同級生の八木君に恋してる
夢小説設定
この章の夢小説設定【概要】
オールマイト、八木俊典は雄英高校時代のヒーロー科の同級生。ずっと恋をしていた。
還暦前になっても独身の貴女は彼をずっと引きずっていて――。
同窓会を経て再会する。
【備考】
同級生として多少オリキャラ出てきます。
名前変換自体少ないかも。
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「私のヒーロー名は“オールマイト”です!」
学生時代、そう自信満々に口にした八木君を私は今でもはっきりと覚えている。
先生が「大きく出たなー、でもいいと思うぜ!」と親指を立て、八木君は嬉しそうに微笑んだ。
平和の象徴になると入学時から言い続けていた八木君のことを皆は馬鹿にはしないが、あまりにも大きい目標に「無理じゃないか」と思っているものもいたと思う。
しかし、先生に「いいと思う」と言われた後に八木君は象徴になる覚悟や思い、ヒーロー名に込めた意味を語った。
そこで皆「こいつは本気なんだ」と悟ったのだろう。
八木君はクラスの人気者になった。
――……‥‥
五十代にもなると、ヒーローを引退した同級生も多い。
しかし雄英高校でヒーローになるべく志を同じに三年間過ごした絆は簡単には切れなかった。
「俺たちももうすぐ還暦か」
クラスを三年間まとめ上げた委員長だった三吉君がビール片手にしみじみと口にした。
「止めてよ、まだもう数年はあるんだから!」
「そうよ! まだ大丈夫!」
女子、とはもう言い難いがおばさんになった者たちが口々に反論した。
気持ちはわかる。私も同じだからだ。
「あの頃が懐かしいぜ」
「だな。楽しかったし、体力もあり余ってたからなぁ」
「もうあの頃みたいに体は動かないわよ。私、もうヒーロー引退して三十年近くになるわ」
「私もよ。子供が生まれて辞めたから」
そこからヒーローを辞めたきっかけとかを語りだす同級生たち。
もう何度も同窓会開いて知っているし、当時も聞いたのに懐かしい話に花が咲く。
すると、高校時代に仲が良かった友達の桃園羽菜が私に「そういえば」と話を振る。卒業してからは色々多忙で年に数回しか関わりがなくなってはいるが、会えば昔のように戻れる存在だ。
「晴子は今も独身よね? 告白してくる男の子も沢山いたのに全部断って……結局婚期逃して、興味なかったの?」
羽菜は酒もだいぶ進んでいるせいか、声も大きめで皆がこちらを向いた。
注目を浴びて少し恥ずかしい。
「興味なかったわけじゃないけど……」
「まさか、あんた! まだ引きずってたの!?」
年に数回しか会えなくても、会えば恋バナをしていた時もあった。
羽菜には話していたが、皆は「何のこと?」と興味津々なようだ。
「いや、その……」
「はー……あんたも一途ね。結局それで逃しちゃったわけだし」
「何? 油谷、好きなやついたってこと?」
ニヤニヤ聞いてくるおっさんになった同級生に少し嫌悪感を抱きながらも、まぁ……と相槌を打った。
「誰だ?」「告白はしてないのか?」「俺たちが知っているやつか?」と次々と質問される。
まだ引きずっているからこそ、初々しい若者みたいに答えるのに詰まる。
すると、当時からいつもクールだと言われてた前柱君がボソッと「八木のことだろ」と言った。
呟きのような声だったのに、やけに響いたのは気の所為じゃない。顔が熱くなるのを感じた。
一瞬、皆が静まりかえって初々しい反応をしてしまう私の反応を見て「マジ!?」と声をそろえる。
羽菜はやれやれと呆れた表情を見せている。
「八木って、あーまじかぁ」
「まーあいつはなぁ……」
「何ていうかな。……うん、難しいよな」
察したのだと思う。
私が学生時代から片思いしている八木君は、告白されても頑なに断るとして有名だったからだ。
「んで、油谷は告白したのか?」
「……うん」
「したのか! でもまぁ……あー、結果は分かる。あいつはちょっと特殊だからなー」
頷く私を見て、しょうがないよなと皆が言う。
でも実は学生時代に振られて、その後ヒーローになってから二回目の告白したのは羽菜しか知らない。
二回目も振られた。
「すまない、私は君の告白を受けられない。それは君が嫌いとかそういうんじゃない。私自身の事情が絡んでいる。……きっと私は今後も女性とどうこうなることはないだろう」
そう告げられたら、諦めるしかなかった。
だけど、私の気持ちは変わることはなく。いくら忘れようとしても忘れられなかった。
八木君との思い出も、彼の表情も全て胸が締め付けられるくらいに好きだと思った。
こっそり匿名でオールマイトへのファンレターを送っているのは羽菜にも言っていない。
返事は来ないし、見ているのかもわからない。でも恋心を隠して応援したい気持ちだけでも、と思って送っている。
それで、この歳になってしまったわけだ。
「……んで、その八木君は今どこで何してるのかな? 来るって言ったんだろ?」
三吉君が今回の幹事だ。連絡も全て三吉君がしていた。
八木君が参加すると聞いて、内心ドキドキしていたが彼はこの同窓会が始まってもう1時間が経ったのに一向に来る気配がない。
「来るとは返事きた。けど、途中参加するって話だ」
委員長の答えに皆、楽しみだなという反応を示す。
なんたって八木君は人気者だ。
「忙しいんだろうな」
「そりゃそうだ。なんたってNo.1ヒーロー様だぜ! 俺らの歳でまだヒーローやってるのもうバケモンだよな」
「そういえば俺、息子がいるけどさ。最初息子にオールマイトと同級生だったっていったら信じてもらえなかったんだぜ?」
「わかるかも。というかあの八木がまじで平和の象徴になって、誰もが憧れるヒーローになって……俺だって同級生だってのが信じられない」
「俺らの子供の世代以降は、皆オールマイトオールマイトって憧れてるよなぁ」
「でも高校時代のあいつと今のあいつ、かなり別人だよな。見た目」
「確かに! なんか全体的にでっかくなったよね。あと作画が違う……」
「でもあいつ最近、教師になっただろ? 雄英の。忙しいのに来れるのか?」
「教師は夜休みでしょ」
「休みだけど、あいつの場合……」
前柱君がスマホを操作し、皆にほらと画面を見せる。
彼の近くに座る者たちが画面を見て「あー」と声をあげる。
「何々?」
「ヒーローニュース。オールマイト事件を立て続けに解決。これ、三十分前の記事」
「……おいおい、まさかあいつこの同窓会に来る途中で!?」
「そりゃ一時間経っても来ないわ!」
皆が笑ったところで、八木君の話題は終了した。