私のヒーロー
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れいの楽しみが終わりを迎えたのは、雄英高に寮制度が導入されたためだった。
クラスごとに巨大な寮が建てられ、自主練もできる十分な広さがあるということで、わざわざ外に出ることがなくなったのだ。
れいは常闇に会う口実が無くなったことが寂しく喪失感を抱いていたが、だからといって忙しいヒーロー科の彼に自分と会うための時間をとってもらうのもおこがましいと思い、事態を受け入れることにした。
「常闇くんの練習が見られなくなっちゃうのは残念だけど、またどこかで見られるといいな。」
「そんなに練習を見たがるなんて、物好きだな。」
「別に、練習だけじゃなくて、ちゃんと本番も見たいよ。」
「そしたら、ネットにプロヒーローの動画がいくらでも上がっているだろう。」
「それは、そうだけど……常闇くんレベルの疾さは中々見られないから。」
「疾さ、か。」
初めてれいと出会った日のことを思い出した常闇は、れいの目を優しく見つめ、少しずつ近寄った。
「あの頃よりもっと今は疾くなっている。」
れいも常闇の視線に気づき、会話を止めて見つめ返す。
お互いの息づかいまで肌で感じられるほど近寄ったふたり。
常闇が、れいの白い頬をさすった。自分の顔にはない不思議な感覚を、興味深く、宝物に触れるように撫でる。
れいはくすぐったがりながら、常闇のクリーム色の嘴をゆっくりと優しく指でつつき、羽毛に光る汗の一粒を掬い取った。
やがて、嘴と唇が近づきそうになり、直前でぴた、と止まった。
見つめ合うふたりの間を、初夏の風が通り抜ける。
「……。」
「……。」
固まったまま何秒そうしていただろうか。常闇はハッと我に返ったようにれいから離れ、テキパキと片付けを始めた。
「もう遅い。さあ、早く帰宅しなくては先生方に叱られる。」
れいはしばらくその場から動けなかったが、
しばらくしてから
「常闇くん、今まで練習を見せてくれて、ありがとう。」
とお礼を言って、足早に帰宅した。
クラスごとに巨大な寮が建てられ、自主練もできる十分な広さがあるということで、わざわざ外に出ることがなくなったのだ。
れいは常闇に会う口実が無くなったことが寂しく喪失感を抱いていたが、だからといって忙しいヒーロー科の彼に自分と会うための時間をとってもらうのもおこがましいと思い、事態を受け入れることにした。
「常闇くんの練習が見られなくなっちゃうのは残念だけど、またどこかで見られるといいな。」
「そんなに練習を見たがるなんて、物好きだな。」
「別に、練習だけじゃなくて、ちゃんと本番も見たいよ。」
「そしたら、ネットにプロヒーローの動画がいくらでも上がっているだろう。」
「それは、そうだけど……常闇くんレベルの疾さは中々見られないから。」
「疾さ、か。」
初めてれいと出会った日のことを思い出した常闇は、れいの目を優しく見つめ、少しずつ近寄った。
「あの頃よりもっと今は疾くなっている。」
れいも常闇の視線に気づき、会話を止めて見つめ返す。
お互いの息づかいまで肌で感じられるほど近寄ったふたり。
常闇が、れいの白い頬をさすった。自分の顔にはない不思議な感覚を、興味深く、宝物に触れるように撫でる。
れいはくすぐったがりながら、常闇のクリーム色の嘴をゆっくりと優しく指でつつき、羽毛に光る汗の一粒を掬い取った。
やがて、嘴と唇が近づきそうになり、直前でぴた、と止まった。
見つめ合うふたりの間を、初夏の風が通り抜ける。
「……。」
「……。」
固まったまま何秒そうしていただろうか。常闇はハッと我に返ったようにれいから離れ、テキパキと片付けを始めた。
「もう遅い。さあ、早く帰宅しなくては先生方に叱られる。」
れいはしばらくその場から動けなかったが、
しばらくしてから
「常闇くん、今まで練習を見せてくれて、ありがとう。」
とお礼を言って、足早に帰宅した。