特別なクッキーの理由
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「皆の作るから衛生面を考えての格好ですよ」
「いや、でもそれはちょっとやりすぎでしょ。エプロンは分かるし、まぁ頭巾も分かるよ。髪の毛対策だよね。でも何、マーラは手に落ちない泥でもついてるの?」
ハンジが言っているのは、しっかりとしたゴム手袋のことだった。
肘まである長い手袋は、まるで肉を捌く人みたいだ。
「これしかなかったんですよね。ゴム手袋。でも、安心してください! 兵団の支給品ですけど綺麗なゴム手袋です! 新品だし、石鹸で洗いましたから」
「私が言ってるのはそうじゃなくて、お菓子作るのに手袋いる? ってことなんだけど」
ハンジの言葉にマーラは首を傾げた。
「だから、作りにくくない? それ。細かい動きとか出来ないでしょ」
「え、でも汚いですよ。素手」
「洗えばよくない? 石鹸あるんだし」
「でもそれじゃあリヴァイが嫌がりますよ?」
リヴァイ――。その名を聞いた瞬間、ハンジが「は!?」と声をあげた。
「まさか、リヴァイにあげるつもり!?」
「え、まぁ……そりゃ……お、お世話になってるし」
「いやいや、また同じこと繰り返すつもりなの? 忘れた? 去年だってマーラが作ったの食べなかったじゃん!」
昨年、丁度十四日が会議の日でマーラは手作りクッキーを持ち込んだ。
団長であるエルヴィンはとても喜んでいて、食べながら会議しようと言い出したのだ。
それで、皿に入れて皆でお茶しながら会議をした。
その際、紅茶ばかり飲んでいて一切クッキーに手をつけなかったのがリヴァイである。
ハンジが「リヴァイ、食べないの?」と聞いた。
するとリヴァイは頑なに「俺はいい」と拒否したのだ。
その時は理由を言わなかったが、後でハンジが問い詰めると「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」と答えた。
しかもそれをたまたまマーラ本人が聞いてしまったのである。
マーラは顔に出さなかったものの、悲しんでいると感じたハンジ。リヴァイを思いっきり殴ったのだ。
「今思い出しただけでも腹立つ……あそこまで言わなくたって」
「リヴァイは潔癖ですからね」
「じゃああげることなくない? 気にしなくて良いよ! どうせゴム手袋したって言ったって、リヴァイ自身が見てないんだから信用してくれるかどうかも怪しい。マーラが傷つくのは見たくないよ」
自分を心配してくれるハンジに、マーラは心が痛んだ。
というのも、昨年のあの出来事にはハンジの知らない続きがあるのだ。
「いや、でもそれはちょっとやりすぎでしょ。エプロンは分かるし、まぁ頭巾も分かるよ。髪の毛対策だよね。でも何、マーラは手に落ちない泥でもついてるの?」
ハンジが言っているのは、しっかりとしたゴム手袋のことだった。
肘まである長い手袋は、まるで肉を捌く人みたいだ。
「これしかなかったんですよね。ゴム手袋。でも、安心してください! 兵団の支給品ですけど綺麗なゴム手袋です! 新品だし、石鹸で洗いましたから」
「私が言ってるのはそうじゃなくて、お菓子作るのに手袋いる? ってことなんだけど」
ハンジの言葉にマーラは首を傾げた。
「だから、作りにくくない? それ。細かい動きとか出来ないでしょ」
「え、でも汚いですよ。素手」
「洗えばよくない? 石鹸あるんだし」
「でもそれじゃあリヴァイが嫌がりますよ?」
リヴァイ――。その名を聞いた瞬間、ハンジが「は!?」と声をあげた。
「まさか、リヴァイにあげるつもり!?」
「え、まぁ……そりゃ……お、お世話になってるし」
「いやいや、また同じこと繰り返すつもりなの? 忘れた? 去年だってマーラが作ったの食べなかったじゃん!」
昨年、丁度十四日が会議の日でマーラは手作りクッキーを持ち込んだ。
団長であるエルヴィンはとても喜んでいて、食べながら会議しようと言い出したのだ。
それで、皿に入れて皆でお茶しながら会議をした。
その際、紅茶ばかり飲んでいて一切クッキーに手をつけなかったのがリヴァイである。
ハンジが「リヴァイ、食べないの?」と聞いた。
するとリヴァイは頑なに「俺はいい」と拒否したのだ。
その時は理由を言わなかったが、後でハンジが問い詰めると「他人がベタベタ触って作ったもんなか食えるかよ、気持ち悪い」と答えた。
しかもそれをたまたまマーラ本人が聞いてしまったのである。
マーラは顔に出さなかったものの、悲しんでいると感じたハンジ。リヴァイを思いっきり殴ったのだ。
「今思い出しただけでも腹立つ……あそこまで言わなくたって」
「リヴァイは潔癖ですからね」
「じゃああげることなくない? 気にしなくて良いよ! どうせゴム手袋したって言ったって、リヴァイ自身が見てないんだから信用してくれるかどうかも怪しい。マーラが傷つくのは見たくないよ」
自分を心配してくれるハンジに、マーラは心が痛んだ。
というのも、昨年のあの出来事にはハンジの知らない続きがあるのだ。