっ……」
口の隙間からくぐもった声が漏れる。
そうして長い事お互いの舌を絡めていると、カサついた指先が胸の突起を掠めた。焦らすように輪郭をなぞられ、身体がびくりと揺れる。
「っ、んっ……ああっ、」
「はっ……可愛い」
「……んっ、ちゃんと触って欲しい」
「っ!今日は随分と素直ですね」
「るせっ……ああっ!」
そう言われカッと顔が熱くなる。
しこり立つそれを押し潰されたと思えば、カリカリと指先で引っ掻くように刺激され声が漏れた。いつの間にか性感帯にされてしまったそこは、少し触られただけで熱を持つ。
「うあっ、……んん、やぁっ!」
今度は両方を摘まれこりこりと潰され身体がびくついた。へこへこと腰が揺れ、脚と脚の間に差し込まれたあいつの太ももに、ほぼ無意識に陰茎を擦り付けるように動かす。
「こら、勝手に気持ちよくならないの」
「だって、んあっ……早く欲しいっ」
「……まだ駄目ですよ」
にっこりと微笑まれ腰を片手で押さえ付けられる。そう囁かれながら、片方の突起を舐められヒッと口から声が漏れた。指とは違う生暖かく湿ったそれに翻弄される。
「ああっ、うう〜〜っ!やだぁっ」
舌で弾かれたと思えば、強く吸い付かれ嬌声が止まらない。もう少しでイケそうな感覚にいやいやと首を横に振る。
「嫌じゃないでしょ?こんなに気持ち良さそうなのに」
「そこでイキたくないっ、んんっ!うあっ!」
「可愛い、下触ってほしいですか?」
問い掛けられ思わず頷く。胸でイクと変になるから嫌だ。早く、と言葉が口から漏れ出た。あいつはそれを見てにこやかに微笑むと、ずいっと顔を近づけてこう言った。
「ふふ、でも駄目ですよ。酷くして欲しいなんて言ったのはエドくんでしょ?」
そのまま唇を奪われる。薄く開かれた口に舌を差し込まれ、歯列をなぞるように刺激され口の隙間からくぐもった嬌声が漏れた。一頻り口内を嬲ると、満足したのか離れて、突起の愛撫へと戻っていく。緩く噛まれ、さらにもう片方の突起を摘み扱かれ、限界が来た。
「ああ――――っ!!」
一際大きく喘ぐと身体を仰け反らせ果てた。余韻に頭がぐらぐらする。下着が精液で貼り付いて気持ちが悪い。
「ここでイッちゃいましたね」
「んあっ、くっ……はぁっ……クソがよ」
指先で突起を弾かれ思わず声が漏れる。にこやかなあいつを睨み付けながらなんとか息を整えていると、そのまま横抱きにされベッドへと運ばれる。されるがままにくたりともたれ掛かると、優しくシーツの上に乗せられた。
靴とスキニーを脱がされ、下着姿に剥かれる。水気を吸った下着が染みを作っていて、思わずカッと顔が熱くなった。
そのまま覆いかぶさられ首筋を吸われる。ちりっと痛みが走り、跡を付けられたことに気付く。
「んんっ、」
「ふふ、可愛い」
「うるせぇっ……」
獣のようにギラついた瞳に見つめられ、浅ましくも期待に腹の奥が疼いた。
あいつがサイドチェストに手を伸ばす。てっきりローションを取り出すのかと思えば、見慣れない物も一緒に取り出してきた。何やら嫌な予感がして、恐る恐る問う。
「……なんだよそれ」
「え?ただのマッサージ機ですよ。電動のね」
それは見たらわかる。ただそれを何故今取り出してきたのかがわからず首を傾げていると「こうやって使うんですよ」と下着越しにぴたりと押し付けられる。意図を理解する前に、スイッチが入れられマッサージ機が音を立てて動き出した。瞬間、過ぎた快感に眼の前が明滅する。
「――――――ッ!!!」
気持ちが良すぎて声にならない。何が起こったのかもわからず、快感から逃れようと手足をバタつかせた。落ち着きかけていた呼吸が乱れ、うまく酸素を吸えずに喘ぎ苦しむ。
「ぎぃっ、あ゛あ゛っ!!それっ!あっ、ダメな奴っ!!や゛あ゛っ!」
「いつか使おうと思ってたんですけどね、酷くして欲しいなんて言われたらそりゃね」
「う゛う゛っ、くるしっ……ん゛あ゛あ゛っ!ひっ!」
シーツを掴み耐えようとするが、なんの意味もなく2度目の絶頂を迎える。生理的な涙で眼の前が歪み、余韻に浸る暇もなく次の快感の波が押し寄せる。
「多分直接だと痛いと思うんですよねこれ。だから下着の上からならちょうどいいかなって。良さそうで良かった」
「あ゛あ゛っ!てめぇふざけんなっ!!や゛っ、ぐうぅ〜〜!!」
「まだ喋る余裕あるじゃないですか」
身体を弓のように反らせ、快感を逃がそうとするもむしろマッサージ機に陰茎を押し付ける形になってしまい首を横に振る。
「や゛あ゛あ゛っ!!」
「ふふ、もうめちゃくちゃですね。可愛いなぁ……」
「やだっ、これ頭バカになるっあ゛あ゛っ!!
」
一際強く身体を震わせ果てる。もはやそれが射精なのか潮なのかすらわからず、下着を濡らしていた。
気持ち良すぎてつらい、おかしくなりそうだ。止めて欲しくて、いつの間にか上着を脱いでいたあいつの背中に手を回し爪を立てる。
「まって、これつらいっ!!ああ――――ッ!!しぬ、しんじゃう!!」
「しょうがないな。一回休憩しましょうか」
音を立てて動いていたマッサージ機がすっと止まった。ぜぇぜぇと肩で息をしながら、なんとか落ち着こうとするも、動いてないマッサージ機をぐりぐりと押し付けられ何度目かもわからない絶頂をする。
「――――っ!!」
「これだけでもイッちゃうくらい良かったんですね」
「はーっはーっ!ころす……お前後でっ、覚えとけよ……!」
睨みつけながらそう言うと耳元で「煽らないでくださいよ」と囁かれた。そう言えばこの馬鹿弟子は殺意を向けられると興奮する質だったのを思い出す。
「あはは、そう言うところ大好きですよ」
そのまま精液やらなんやらで湿った下着を脱がされる。緩く勃ちあがったそれにしゃぶりつかれ、生温い粘膜の感触に目眩がした。
「うあっ!んんっ、休憩って言ったのに!」
「ん?煽ったエドくんが悪い」
「煽ってねぇっ!ああっ、ばかばかっ!」
先程の責めで過敏になった陰茎をザラザラとした舌が行き来する。裏筋をなぞる様に舐め上げられたかと思えば、指で扱かれながら先端をしゃぶられ目線が釘付けになる。
「ああっ、まって!すぐイッちゃうからぁ!やっ、ああ〜〜〜っ!」
蕩けてしまいそうな気持ちよさに、あっという間に高められ、じゅっと吸われればそのまま絶頂した。尿道に残った精液まで吸い出され、意味のない言葉の羅列を吐きながら身体を弓のように反らして余韻に震える。
「んああっ……、はぁっ、んんっ……」
「ははっ、大丈夫ですか?」
そう言いながら頭を撫でられる。それすら気持ちが良く、身体が勝手に擦り寄ってしまう。
「っ、気持ちいっ……」
「蕩けちゃって、可愛いですね。ほら、休憩がてら俺の舐めれます?」
「……ん、」
ノソノソと起き上がり、差し出された陰茎にキスを落とし、口に含む。独特の青臭い風味が口内に広がり、思わず嘔吐いた。
あいつの顔を見ながら、先端を舐め上げれば表情が歪む。それを嬉しく思うのだから、相当毒させれているな、とひとり笑った。
限界まで咥え込み、わざとらしく音を立てながら出し入れをする。「いい子ですね」と頭を撫でられながら吐息混じりに言われ、腹の奥が疼いた。
「そろそろ出そうなんで口離してください」
「んっ、……いやだ」
喉を締めながら何とか根元まで飲み込むと、そのまま吸い上げる。小さく呻くと、そのまま喉奥に精を吐き出され、苦しさに眼の前が涙で歪む。
噎せながらも少しずつ飲み下し口を離す。時間を掛けて飲み込み終えると顎に手を添えられたので口を開いた。
「よくできました」
「はぁ、はぁっ……、うるせぇばぁか」
そのまま身体を起こせば、そのまま力任せに押し倒されベッドが軋む。
指にローションを纏わりつかせるのを至近距離で見せられて、期待から思わず後孔を締め付ける。
あいつの身体に脚を絡めながら早くしろよと息も絶え絶えに呟けば「ふふ、分かってますって」と返された。
後孔にゆっくり指が入ってくる。あいつも余裕がないのか、拡げるように指を動かされ背筋がゾワゾワして口から嬌声が漏れる。
「んんっ、あっ……早く欲しい」
「あんまり煽らないでくださいよ!もうちょっと待って」
早急に指を増やされ、慣らし足りない後孔がギチギチと嫌な音を立てる。追加でローションを増やされ、なんとか二本出し入れが出来るくらいになる頃には、二人して余裕なく息を荒くしていて思わず笑いが溢れた。
「はぁっ、んっ……ははっ、お前が余裕ないのも珍しいなっ」
「それはエドくんがえっちなのが悪い」
「なんだよそれ……ああっ!」
指が良い所に触れ、嬌声を上げる。あいつがにやりと意地悪く笑むと、そのしこりを押し込むように刺激され、気持ち良さにシーツを掴む。散々身体中を弄られたからかすぐにでも果ててしまいそうになるのを奥歯を噛み締めて耐えていると「イッていいんですよ?」と囁かれた。
「あっ、いやだぁ……お前と一緒がいい……」
「あーもうほんとに!」
半分うわ言のように呟けば、指を乱雑に引き抜かれると、引く付く後孔に熱いものを当てられる。期待に息が荒くなり、指よりも太いあいつの陰茎が少しずつ挿入ってくるのから目が離せない。
「ああっ……、うっ……んんっ」
気を抜くとすぐ果ててしまいそうになるのをなんとか耐えながら、それが奥まで来るのを腰を揺らしながら待つ。
最奥にたどり着くと、唇を奪われたので口を開き、先ほど自分の物を舐めていただとかそんなこと関係なくしゃぶりついた。少し苦みが残る舌を必死で絡めながら、口の端から涎が流れ落ちるのも気にせず貪られる。
「ふぁっ、んんっ……あうっ」
「はぁっ……ナカすごい熱い……」
「あっ、はやくぅ……」
「はいはい、ちゃんとあげますから」
そう言うと、陰茎をゆっくりと引き抜いていく。雁首がいいところを掠め、眼の前がチカチカ明滅した。両手を絡め、離れないように強く握る。強請るように腰を揺らせはそのまま最奥に叩きつけるように押し込まれ、口から嬌声が漏れ出た。
「あ゛〜〜っ!」
「くっ、すごい締め付け……すぐ出そう」
「ん゛あ゛っ、おくっ……!いっぱいほしいっ!」
「もう〜!」
ごちゅごちゅといやらしい音を立てて抜き差しされれば、気持ちいい以外何もわからなくなる。自分が何を喋っているのかもあやふやで、うわ言のように好きと繰り返す。
「あ゛――――っ♡!!あっ、それきもちいっ♡♡すき♡♡んっ、すき♡♡」
「俺だって好きなんですからね!」
「ん゛っ♡♡うれしいっ……、はあっ♡イッちゃうからっ」
容赦のない責めに喉を晒して喘ぐ。繋がったところから溶けてしまってでもいるかのように身体が熱く、気持ちがいい。
「はあっ、エドくん!」
「――――っ!!」
名前を呼ばれ、思わず後孔をぎゅっと締め付ける。それと同時に、最奥に叩きつけるように精を吐き出され、自分も呆気なく果てた。
「あ゛〜〜〜っ♡♡んあっ♡ナカあついっ♡♡んんっ、すき……っ♡♡」
「ふふ、可愛いっ……動きますよ」
すぐに硬さを取り戻した陰茎が、奥の奥に入り込もうと動き出す。イったばかりの身体にどんどん快感が積み重なっていって息もまともに出来ない。
「ん゛あ゛っ、♡♡はいっちゃうっ♡♡うっ、あん♡♡はーっ、♡♡」
ぐぽっと嫌な音がして先端が結腸に入り込めば、眼の前が真っ白になった。ぷし、と音を立てて潮が吹き出て、自分の腹を汚すが構っていられない。
「ぐっ……♡♡あ゛〜〜〜っ!!♡♡♡まって♡♡ずっと、はぁっ♡♡、いってりゅから♡♡」
「あはは、可愛い」
身体の中で快感が爆発して辛い。息も絶え絶えに休憩させて、と呟けば「ダメですよ」と囁かれ結腸を苛め抜かれる。
「あ゛あ゛♡♡なんれっ♡♡ん゛ん゛〜〜〜!♡♡」
普段なら止まってくれるのに、と半泣きになりながら言えばにっこりと微笑みながら「酷くされたいんでしょ?」と言われ絶望する。それと同時に酷くされたいという思いが過ぎり息が荒くなる。
「んんっ♡♡きもちぃ!♡♡ひどくされたい♡♡もっとしてぇ♡♡」
「はー凄いえっち……可愛すぎません?」
そう言いながらあいつは横に転がっていたあのマッサージ機に手を伸ばす。先程の強すぎる快楽を思い出して、後孔をぎゅっと締め付けた。
冷たい機械音が響き、思わず息を呑む。それをそのままあいつの陰茎で膨らんだ腹に押し付けられる。内蔵をわけも分からず震わされ、眼の前が真っ白になった。
「がぁ〜〜〜〜っ!!♡♡」
「くっ、これすごいな……っ、ナカ震えてて気持ちいいですね」
「あ゛あ゛っ!!♡♡お゛っ♡♡これぇっ、しんじゃうぅ!!♡♡へんになる♡♡」
「なっちゃえ」
「ぐあ゛――――っ!!!♡♡お゛あ゛♡♡ん゛〜〜〜〜っ♡♡」
身体がぶるぶると震え、絶頂から降りてこられなくなる。自分がどんな声を出しているのかも分からず、喉の痛みも気にせずめちゃくちゃに叫ぶことしかできない。
自分が壊れてばらばらになってしまったような未知の感覚から逃れようと、あいつの背中をガリガリ引っ掻く。
角度を変えて押し込まれれば、また別の場所が震え気持ちがいい。ぐぽぐぽと音を立てて外からもナカからも結腸を苛め抜かれ、顔をありとあらゆる汁でぐちゃぐちゃにしながらイキ散らす。
「――――っ!!♡♡あ゛あ゛っ♡♡んおっ♡♡ぎぃ〜〜〜っ♡♡♡」
「はぁっ、ぐっ……!」
「――――っ!!♡♡♡――――っ!♡♡♡」
喉元に噛みつかれ、一番大きい絶頂を迎えた。
しょろろと音を立てて、自分の陰茎から液体が溢れ出す。嫌な感触に飛びかけた意識を向けるとそれはどう見ても尿で……。
「ああっ……♡♡やだぁ止まらないっ、♡♡」
両手で柔らかくなった陰茎を押さえ止めようとしても壊れてしまったかのように止まらず、手の隙間から漏れ出した尿が腹を、シーツを汚す。
「みないでぇっ、♡♡やだ……っ♡♡みないでぇ……♡♡」
涙を流しながら懇願すると、そのまま唇を奪われる。わざとらしくリップ音を立てて吸われると、身体が震えた。
「んんっ、やだぁ……っひっ」
「大丈夫ですよ。それだけ気持ちよかったってことでしょう?」
子供をあやすように囁かれ、涙を舐め取られる。
最後まで出切ったのかようやく止まった尿に、安心したのと同時に羞恥で顔が熱くなるのがわかる。
「エドくんのだったらなんでも綺麗ですから、大丈夫大丈夫。泣かないで……」
「んん、きらいにならない?」
「ふふ、なるわけないじゃないですか」
再度唇を奪われ、舌を口内に差し込まれる。応えるように絡めれば、頭を撫でられ安心した。
ぐぽっと音を立てて陰茎が抜かれる。ふわふわとした浮遊感に身を任せながら、落ち着くまで頭を撫でられる。
「シャワー浴びましょうね。立てますか?」
「……立てない」
「じゃあいっしょに入りましょうか。ベッドもちゃんと綺麗にしますから、今日はそのままゆっくりしましょうね」
横抱きにされ、キスを落とされながら風呂場へ連れて行かれる。椅子に座らされ適温になったシャワーで洗い流されながらそっと目を閉じた。