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~原作前

「誕生日ぷれぜんと?」
「そうだよ!私と秀次で選んだの。今年もすっごく悩んだよ〜。」

つい先日俺と修は六歳の誕生日を迎えた。
歳のせいか時間の流れが早く感じるも、転生してからもう六年たったのかと思うと感慨深い。

「去年はお揃いのハンカチだったでしょ?でも今年はね、来年から小学生になる二人のことを考えて選んでみました!」
「はい、どーぞ!」

そう言い秀次が手渡してきた紙袋をそれぞれ受け取る。
修は何かな?何かな?と瞳を輝かせ、「ありがとう!」とにっぱりと笑顔を浮かべた。
修に続いて俺もお礼を言う。
いくつになってもやはりこういう気持ちの篭もった品は嬉しいものだ。

「開けてもいいか?」
「もちろん!」

俺達の反応が気になるのか、食い入るように見詰める三輪姉弟。
そう見られると開けづらいんだが…。と思いつつ開封し中を覗き込んだ。

「わ〜!きれぇ!」
「へへっ喜んでくれたみたいで良かった!」
「色がいっぱい…これってヘアピン?」
「そうだよ!前髪が邪魔だな〜って思ったらそれで留めたり、使い方次第ではオシャレな髪型にもできるスグレモノだよ!」
「へー!すごいんだねヘアピンって!」

横で修と菜月が盛り上がる中、俺は袋から取り出した…コレ、を手に持ちながら困惑したいた。
なんだ、この、布?みたいなやつ。

「…留、気に入らなかった?」
「あーそういう訳じゃなくてなぁ…悪い、せっかく貰っておいてなんだけど、コレなんだ?」
「え?留シュシュ知らないの?」
「しゅ、しゅしゅ……?」

このくしゃくしゃした布は、シュシュ、というらしい。しかし何に使うのか全くわからん。
響きからして何やら嫌な予感がする。

「シュシュは髪を結ぶのに使うんだよ。留ちゃんのお母さんが料理する時、いつも髪の毛をゴムで結ぶでしょ?アレの可愛い布が付いたバージョン、って感じかな。」
「へぇ、世の中には色んなのがあんだな……………いや、というか俺、髪の毛短いから結べないぞ?」
「その長さなら一房だけ結ぶとかでも可愛いよ!なんならこれから伸ばしてくれても〜なんて。」
「えー…いや…。」

前世は時代的に髪の毛を伸ばすのは当たり前だったし、長い髪は縄代わりに使えるので伸ばしていたが…正直今の時代はそういったものを気にする必要は無い。
髪を伸ばさなくていいのなら、色々と楽なので俺は短い方がいい。
思い悩む俺に、秀次がおずおずと手を上げる。

「……僕、留がそれつけてるとこ見たいな。それ付けた留、きっとすっごく可愛いよ。」

おい秀次、お前いつからそんなに口が上手くなったんだ!?
その前に俺に可愛いはないだろ!

「…だめ、かなぁ……?」

瞳を潤ませ俺を見詰める三輪姉弟。
俺はもう一度シュシュに目を落とす。
可愛いく包装されていたコレ、渡す時の二人の期待の眼差しを思い出す。
俺の事を想って選んでくれた二人の気持ちを無下にする訳にはいかない。
例えこれが薄紅色を基調としたシンプルながらも可愛い意匠だとしてもだ。
よくよく目を凝らすと、薄紅色の中に銀の糸で桜の紋様が所々に刺繍されている。
光に翳すとキラキラと輝き、一等可愛く綺麗だ。
いや、ちょっと待て。だいぶ可愛すぎでない?
これつけるの?俺。

……………………本気で?

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………髪の毛が伸びたらつけるよ………ありがとう…………。」

そう言った瞬間の二人の表情の輝きようときたら…。
もう後には引けなくなった。
俺ができることといえば、髪が伸びないよう祈ることだけだ。


「はぁ…絶対似合わないだろ…これ…。」
「…僕も見てみたいな…留がそれ付けてるとこ。」
「修お前もか!」




(留さんは自分の容姿が前世寄りなので似合わないと思っていますが、普通に美人顔なので普通に似合います。男としての意識がまだ強めなのが原因かもしれないですね。)
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