同級生の八木君に恋してる
夢小説設定
この章の夢小説設定【概要】
オールマイト、八木俊典は雄英高校時代のヒーロー科の同級生。ずっと恋をしていた。
還暦前になっても独身の貴女は彼をずっと引きずっていて――。
同窓会を経て再会する。
【備考】
同級生として多少オリキャラ出てきます。
名前変換自体少ないかも。
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――……‥‥
同窓会から一ヶ月ちょっとくらいしたときだ。
私は朝からヒーローネットニュースを眺め、呆然としていた。
「オールマイト、神野で敵と交戦。活動限界をとっくに超えていた」という文字とともに掲載された写真には、八木君のガリガリに痩せた姿が映っていた。
昨晩の敵と八木君の戦闘の生中継は私も観ていた。
そこで私は衝撃を受けたのだ。
強敵だったと思う。あの八木君が、オールマイトがすぐに倒せない敵。一対一の攻防戦を繰り広げた末に、敵の攻撃を受けた八木君の姿が変化した。
アナウンサーの言葉を借りるなら「しぼんだ」
筋肉ムキムキのボディビルダーみたいな体だったのに、一気にガリガリの骸骨みたいな姿になった。
衝撃を受けたのは私だけではなく同級生もそうだったらしい。グループチャットが荒れた。
それでもオールマイトとして築き上げた功績や安心感が私たちの中では強かった。それは世間もそうだった。
どんな姿でも彼はオールマイト。
「平和の象徴になる」と誓った彼を応援した。
そして八木君は諦めず、痩せ細った体で血だらけになりながら最後まで敵と戦い勝った。
――高校時代の八木君とNo.1ヒーローになった八木君は別人級と同級生は言っていたが、今回しぼんでしまった八木君は高校時代の頃よりも酷く痩せていた。
年相応。筋肉も衰えた姿。
その夜の会見で、それが真実の姿だと八木君は公表した。今までのはマッスルフォームと言って、身体を強化した姿だと。
それを聞いて妙に納得した。だって高校時代の彼はあんなにマッチョじゃなかったから。
そして八木君は正式にヒーロー引退を表明した。
――……‥‥
「油谷さん、久しぶりだね」
「八木君、久しぶり。同窓会以来だね。どう? 引退して少しは落ち着いた?」
「辞める前よりはね。行動範囲的な意味では落ち着いたさ。でも先生としてはやることや考えることがいっぱいあるよ」
連絡先交換をして初めて八木君と会った。
教師としての話を聞きたいと連絡があったのだ。
八木君と二人で、目的のカフェまで散歩のように土手道を歩く。
すれ違う人が「オールマイトだ!」って反応を示すと、八木君は笑顔で手を振って応えていた。
「でも八木君の性格上、引退してもヒーロー育成以外の仕事にも関わりそうで私は心配だよ」
「ははは、そうだね。全く関わらないってことはないかもしれない。戦い以外で貢献していくことにはなるだろうけどさ」
「無理してでも戦ってそう」
「さすがにそれは他のヒーロー達の足手まといなるからね。……大丈夫、芽は育ってるし優秀なヒーローも多いから。それより今更なんだけど、君は私といて大丈夫かな?」
どういうことだろうか。
オールマイトという有名人が元ヒーローとはいえ、一般人の私といるほうが問題だと思うけども……。
「えっと……何が? どういうこと?」
「そのほら……一応私も男なわけだしさ。やましいことはないとはいえ、二人きりで出かけて旦那さんとか怒ったりしない?」
心配そうに眉を下げる八木君に、私は一瞬ポカンしてしまう。
――そして言うか言わないか迷った。もし言えば優しい八木君は自分を責めるかもしれない。いや、案外昔のこと忘れているかもしれない。だってもう三十年くらい前のことだし。結びつかないだろう。
それに聞かれたから答えるだけ。
「大丈夫、だよ。私……独身だし」
「え!?」
驚いた声をあげる八木君が、次に何を言うのか少し怖かった。
「えっと……そうか、なんかごめん……」
「うん……大丈夫」
良かった、詳しく突っ込まれないようだ。
と安心したが同時にちょっぴり寂しくなった。少しでも私のこと気にしてくれないかな、なんて若者みたいな考えが過り恥ずかしくもなった。
何だか気まずい雰囲気になり、お互い無言になる。それでも教師としての相談に乗るべく向かっているカフェの場所は分かってるから、歩みを止めない。
しばらく歩いていると八木君が意を決したように「あのさ」と口を開いた。
あまりにも真剣な声色で、突如立ち止まるものだから私は振り返る。
風が優しく吹き、八木君の髪の毛が揺れるのが目に入った。
「私、君に謝らないといけないと思って」
申し訳ないという表情をする八木君に私は首を傾げた。
「……本当はね知ってたんだ」
心臓が跳ねた。ちょっとした不安を感じた。
「何、を……」
「君がまだ……私のことを引きずっているってこと」
的中。
心臓がバクバク言っている。何で知ってるのか誰かから聞いたのか、聞こうにも声が出なかった。
「あ、安心してほしい。特に誰かから聞いたわけじゃないんだ。何となくそうかなって」
「……何となく!?」
「最初は気の所為だと思った。私のことを好きだと言ってくれていたけど、さすがにね。二回も告白を断ったし」
覚えてたのか。もうとっくに忘れていてもおかしくないのに。
「でもね、油谷さん。私にファンレターくれてたでしょ? 匿名で」
「な、何でそれを……」
諦められなかった恋。それでも私は八木君応援したくてファンレターを時々書いていた。
好きとか恋してるとかそういうのは一切書かずに純粋なファンとしてのファンレター。
人気ヒーローだからファンレターなんてごまんとくるだろうし、読んでくれてるなんて思ってもなかった。
「忘れるはずないさ。君の筆跡は学生時代から美しいと思っていたから」
「……!」
”油谷さんって字がとても美しいと思う”
ふと、頭を過ったのは過去の八木君の言葉。
あれはいつだったか、何気ない会話だったと思う。
「前にも、同じこと言ってくれた……よね」
「そうだったかな。いや、そうだったかも。でも本心さ。事務所に所属していた時に、たまたま見かけたファンレターの字が油谷さんの字に似てた。だからサイドキックに頼んで、君のファンレターだけは毎回読んでたよ。贔屓だとサイドキックには言われたけどね。返事は時間がなくて書けなかった、ごめん」
「いや……そっか……知ってたんだ」
「うん。……私が女性と関係をもたないのは、寂しい思いをさせるかもしれないし、何より敵が多いから。巻き込まれるのを恐れたからだ。でも、少しだけ心残りではあった」
八木君は私に近づいた。近場で見つめられると少し心臓がうるさい。
「自分から振っておいておこがましいとは思う。今更どうこうなりたいとかそういうのも……。こんな形になったからだろって言われたら返す言葉がない。……だからさっきちょっと掛けたんだ」
「旦那が怒らないかって?」
「そう。君が結婚していたらこの気持ちしまっておこうって思って。でも君は独身だった」
諦められないじゃないかと八木君は手で顔を覆った。
「ファンレターが来る度に君のことが気になっ
て。二度も振っているから君は私に対してもう恋心とかないんだろうなと勝手に思ってた。いや、思い込もうとしてたんだ。でないと、揺るぎそうだったから」
「でも、さっき私が引きずってるって知ってたって……」
「最近までは知らなかった。でも君がくれたファンレターを職員室で読んでたら……同僚のヒーローに見られちゃって……」
――……‥‥
「あれ? オールマイト、それファンレターですか?」
「ゴフッ! ミミミミッドナイト!?」
「なんで隠すんですか? あ、もしかしてファンレターじゃなくてラブレターでした?」
「あ、いやこれは違……」
「青春ですねー!」
「……オールマイトさんついに結婚に興味が?」
「ああああ相澤君まで!? ただのファンレターだよ……!」
「ぇえー? 本当ですか? 照れてません?」
「あ、いや、えっと……。…………そんな見つめないでよ、二人とも。実はファンレターだけど、同級生なんだ」
「同級生?」
「雄英時代のクラスメイトさ。ずっと私のことを応援してくれていて……」
「……告白されたんですか?」
「ゴフッ!? 相澤君!? なぜそれを――!」
「え!? そうなんですか!? やだー! 青春じゃないですかー! 付き合ったんです?」
「……いや、断った」
「どうしてですか? 好きじゃなかった?」
「違うんだ。私はヒーローと恋愛を同時にこなせる程、器用じゃないから」
「あらら、かわいそうに。でもその子振られても応援してくれてるんですね。同じクラスメイトだったからですかね?」
「……そうかもしれないし違うかもしれない」
「何か心当たりが?」
「二回告白されたんだよね。二回目はヒーローになってから。でも断っちゃって。そのあとからファンレターくるようになって……」
「マジですか?」
「……ファンレターくるようになったってことは、もう何十年も来てるってことですか?」
「そうだね。ずっと来てる。匿名だけど彼女の筆跡で間違いないだろう」
「……それって」
「?」
「ねぇ……イレイザーヘッド」
「あぁ……。オールマイトさんそれ多分、その人まだ貴方のこと引きずってますよ」
「え!? そんなまさか!」
「その方、結婚は?」
「それは分からない」
「もし独身だったら可能性は高いです。かなり入れ込んでないとそこまで出来ないと思います」
――……‥‥
「……ということがあって。納得してしまったんだ」
「会ったこともないのにバレてるの恥ずかしい……」
「じゃあやっぱり君は……」
八木君の言葉に私は頷いた。
「この歳になっても引きずって、他の人と恋愛なんてする気がなかった。まるで子供のようで恥ずかしいけど……。私はやっぱり八木君が好き……です。あの頃と変わらず。……もう諦めようって思ってたんだけど、忘れられなかった」
「そっか。油谷さん、ありがとう。私のせいでここまで独り身になってたようで申し訳ない」
頭を下げる八木君に私は慌てた。
「顔を上げてよ! 八木君のせいじゃない。これは私の問題だから」
「……正直、今すぐどうこうなるっていうのも変な感じがする。タイミング的に色々。だから、これから少しずつ交流していって、それでも気持ちが変わらなければ……君と共に生きたいと私は思っているんだけど。油谷さんはどうかな?」
「……良いの?」
「むしろこっちが良いのかって話さ。私、色々爆弾抱えてるし。あ、それも言わなくちゃいけないから、聞いたら嫌になるかもしれないけど。それを聞いても君の気持ちが変わらなければ良いなって」
「聞かせてくれる?」
まずはゆっくり座って話そうとカフェへと向かう。
好きな人とゆっくり歩いてデートみたいなことをして、まるで夢のよう。端から見れば……いい歳して恥ずかしいとか何してるんだって思われるかもしれない。それでいいのかって。
それで今は幸せな気持ちでいっぱいだった。
何でも受け入れられる、そんな気持ちだ。どれだけ八木君の爆弾とやらが修羅の道であろうとも、今このささやかな幸せは変わらない。
大丈夫、そんな気がした。
終わり
●あとがき●
初めてのヒロアカ夢はオールマイトです。恋愛的な意味では推しではないんですけど、キャラクターとしてオールマイトは好きです。
アニメを再履修中、ふと思ったんです。
「オールマイトの同級生はオールマイトのマッスルフォーム以外の姿を高校時代に見てるよね??ということは、オールマイトの真の姿を知ってるのでは?」と。
でも書いてるうちに、真の姿といっても高校時代はある程度は筋肉ついてたしむしろプロヒになってからのマッスル感と作画が違う感じにびっくりしたのでは?と。
そういう色々な疑問から物語を書いていきました。
友情夢でも良かったんですけど、無理矢理恋愛に結びつけて構想してしまったからそのまま……。
オールマイトの恋愛観は二次創作とはいえ作っていくと違和感だなと思いました(笑)
ちょっと失敗かもしれんですが、せっかく書いたのでこのままあげます。
……二次創作ですから。ってことで許してください。
以上です!