背の高い彼
名前変換とあらすじ
この章の夢小説設定【概要】
新兵に一際背の高い男の
子がいた。
偶然にも彼が貴女の班に
配属されることに。
結構喋る仲になったが、
運命は残酷だった。
【ページ数】
全2ページ
【備考】
・一人称。
・ベルトルトのこと「フー
バー君」と呼んでます。
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ベルトルト・フーバーと名乗った新兵は、一際背が高くて他より目立つ男の子であった。
しかしその中身は逆で、目立つことを避けているのか発言も自らしない。言い方は悪いが、空気のような存在だといえる。
――……‥‥
「フーバー君は南方訓練兵団出身?」
私が新兵の情報書を片手に問うと、彼は静かに「はい」と返事をした。
今はもうすぐ始まる壁外調査のために新兵の力を見て、班の絆を深める時間だ。まぁ、ただの立体機動訓練と対人格闘訓練の時間なのだけれども。
「成績は三位で卒業か……。今期の南方訓練兵団出身者は、成績上位が多い印象だけど何で?」
「え……何でと言われましても……」
立体機動訓練を終えたばかりの彼の額には汗が少し滲んでいた。今日は暖かい日だし、結構ハードな動きをしていたから当然だろう。
うーん、と唸ってから言葉を続けた。
「やっぱり、トロスト区での出来事でしょうか」
「結構地獄だったと聞くけど、それを見てもなお前線に出ようっていう神経が凄まじいんだけど……。フーバー君もそうなの?」
「僕は、その……何ていうかこっちの方が故郷に早く帰れそうな気がして。あとライナーもいるし……」
新兵の情報書を見れば、彼の出身はウォール・マリアになっていた。
「なるほど。巨人を倒して早いとこウォール・マリアを奪還したいってことね?」
「……まぁ、そうです」
何かはっきりしないなこの子、と思った。
「とりあえず、どんなに優秀な兵士でも死ぬときは死ぬ。訓練模型と違って、奴らは動くし手を伸ばしてくる。油断禁物! 故郷に帰りたければ、生きて帰ってくること!」
「はい、分かってます」
ふと周りを見れば、私の班は大体立体機動訓練を終えているところだった。
「じゃあ、次は対人格闘に移るから準備してね」
「了解です」
調査兵団は巨人を相手にするのに何で対人格闘術が必要なのか、と思いがちだがこれは割と重要なのである。
体力・筋力をつけるトレーニングでもあるが、相手の動きを把握して咄嗟にどうするかっていう判断力にも繋がっていくのだ。
それに……今、エルヴィン団長が危惧しているのは、知性巨人の存在。もし敵が巨人だけじゃないとすれば、いつか人間相手に戦うこととなるかもしれない。
例えば、知性巨人の中身。とか。
今後、対人格闘術は重要になるかもしれない。身に着けておいて損はないだろう。
――という団長のお達しだ。
まぁ正直、私は対人格闘が得意ではない。だから壁内の犯罪や酔っ払いを取り締まる憲兵や駐屯兵団では上手くやれないと思う。(そもそも憲兵に入れるほどの実力はなかったが)
「リタ班長、お相手願います!」
新兵からそう言われ、私は仕方なく向かった。
フーバー君をチラッと見れば、内気そうなのに意外にも相手を倒していた。