第二部
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10.猫は猫にもてはやされる
「やっぱ、もてる男は猫になってももてるってことか?」
縁側に座り、庭を眺める永倉の視線の先には猫になった原田。と、その後ろを着いて回る何匹もの雌猫。
原田はそんな猫たちを相手にしていないが。
「あー……」
「何でなんだよ! 何で左之ばっかぁああ!」
「ちょっ、しんぱっつぁん! 揺さぶらないでくれよ!」
藤堂を揺さぶるのを止めた永倉は、腕で顔を覆った。
「くそぉ、俺はどうすりゃ良いんだっ」
「諦めなって。左之さんは別格。もうそう考えるしかないって」
「くそぉ……」
永倉の肩を軽く叩いて励ます藤堂だったが、彼自身も溜め息を吐いた。
「にゃー」
「あ、みーこじゃん」
鳴き声がした方を藤堂が見れば、そこには真っ白な毛並みの猫。尻尾に土方が付けた目印もある。みーこだということはすぐに分かった。
みーこは、原田に近付くとまるで他の雌猫など眼中にないかの如く、原田にすり寄った。
藤堂が「あ」と声をあげたのも束の間、原田の取り巻き猫たちは「しゃー」とみーこに牙を向いた。(一部、羨ましそうに見るだけの猫もいた。少なくとも藤堂はそう感じた)
すると、すぐさま原田が牙を向けた猫たちに威嚇する。雌猫たちは怯んだ。
「左之さん、なんか猫っぽくなったよな……」
藤堂がそう呟くと、
「いや、そうでもないだろう」
「一君。巡察、お疲れ。で、そうでもないって?」
背後から斎藤が姿を現した。
「あぁ。……人間の左之を想像してみろ」
「人間の左之さん?」
斎藤は頷く。
「そして、みーこも人間だと想像する。左之ならば、意中の女が他の女に同じ態度をされたらどうする」
「うーん。俺の女に変な事するな、って言う? でも、みーこって猫じゃん。左之さんは人間なわけで、意中の女とは違うくねぇか?」
「……何を言っている。左之はみーこに惚れている」
平然と言ってのける斎藤に、藤堂は驚きの声をあげた。
「いや、そりゃみーこは左之さんに懐いてたけどさ! え、マジなのかよ?」
「あぁ。勘が鋭い総司が言うのだから間違いない」
「って、総司かよ! まぁ、一君が気付いたら予想外だけどさ」
最後の方は独り言のように呟いた。
「しかし、左之さん……。みーこって猫……左之さん人間なのにさー……」
「種を越えた恋は複雑に感じるだろう。俺もそうだ」
「いつ好きになったんだろうな」
寄り添うように存在する二匹に、何ともいえない面持ちしか向けられない斎藤と藤堂であった。
雌猫たちは、悔しそうにその光景を見ていた。
10.猫は猫にもてはたされるEND
⇒11へ続く
「やっぱ、もてる男は猫になってももてるってことか?」
縁側に座り、庭を眺める永倉の視線の先には猫になった原田。と、その後ろを着いて回る何匹もの雌猫。
原田はそんな猫たちを相手にしていないが。
「あー……」
「何でなんだよ! 何で左之ばっかぁああ!」
「ちょっ、しんぱっつぁん! 揺さぶらないでくれよ!」
藤堂を揺さぶるのを止めた永倉は、腕で顔を覆った。
「くそぉ、俺はどうすりゃ良いんだっ」
「諦めなって。左之さんは別格。もうそう考えるしかないって」
「くそぉ……」
永倉の肩を軽く叩いて励ます藤堂だったが、彼自身も溜め息を吐いた。
「にゃー」
「あ、みーこじゃん」
鳴き声がした方を藤堂が見れば、そこには真っ白な毛並みの猫。尻尾に土方が付けた目印もある。みーこだということはすぐに分かった。
みーこは、原田に近付くとまるで他の雌猫など眼中にないかの如く、原田にすり寄った。
藤堂が「あ」と声をあげたのも束の間、原田の取り巻き猫たちは「しゃー」とみーこに牙を向いた。(一部、羨ましそうに見るだけの猫もいた。少なくとも藤堂はそう感じた)
すると、すぐさま原田が牙を向けた猫たちに威嚇する。雌猫たちは怯んだ。
「左之さん、なんか猫っぽくなったよな……」
藤堂がそう呟くと、
「いや、そうでもないだろう」
「一君。巡察、お疲れ。で、そうでもないって?」
背後から斎藤が姿を現した。
「あぁ。……人間の左之を想像してみろ」
「人間の左之さん?」
斎藤は頷く。
「そして、みーこも人間だと想像する。左之ならば、意中の女が他の女に同じ態度をされたらどうする」
「うーん。俺の女に変な事するな、って言う? でも、みーこって猫じゃん。左之さんは人間なわけで、意中の女とは違うくねぇか?」
「……何を言っている。左之はみーこに惚れている」
平然と言ってのける斎藤に、藤堂は驚きの声をあげた。
「いや、そりゃみーこは左之さんに懐いてたけどさ! え、マジなのかよ?」
「あぁ。勘が鋭い総司が言うのだから間違いない」
「って、総司かよ! まぁ、一君が気付いたら予想外だけどさ」
最後の方は独り言のように呟いた。
「しかし、左之さん……。みーこって猫……左之さん人間なのにさー……」
「種を越えた恋は複雑に感じるだろう。俺もそうだ」
「いつ好きになったんだろうな」
寄り添うように存在する二匹に、何ともいえない面持ちしか向けられない斎藤と藤堂であった。
雌猫たちは、悔しそうにその光景を見ていた。
10.猫は猫にもてはたされるEND
⇒11へ続く