ドMな私
名前変換
この小説の夢小説設定主人公の苗字はキャラ設定上、アッカーマンで固定です。
なので、苗字を除く名前だけ入力してください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
1、実は私。
同じ104期のライナーとベルトルト、そしてユミルが実は巨人だったことが判明し私たちには少し暗いムードが漂っていた。
いつも笑顔と気遣いで皆から「可愛い」「女神だ」と言われていたクリスタでさえ、実はヒストリアという名前で自分を偽っていたことが判明。今までとは打って変わって、落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
色んな秘密が一気に明るみになって、皆あまりのことについて行くのが精一杯。
調査兵団全員で装備や物資の整理でしている今でさえ、最低限の会話で皆が作業をしている。
「おい」
「っ、兵長!」
104期の仲間達は固まって作業をしていたのだけれど、突然リヴァイ兵長がやってきて声をかけた。
全員で敬礼をする。
「いい、作業を続けろ」
「はっ。……何か御用があったんじゃ」
「あぁ。てめぇらが辛気臭ぇ顔をしながら働いてるもんだから、ちゃんと出来てんのか見に来た」
兵長の言葉に皆が息を呑んだ。
――最初に答えたのはジャンだった。
「大丈夫です。そりゃ色々あったんで、何ていうか……あまり気分は良くないですけど、仕事はちゃんとやってます」
「そうか。なら良いが、気持ちを切り替えていけ。引きずってヘマするんじゃねぇぞ」
素直に返事をする同期たちだったが、そうは言っても三年も行動を共にした仲間が実は……ってなったら、受け入れるのに多少時間はかかるだろう。
私は、彼らとは違う訓練兵団出身だからあまり今回の騒動の中心人物たちのことは知らない。
けれど、全く知らないわけじゃないし同期たちの様子を見ていたら、私もなんとなく気分が落ち込むものだ。
俯いていると、リヴァイ兵長が私の前までやってきた。
影がかかったから顔を上げた。
ジッと見つめ合う。相変わらず表情が変わらない人だが、次に出される言葉は何となく察した。
「名前。てめぇはちゃんと動いてんのか? そんな豚みてぇな体になりやがってどうする気だ?」
兵長の言葉に、周りの同期たちはさぞ驚いたことだろう。
雰囲気で分かったが、兵長は続けた。
「えっと……」
「そのくせ、筋力はバカみてぇについてやがる」
「……それは豚ですね」
「分かってんじゃねぇか」
正直、私は兵長の言葉通り決して痩せてはいない。むしろデブだ。
「てめぇのその肉、鬱陶しいから削いでやろうか」
「……それは、痛そうなので止めてください」
周りには私が兵長の罵りに必死に耐えているように映ったのだろう。
エレンがここで助け舟を出してくれた。
「兵長、ちょっとそれは言い過ぎじゃないでしょうか」
「あ?」
「それとも兵長は、こいつの肉を削いで楽しむ趣味でもあるんですか?」
エレンの言葉に、幼馴染でもあると言っていたアルミンが慌ててエレンの名前を呼ぶ。
喧嘩になりそうだとでも思ったのだろう。
しかし兵長は
「チッ、冗談に決まってるだろうが」
と言い、この場を去って行った。
「大丈夫か?」
エレンが私に声をかける。
「うん、大丈夫。ありがとう」
「お前も嫌なら嫌って言えよ」
「あー……うん」
歯切れの悪い私に、エレンが怪訝な顔をした。
すると同期たちがわらわらと集まって来た。
「ちょっとエレン、あんなこと言って兵長が怒ったらどうするのさ」
「はぁ? 何言ってんだアルミン。悪いのは兵長だろ? 名前を罵ってたんだぞ」
するとジャンが
「そうじゃねぇだろ。お前は言葉を選べ。何が、“兵長は、こいつの肉を削いで楽しむ趣味でもあるんですか?”だ。そんなもん喧嘩売ってるようなもんだろ」
と続けた。
「だったら、ジャン。てめぇが止めれば良かっただろうが。ジャンだけじゃねぇ。誰一人、名前を助けようとしなかったじゃねぇか。お前ら全員、酷いとは思ってたんだろ?」
エレンの指摘に誰もが口をつぐんだが、一人ジャンだけは反論する。
「そりゃ、お前みたいに思ったこと口に出さねぇからだよ。こっちはお前と違って、色々考えて行動してる。どう言ったら最善なのかとか、あと先考えないやつとは違うんだよ」
「何だと……?」
喧嘩が始まりそうだった。
「止めて、二人とも」っていう声も上がったが、にらみ合いを止めないエレンとジャン。
「だからエレン、てめぇは死に急ぎ野郎なんだよ!」
「はぁ!? もう一回言って見ろよ!」
すると、今まで黙っていたミカサが二人の間に割って入った。
「もう止めて」
「ミ、ミカサ……」
「ジャンの言う通り。エレンは何も考えずに突っ走ることがある。それは良いことだけど、エレンにとって悪いことになるかもしれない」
「待ってたら、いつまで経っても名前は罵倒されてたんだぞ」
「そうかもしれない。けれど、下手したら彼方が今頃血を流していたかもしれない。そうなったら私があのチビに報いを受けさせていたけれど」
ワーワーと言いあうエレンとミカサ。
私はもはやカヤの外。
――けれど私は言えない。
私にはある秘密があった。
皆には悪いけど、私……
兵長に罵られるの結構、好き。
いやもう最高のご褒美だと思っている!!
兵長に罵られるのは今回が初めてではない。最初はそりゃ吃驚したけど、元々ドМな私はそれがすっごいすっごい嬉しいことだった。
でも流石に引かれるかと思って、ちょっと隠すような受け答えはしているけれど本当はドン引きされてみたいとも思っている!
だから、エレンが止めてくれたのは優しいなって思うけど止めてほしくなった!
罵られたいのだ!
別に兵長じゃなくても良い。とにかく誰でも良いから罵声罵倒されたい!
それが私の秘密。私は所謂ドМなのだ。
そもそも、自分がドМに目覚めたのは幼少期という早い段階であった――。
1、実は私。 END