「ま、まぁ好きだな」

「奇遇ですね！　私も好きなんですよー！」

「新八並だな、お前」


苦笑する先生に、私は顔が熱くなるのを感じた。新八さん――もとい、永倉先生は結構食べ物に関してがっついているというか何と言うか。

とにかく、私も食いしん坊と思われたんじゃないか。いや、間違っちゃいないんけどさ。


「すき焼きは美味いよな」


不意に先生が、私の頭を頭を撫でた。反射的に、顔を上げれば微笑みを浮かべた先生がいた。

それから、原田先生は保健室の美女先生と職員会議が云々と去って行った。

未だポーッと放心状態の私は、その場に立ちすくんでいた。すると「馬鹿たれぇぇええ！」と奇声を上げて、私の後頭部を叩いた人物。
声の特徴から、みっこだと分かった。私の体をくるりと向けて、揺さぶった。


「何やってんだよぉおおお！！」

「あー……血が……」


どうやら見ていたらしい。揺さぶるのを何とか止めさせると、今度は背後から


「へたこ☆ちゃんって、馬鹿だね」


と嫌味のような声がした。
振り向くと、剣道着姿の総司がいた。


「部活出てたんだ……」


恐らく、告白シーン（とは言えないが）を覗いていたのだろう。私を見る目が、軽薄だ。


「ってかへたこ☆！　良いの！？」

「え、何が」


切羽詰まったように、みっこは見据える。