「原田先生！」


緊張が高まり、声が震える。


「ん？　おぉ、片倉か。どうした？」

「私、玉砕します！」

「……は？」


突然すぎたかな、と思いつつももう止まらない。いや、止められないのだ。


「チョコレートもすき焼きも好きですけど、私が言いたいのはそういうことじゃありません！」


そして、大きくそれでいて気付かれないように息を吸って吐いた。


「私は……原田先生のことが、だ、大好きなんです！！」


全身が心臓になったよう。耳の中では鼓動の音がしきりに鳴っている。
もはや周りの音が聞こえない。

先生の顔も見れず、ただ赤面するしかない。きっと、物凄く驚いているかもしれない。そう思うと、恥ずかしくて恥ずかしくて――。


「それではっ、帰ります！　さ、さようならっ！」


思わず体と口が動いた。後ろから先生が何か言っている気がしたが、私は全力で逃亡帰宅した。

そして気付くのだ。総司とみっこを置いて帰ってしまった、と。今から二人に会いに行くということは、先生とまた会う可能性が高まるということだ。それだけは、恥ずかしくて無理だと思った。

だからメールしとこうと、携帯を開く。その手は、緊張に震えていた。






金曜終.