ドMな私
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2、ドMの目覚め。
まだ兵士のへの字も考えていなかった幼い頃。
私はウォール・マリア内にあるド田舎に住んでいた。何とか区、というような街があるようなところではない。大自然に囲まれた場所の、小さな村で暮らしていた。
その頃は私はまだ太ってはいなかった。しかし少し不細工だったのである。それは兵士になった今も変わらないけど、そんなめちゃくちゃ不細工ってわけでもない。
けれど、当時の私は村のいじめっ子から毎日のように「ブス」だの「醜い」だの言われていた。
だから私も自分は醜く、見るに堪えないほどの顔なんだと思い込んでいた。
最初はとても落ち込んだし、泣いていたし、辛かった。
けれどある日、私の気持ちは180度変わったのである。
――その日も、私は近所のいじめっ子に囲まれていた。
「お前、さっきの何だよ!」
「そうだよ、ブスが大井戸のおばちゃんに褒められたからって良い気に乗るんじゃねーよ!」
「何とか言えよ! ブス女!」
大井戸のおばちゃんとは五十歳くらいの女性で、村で一番大きい井戸が家の庭にあったからそう呼ばれていた。
昼間、村の子供達は大抵大人たちに混じって農作業や力仕事をしている。
私も例に漏れないのだが、大井戸のおばちゃんからとても褒められたのだ。
それを見ていたいじめっ子たちにとっては、面白くなかったらしくその日はそれを弄られた。
「大体お前如きがあんなことで褒められるなんておかしい! 俺達の方がよっぽど貢献してる!」
「そうだ! どんな手を使ったんだ? まさか、俺達のこと大人に言ってねぇだろうな?」
いじめっ子たちの所業を大人は知らなかった。彼らはいつも隠れて私を囲むのだ。
「おい、俯いてないでこっち見ろよ! ブス!」
一人のいじめっ子がそう言って、私の髪を引っ張って無理矢理顔を上げさせた。
「いたいっ」
「やっとこっち向いた!」
「ははははは、不細工な顔ー!」
奴らの顔を見た瞬間、不思議なことが起こった。
私の中で、何だか何とも言えない気持ちが生まれたのを感じたのだ。
「おい、いつものように泣いてみろよ!」
その時、私はとても冷静だったと思う。
こいつらが、私を貶しているのは大井戸のおばちゃんに私が褒められたからだ。
こいつらはそれに嫉妬している。
私を羨んでいるんだ。そしてブスだと罵った私より劣っていると感じているんだ。
「な、何なんだこいつ……」
気付けば私は笑っていた。
「笑ってる……頭おかしいんじゃね!?」
「気持ち悪い」
私から距離をとるいじめっ子たち。
やがて去って行った。
その時は、なんで自分でも笑っていたかはっきりと分からなかった。
しかし、それからいじめっ子がいつものように罵ってくる度に悲しみ辛みではなく喜びが私の中に芽生えてしまった。
今思えば、あいつらの嫉妬に快楽を感じてその時発せられていた罵詈雑言がつられて快楽になったのだと思う。
連鎖というやつだ。
例えば、お母さんがよく作ってくれた料理の匂いが街中でしたらお母さんを思い出してほっこりする。みたいな。
――とにかく、私はそれから自分自身に向けられた罵る言葉に喜びを感じるようになった。
別にそれが嫉妬からくるものではない罵りでも。
いじめっ子は、笑う私に不気味さを感じたのだんだん近づかなくなった。
それはそれでつまらなくなったので、泣くことにした。そうすることで、奴らの望む反応を得ることが出来たからだ。
「こいつ、泣いてんのか?」
「流石のお前ももう笑ってられないだろ。気持ち悪すぎて吐き気がした」
「ブスには泣き顔が最高に似合ってる。最高に気持ち悪いな」
悲しめば、こいつらは罵ってくる。嫌がらなければ更に罵ってくる。
私はそれを欲している。
もっと罵ってほしい。そういう思いが芽生えたのだった。
――……‥‥
「おい、邪魔だ。どかねぇとその肉そぎ落とす」
「痛いの嫌です。そぎ落とさないでください。何でもしますから」
「ならどけ」
睨みつけてくる兵長に私は興奮した。そして兵長は更に欲しい言葉をくれる。
「贅肉ばっかつけやがって。だらしねぇな」
去り際にぼそっと呟いた程度。
でも……ありがとうございます!!
最高です!兵長!
どこで誰が見ているか分からない。
にやけそうな顔を抑え、私は心の中で喜びをかみしめた。
2、ドМの目覚め。 END