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「だって、そんな話……俺の肩に女が乗ってるって……」
「まぁ、そうだよね。信じたくない事実だもんね」
無言が続いた。
事実なのか。女が乗ってるっていうのは。
本当にこの人は視えているのか。
出鱈目言ってるようには見えないが、冗談を真顔で言う上司が存在することを思い出し真偽を図れないでいた。
「今も、いるんですか? その女……」
少し落ち着きを取り戻した俺は女のことを聞いてみることにした。
「いる」
「……!」
あっさり答えられ、俺は言葉に詰まってしまった。
するとアルミンがすかさず会話を繋げた。
「ベルティーニさん、その人って目力が強い髪の長い女って言いましたよね?」
「ええ、そうね」
「その人って、もしかしてエレンのお母さんとか……」
「母さん!?」
アルミンの口から出た思わぬ人物に心臓が跳ねあがった。
「お母さん、目力強かったよね。髪も長かった気がするんだけど」
確かにそれだけ聞けば母さんの特徴に当てはまる。
「そうだよ、きっとエレンのこと見守ってくれてるんだよ!」
「母さんが……」
そうなのか。
母さんなのか。俺の肩に乗ってるのは。
「それでベルティーニさん――」
「クレハで良いよ」
「え、あ、はい。じゃあクレハさんでいきますね。……えっと、どんな感じなんですか? その女の人は」
「どんな?」
「例えばエレンを優しく包むように乗ってるとか、状態ですね」
アルミンは俺の肩に乗ってるのが母さんだと信じているようだった。
俺もそれなら悪くないかなと思った。
しかしクレハさんから告げられたのは、俺達のその希望を打ち砕くものであった。
「睨んでる」
「え」
アルミンと二人で間抜けな声が出た。
「めちゃくちゃ睨んでる。恨みでもあるみたいに」
「え……」
血の気が引くような言葉だった。
「あ、ごめんけどもう行かなくちゃ」
「は!?」
「これから訓練があるから」
「え、ちょっ、待って下さいって――!」
俺の声も聞かず、クレハさんは足早に書庫を後にした。
こんな中途半端に恐怖を与えて去ってしまうなんて、薄情すぎやしないか?
訓練って、まだ時間あるじゃねぇか。
「もしかして、逃げた?」
「は? どういうことだよ」
「クレハさんには、幽霊が視えている。エレンにそのことを告げたことでクレハさんが危険を感じた、とか」
何なんだよ。
っていうか、それって
「俺達の方が危険だろうが! 放って逃げたってことかよ!? どうしろってんだ!」
「どうにも出来ないよね。でもエレンのお母さんじゃないことは確かかなー……」
「いや、それは分からねぇ」
母さんが巨人に食われた時のことを思い出す。
「あの日、母さんと喧嘩したんだ。俺は家を飛び出して、巨人に壁を破壊された。家に帰ったら、母さんが潰れた家の下敷きになってて助けられなくて……最後は……」
「お母さんが恨んでるって言うの? そんなことありえないよ。エレンのお母さんはそんな人じゃないだろ? エレンを愛してた」
「じゃあ俺の肩にいる女は誰なんだよ! 母さん以外の死んだ女に恨みを買った覚えはねぇ!」
「ちょ、エレン、落ち着いて!」
アルミンの制止を振り切って、俺は書庫を飛び出した。
END
●あとがき●
終わり方迷子(笑)
世界の端に蠢く怪、初のお話でした。
予め言っておきますと、これには続編があります。続編って言うか……まぁ続編ですね。
幽霊の正体を明かさないまま終われないので。
いつか公開したいと思います!
次の話はもっと上手く書きたいです。では。
「まぁ、そうだよね。信じたくない事実だもんね」
無言が続いた。
事実なのか。女が乗ってるっていうのは。
本当にこの人は視えているのか。
出鱈目言ってるようには見えないが、冗談を真顔で言う上司が存在することを思い出し真偽を図れないでいた。
「今も、いるんですか? その女……」
少し落ち着きを取り戻した俺は女のことを聞いてみることにした。
「いる」
「……!」
あっさり答えられ、俺は言葉に詰まってしまった。
するとアルミンがすかさず会話を繋げた。
「ベルティーニさん、その人って目力が強い髪の長い女って言いましたよね?」
「ええ、そうね」
「その人って、もしかしてエレンのお母さんとか……」
「母さん!?」
アルミンの口から出た思わぬ人物に心臓が跳ねあがった。
「お母さん、目力強かったよね。髪も長かった気がするんだけど」
確かにそれだけ聞けば母さんの特徴に当てはまる。
「そうだよ、きっとエレンのこと見守ってくれてるんだよ!」
「母さんが……」
そうなのか。
母さんなのか。俺の肩に乗ってるのは。
「それでベルティーニさん――」
「クレハで良いよ」
「え、あ、はい。じゃあクレハさんでいきますね。……えっと、どんな感じなんですか? その女の人は」
「どんな?」
「例えばエレンを優しく包むように乗ってるとか、状態ですね」
アルミンは俺の肩に乗ってるのが母さんだと信じているようだった。
俺もそれなら悪くないかなと思った。
しかしクレハさんから告げられたのは、俺達のその希望を打ち砕くものであった。
「睨んでる」
「え」
アルミンと二人で間抜けな声が出た。
「めちゃくちゃ睨んでる。恨みでもあるみたいに」
「え……」
血の気が引くような言葉だった。
「あ、ごめんけどもう行かなくちゃ」
「は!?」
「これから訓練があるから」
「え、ちょっ、待って下さいって――!」
俺の声も聞かず、クレハさんは足早に書庫を後にした。
こんな中途半端に恐怖を与えて去ってしまうなんて、薄情すぎやしないか?
訓練って、まだ時間あるじゃねぇか。
「もしかして、逃げた?」
「は? どういうことだよ」
「クレハさんには、幽霊が視えている。エレンにそのことを告げたことでクレハさんが危険を感じた、とか」
何なんだよ。
っていうか、それって
「俺達の方が危険だろうが! 放って逃げたってことかよ!? どうしろってんだ!」
「どうにも出来ないよね。でもエレンのお母さんじゃないことは確かかなー……」
「いや、それは分からねぇ」
母さんが巨人に食われた時のことを思い出す。
「あの日、母さんと喧嘩したんだ。俺は家を飛び出して、巨人に壁を破壊された。家に帰ったら、母さんが潰れた家の下敷きになってて助けられなくて……最後は……」
「お母さんが恨んでるって言うの? そんなことありえないよ。エレンのお母さんはそんな人じゃないだろ? エレンを愛してた」
「じゃあ俺の肩にいる女は誰なんだよ! 母さん以外の死んだ女に恨みを買った覚えはねぇ!」
「ちょ、エレン、落ち着いて!」
アルミンの制止を振り切って、俺は書庫を飛び出した。
END
●あとがき●
終わり方迷子(笑)
世界の端に蠢く怪、初のお話でした。
予め言っておきますと、これには続編があります。続編って言うか……まぁ続編ですね。
幽霊の正体を明かさないまま終われないので。
いつか公開したいと思います!
次の話はもっと上手く書きたいです。では。
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