背の高い彼
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
新兵に一際背の高い男の
子がいた。
偶然にも彼が貴女の班に
配属されることに。
結構喋る仲になったが、
運命は残酷だった。
【ページ数】
全2ページ
【備考】
・一人称。
・ベルトルトのこと「フー
バー君」と呼んでます。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「フーバー君ってかなり背が高いけど、一体どれくらいあるの?」
「えっと……訓練兵で最後に測った時は、192cmでした」
「192! どうりで……。じゃあ私なんか小人じゃない」
「そんな、小人は言い過ぎだと思います」
「どうやって背が高くなったの?」
「どう、と言われましても……普通に過ごしてただけで……」
「背の高い人皆そういうよねー羨ましい!」
――そう言った他愛のない話もした。
別に特別視してたわけではない。
他の新兵や仲間にも同じように接していたつもりだった。でも、私は思った以上にフーバー君のことが気になっていたようだ。
それは恋とかそんな意味ではない。興味というべきか。
内気で自己主張が苦手な彼が、死にたくはないが死ぬ覚悟を決めて最前線に出る調査兵団……この変人の巣窟と言われる調査兵団にいるということが不思議だったのだ。
口数は少ないけど、私たちは徐々に打ち解けていったと思う。
でも、フーバー君はいつも当たり障りのない受け答えしかしなかったように感じた。微笑んだりはしてくれていたから、自己主張が苦手なだけだと思っていた。
――……‥‥
「私のこと、覚えてる?」
「……はい。それは勿論」
「フーバー君の故郷はどこにあるの」
彼は答えなかった。
数カ月ぶりの再会。もうあの頃のように軽い雰囲気の会話は出来そうにない。
「君の目的は、エレンを連れ去ることで一体どこに連れて行くつもりなの? どこか私たちが知らない故郷とやらに連れて行くの?」
そう問えば、彼は今までに見たことのないキリッとした目つきで私を見つめてきた。
「それを知ってどうするんですか。リタさん、貴女もそして調査兵団の皆もこれから死ぬというのに」
「……冥土の土産に聞いたって良いでしょう? でもまぁ確かに、これから死ぬのであればエレンをどうするかなんてどうでもいいか」
「?」
「だけどこれだけは知りたい。君は、どんな思いで私や仲間達と会話していたの? いつも君はどこかはっきりしないことを言い、ただ聞かれたことに答えてその場に合わせて過ごしていた。……今のように、どうせ死ぬのだから話してもしょうがないと思ってたの?」
少し冷たい質問だが、これくらいが丁度いい。
「それは違う」
彼も冷静だった。今までとは明らかに違うとと分かったのは、彼がこれまでにはないしっかりと自分の意思で動いているのを感じ取ったからだった。
「リタさんや、仲間と接している時は僕の……僕らの目的を忘れることが出来ていた。楽しかったし、こんな日常が良いとも感じた。別にわざとああいう態度を取ってたわけじゃない。あれが今までの僕だった、それだけです」
「じゃあ……ここに来て、もう後戻りできないと悟ったんだ?」
「!」
「だから今の君は、目的のために覚悟を決めた目をしているんだね」
「……そうです。僕は別に貴女たちを悪魔だとか思っちゃいません。けど、これが僕に与えられた任務だから。やらなくちゃいけない。だから、ここで死んでください」
「フーバー君!」
立体機動で飛び去った彼の後を追ったのは、体が勝手に動いたから。
私が、ハンジ班・リヴァイ班と同じ側の担当になったのは団長の判断だった。もしかしたら、フーバー君の最初の上官だったことに期待をされたのかもしれない。
でも、運命は残酷だ。
フーバー君と少し話し合うことが出来た代わりに、私は今日ここで彼に殺されるのだ。
シガンシナ区の空に高く上ったフーバー君を光が覆った時、それを察した。
最期に思い浮かんだのは、両親の顔でも親友の顔でもなくフーバー君の顔だった。
END