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幼少期編

俺の今の名は、春野留子、留めるに子でトメコだ。
まさか前世散々な言われようだった女装時の名前を付けられるとは思わなんだ。
しかし今の自分は女。
男から女になるという劇的びっくり仕様で、髪の毛はまさかの薄紅色で瞳は翠色。
女の子らしさが似合わない自分がまさかの、女の子全開な配色である。
流石に今世では化け物とか言われないように気をつけよう…。なけなしの女心が傷付く。

因みに髪と瞳の色的にここまでピッタリな苗字はないだろうと思わせる春野は、俺が生まれた木の葉の里では割と有名らしい。
春野一族。
医療忍術を得意とした、その道の専門家を何人も輩出している名門一族、らしい。
ここまでらしい、らしい、とぼやっと表現しているのは訳がある。

実はこの名門と言われる春野一族、俺とおばあちゃんしかいない。

おばあちゃんの話によると、春野一族の大半は宗家分家含め戦死し、生き残った両親は先の任務で殉職したため、一族は自分達しかいない、と。
聞いた瞬間、でかでかと不運の文字が頭の上に浮かんだのは仕方の無いことだと思う。
規模的に小さい一族ではあったみたいだが、どんだけ死んでんだと思わざる負えない。
神様がいたとするなら畜生が過ぎる。

しかももっと最悪なことに俺はどうやら宗家の人間らしい。
今は亡き母が当主であり、おばあちゃんは前当主。
流れ的にも生き残り的にも俺が次の当主というわけだ。
今度は責任という二文字が頭の上に浮かぶ。
重い。重すぎる。こちとら中身を除けば、まだまだ可愛い盛りの四歳だぞ。
一族の存亡が己の肩に掛かってるなんて重すぎて煎餅になるわ。

おばあちゃんのために継ぐつもりはあるが、今はまだ考えたくない。
継ぐ、ということはつまり、そういうことだから。

今はなによりもおばあちゃんとの時間を大切にしたい。

その時が来るまで。


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