第1章 目指せ鬼殺隊士☆
あいつの、匂いがする。
今まさにすぐ近くに降りてきているといった所だろう。
妙に大人びているようなそれでいて純粋なような子供の匂いが、徐々に近づいてきている。
おかしい。早い、早すぎる。
義勇からは、あいつは10にも満たない子供だと聞いていた。
山を降りるだけならまだしも、霧の濃さと罠がある。
大人でも辛いはず……それを、あの、子供が??
……弟子は、作らないと決めたはずだったのに。
分かっていた、いつかまた弟子を取る日が来ると。分かっていた、目を逸らしてはいけないと。
儂も、ようやく観念する時が来たのか。
ならば……次は絶対に過ちを犯すことのないよう。
しっかりと、育ててやらねばな。
---------
勢いよく、ガラッと音を立てて少し古びている扉を開く。
「よく帰ってきたな。藤堂幸弘、お前を弟子として認めよう」
「あ、ありがとうございます……!」
鱗滝さんはあたかも来るのを待っていたかのように平然としていた。俺が戻ってこれたこと、驚かないんだなぁ……少し意外だ。
絶対弟子取る気ないだろとか思ってたけど、案外こいつなら出来る!って感じでいてくれたのかもしれない。
もしそう思ってくれてたのならはちゃめちゃに嬉しいんだけど。
「とりあえず、だが……疲れておるだろう、飯を用意してある。上がれ。」
「わ、ありがとうございます!」
鱗滝さんに聞きたいことは色々あったけど疲れてるのも事実……話を聞きながらご飯を頂こうかな……。
******
それから俺は義勇さんに鬼と鬼狩りについて尋ねてみた。
「お前、本当に義勇から何も聞いてないのか……?」
「あー……はい、あはは」
「口下手すぎるのも困りものだな……あー、まずだが……鬼の存在は知っているな?」
「はい、この目でもしっかり確認しました」
「鬼は人を殺すが、それを阻止し人を守る……鬼殺隊という組織がある。お前の言う鬼狩りというやつだ」
「鬼殺隊……ですか、」
「そうだ。鬼殺隊は鬼を狩り、人を守る。
お前はこれから鬼殺の剣士になるために修行をする。
鬼殺の剣士は、育手が育てる。
儂もその育手の1人じゃ。」
その晩は、鱗滝さんから鬼のことや鬼殺隊のこと、色々教えてもらってから寝た。
なんだか色々な情報が流れ込んできて、情報過多だ。
体の感覚は大方同じだけれど、あの世界 とはまるっきり違うように思えた。
ふわふわとして、どこか夢見心地。現実じゃないようだ……
……親が殺されているのを見た時の光景が、よぎる。
これは、現実。変えようもない、悲しい現実。
ぎゅっと拳を握る。
変えられる未来があるのなら、守る人がいるのなら……俺は、諦めない。
明日から、修行開始だ。
今まさにすぐ近くに降りてきているといった所だろう。
妙に大人びているようなそれでいて純粋なような子供の匂いが、徐々に近づいてきている。
おかしい。早い、早すぎる。
義勇からは、あいつは10にも満たない子供だと聞いていた。
山を降りるだけならまだしも、霧の濃さと罠がある。
大人でも辛いはず……それを、あの、子供が??
……弟子は、作らないと決めたはずだったのに。
分かっていた、いつかまた弟子を取る日が来ると。分かっていた、目を逸らしてはいけないと。
儂も、ようやく観念する時が来たのか。
ならば……次は絶対に過ちを犯すことのないよう。
しっかりと、育ててやらねばな。
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勢いよく、ガラッと音を立てて少し古びている扉を開く。
「よく帰ってきたな。藤堂幸弘、お前を弟子として認めよう」
「あ、ありがとうございます……!」
鱗滝さんはあたかも来るのを待っていたかのように平然としていた。俺が戻ってこれたこと、驚かないんだなぁ……少し意外だ。
絶対弟子取る気ないだろとか思ってたけど、案外こいつなら出来る!って感じでいてくれたのかもしれない。
もしそう思ってくれてたのならはちゃめちゃに嬉しいんだけど。
「とりあえず、だが……疲れておるだろう、飯を用意してある。上がれ。」
「わ、ありがとうございます!」
鱗滝さんに聞きたいことは色々あったけど疲れてるのも事実……話を聞きながらご飯を頂こうかな……。
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それから俺は義勇さんに鬼と鬼狩りについて尋ねてみた。
「お前、本当に義勇から何も聞いてないのか……?」
「あー……はい、あはは」
「口下手すぎるのも困りものだな……あー、まずだが……鬼の存在は知っているな?」
「はい、この目でもしっかり確認しました」
「鬼は人を殺すが、それを阻止し人を守る……鬼殺隊という組織がある。お前の言う鬼狩りというやつだ」
「鬼殺隊……ですか、」
「そうだ。鬼殺隊は鬼を狩り、人を守る。
お前はこれから鬼殺の剣士になるために修行をする。
鬼殺の剣士は、育手が育てる。
儂もその育手の1人じゃ。」
その晩は、鱗滝さんから鬼のことや鬼殺隊のこと、色々教えてもらってから寝た。
なんだか色々な情報が流れ込んできて、情報過多だ。
体の感覚は大方同じだけれど、
ふわふわとして、どこか夢見心地。現実じゃないようだ……
……親が殺されているのを見た時の光景が、よぎる。
これは、現実。変えようもない、悲しい現実。
ぎゅっと拳を握る。
変えられる未来があるのなら、守る人がいるのなら……俺は、諦めない。
明日から、修行開始だ。