特別なクッキーの理由
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「あれ、エレン。それ……」
「え? あぁ、これですか?」
それは小さな袋に入ったクッキーだった。
「それ! リヴァイと同じじゃない!」
「あ?」
「え?」
ほら、とハンジが指を動かし示した。
リヴァイの机上にあるクッキーとエレンが持っているクッキーが同じ物だったのだ。
「それ、どうしたの!?」
「姉ちゃんにもらったんです」
「マーラに!?」
大きな声を出すハンジに、エレンは少しビクッとした。
「ええ……毎年、二月十四日に姉ちゃんが菓子を作ってくれるんです。といっても、昔は母さんと一緒に作ってましたけど。今年、久々に貰いました」
「それはエレンのお父さんの故郷の習慣がどうのこうのってやつだよね?」
「え、あ、はい。知ってるんですか?」
「マーラから聞いてね。数年前から、マーラは私たちにも作ってくれてるんだよ。日頃の感謝だって言って」
「そうだったんですね。これ、さっき貰って実は一枚その時食べたんですよ。母さんの作るクッキーと同じ味でした」
エレンは昔を思い出し、懐かしむような表情を見せた。
「でも、今年私も貰ったんだけど……ちょっとエレンやリヴァイのと違う気がするんだよね」
「違うとは?」
「形とか。入ってるものとか。私のは普通のクッキーに野苺を練り込んだクッキーが丸く焼いてあったんだ。でも、エレンやリヴァイのは……」
形が丸以外もあり、茶葉が練り込んであるクッキーや野苺をそのまま乗せてあるクッキー、ジャムのようなものが乗っているクッキー等。
とにかく手の込んだものがあった。
「特にこのクッキー、細かいところまで模様がついてて――これクリーム!? 挟んであるけど! 全然、私のと違う!」
「これ手間がかかるらしいですからね。多分、これで他と差を出してるんだと思います。ミカサやアルミンでさえ入ってなかったんで、別にハンジさんだけじゃないので安心してください!」
「差って何?」
「何って、姉ちゃんにとって命よりたい――」
「エレン」
リヴァイに名前を呼ばれ、エレンはハッとし慌てて口を押えた。
その行動にハンジは首を傾げる。
「命よりたい? え、何?」
「す、すみません! 俺は何も知らないです! 姉ちゃんのことは姉ちゃんに聞いてください!」
「え?」
「それでは! 俺、エルヴィン団長のとこに行くので! 失礼します!」
エレンは勢いよく敬礼をして、部屋を出て行った。
残されたハンジは「え、何!? 何なの!?」と混乱した。
リヴァイは、紅茶を一口飲んで舌打ちした。すっかり冷めきった紅茶に機嫌を損ねたのだろう。
ハンジに実験の承諾書を突き返し、紅茶を淹れ直そうと立ち上がった。
「え!? どういうこと!? リヴァイ!」
「俺が知るかよ」
「いや、だって明らかに今貴方がエレンを睨んだからエレン出て行っちゃったよね!?」
流石というべきか、そういうところはしっかり見逃さず見ていたようだ。
「え? あぁ、これですか?」
それは小さな袋に入ったクッキーだった。
「それ! リヴァイと同じじゃない!」
「あ?」
「え?」
ほら、とハンジが指を動かし示した。
リヴァイの机上にあるクッキーとエレンが持っているクッキーが同じ物だったのだ。
「それ、どうしたの!?」
「姉ちゃんにもらったんです」
「マーラに!?」
大きな声を出すハンジに、エレンは少しビクッとした。
「ええ……毎年、二月十四日に姉ちゃんが菓子を作ってくれるんです。といっても、昔は母さんと一緒に作ってましたけど。今年、久々に貰いました」
「それはエレンのお父さんの故郷の習慣がどうのこうのってやつだよね?」
「え、あ、はい。知ってるんですか?」
「マーラから聞いてね。数年前から、マーラは私たちにも作ってくれてるんだよ。日頃の感謝だって言って」
「そうだったんですね。これ、さっき貰って実は一枚その時食べたんですよ。母さんの作るクッキーと同じ味でした」
エレンは昔を思い出し、懐かしむような表情を見せた。
「でも、今年私も貰ったんだけど……ちょっとエレンやリヴァイのと違う気がするんだよね」
「違うとは?」
「形とか。入ってるものとか。私のは普通のクッキーに野苺を練り込んだクッキーが丸く焼いてあったんだ。でも、エレンやリヴァイのは……」
形が丸以外もあり、茶葉が練り込んであるクッキーや野苺をそのまま乗せてあるクッキー、ジャムのようなものが乗っているクッキー等。
とにかく手の込んだものがあった。
「特にこのクッキー、細かいところまで模様がついてて――これクリーム!? 挟んであるけど! 全然、私のと違う!」
「これ手間がかかるらしいですからね。多分、これで他と差を出してるんだと思います。ミカサやアルミンでさえ入ってなかったんで、別にハンジさんだけじゃないので安心してください!」
「差って何?」
「何って、姉ちゃんにとって命よりたい――」
「エレン」
リヴァイに名前を呼ばれ、エレンはハッとし慌てて口を押えた。
その行動にハンジは首を傾げる。
「命よりたい? え、何?」
「す、すみません! 俺は何も知らないです! 姉ちゃんのことは姉ちゃんに聞いてください!」
「え?」
「それでは! 俺、エルヴィン団長のとこに行くので! 失礼します!」
エレンは勢いよく敬礼をして、部屋を出て行った。
残されたハンジは「え、何!? 何なの!?」と混乱した。
リヴァイは、紅茶を一口飲んで舌打ちした。すっかり冷めきった紅茶に機嫌を損ねたのだろう。
ハンジに実験の承諾書を突き返し、紅茶を淹れ直そうと立ち上がった。
「え!? どういうこと!? リヴァイ!」
「俺が知るかよ」
「いや、だって明らかに今貴方がエレンを睨んだからエレン出て行っちゃったよね!?」
流石というべきか、そういうところはしっかり見逃さず見ていたようだ。