主♂エド





 どうしてこうなったのか。
 ぼんやりとした意識で考えようにも、ぱん、と乾いた音を立てて打ち付けられる腰がもたらす快楽にすぐぐちゃぐちゃになってしまう。
 手をついているビルの壁を、がりがり引っ掻きなんとか快感を逃そうとする。

「う゛ん゛ん゛!ぐっ、んん〜!」

 項に噛み付かれ、手で塞がれた口からくぐもった嬌声が漏れ出る。後ろから穿たれ、ただただ気持ちがいい。ここが路地裏じゃなかったらとっくに意識を飛ばしていただろう。

「うっ、ごめんなさいっ……止められなくて、」

「や゛ぁっ!ん゛ん゛っ、う゛う゛〜っ!」

 文句を言おうにも口を塞がれているためどうしようもない。最奥を突かれ眼の前がチカチカする。容赦のない責めに、普段は加減されていた事を知った。

 どうしてこうなったのか。



 
 時間は少し前に巻き戻る。

「あ、師匠、そう言えば新商品っぽいエナジードリンク見つけたんですけど飲みます?」

 いつもの様にごろつきをぶっ倒した後で、あいつが鞄から見慣れないエナジードリンクを取り出してきた。

「貰うわ」

「はいどうぞ」

 保冷剤の入った鞄から出されたエナジードリンクは良く冷えており、火照った身体にちょうど良さそうだった。
 プルタブを開ければ、炭酸飲料特有のいい音が鳴る。特に何も考えず飲めば、独特の風味をしていた。不味くはない、不味くはないが……。

「ちょっと薬っぽいですね、コレ」
 
「まあ飲めなくはないか。何処で買ったんだ?」

「人からドロップしました」

「…………」

 思わず頭を抱える。いや、この街じゃよくあることだけども。馬鹿弟子の思考回路をほんの少し心配しつつぶん殴る。

「痛っ、ちょうど2本あったからいいかなって」

「……まぁ、いいけどよ」

 口を付けた物はしょうがない。缶を傾け中の炭酸を飲み干す。ちょうど暑かったし冷たいものはありがたかった。飲み終わった缶をどうするか考えていると、あいつがビニールを取り出し「ゴミ、貰いますよ」と言ったので、そう言うところはしっかりしてるんだよなと思いつつ手渡す。

「で、このあと暇ですか?」

「おう。ちょうどお前んとこ行こうとしてた」

「あはは、嬉しい」

 そんな話をしていると、あいつが立ち止まる。どうした?と問い掛けようとそちらに顔を向けると、飲み干した缶を見ながら頭を抱えていた。

「師匠……、先に言っておきますね。ごめんなさい」

「は?何言って……」

 瞬間、身体中がゾワゾワと鳥肌立つ。腹の奥が収縮して切ない。それは間違いなく散々教え込まれたあの感覚で。へなへなと力が抜け、思わずその場にへたり込む。

「???」

「これ、そう言う気分になる薬入ってるみたいで……」

「はぁ!?」




 回想終了。そこからはあれよあれよという間に脱がされ、前戯もそこそこに後孔にぶち込まれたって理由だ。
 気持ち良さから思わず白目を剥いて意識が飛びかけるが、尻を強く叩かれすぐ目が覚めた。叩かれた場所がひりひりして痺れる。

「ん゛ん゛〜っ!ばっ、しね!ぐあっ、」

「もしかしてお尻叩かれるの好き?今きゅって締まりましたよ」

「嫌に決まってん゛あ゛っ!あ゛あ゛〜〜っ!んっ!まって、おかしぃっ!叩かれてるだけなのに!」

「ふふ、変な癖ついちゃいましたかね」

 調子に乗ったあいつが尻を叩いてきて、その度に喘ぐ。もはや痛いのか気持ちいいのかわからず頭がおかしくなりそうだ。生理的な涙が頬を伝い、そのまま落ちていく。良いところをごりごり削り取るように刺激され、堪らず潮を吹く。
 
「ん゛あ゛っ……、や゛あっ!まって、ずっとイってるからぁ」

「声、もう少し静かにしないと。人来ちゃいますよ?」

「無理ぃ……!むりい゛っ、あ゛あ゛!ん゛ん〜〜〜っ!」

 止まらない嬌声に、また口を塞がれた。首を絞められているような息苦しさに、じたじたと暴れようとするが腰をガッチリ掴まれていて動けない。
 苦しい筈なのに、それにすら興奮するのだからどうしようもない。

「ぐぅっ!う゛う゛〜〜!あ゛ぁっ!」

「もう少し、もう少しだからっ」

「ん゛ん゛っ!はーっ……う、う゛う〜〜〜!」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 口を塞ぐ手を甘噛しながら、なんとか早く終わるように後孔を締め付ける。
 勢い任せに奥の奥までこじ開けられ、どうしようもなくイキ散らす。もはや潮なのか、尿なのかわからず、己の陰茎からは壊れたように液体が流れ落ちていた。
 キスが欲しくて後ろを向いてせがめば口を塞いでいた手が外され、そのまま唇に吸い付かれる。

「はーっ、ん゛っ♡ふぁっ♡んん……♡」

「ん、ふふ、可愛い」

 ちゅうちゅう音を立てながらお互いを吸い合う。舌を差し出せば絡めながら口内を貪られ、何度目かもわからない絶頂を迎えた。
 腹の奥で、熱いものが放たれる。それさえ気持ちが良く、薄れゆく景色の中あいつの名前を呼んだ。
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