主♂エド
俺の師匠は可愛い。
どのくらい可愛いかというと、それはもう底のない沼のようである。と言うか世界一、いや宇宙一といってしまってもいいくらい可愛い。
そんな可愛い師匠と、まあそれなりに色々あったがお付き合い出来たのは、本当に奇跡みたいなことだと思う。
最初は抱き締めただけで挙動不審になっていた師匠も、会う度にそうしていたら慣れたのか、最近は好きにさせてくれている。正直これ以上望むものなんてないくらいだ。
……と言いたいところなのだが。
そうなってくると、次に進みたくなるのが人間と言うもので。
早い話が抱きたいのである。
贅沢だとも思うが、自分だって男だ。まぁ、相手も男だけども。
それはそれとして。好きなものは愛でたいし、真綿のように優しく扱わなければと思う反面、とろとろに蕩かせてみたいとも思うのだ。
そんな思いが燻っていたある日、チャンスはやってきた。
潜伏先を探していた師匠が、俺が借りている部屋に転がり込んできたのである。
「あそこ、二階の部屋が借りてるとこです。鍵を渡しておきますから、いつでも帰ってきてくださいね」
「おう」
師匠は申し訳なさそうに鍵を受け取る。
私生活には口を出さないようにしていたが、ちゃんと休めているのか正直心配していたのでこれで一安心だ。
「中の物はもう好きに使ってくれて構わないので!もし何か足りない物があったら言って下さいね!」
そう言いながら狭い階段を上る。すぐ後ろに着いてくる師匠に微笑みかけると表情が少し和らいだ。
慣れた手つきで鍵を開け、電気を付けて部屋へ招き入れる。あまり広くはないがそこは我慢してもらうしかない。
「ベッドは一つしかないんですよね。……あっ、よければ師匠がつかってください。俺はソファで寝ますんで」
「いやそれは流石に悪いだろ」
「あ、それとも一緒に寝ます?あいたっ」
冗談半分で言うと、背中にパンチが飛んできた。
見れば顔を赤らめていたので、可愛いなっと口から思わずこぼれ落ちた。
「別に可愛くねぇだろ。てめェよか身長がデカい奴なんかよ」
「言ってそんなに変わらないでしょ、身長。まぁ師匠の方がちょっと高いですけども。それより、これで周りを気にせずいちゃいちゃできますね!」
また手が出そうになっている師匠を抱き締める。文句を言いたげな口に軽くキスをすれば、耳まで真っ赤にして震える初々しさに思わず頬が緩んだ。
「あー、ホント可愛い。ねぇ師匠、そんなんじゃ身が持ちませんよ」
「うるせぇ」
大人しく腕の中に収まっている師匠と目が合う。嫌がってはいないのを確認した上で頬を撫でれば、猫のように擦り寄って気持ちよさそうに目を細めた。
正直もう限界だった。
「あー、抱きてぇ」
心のなかで留めておこうと思った言葉がそのまま口から出てしまった。
しまった!と思い師匠を見れば、驚いたように目を真ん丸にしていたので申し訳なくなって離れようとする。すると消え入りそうな声で「……いいぜ」と返ってきた。
「えっ、今なんて言いました?」
正直肯定されるとは思っていなかったので焦る。
今、良いと言ったか?いや流石に聞き間違いではないだろうか。そもそも自分の置かれている状況を理解しているとは言い難いのではないか?もしかしたら何か勘違いをしているのではないか?そんな思いがぐるぐる頭の中を駆け巡る。
思わず硬直していると、腕の中の師匠は視線を反らしながら言う。
「……抱けよ」
「……それ、ちゃんと意味分かって言ってます?俺多分途中でやめられないですよ?」
「そこまでガキじゃねぇよ。……そのくらいわかってるっての」
「別に子供扱いしてるわけではないんですけどね……。ああもう、後で怒らないでくださいね」
部屋の鍵を机の上に放り投げ、少しむくれている師匠をソファに出来るだけ優しく押し倒した。
何か言いかけた口を塞ぎ、感触を楽しむように柔い唇を食めば微かに吐息が漏れる。
「っ……ふっ、」
薄く開かれた唇をこじ開け、慌てて逃げる舌を絡め取る。拒絶されないことを嬉しく思いつつ、そういえば深いキスは初めてだったなと思い出す。――まぁだからと言って手加減出来るだけの余裕は無いのだけれど。
ちゅくちゅくと水気のある音が部屋に響く。いたたまれなくなったのかぎゅっと目を閉じる師匠に、ほんのちょっと罪悪感に苛まれつつも、時折漏れる吐息にどうしようもなく興奮していた。
「ふふ、可愛い」
「はっ、ふ……う、るせッ……んんっ」
息も絶え絶えな師匠が落ち着くのを待ってから、もう一度キスを落とす。逃げられないように頭をガッチリ固定し口を開けるように促すと、ぎこちなく舌を差し出された。絡め取り、軽く食めばぴくりと身体が跳ねる。口の端から唾液が流れ落ちるのも気にせず、夢中で貪っていると胸を叩かれた。
「んっ、息がっ……出来ねぇ」
「ああ、ごめんなさい。余りに可愛らしかったのでつい」
口の端から流れ落ちた唾液を舐め取り、そのまま首筋に吸い付き何度も花を散らす。白い肌に残る赤い跡達に、これは後々気付いたら怒られそうだな。そう思いつつ、触れる度に大袈裟に揺れる身体に思わず笑みがこぼれた。
そのままよく鍛えられた胸へ触れる。筋肉の程よい弾力を指の腹で感じながらその感触を楽しむように撫でると、師匠は恥ずかしさからか両腕で顔を隠してしまった。これじゃあキスが出来ないなと残念に思いながら、色素の薄い可愛らしい胸の突起に触れる。まだ快楽を知らないであろうそれを優しく摘み、更にもう片方を口に含み転がせば声が漏れ出た。
「ひっ、……うぅ」
「どうです?まだそんなに気持ちよくないと思うんですが」
「んっ……なんか……くすぐってぇ、」
「擽ったい場所って性感帯らしいですよ。……まぁここは追々ですかね」
名残惜しさを感じつつも離れ、ゆっくりじっくり育てていきましょうねと続けると、照れ隠しなのか何時もよりも格段に弱い力で殴られた。
なんだ、思ったより余裕あるじゃないですかと呟きながらスキニーに手を掛ける。布の上からでも分かる程度には勃ち上がっているそれに、まずは一安心。
「あ、良かった。勃ってますね」
「言うなっ……」
真っ赤になりながら恥ずかしがって逃げようとする師匠を押さえ付け、スキニーを下着とともに膝までずり下ろす。現れたそれは先端を先走りで濡らし、外気に触れるとふるふると震えた。
指で輪を作り竿を上下に扱けば、びくっと大きく身体を揺らし余裕のない嬌声が聞こえてくる。
「うあっ!あぅ、やっ、触んなっ……!」
「それは出来ないですねぇ。ねぇ、そろそろ顔見せてくださいよ」
「あぁっ、んっ……やだぁっ、」
「やだかぁ、あははっ」
赤く色付いた耳をぴちゃぴちゃと音を立てながらねぶり、気持ちいいですねと囁やけば、途切れ途切れに「後で覚えとけよ」と言われたが、それはまあ聞かなかったことにして。
「はぁっ、くぅ……んんっ」
自分の出す声が気になるのか、指を噛んで声を抑えようとしているのに気付く。まぁ恥ずかしいわな。そう思いつつも、空いた片手で頭を撫でながら「指、噛んじゃ駄目ですよ」と言い聞かせれば、素直に噛むのをやめた。
「……あぅ、」
「あーホント可愛いなぁ。ねえ、もっと声聞かせて?」
「やぁっ、あん……も、もう無理ッ」
「一回イっておきましょうか」
裏筋を撫であげると、限界が近いのかビクビクと身体を震わせ、俺のパーカーにしがみついてきた。
その仕草が愛おしくて頬にキスを落とす。
「うぅ、っ……ああっ!」
敏感な先端を先走りを絡めて刺激すると、身体を反らして呆気なく果てた。びゅるびゅると勢い良く吐き出される精を受け止める。
ぜえぜえと肩で息をする師匠が落ち着くのを待ってから後孔に手を伸ばすと、はっと息を飲む音が聞こえた。
「……大丈夫です?」
「はぁっ、はぁ……大丈夫にっ、見えんのかよっ」
「うん、元気そうで安心しました。もうちょっと足開けますか?」
「んっ、……」
出された精液を指に絡め、ゆっくり時間をかけて埋めていく。異物感からか、眉間にシワを寄せ小さく呻く師匠の気が少しでも紛れるようにと頭を撫で、落ち着かせる。
「ゆっくり慣らしていきましょうね」
そう囁きながら、痛い思いをして欲しくない一心で指を動かし慣らしていく。急いてしまう気持ちをなんとか抑えながら頬にキスをすれば、蕩けた表情で舌を差し出されたので思わずしゃぶり付いた。触れ合っている場所が燃えてでもいるかのように熱い。
二本目が入りそうなくらい緩くなった頃、ある一点を掠めたのか可愛らしい嬌声が漏れ出た。
「んんぅ?……ひ、あっ!」
「ここですね」
「あぅ、あぁ!……んっ、な、んだこれっ」
見付けたしこりを容赦なく攻めれば、身体をビクビクと震わせながら何がなんだかわからないと言った表情でこちらを見てきた。
様子を見ながらさり気なく指を増やし、しこりを挟み込むように刺激すれば、身体を反らしてなんとか快楽を逃がそうと藻掻く。晒された喉元に齧りつき、新たな跡を刻めば、悲鳴に近い嬌声があがった。
「くぅ、……うあ゛ッ!やぁっ……やだっ、おかしくなるっ」
「ふふ、なっちゃえ」
「ん゛っ、……―――あ゛あ゛っ!」
責任は取りますからと続け、しこりをぐりっと押し潰せば、一際大きく身体を揺らし感じ入る。見れば出さずに果てたようだった。
暴力的なまでの快楽に生理的な涙が頬を伝う。それを舐め取りそっとキスを落とせば、全身が過敏になっているのか小さく呻いた。
「あ゛っ、……はぁっ、うぅ」
「可愛い……ねぇ師匠、名前で呼んでもいいですか?」
小さく頷いたのを見逃さず、耳元で名前を呼んでやれば後孔をきゅうきゅうと締め付け分かりやすく反応した。
そろそろ頃合いかと、指をゆっくり引き抜けば名残惜しそうに肉壁が絡みついてきた。水気のある音を立てて抜ききれば、ヒクヒクと誘うように収縮するそこに思わず釘付けになる。
ファスナーを下ろし己の陰茎を取り出すと、蓋をするように後孔に押し当ててやる。ほとんど無意識だろう、先端を擦り付けるように腰が揺れていて、格好悪いが危うく暴発しかけた。
「エドくん、挿入れてもいいです?」
もし駄目と言われても今更止められないが、一応確認を取る。汗やら何やらで顔がべしょべしょになっているエドくんは、何時もスパーリングに誘う時の様にへらっと笑って「来いよ」と言った。
「……はー、ホント質悪い。泣いても止めませんからね」
そのまま体重をかけて、きゅうきゅうと締め付けてくる肉壁をゆっくり押し開いていく。蠢くそこは、慣らしたとは言えやっぱりキツい。持っていかれそうになるのを奥歯を噛み締めなんとか耐える。
「ぐっ、……うぅ……」
「っ、もうちょいだから」
エドくんも気持ちいいより違和感が勝るのか目をぎゅっと瞑って耐えていた。先程まで起ち上がっていた陰茎も萎え縮こまっていて申し訳無さが募る。気を紛らわそうと緩く二、三度扱けば後孔を締め付けながら徐々に硬さを取り戻した。
「あっ、あぅ……はーっ、」
「大丈夫、なわけないか。ほら、息を止めないで、ゆっくり吸って吐いて……そうそう」
息の仕方を忘れはくはくと苦しそうにしているのを落ち着かせようと、頭を撫でながら言い聞かす。そうしているうち、最奥にたどり着いた。
「ほら、全部入りましたよ。このあたりかな、ここまで入ってるのわかります?」
「うぅ、言うなっ……」
鍛え上げられた腹を撫で、入っているとこを軽く押しこむと小さく呻いた。馴染むのを待ってからゆっくり引き抜けば、苦しさではない嬌声が漏れ出る。
「……なんッ、ああっ!」
「抜くの気持ちいい?」
「わ、からなっ、い……や゛あ゛っ!」
ギリギリまで引き抜き、今度は勢いを付けて肉壁を掻き分け最奥に叩き付ければ、悲鳴にも近い声を上げた。ぱん、と肌と肌がぶつかる乾いた音が部屋に響いた。
こめかみから汗が伝い、そのままエドくんのみぞおちに落ちていく。
「……ごめん、もうちょっと加減出来そうにない」
なんとか保っていた理性が崩れ落ちていくのがわかる。イマイチわかっていなさそうなエドくんの唇を噛みつく勢いで奪い、垂れていた涎を舐め取る。後孔が緩んだ隙に、出し入れを再開した。
「ん゛ん゛っ……ふっ、あっ……!」
「はぁっ、はぁっ……好きですよ」
「あ゛っ、おれもっ……すきっ」
先程見付けたしこりをごりごりと押し込む様に刺激すれば、首を嫌々と振り、いつの間にか背中にまわされていた腕に力が入る。これは爪の跡が残りそうだなと、ぼんやり思った。
「あ゛っ!待って、そこ……ん゛、来ちゃうからぁ!」
「でもここ、気持ちいいでしょ?」
「あ゛あ゛っ……やだっ、こわいッ」
「だから言ったじゃないですか、……はっ、……もう加減出来そうにないって」
「ん゛あ゛あ゛っ!!」
泣きじゃくりながら喘ぐエドくんを宥めつつも、容赦なく腰を打ち付ければ、ビクビクと全身を跳ねさせイキ散らす乱れた姿にどうしようもなく興奮する。汗で貼り付いた前髪を掻き分け、何度もキスを落とす。
「う゛あ゛っ待って、も、漏れちゃう」
「っ、漏らしても良いですよ。どうせ掃除しなきゃだから」
「い゛!いやだっ……、止まって!あ゛っとまって!あ゛あ゛あ゛っ!」
「ぐっ、ぅ」
うわ言のように繰り返しながらも、ぎゅっと後孔を締め付けイったのと同時に、最奥に精を吐きかけながらこちらも果てた。
ぷしっと音を立てて、精液ではない何が腹を濡らす。見ればそれは小便ではなく、潮のようだった。
「、あぁっうッ、……ん゛っ」
「はぁっ、……初めてでイキ潮吹くとか、えっちすぎません?」
ぐずぐずと鼻を鳴らし子どものように泣きじゃくるエドくんに、漏らした訳では無いと教えてやる。宥めるように頭を撫でてやれば、少し落ち着いたのか泣き止んだ。そう言えばまだまだ子供だったなと思い、さすがに罪悪感が湧く。
落ち着いたのを見計らって、中に入ったままの陰茎を引き抜こうとすると、両足で腰をホールドされた。
「はぁっ、まだっ……あっ、ぬ、抜かないで」
そう言いながら鼻先を擦り寄せてくる。無意識に腰を揺らし、良いところに当たるたび小さく喘ぐ姿に、萎えかけた陰茎にあっという間に血が集まるのがわかった。
「あぅっ、……おっきくなったぁ」
「はーっ、これ無意識ってホントに質悪いな……もう一回するんです?」
問いかければ控えめに頷いたので、ぎゅっと抱き締めながら出した精液を最奥に擦り付けるように動かす。
「ああっ、んっ……」
「ふふ、可愛い。あっそうだ、もう一回好きって言ってくださいよ」
「あぅ、……ぅ……す、好きぃ」
恥ずかしくなったのか視線を反らしながら小さく呟く。堪らず薄く開かれた唇をこじ開け舌を差し込む。歯列をなぞるように動かせば、その度に後孔をぎゅうぎゅうと締め付けた。
ギリギリまで引き抜きながら、先程より滑りが良くなった肉壁を弄ぶ。
「んんぅ、あ゛っ……はふっ……」
「……動きづらいから、足退けられます?」
こくんと頷き言う通りに足を開いたので、太腿を持って持ち上げると、そのまま体重をかけて突き入れた。冷めかけた熱があっという間に戻って来る。
「う゛あ゛あ゛――――ッ!!」
「くっ、ふふ、すごい締め付け」
「あ゛あ゛っ、それッ……それ、すきっ」
「奥が良いんですね」
言われた通り最奥をごちゅごちゅ音を立てて嬲れば、その度に潮を吹きながらイキ散らす。
「癖になっちゃいましたかね」
「――――ッ!!――――!!」
「あははっ、声になってないですよ」
もう意識が飛びかけているエドくんをそっと抱き締め、そのまま最奥目掛けマーキングをするように精液を吐きかけた。
「あ、起きましたか?」
ベッドに寝かせていた師匠が目が覚めたのかもぞもぞ動き出す。顔を覗けば、情事を思い出したのか、かっと顔を赤らめた。可愛いなと思いながら頬にキスを落とす。
「多分喉いわしてると思うので、後で蜂蜜をたっぷり入れた紅茶でも淹れますよ」
ガラガラの声で「すまねぇ」と言ってくる師匠の頭を撫でながら笑いかける。
「後片付は済んでるんで、心配せず寝ててくださいね」
起き上がろうとする師匠の両肩を押さえながら言えば、そのままベッドに倒れ込んだ。
「師匠、あんまり寝れてないでしょ?魘されてたら起こしますから。少しくらいはゆっくりしてください」
疲れからうとうとしだす師匠を見守りながら、ふと窓に目を向ける。カーテン越しに見える窓の外はうっすら白じんでいて、もうすぐ朝が始まる時間なのがわかる。師匠が起きたらまずはごはんかな。そう思いながらいつまでも頭を撫で続けていた。