日曜日

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「今世でも俺の女になってくれるか？」


あの後、改めてそう言われて私は頷くことしか出来なかった。しかし、いくら昔のように障害がない世の中とはいえ、私たちは教師と生徒。その関係だけは、恋愛は自由とされる現代であっても許されないのだ。
だからこそ、こっそり付き合うことにしたのだ。

携帯が鳴る。それは昨日交換したばかりの番号。画面に表示される名前は新鮮なもので、私は一つ深呼吸をして通話ボタンを押した。


「もしもし？」


見えない相手との会話。現代では普通なことであるが、彼との会話は今まで見えていたところで行われていた。この経験は私たちにとって初めてなのだ。


「うん。仕度は出来てるよ。……うん……分かった。じゃ、また」


――１０時２５分。あと５分。

私は、再度鏡を見て最終確認。かつて、こんなにも容姿を気にしたことがあっただろうか。いや、ない。昔は、そんな余裕がなかった。いつ不逞浪士が襲い掛かってくるか分からないもので、いつ戦いになるか分からない。常に動きやすい格好でなければならなかったのだ。

外からエンジンの音がする。もう５分経ったのか。鞄を持ち、私は部屋を出た。




――……‥‥

「なぁ、それ何だよ」

「え？　サングラス？」


当たり前のように答えたけども、やはり疑問に思うだろう。玄関先で、業とかけた理由は単純だ。


「学校の人に見られたらまずいでしょ？」

「まぁ、分からなくもねぇが……。あとで取ってくれよ？」


折角会ったのだから顔が見たい。そう付け足され、顔が熱くなるのを感じた。