ふたりで一通り泣きはらした後、常闇とれいは階段に座り込み、静かな声で話し続けた。

「常闇くんと出会ってから、私の中で何かが変わったの。常闇くんの優しさとか強さとかを知っていくうちに、過去が原因の不安とか、徐々に消えていったの。未来は明るいかもしれないって、思えるようになった。」

常闇は隣で話すれいの手をそっと取って握りしめた。

「俺はれいを……特別に思っている。れいのためなら、どんな努力だってできる。れいのためなら、いくらでも強くなれそうだ。これからもそばにいて、君を守りたい。……れい、付き合ってほしい。」

「よろしくおねがいします。」

れいはそのまま常闇に寄り添い、そっと彼を包み込むような優しさで微笑んだ。お互いの信頼と愛情が、心の中の不安を静かに和らげていくのを感じながら、ふたりは穏やかに見つめ合う。

「ありがとう……世界一幸せにするぞ。」
その言葉にれいはフフッと笑い出す。常闇は握っていた手をパッと離し、腕組みをしながら眉間にしわを寄せる。

「何がおかしい。本当に世界一幸せにしてやる。俺はれいのヒーローだからな。」
格好つける常闇に、いたずら笑いが止まらないれい。

「じゃあ、キスしてくれたら、私今世界一幸せになると思う。」
「キス！？」

目玉が飛び出しそうになりながら飛び上がった常闇は、プイとそっぽを向いて冷静を保つ。

「そういう破廉恥なことは学生のうちは……って！！」
常闇の体がふわっと浮上し、くるり、と回転しれいに再び向き合う。
れいの個性だ。


「私のヒーロー。大好きだよ、踏陰くん。」


嘴と唇が、優しく触れ合った。