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リヴァイと至近距離で対面する形になってしまった。
「ちょ、ここ執務室。仕事場でしょ」
しかも、普通の関係じゃまずしない体勢だ。誰かに見られたらと思うと、気が気ではなかった。
そわそわするマーラにリヴァイは
「誰も見てねぇよ」
と、マーラの顔を撫でた。
公私混同しないリヴァイは、人前では絶対マーラに甘い顔をしないし他の兵士と変わらぬ対応をする。それはマーラも同じだった。
しかしこうして二人きりになると、稀に恋人っぽいことをしたくなってしまうのだ。
それはお互い口で言うほど嫌ではない。
「誰か来たらどうするの」
「ノックするだろ。そしたら離れりゃいい。兵士なら身の熟しはお手のもんだろうが」
「でも――」
「ちょっと触れさせろ」
そう言ってマーラを抱き寄せる。
何となくそれが愛おしく感じ、マーラもリヴァイに肩に腕を回した。
「……去年は悪かった」
しばらく抱き合っていると、不意にリヴァイが口にした謝罪。
「まだ言ってるの? 気にしてないって」
それは昨年の二月十四日のことだった。
「私は、リヴァイが食べないこと承知で会議持って行ったの」
エルヴィンの提案で食べながら会議をすることになった。皿に入れてテーブルに置いていたのだが、リヴァイだけが頑なに手をつけなかったのである。
「気持ち悪いとか言っちまった」
ハンジが後で問い詰めた際に「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」と口にしたのを、マーラがたまたま聞いたのだ。
リヴァイはそのことをずっと悔いているのだ。
「その理由もちゃんとわかってるから」
リヴァイが潔癖なのは本当だ。
「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」っていう発言も嘘ではない。
しかし、恋人であるマーラは別だ。そこらを配慮して作ってくれているのは知っている。信頼もしている。だからマーラの作った物は平気なのだ。
ただ、二人の関係は秘密。手作りクッキーを皆の前で食べてしまえば、関係がばれてしまうことを危惧して手をつけなかったのだ。
ハンジにした発言も、同様の理由だ。
「お前を傷つけた」
「それは大丈夫だから。後でちゃんと別のやつ受け取ってくれたじゃない。食べてくれたんでしょ?」
「あぁ。当然だ」
リヴァイは改めて先程貰ったクッキーを手に取った。
マーラが綺麗にラッピングした袋は透明で、中身が見えていた。そこには数枚のクッキーが入っており、凝った作りのものもあった。
「今回のも美味そうだ」
「母さん直伝の味だからね!」
上体を起こし、マーラもリヴァイの手にあるクッキーを見る。
昔は一緒に作った母ももういない。だけど、しっかりとその作り方は覚えていて自信があった。
毎年作っていくうちに上達していると自分でも思っている。
「ちゃんと再現できてんのか?」
「出来てるよ! 自信あるし、何ならエレンにも同じのあげたから聞いてみてよ」
「エレンにも同じだと……?」
予想外だったのか、リヴァイは鋭い目でマーラを見上げた。
「ちょ、ここ執務室。仕事場でしょ」
しかも、普通の関係じゃまずしない体勢だ。誰かに見られたらと思うと、気が気ではなかった。
そわそわするマーラにリヴァイは
「誰も見てねぇよ」
と、マーラの顔を撫でた。
公私混同しないリヴァイは、人前では絶対マーラに甘い顔をしないし他の兵士と変わらぬ対応をする。それはマーラも同じだった。
しかしこうして二人きりになると、稀に恋人っぽいことをしたくなってしまうのだ。
それはお互い口で言うほど嫌ではない。
「誰か来たらどうするの」
「ノックするだろ。そしたら離れりゃいい。兵士なら身の熟しはお手のもんだろうが」
「でも――」
「ちょっと触れさせろ」
そう言ってマーラを抱き寄せる。
何となくそれが愛おしく感じ、マーラもリヴァイに肩に腕を回した。
「……去年は悪かった」
しばらく抱き合っていると、不意にリヴァイが口にした謝罪。
「まだ言ってるの? 気にしてないって」
それは昨年の二月十四日のことだった。
「私は、リヴァイが食べないこと承知で会議持って行ったの」
エルヴィンの提案で食べながら会議をすることになった。皿に入れてテーブルに置いていたのだが、リヴァイだけが頑なに手をつけなかったのである。
「気持ち悪いとか言っちまった」
ハンジが後で問い詰めた際に「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」と口にしたのを、マーラがたまたま聞いたのだ。
リヴァイはそのことをずっと悔いているのだ。
「その理由もちゃんとわかってるから」
リヴァイが潔癖なのは本当だ。
「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」っていう発言も嘘ではない。
しかし、恋人であるマーラは別だ。そこらを配慮して作ってくれているのは知っている。信頼もしている。だからマーラの作った物は平気なのだ。
ただ、二人の関係は秘密。手作りクッキーを皆の前で食べてしまえば、関係がばれてしまうことを危惧して手をつけなかったのだ。
ハンジにした発言も、同様の理由だ。
「お前を傷つけた」
「それは大丈夫だから。後でちゃんと別のやつ受け取ってくれたじゃない。食べてくれたんでしょ?」
「あぁ。当然だ」
リヴァイは改めて先程貰ったクッキーを手に取った。
マーラが綺麗にラッピングした袋は透明で、中身が見えていた。そこには数枚のクッキーが入っており、凝った作りのものもあった。
「今回のも美味そうだ」
「母さん直伝の味だからね!」
上体を起こし、マーラもリヴァイの手にあるクッキーを見る。
昔は一緒に作った母ももういない。だけど、しっかりとその作り方は覚えていて自信があった。
毎年作っていくうちに上達していると自分でも思っている。
「ちゃんと再現できてんのか?」
「出来てるよ! 自信あるし、何ならエレンにも同じのあげたから聞いてみてよ」
「エレンにも同じだと……?」
予想外だったのか、リヴァイは鋭い目でマーラを見上げた。